宮本でございます。
20数年ぶりに国会の場で発言する機会を与えられて、また緊張しますね。
昔を思い出して、また緊張いたしておりますが。
私は1946年の生まれでございまして、戦争に負けた後生まれたと。
物心ついて、どうして日本は負けると分かっていた戦争をしたのだろう。
これは私、どうしても大人に聞いても分からない。
どうしても分からない私の課題でございまして。
折に触れて本を手にし、自分で考え、今日までそれは続いてきております。
私は戦前の日本は、大きな間違いをしたというふうに思っております。
その一つが、中国に対する認識を間違ったということであります。
中国は1911年、五四運動が始まりますが、それからナショナリズム、愛国主義、そういうのがようやく国民に根付き始めます。
それを踏まえて中国国民党は力をつけ、そのど真ん中から中国共産党は生まれたわけでありますが、このナショナリズムこれに対する理解が十分でないまま日本は中国に足を踏み入れ、あの泥沼に陥ってしまったということであります。
したがいまして、この中国に対する認識の間違いというのがあったと思っております。
その次はですね、実は日米の唯一の本質的な対立点は中国問題だけだったんです。
中国の市場を開けというアメリカの要求、中国から撤退しろというアメリカの要求、それを日本が飲まなかったということであります。
したがって太平洋戦争に導いていくその出発点は中国問題だったということです。
その意味で我々はアメリカの理解が不十分であったということであります。
米中、今日もまだ想像されますが、似たような構図が戦前もあってですね、日本は判断をミスをしたということであります。
これは重く受け止めて、我々はやっていかなきゃいけないと思います。
とりわけ、昨年トランプ大統領が再選をされて、そして世界は再び激動の中に放り込まれまして、私は必然的に1929年、ウォール街の株の大暴落に始まる世界大恐慌、それが結局第二次大戦に導いていくわけでありますが、1929年を思い出し、そしてこの戦前の日本の間違いを思い出しました。
やはり我々はしっかりと世界を見なければいけない。
とりわけアメリカと中国をしっかり見なければいけない。
そうしないと国を誤るということを改めて思いました。
中国が台頭をした結果ですね、米中関係が世界の大きなところを決めるようになりました。
戦後我々が今直面しております様々な動き、その根源にですね、中国の台頭があるのは間違いありません。
中国が台頭したことによって世界は動揺しております。
しかしこれは中国からすると、大きくなったのになんだということででしょうが、客観的に見て中国の台頭が世界を動揺させているということであります。
そしてその中国とアメリカが今こういう関係になっておりまして、米中関係をどう見るかというのが再び我々にとっての喫緊の課題になってまいりました。
その米中関係を見るときにですね、いろんな前提を申し上げますと、アメリカと中国は長期的な競争関係に入ります。
これはもう一朝一夕に簡単に動きません。
その間本当に激しい戦いになるのか、そうじゃなくて手を結ぶのかと。
これはアメリカ、中国の選択によっております。
しかしこの両者が競争関係に入るというのは間違いないと思います。
従って私は今回、まさに今日今晩から始まるトランプ大統領の訪中という極めて重要な出来事を見る一つの視点としてですね、いろんな問題がどういうふうに解決された、どういうふうに扱われたというそういう局面だけではなくて、アメリカと中国がですね、どういうふうな国と国との関係を作ろうとしているのかと、ここをしっかりと眺めなければいけないというふうに思います。
なぜならば、不安定で折に触れてぶつかり合う二国間関係は、アメリカにとっても中国にとっても都合が悪いわけです。
国を運営し外交をやっていこうとするときには予見可能性というのは極めて大事なわけです。
予見可能性がなければ全ての国にとってマイナスなわけですね。
したがって中国もアメリカも彼らとしてはこの競争関係を管理したい。
したがって私は今回の米中首脳会談の最大の関心はですね、よく今言われております貿易委員会、投資委員会という、すなわち両国の協議の場ができるかどうか、これが非常に大きな意味を持っていると思います。
この協議の場ができますと、これは向上的に閣僚レベル、あるいはそのレベルでの意思疎通が始まります。
それはやっぱり関係を安定させるんですね。
バイデン政権の時にですね、私が非常に注目しておりました、そういう米中の対話の場がありました。
これは両国の首脳が合意してできたものです。
名前はですね、米中関係の指導原則を議論するチーム。
これを作って議論、その米中関係の指導原則を議論させるということ。
これは間違いなく中国が言い出したと思います。
こういう指導原則とかこういうのは中国風ですから。
しかしアメリカが同意して、その議論に入った。
すなわちアメリカと中国というこの二国間関係をどうするか。
これを両国が話し始めていたんです。
バイデン政権のときには。
流れとしてはですね、そういうふうになるんですね。
ですから一方で米中がぶつかり合うその余波を我々は受けますんで大変ですけども。
しかし同時に米中がそういう方向で両国関係を安定させるこの動きもあるんだと。
これも同時に捉えていきませんと。
我々米中関係を正しく見ることにならないだろうというふうに思っております。
そういう大きな情勢の中でですね、東アジアを見ますとね、これはもう運が良かったんですよ。
すなわちもうベトナム戦争でですね、戦争が終わって、その後一回中国が教訓を与えると言ってベトナムに入りましたけれども、基本的には平和が続いて。
なおかつ東アジアの経済のリーダーになったのが日本でよかったですよ。
何ならば日本はですね、他の国が発展するのを助けましたね。
ですから日本がまず発展して、韓国、台湾、香港、シンガポール、こういうところが後でくっつき、いわゆる雁行型、あれの経済発展という東アジアの経済発展モデル。
おかげでASEANも含めた全体の経済発展ができましたでしょう。
そしてついに今やアジア、特に東アジアが世界経済のエンジンだと言われるぐらいになったんですね。
これはやっぱり平和で安定した国際環境があったからなんですね。
ここはもうしっかりと我々を抑えてもらわなきゃいけない。
平和で安定した国際関係が経済発展の前提なんですね。
これがあったから東アジアはここまで発展できたと。
いかにしてそれを担保するかと。
日本外交の重要な柱だというふうに思っています。
それから安全保障の専門家の方、今日はいらっしゃらないのであまり深くしてはいけませんが、安全保障の専門方はもちろん専門家として自分の視点からおっしゃっていて、それはそれで正しいんです。
ただ、いくつかのところで我々は見落としていけないのは、戦前は軍事力を使っていろんな行動をしましたでしょう。
あれは経済権益を取るためだったんです。
軍事力を使って中国という領土を自分の勢力下に置くということは、経済を日本のものにできたわけです。
アフリカの植民地、いろんな植民地、軍事力でいって、軍事力の結果、経済的な利益を得るというのが戦前のいわゆる帝国主義と、植民地主義と呼ばれた時代の軍事力の在り方だったんですね。
今、軍事力で経済的な利益取れますか?よく中国が軍事的に強くなれば南シナ海をすぐ取ると。
軍事力を使って南シナ海を取ってどれだけ経済的利益になりますか?そうじゃなくてASEANにもっと投資をしてASEANの経済を発展させた方が経済の利益になるんですね。
だから軍事力の役割が戦後変わっていると。
そういうことも東アジアを考えるときに見ていかなきゃいけないと思います。
日中関係に入ります。
日中関係は政治外交の柱があり、軍事安全保障の柱があり、経済の柱があり、文化民間交流の柱があるんです。
この全部を踏まえて日中関係なんです。
安全保障は大事です。
しかし安全保障で日中関係全体を牛耳ってはならないというのを私は強く言っているわけです。
トータルな日中関係をいかにして日本にとって一番いい形にするかということは私の願いであります。
軍事安全保障も大事です。
とりわけ中国がこれだけの期間にわたり急速に軍事力を増強させ。
そして私は基本は台湾の関係で軍事力を増やしたのだと思っていますが。
しかし何のために増やしたのか、これからそれを使ってどうするのか、そこについて中国は一切説明しない。
したがって我々は疑心暗鬼になってしまうということ、これは事実です。
したがってそれに対して日本が軍事安全保障の対応をすること自体には、私は一度も反対したことはありません。
それは軍事専門家の方がお考えになって、必要なことをおやりになればいいんですが。
だからといって政治外交の関係、経済の関係、それ以外の関係は依然として大事ですし、先ほど申し上げましたように政治外交は頑張らないと東アジアで平和で安定した国際関係は作れない。
それが作れなければ我々の経済発展はできないと、こういう構図になっているときに軍事安全保障だけでやるわけにいかないということをご理解いただけると思います。
そういう包括的に対中関係を進めていくと。
それでその対中関係ですが、ここに書きましたように4つの問題を書いております。
一番最初に台湾問題です。
日中国交正常化後、最大の問題が台湾問題でした。
それから2番目に出てきたのが歴史、歴史認識問題です。
これは教科書問題で出てきました。
3番目に尖閣を巡る問題になってきていて。
これはもう後の方になってから中国が自分の領土だと言い出したものですから、日中の問題になってしまったわけですね。
そして2012年の、いわゆる日本の尖閣の国有化の時に、中国は実力による現状変更。
これは現在の国際法違反だというふうに認定されておりますが、その実力による現状変更をやりました。
ないならば、それまで尖閣は圧倒的に日本が実効支配をしていたわけです。
その実効支配体制を少なくとも同じにすると。
中国と日本が同じような実効支配をしているんだという形を作るということのための方針転換をして、今日、何日ですか、中国船があの辺りを徘徊してるし、領海もしょっちゅう来てると、こういう状況を作り上げました。
あの時にですね、世界は日本と中国は戦争するかもしれないと思ったんですね。
我々は鈍感で、そういう感覚が弱かったんですが、欧米の専門家の議論を聞くと、これ日中は戦争するんじゃないかと、いうふうに彼らは本当に心配してたんですね。
客観で見てそういう状況だったわけです。
すなわち戦後初めてですね、日本の自衛隊と人民解放軍が直接対峙するという局面が出来上がったわけです。
それまで日中の安全保障対話というのをやっておりましたが、それは何をやってたかというと、日米安保条約があってですね。
日米安保条約でもし台湾に何かあったときに日本はどういう協力をアメリカにするんだと。
これが日米安全保障台湾だったんですよ。
ところが尖閣以来、日本と中国の軍事的な対峙がもう直接なものになってしまって、その傾向はますます強くなってきているということで、安全保障の柱がどんどん立ちました。
これが今日、中関係を大きく左右する、そういう大きな柱になってしまったわけですね。
そして、現在、去年の高市首相の国会における台湾絡みのご発言によって、日中関係は止まりました。
これはですね、本当に止まったんですよ。
1949年に中華人民共和国が成立して以来ですね、政府同士は厳しい関係にあるし、もちろん最初は我々は中華民国台湾を承認しておりましたんで、大陸の中華人民共和国政府とは外交関係ありませんでしたから、政府同士の付き合いはなかったんですが。
しかしそれにしたがって向こうは日本の政府を断るごとに非難し、攻撃してたわけですね、中国政府は。
しかし同時に、いわゆる民間の交流というのは意識的に彼らはやってた。
ですから民間交流が途絶えたことは一回もないんですが、今日、民間交流止まりました。
本当に純粋に個人の、個人と個人の関係の交流、これはまだ続いてます。
しかし民間というのは中国にいわゆる民間組織というのがあるんですが、日本でいう民間とは意味が違いますけれども、そういう民間組織が中国にあって、それと日本の民間組織が交流していたので、今全部止まりました。
対話の窓口が止まっているんですね。
ですからこれは日中関係上、極めて異常な状態が今、出現しているということであります。
よく2012年のこの尖閣の問題があってですね、それから2014年の安倍首相の習近平首相との会談が再開されたと。
あれが一つの前例という形で皆さんよくお考えになるんですが、客観的に見てあの時と今日とで、日中の力関係はまた変わってきてるんです。
この10年で中国はまた経済が倍になっているんですよ。
日本はそのまま、向こうは倍になっている。
軍事力もさらに強化している。
そして習近平外交は積極的にやりましたから、その結果、国際的な影響力というのも中国はつけてきていると。
そういう中国と今我々は対峙しなきゃいけないという、そういう局面にあるということなんです。
極めて現実を反映します。
希望的観測は受け入れてくれません。
現実があって、その現実を踏まえたものしか外交はできません。
そうすると、そういう中国と、こういう日本というのを外交するときにはっきり認識して、だからといって卑屈になる必要は全くありません。
全くありませんが、客観的に実はそうであるということは、しっかりと踏まえた外交をしないとうまくいかないだろうというふうに思っております。
そうしますとですね、もう最後にあと2分ぐらいですので、最後に日中で、それじゃ戦う側面ばかりだということはそうではございません。
日中の協力できる範囲というのは結構あります。
一つは中国はですね、皆さん方の想像と違って、と言っちゃ言い過ぎと思いますが、今我々が言っている現行国際秩序、法に基づく国際秩序、これを支持しているんですよ、中国は。
いや本当かということをおっしゃると思いますが、彼らは彼らのロジックで支持しているんですね。
ですから今アメリカがそれに対して背を向けている時に、いかにしてこれを維持・補強していくかと、これは日中共通の課題です。
東アジアの平和と発展。
これも当然共通の課題です。
それから世界のいわゆる環境問題、感染症の問題とあります。
当然これもやらなきゃいけません。
そして経済です。
経済は経済安全保障が大事ですから、当然経済に制限を受けますが、しかしボリューム、量という形をすると、経済安全保障の影響を受けない分野が山ほどあるわけです。
これをお互いに利用しないという手はないと思います。
最後に、国民同士の交流、これはもう最後はここに私は来ると思っておりますので、どんな状況でもこの国民同士の交流というのは強めたい。
それゆえに、現在中国がそういう国民同士の交流というのを止めているということは、私は容認できない。
早急に是正されるべきであるというふうに考えております。
以上であります。
ありがとうございました。