憲法審査会
概要
参議院憲法審査会において、参議院議員選挙における1票の格差と合区制度の解消について、各会派による意見表明が行われました。自民党や参政党などは、地域代表性の確保や合区の弊害解消のために、人口以外の要素を憲法に規定するなどの憲法改正の必要性を主張しました。対して立憲民主党、公明党、日本共産党などは、投票価値の平等の重要性を強調し、憲法改正ではなく法改正や参議院の役割再定義による解決を求めました。また、議論の中で緊急集会の権能や緊急事態条項、さらには生存権の保障といった広範な憲法論点についても各会派から言及されました。
発言タイムライン
発言者(9名)
- (憲法審査会会長)
- (自由民主党・無所属の会)
- (立憲民主・無所属)
- (国民民主党・新緑風会)
- (公明党)
- (日本維新の会)
- (参政党)
- (日本共産党)
- (れいわ新選組)
質疑応答(0件)
質疑応答は行われませんでした(所信表明・趣旨説明等のセッション)。
議事内容
ただいまから憲法審査会を開会いたします。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
本日は憲法に対する考え方についてのうち、参議院議員選挙における1票の格差について、各会派の意見表明を各10分以内で行います。
発言につきましては、憲法審査会長。
中西祐介君。
中西祐介(自由民主党・無所属の会)でございます。
会派を代表して意見表明をさせていただきます。
参議院議員選挙において導入されている合区選挙は、政治的に一つのまとまりを有する単位、まさに民主主義のユニットである都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出すべきとの考えが、有権者においてなお強いにもかかわらず、これを無視した形で投票率の急激な低下や無投票の増加といった議会制民主主義の根幹に関わる問題が明らかになっております。
合区選挙区の弊害の大きさは今や明白であり、この弊害の解消を果たすことに否定する会派はないというふうに受け止めております。
次の参議院通常選挙は2年後に迫っています。
そのような中、昨年12月以来、石井副議長の下で進められている参議院改革協議会での議論も急がなければなりません。
合区制度導入以来、鳥取・島根、高知・徳島、この4県がその弊害による影響を直接受け、また全国知事会をはじめとする地方6団体からも合区解消を訴え続けたにもかかわらず、既に10年が経過をしております。
参議院改革協議会では、委員の在り方の方向性を議論され、その趣旨に基づく選挙制度について議論いただいているところですが、選挙制度の弊害は、例えば衆議院では、国勢調査ごとに頻繁に変わる選挙区割により、有権者にどの選挙区なのか混乱が生じたり、衆議院議員と有権者の関係性が希薄になったりといった指摘があります。
また、参議院では、合区選挙区の導入により、自分の県の候補者や代表がいないという状況が生まれまして、政治的無関心を助長しているという問題が表層化していることに対しまして、立法府としての意思を示す必要がありますし、さらには、緊急事態状況下で、参議院が全国の声を集約する機能を発揮するには、いかなる憲法であるべきかということを、迅速に議論を進化させなければならないと考えます。
現在の憲法が公布された昭和21年の人口調査では、当時最大の東京都の人口と、最小の鳥取県の人口は、当時約2.6倍の開きでございましたが、東京都の人口規模は鳥取県の24.7倍へと著しく拡大しております。
まさに大都市を有する都道府県の人口急増と地方の人口減少により、憲法制定当時とは全く異なる極端な人口偏在状況が生じており、ますますこの人口格差が拡大している現下の状況を鑑みたときに、人口以外の物差しも憲法の中に規定するということも考えるべきではないでしょうか。
さらに参考人の意見として、これまで最高裁の多数意見が、1票の格差を参議院通常選挙での選挙区のみで算定することに対して、令和5年の最高裁判決の少数意見にもあったように、選挙区選挙と比例代表選挙を総合的に見る、総合的投票価値という値で検算すべきとの考え方も示されているところです。
この考え方により、令和7年の有権者数で格差を計算すると、最高裁がこれまで示してきた選挙区だけの格差は3.127倍となりますが、全国比例と選挙区を総合的に見ると2.102になります。
人口の多い上位8つの都道府県の有権者で過半数を超える著しい人口偏在のある我が国において、現在の選挙区ごとの議席数でも42%、選挙区と全国比例を一体的に見た議員数で見れば46%と、ほぼ過半数という議席を現状有している状況にあります。
人口のみを基準に選挙区定数を見直していけば、大都市部への人口集中が止まらない中、定数配分はますます偏ることになり、人口規模の大きな都道府県の声が国政においてより尊重され、全国民、全国土のきま細やかな要望や課題に対応することはできない懸念が高まっています。
結果、人口減に悩む地域の実情が国政に反映しにくくなり、大都市部への一極集中がますます加速するのではないかという懸念が深まるばかりでもございます。
このような弊害を抜本的に解消するには、地方の声が埋没しない選挙制度を保障する憲法改正議論の進化が不可欠だと考えています。
国立国会図書館に調査を依頼したところ、OECDに加盟している38カ国の議会や選挙区選挙において、最高位の自治体より広域の選挙区を設け、直接選挙を採用しているところは、我が国のこの参議院選挙の合区以外、全くありません。
やはり合区選挙は世界的に見ても、極めて不自然な制度であるということが言えると思います。
例えば、ノルウェー憲法では第57条に、各選挙区から選出されるノルウェー議会議員の数は、各選挙区の人口と面積の比率、及び国土全体の人口と面積の比率に基づいて算出されると明記されています。
過去、人口のみに基づく議席配分の結果、地方から都市へ議席が大きく移動し、地域間の不均衡が政治問題化したことから、人口だけではなく面積の要素も加味して選挙区議席を決定する憲法改正を、2003年にノルウェーでは行い、この条文が挿入されました。
選挙区の決定は、国土面積を考慮するノルウェーなどのほか、あるいは飛び地や、離島の一体性ということも考慮すべきだとしているフランスなどもありまして、人口以外の要素について憲法に規定することは国際的に見ても全く自然なことです。
人口だけを基準に選挙制度を決めていることで、健全な議会制民主主義の根幹を揺るがせにすることがあってはならないと考えています。
そこで、これまでの憲法審査会でも発言しましたとおり、我が党の憲法改正の条文イメージ、草案では、第47条1項には、「両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に判断して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。
参議院の全部または一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる」、第2項において、「前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法、その他、両議院の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」というように、人口基準とともに、それ以外の行政区画、地域的な一体性、地勢といった要素を明記すべきであると考えています。
また、それと同時に、民主主義の基礎的単位である地方公共団体の市町村と、そして広域の地方公共団体の都道府県について、現行憲法ではわずか4条に過ぎない地方自治の第8章を充実し、市町村と都道府県の基盤の安定化と地方自治の位置づけの強化を図ることが必要だと考えています。
その上で第92条の条文イメージでは、「地方公共団体は基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本質に基づいて、法律でこれを定める」との言及を考えているところです。
前回の憲法審査会まで、各会派の意見表明を伺ってまいりましたが、我が会派と同じ方向性、あるいは近いお考えの会派があるということも明確になってまいりました。
こうしたことから、合意の形成と地方自治に関する憲法改正について方向性を整理すべきであると考えております。
また、幹事会でも呼びかけさせていただいておりますが、憲法に規定されている参議院独自の機能であり、かつ衆議院議員不在時の国会の代替機能である緊急集会、そしてそれを含む緊急事態条項についても、一刻も早く議論に入ることが我々参議院の責務であると考えて、申し上げさせていただきます。
私の発言とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
吉田忠智君。
立憲民主・無所属の吉田忠智です。
参議院議員選挙における1票の格差について、会派を代表して意見を申し上げます。
まず参議院選挙の在り方について、我が会派は、参議院はより多様な立場の民意を反映させる場と捉えた上で、職域単位と地域単位という現行制度の枠組みを基本にすべきと考えます。
そして地域単位での民意の集約は、歴史的、政治・経済的、文化的な観点や、住民のアイデンティティなどの観点から、都道府県単位が最も合理的であり、また国民にも広く定着しているところです。
他方、合区については、投票率の低下、無効投票、白紙投票の増加など、民主性の根幹に関わる弊害が明らかとなるなど、制度として限界に至っており、その不合理は解消されるべきと考えます。
そして我が会派は、そのための取組として、憲法改正の手段にはよらず、歴代の最高裁判決が繰り返し示している一票の格差と国会裁量に関する基本論理に基づき、まずは参議院が国民のために果たすべき、衆議院とは異なる独自の機能や役割、すなわち参議院の在り方論の検討を求め、議長のもとの参議院の改革協議会では、その実施が決定されているところです。
我が会派は、今後の参議院の役割として、高齢化や人口減などの地方問題への対処や、緊急集会の機能強化を含む広域災害への対処、6年という固定・長期の任期も活用した行政評価機能の拡充などを提案しており、改革協議会においては、これらの事項の有識者ヒアリングは、今週の22日より開催されます。
一方で、合区の解消のための憲法改正については、14条の投票価値の平等という国民の基本的人権を著しく損ね、国民主権、議会制民主主義や、43条の全国民の代表性との矛盾、さらには我が国として連邦性を採用していないことなどから、憲法の基本原理等に照らして、強い疑念を抱かざるを得ず、立憲民主党として明確に反対をいたします。
さて、高市総理の会見ありきの言動とともに、参議院における合区問題の取組の大きな妨げになっているものに、参議院の緊急集会の権能や機能を不当に貶める憲法違反の解釈に基づく、衆院憲法審査会における国会議員の任期延長会見の議論があります。
改革協議会の参議院の在り方論の検討項目には、緊急集会の機能強化が明記されていますが、その緊急集会について、衆院憲法審では、2022年の通常国会から常態化した毎週開催の下で、あろうことか、平時の制度、70日間限定、衆議院の優越事項は権限外、などの暴論が繰り広げられてきました。
こうした状況に対処するために、2022年の臨時会を経て、2023年の通常国会より、本格的に講じられた本審査会での立憲会派の論戦によって緊急集会の正しい憲法解釈が共有されることになり、その結果、任期延長会見を唱える政党においては、週3で緊急集会を巡る見解が分裂するなどの事態が生じ、自民党におかれては、2024年8月に現在の衆議院憲法審査会長である古谷憲法改正実現本部長の下で、70日間限定説などを全て否定した正しい党見解がまとめられるに至っているところです。
ところが先週の5月14日には、衆議院の憲法審査会において緊急事態条項のイメージ案の説明が衆議院法制局によって行われました。
この中には緊急集会を定めた54条の改憲条文案や、緊急集会と議員任期特例などとの住み分けなるものの見解などが含まれていました。
緊急集会は、国家緊急事態にも対処する有事の制度として制定され、任期延長の間に太平洋戦争が開戦される等の戦前の権力の乱用の反省を根本趣旨とするものであって、議員任期特例との住み分けを考えること自体が緊急集会そのものの否定であり、いかなる時にも民主政治を徹底するために、国民代表である参議院議員に緊急集会を担わせるとした金森徳次郎大臣の憲法制定議会での答弁を、我々参議院議員は深く胸に刻む必要があります。
さて、こうした中、立憲民主党が昨日19日に開催した党の憲法調査会において、衆議院法制局よりイメージ案の説明を受けられないという事態が生じました。
本件については、先の幹事会での自民党中西筆頭の説明だけでは、衆議院憲法審の自民党筆頭幹事が止めたのか、衆議院法制局が立憲民主党への説明を行わないことを自民党筆頭らが追認したのか、なおその真相は明らかでないと考えていますが、いずれにしても、野党である立憲民主党が、衆議院憲法審で衆議院法制局が説明し、衆議院憲法審のホームページでも公開されている資料の内容説明を、受けられないというのは極めて異常な事態です。
憲法は憲法問題の調査審議や憲法改正の議論も、任意制の下で行うことを定めています。
憲法改正の議論を衆院憲法審だけで行う、あるいは特定の会派を排除して行うことは、民主主義そのものであり、それは慎重審議を喪失させ、国民のための世論の実現を阻むものであることは明々白白です。
ましてや、任期延長会見が、緊急集会の根本趣旨や、その権能や権限をめぐる議論と、吉田忠智君。
当時の日本政府とGHQとの交渉記録の箇所がなぜか記載されていないなど不可解な箇所が3点あったものを、立憲民主党の参議院議員による憲法調査会などの指摘によって、そのうちの2点が改善された補訂版が2025年3月に衆院憲法審に再提出された事実は極めて重要です。
なお、残りの1点の、多くの憲法学者が70日間限定説などを採用しているという衆院資料における学説整理については、昨年4月16日の本審査会における川崎参議院法制局長の答弁によっても、明確に否定されているところです。
さらには、先の総選挙まで立憲民主党の議員として衆議院憲法審に所属していた者からは、批判意見が全く反映されていないイメージ案となっているとして、その中立的かつ専門的な立場からの整理作成という説明に疑問を呈する意見も示されており、立憲民主党としてこれらの意見に対する一定の責任も有するものです。
また、同じ5月14日の衆院憲法審では、維新の馬場委員より、参議院が国会の権限を一心に担う事態まで想定して参議院選挙で投票する有識者はほぼ皆無などと、参議院の存在やこの間の参議院での緊急集会に関する真摯な議論を否定し、何よりも国民有権者を愚弄する複数の暴言がなされています。
馬場議員は、会議録を拝見する限り、2023年以降の参院憲法審での緊急集会に関する議論に対して、具体的かつ論理的な反論を行うこともなく、一貫して70日間限定説などを唱え続けた挙句、こうした暴言に及んでいますが、そうした姿勢は改めるべきであるとともに、重過失の発言について、国民及び参議院への謝罪と撤回を行うべきと考えます。
結びに、いかなる立場であっても、憲法に関する議論は正々堂々と、事実と論理をもって、立憲主義と法の支配の原理に基づいて行うべきこと、そのための良識の府、参議院の果たすべき役割の重要性を申し上げ、私の意見とさせていただきます。
川合孝典君。
国民民主党新緑風会の川合孝典です。
参議院議員選挙における1票の格差について、会派として論点整理をした内容について申し述べます。
選挙制度の在り方をめぐるこれまでの判例は、一貫して投票価値の平等が、憲法14条1項等の規定に基づく要請であることを認めつつも、それが当該制度の仕組みを決定する唯一絶対的な基準となるわけではなく、他の考慮要素との関連において、調和的に実現されるべきものであるという旨の判例を示しております。
それゆえ、法律によって定められる選挙制度が、立法府の裁量権として合理性を有するものである限り、投票価値の平等が一定の範囲で譲歩を求められることになっても、違憲とは言えないものと考えております。
近年、参議院は1票の格差への対応のみに終始してまいりましたが、本来、選挙制度の見直しに際しては、二院制における参議院の役割を達成するための最適な制度はいかにあるべきかを議論の前提としなければならないものと考えます。
そもそも憲法が二院制を採用し、衆議院と参議院の権限及び議員任期に差を設けている意味は何か。
なぜ参議院議員選挙は都道府県選挙区を採用したのか。
なぜ参議院選挙のみ全国比例代表選挙が導入されているのか。
という原点に立ち返った議論がこれまで十分になされておりません。
まず、二院制における参議院の役割を明確に定義し、その上でその役割を達成するための最適な選挙制度はどうあるべきかを決定すべきと考えております。
都道府県選挙区の位置づけと役割を明確に定義する必要性について申し述べます。
参議院議員選挙が衆議院小選挙区より大きな都道府県選挙区を採用してきた背景には、歴史、行政、経済、文化など多岐にわたる分野で地域を取りまとめるユニットとしての機能を重要視したからであるものと捉えております。
徳島・高知、鳥取・島根が合区になって10年が経過しました。
投票率の低下や議員と有権者との接点の希薄化など、さまざまな問題が指摘されております。
実際、昨年の参院選における投票率も合区対象県では全国平均を下回っており、県別の単独集計では、徳島県は今回も全国最低レベルの投票率を記録したとのことであります。
それでもかろうじて、地域代表としての選挙区選出議員の性格を保てているのは、隣接県との合区であることによります。
近日中に公表される国勢調査において、新たな合区対象として、福井県、佐賀県、山梨県などが挙げられる可能性が指摘されております。
これらはいずれも隣接する県ではありませんので、現実的な対応として、隣接する県との合区が検討されることとなります。
大都市圏への人口集中が進む中、このまま1票の格差を是正する視点のみで合区を推進した場合、さらなる合区対象県が生じることとなり、都道府県代表としての選挙区選出議員の性格は失われ、仮想地域の民意は置き去りにされることとなります。
当面する1票の格差の是正だけでは抜本的な問題解決にはつながりません。
二院制における参議院の役割を明確にし、その役割を果たす上で、投票価値の平等が、より適切に民意を反映させる上で、どのように担保されるかを考える必要があります。
なお、令和4年参議院定数訴訟に係る最高裁判決では、投票価値の平等に関する多数意見として、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実態等を一つの要素として考慮すること自体が否定されるべきものとはいえず、投票価値の平等の要請との調和が保たれる限りにおいて、このような要素を踏まえた選挙制度を構築することが、直ちに国会の合理的な裁量権を超えるものとは解されないとしています。
つまり投票価値の平等をいかにして衆参の選挙制度に反映させていくかは、最高裁判例によって国会の合理的な裁量に委ねられているものと考えられます。
選挙区選挙と比例代表選挙を切り離して1票の格差を論じている現状について問題点を指摘します。
参議院議員選挙では、同じ選挙でそれぞれ独立した選挙区選挙と比例代表への投票を行うことが有権者には保障されており、そこで選出された選挙区選出議員と比例代表選出議員は、参議院議員として全く同じ権能を有することとなります。
有権者は同一の参議院議員選挙で選挙区と比例代表で2票を投じていますが、参議院定数248名中、1票の格差が生じない比例代表選出議員100名を有権者が同じ選挙で選んでいるにもかかわらず、選挙区選挙と比例代表選挙を切り離して、選挙区選挙のみの1票の格差を論じることの合理性には疑義も呈されており、今後の重要な論点になるものと考えられます。
また、合区制度と特定枠が導入されたことで、都道府県選挙区選挙と比例代表選挙を採用する参議院議員選挙の中に、そのいずれにも属さないブロック比例制度が並存することとなりました。
国政選挙において、一部地域だけが他の地域と異なる選挙制度を採用していることは、投票価値の平等の観点から問題のある制度であると考えており、この論点についても、今後の議論の遡上に挙げる必要があるものと考えております。
比例代表選挙における特定枠の在り方についても申し述べます。
現在、合区制度と同時に特定枠が導入されたことによって、非拘束名簿方式による比例代表選出議員とは異なる選ばれ方をする議員が混在することとなり、参議院比例代表本来の趣旨・目的が不明確になってしまっているものと考えます。
特定枠は事実上、合区対象県の候補者を救済する目的で導入されましたが、政党が恣意的に当選者を選択できる特定枠が有権者の意思を適正に反映しているか否かについては、合区制度の見直しと合わせて検証を行う必要があることを付言します。
最後に、令和5年最高裁判決が立法府に対して要請しているとおり、より適切な民意の反映が可能となるよう、社会の情勢の変化等を踏まえながら、広く国民の理解が得られる選挙制度の確立に向けて、速やかに論点を整理し、参議院の意思を表明することを求め、発言を終わります。
以上です。
原田大二郎君。
自民党等による10増10減及び2号区、鳥取島根、徳島高知を含む公職選挙法改正案が成立いたしました。
これにより2016年の参院選においては、1票の格差を3.08倍まで是正することができました。
しかしながら、その後の2019年の参院選において、定数を6増するなどのさらなる格差是正措置に努めたにもかかわらず、最大格差は未だに3.002倍であり、依然として3倍を上回っている状況にあります。
一方で、格差是正のために導入されたこの合区制度については、対象となった地元の方々から、違和感や懸念などが強く示されていることを、私たちは事実として重く受け止めております。
人口減少や少子高齢化が急速に進む中、地方においては、特定の県のみに負担を強いる現行の合区は不公平であり、確実に解消すべきであると考えます。
この点に関して、本審査会の参考人質疑におきまして、選挙区と比例代表を別個に考えるのではなく、両者を合わせて参議院選挙全体で投票価値を判定すべきだという総合判定の考え方も示されました。
しかしながら、この見解は現時点での主流の考え方ではないのではないかと、私たちは捉えております。
また、合区解消の根本的な解決策として、憲法を改正し、参議院の選挙制度に地域代表を明記すべきだとの意見もございます。
しかし、院の権限と民主的正当性には密接な相関関係があり、参議院の権限を保持するためには、それに見合う民主的正当性、すなわち投票価値の平等が最も重要になります。
投票価値の平等は参議院の役割を支える重要な基盤にほかなりません。
だからこそ、公明党は日本国憲法が求める投票価値の平等は厳格に遵守されるべきであると考えております。
2025年6月の参議院改革協議会報告書においても、投票価値の平等は民主主義の基盤であり、最高裁判決においても格差是正を求めており、是正の取組を進めることが必要との意見が大勢であったと明記されているところであります。
仮に憲法を改正して参議院を地方の府として位置づけた場合、もしくは地方代表的要素を盛り込んだ場合、憲法上の国民の代表という位置づけが変容し、参議院の権能そのものに多大な影響が及びます。
特に衆議院の解散時などに機能する参議院の緊急集会における位置づけ、開催期間や権限の範囲に関する議論にも影響を与えるのではないかと危惧しております。
仮に憲法改正や法改正によって都道府県ごとに必ず1人を配当したとしても、投票価値の平等が損なわれれば、憲法改正による合区解消の議論は、より緻密に論点を積み重ねる必要があり、いまだ十分な議論が尽くされているとは言えないと考えます。
こうした状況を踏まえ、公明党は次の2点を両立させなければならないと考えます。
第1に、最高裁から投票価値が不平等だという判断を受けない安定的な制度へと抜本改正を図ること。
第2に、合区による地方の皆様の様々な不満や疑念などを解消することです。
この両方をどのように両立させるかを考えたとき、私たちは憲法改正によるのではなく、法改正で対応すべきであると提案いたします。
具体的には、投票価値の平等と都道府県単位の地域代表的性格の両立を目指し、ブロック制による大選挙区制を導入することが最も望ましいと考えます。
全国をブロック単位とする個人名投票の大選挙区制とすることで、特定の県に偏る合区の不合理を解消しつつ、憲法が求める投票価値の平等を追求することが可能です。
なお、ブロックの地域割などについては、各地域の実情に合わせて柔軟性を持たせてもよいと考えております。
あわせて、現行の比例代表選挙につきましても、多様な民意を反映する仕組みとして、積極的な意義を持つものであり、投票価値の平等や地域代表的性格の調和に加え、参議院の大きな特徴である多様性の確保も同時に追求していくべきであります。
参議院は衆議院とは異なる独自の役割を果たしていくべきです。
しかし、選挙制度の具体的な制度設計につきましては、本憲法審査会ではなく、両院の役割分担や院としての在り方について議論すべきと考えます。
ご清聴ありがとうございました。
長浜博行(憲法審査会会長)「片山大介君」
片山大介(日本維新の会)はい。
日本維新の会の片山大介です。
参議院議員選挙における1票の格差について、今国会で2度にわたり行われた参考人質疑なども踏まえつつ、我が会派の考え方を述べます。
1票の格差問題を解決すべく、平成27年の公職選挙法改正により合区制度が導入され、翌平成28年に最初の合区選挙が行われてから、今年でちょうど10年になります。
先月15日の本審査会では、事務局から改めて令和4年の参院選定数格差訴訟の最高裁判決に係る概要説明を伺いました。
判決では、合区が導入されてから最大格差は3倍程度で推移してきたことから、有意な拡大傾向にあるとは言えないとされたものの、投票価値の平等が憲法上の要請であることを考慮すると、格差のさらなる是正を図ることは喫緊の課題と指摘されました。
他方、合区となった選挙区では、投票率の低下や無効投票率の上昇が見られることから、有権者には都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するという考え方がなお強く、選挙に対する関心や投票行動に影響を与えていることが伺われること。
そしてこのような状況は、選挙制度の仕組みのさらなる見直しに当たって、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させる観点から慎重に検討すべき課題があることを示唆する指摘もありました。
判決から読み取れるのは、最高裁は1票の格差のさらなる是正とともに、合区の弊害の解消についても国会の対応を求めているということです。
この合区の問題点については、先月15日と22日に行われた本審査会の参考人質疑でも、複数の参考人から意見が述べられました。
このうち、徳島弁護士会合区問題PT座長、弁護士の島参考人からは、合区は合区内有権者の選挙権の行使を制限するものであり、憲法の基本原理である国民主権に抵触し、公務員選定罷免権を侵害するなど、憲法違反の疑いがあること。
そして、現在の合区制度は、他の43は都道府県別の選挙区とし、合区4県のみブロック選挙区を導入していると解釈でき、異なった複数の区割りで選挙区を設定することは、その両者が異質であり、国民代表の選出過程に弊害が生じている以上、国民主権の理念に反するとの指摘がなされました。
また、常治大学法学部教授の上田参考人からは、都道府県代表が基本的な考え方であるにもかかわらず、合区対象県については都道府県から選ばれておらず、整合性が取れていない。
合区対象県の住民だけを不利に取り扱っているという2つの意味で、不平等ではないかという見解も示されました。
我々、日本維新の会としても、特定の地域だけに合区を余儀なくしている今の合区制度は、あるべき姿ではないと考えています。
しかしながら、憲法では参議院議員を3年ごとの半数改選と定めていることから、合区を解消すれば、都道府県選挙区は各区に最低でも2人を定数として配分することになり、合区解消とともに投票価値の平等を実現するためには、議員定数を増やさざるを得なくなります。
維新は選挙制度を議論する上で、議員定数は削減すべきと考えています。
人口減少の進む我が国において、人口の減り方は一様ではなく、減少スピードは地方の方が速くなっています。
国立社会保障・人口問題研究所の2045年の推計人口を基に試算すると、最も人口の少ないとされる山梨県選挙区と、最も人口の多い東京都選挙区を比較した場合、1票の格差をなくすためには、東京選挙区の定数を44人にする必要があり、1票の格差を2倍程度にするとしても、22人にする必要があります。
合区を解消した上で1票の格差を解消しようとすれば、議員定数を増やしていくほかはないわけですが、人口減少が進み、財政状況も厳しい日本で、議員定数を増やすことはもちろん、維持し続けることも国民の理解は得られないと思います。
こうした中、これまで維新は、都道府県のアイデンティティは重要でありつつも、議員数を増やさずに投票価値の平等を実現するという考えのもと、都道府県選挙区をブロック制へ移行することを提案してきました。
以前、我々が国会に提出した参議院選挙制度改革法案では、議員定数をおよそ1割削減して218にした上で、選挙区を全国11のブロックにするという内容で、法案を提出した当時の試算では、地域ブロック間の1票の格差は1.2倍以内に収められました。
もとより、合区をはじめとする選挙制度の問題は、単に選挙制度をいじればよいというものではなく、統治機構の在り方全体の中で検討されるべきものであり、こうした趣旨については、先般の参考人質疑でも上田参考人、また神戸大学大学院法学研究科教授の砂原参考人からも言及がありました。
維新が過去公表した憲法改正原案においては、地域主権の本質を明確化するとともに、地方自治体の権限を強化するべく、道州と基礎自治体で構成される道州制を提唱しました。
将来的には、道州を基礎とした選挙区から議員を選ぶことも考えられ、道州制が導入されれば、有権者の意識も徐々に道州を単位とした代表選出することに馴染んでくるのではないかとも考えています。
ただ、2年後に次の参議院選挙が迫っていること、そして最高裁が指摘するように、現在の広域自治体である都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するという考え方が、今なお有権者に根強いことは確かです。
私自身、選挙区選出議員として日々有権者と接する中で、有権者がそのような意識を持っていることを実感します。
そう考えると、将来的な道州制への移行という目標を堅持しつつ、まずは現行の地方自治制度の下、合区解消を議論する必要性の認識は共有いたします。
有権者が自分たちの代表を選ぶという意識を持って投票に臨むことは、議会制民主主義にとって重要な問題であり、これが選挙制度によって妨げられているのであれば、国会は放置してはいけないことだと思います。
ただし、投票価値の平等の実現と議員定数の削減についても、併せて議論していく必要があることも改めて主張したいと思います。
その上で、参議院の役割についても、現行制度で衆議院の機能と重複している部分は、機能分担を明確化する必要があると考えています。
先般の参考人質疑では、砂原参考人からも、地方の知事を参議院の代表にするといったようなことは、全くあり得る話との言及がありました。
参議院の独自性を出すための自治体の首長と、参議院議員の兼職規定の廃止などの検討も、併せて行っていく必要があると思います。
参議院とは異なる形で、このことは否定されるものではなく、今国会ではまず一票の格差を議題として2週続けて審査会を開会するなど、精力的な取り組みが見られます。
今後は本日の議題の一票の格差、そして次回以降の議題として想定される緊急事態条項の議論を進めていければと考えています。
それぞれ結論を出すべく時期を見据えたスケジュールを策定し、建設的な議論をしていく。
そして条文起草委員会を設置して改正原案を得ていく。
ぜひ実現していきたいと思います。
そのことを申し上げ、私の意見とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
安達悠司君
はい、参政党の安達悠司です。
2度の参考に質疑を行いましたが、参政党といたしましては、参議院の合区問題も、占領下で作られた憲法に起因しており、そのような意味で、選挙制度も憲法とともに、根本的に見直すべきだと考えています。
ただし、今の選挙制度を続けていく中では、各都道府県1つの選挙区というのは大切なことであり、合区は解消すべきだと考えております。
合区制度は平成27年の公職選挙法改正によって、翌年の参議院選挙から始まりました。
背景には、一票の格差に基づき、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等に関する最高裁判決というのがあります。
平成8年9月11日、平成24年10月17日、平成26年11月26日の各最高裁大法廷判決では、選挙区ごとの有権者人口比率が、例えば平成24年であれば最大5倍の格差が開いているのは、違憲の問題が生ずると、そういうふうな不平等状態だといたしましたが、ただ、国会の裁量権の限界を超えるとはせず、憲法違反とは認めていません。
しかし、この問題に対処するため、平成27年の公職選挙法改正で、徳島、高知、鳥取、島根を1つの選挙区、つまり合区にしまして、翌年から参議院選挙を行ってきました。
しかし、自らの都道府県、自分が住んでいる都道府県から国会議員を出すことができないという県民の不公平感や、候補者も選挙運動が大変であるといった負担増や、合区対象県における投票率の低下と、こういった様々な問題が生じているということであります。
ただ、ここで、なぜこの問題が生じているのかということなんですね。
本当に、合区を解消したらそれで問題が解決するかというと、他の委員の先生もおっしゃるように、また人口比率がどんどん変わっていきますので、結局いたちごっこになってしまって、一時的に弥縫策を講じても、根本的な解決にはなりません。
じゃあ、その合区問題の背景には何があるのかというと、これは人口減少、地方の人口減少問題があります。
例えば、平成28年から令和4年の6年間の参議院選挙の日における有権者の人口を見ますと、例えば最も議員1人当たりの有権者数の少ない福井県では6年間で2.2万人の減少、佐賀県で2.1万人の減少。
また合区となった鳥取、島根の両都道府県で6年間で5.1万人の減少、徳島、高知で6.6万人の減少となっております。
他方、この6年間で東京は30万人の有権者の増加、そして神奈川県は12万人の増加ということで、この6年間とっても、著しい人口の移動というのがあるわけですね。
これがなぜかと言いますと、やはり少子化、それから都市への集中、都会への一極集中ということなんですが、またこの原因といたしまして、参政党としてはグローバリズムというものが理由であろうと分析しております。
グローバリズムというのは、情報や交通の発達によって、富が一部の多国籍企業や富裕層に集中し、各国の市場やルールを変えてしまって、世界を動かしていく思想や運動のことです。
こういったグローバリズムが、具体的には市場開放とか、あるいは規制の緩和、新自由主義的なそういった要求となって現れてきまして、国内においても今までは地方でしっかり儲かっていたのが、海外企業などとの競争、例えば小さな本屋さんが大きな通販の本屋さんによって駆逐されていくとか、洋服のお店がなくなっていくとか、そういうふうな競争が起きまして、結局投資が回収の見込まれるような一部の業種や地域に集中してしまい、地方から人や産業の移動がどんどん起きてしまうと、こういった現象が起きているというふうに考えております。
ですので、このグローバリズムによる人口減少や人口移動の問題に対して、何らかの措置を講じなければ、この問題は憲法を変えるだけでは解決できないだろうと思っております。
また、このグローバリズムの問題に対して反対する、こういった問題を取り上げる政党があまりなかったということで、選択肢がそもそもなかったことで投票率も下がってきているのではないかといった分析もあります。
なので、1つはこのグローバリズムのお話をしました。
次に、占領下で作られた日本国憲法の問題にも触れたいと思います。
最高裁が日本国憲法の解釈によって一票の格差をなくそうとすればするほど、なかなか不都合な事態が起きていくと、つまり合区をせざるを得ないといった状況が起きてしまいます。
そうすると、県民感情などに反していくという矛盾が起きてくるわけですが、これは、もともとをたどれば、参議院について、当初、この憲法を作ったのはGHQの総意に基づくものでして、これは参考人の方にもお聞きしましたが、国民の自由な意思で作られているというふうに言えず、制定過程に傷があるというふうに、上田参考人はおっしゃっていらっしゃいました。
で、この制定過程については、参議院についても、当初GHQは一院制、参議院をなくすといったことを要求していましたが、日本側が二院制にして参議院の設置を求め、またさらに地域別、または職能別の選挙などの条文を提示いたしました。
しかし、この地域別などの文言も削られてしまったといった経緯があります。
ですので、この地域別選挙といった手がかりが、条文上なくなってしまったということも原因であります。
ですので、参政党としては憲法を一から作り直す、創憲を主張しております。
これが理由は、先ほど述べましたように、今の日本国憲法は国民の自由な意思によって作られていません。
民主主義や国民主権の要請から見ても非常に問題であります。
またもう一つは、日本国憲法には私たち日本人が大切だと思う、例えば都道府県の帰属意識とかアイデンティティ、国土や環境の保全、こういった価値観が盛り込まれていないという大きな問題もあります。
これは日本国民固有の価値観がないという問題として、次にお話していきます。
合区問題が生じましたのは、今先ほど述べましたように、日本国憲法からGHQが地域別という言葉を削除したことに原因があります。
しかし問題はそれにもとどまらず、私たち日本人が寄って立つ文化や伝統、歴史的価値、地域性、県民性、帰属意識、風土や自然愛着といった概念が全く含まれておりません。
日本国憲法は、私たちが日本人らしく生きることが禁止されているんじゃないかというふうなことを言う人もいるほどです。
それほどグローバルな普遍的な規定が多いわけですが、他方で固有性や特殊性を持った規定が少ないと言うことができます。
これは占領下で外国が草案作成に関与したからであって、日本的な価値観が当時としては取り入れられておらず、一人一票など抽象論に偏りがちになってしまいました。
もちろん外国の憲法にも抽象的な規定は多いんですけど、例えば歴史的な規定は各国にありますし、文化財の保護はイタリアにありますし、例えばポーランドには家族形態の農業の保護といった規定もあります。
英米系は、例えば建国以来の憲法判例などが強く影響を持っております。
最高裁が真面目に憲法条文を見ても、憲法審査をしようとしても、なかなかその日本人の歴史や風土や地域性を尊重しようとする規定の手がかりが見当たらないので、個人としての尊重や一人一人の平等といった普遍的な概念や国際協調主義に偏りがちになってしまいます。
もちろん憲法に国民の権利や平等など普遍的規定を入れることも重要ですが、そのバランスとして日本人が大切にしたい価値観といったものも入れなければならないと思います。
日本国憲法は国家権力の制限規範であるとともに、同時に組織規範や授権規範でもあります。
つまり、よく言う国家権力を縛るという性格を持つと同時に、国家権力の目指すべき方向性や組織の在り方をも示す役割もしています。
私たち日本人が我が国の方向性や理想をどう考えているか、私たちの統治組織をどのように構成したいのか。
同時にこういったことを規範として定めることで国家を縛る働きもしますが、これ両方の側面があります。
憲法をもっぱら制限規範としてしか見ない立場は、憲法の創造的な要素を無視していると言わざるを得ません。
特に今の時代、日本的な価値観よりもグローバリズムの価値観が蔓延しています。
外国の文化や思想がセットされ、自国の思想や文化に対して、これをしっかり大切にしようというふうな敬意が払われてこなかったのではないでしょうか。
また家族の在り方でも、国連の委員会が勧告する選択的夫婦別姓制度や同性婚など、最高裁でも憲法判断がされたりしていますが、こうした我が国が守りたい価値観も、きちんと憲法にそういった趣旨の条文を明記する必要があるのではないかと思います。
個人の権利益の過度な追求が進むと、実際様々な公共的な問題も引き起こしていきます。
我が国は公共の福祉という形で公共の利益を守る規定はありますが、その公共の利益の内容は具体化されていませんので、国守りの観点からも国土の保全や環境の保全、さらには日本的な文化や伝統信仰などの尊重といったことも書いていくべきではないでしょうか。
ここまで日本的な固有の価値観の話をしましたが、これからどうすればいいか。
憲法審査会、法律の専門家でなければ憲法議論できないとなると、多くの国民は口を出すことができません。
しかし明治時代は各県や各地域ごとに民間の憲法草案を作る取組もありまして、数多くの私擬憲法や民間憲法草案が作られました。
今の国民は様々な問題意識がありますが、こういった主権者教育として知事会の取組もありますし、また地方から憲法改正に向けた声を政党が届けていく必要もあります。
結論といたしまして、合区解消だけでなく、参議院の役割、選挙制度も根本的見直しを行うべきです。
参議院の役割としましては、中長期的な視点で、戦略や計画も含めて、様々な法令だけでなく、様々な国の方向性も議論していくべきではないでしょうか。
以上で、私、参政党の安達悠司からの意見表明を終わります。
ありがとうございました。
日本共産党を代表し、憲法に対する考え方、特に参議院議員選挙における一票の格差について意見を述べます。
憲法前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」としています。
民意を正確に反映した国会で、徹底した議論を通じて国の進路を決めることこそが、国民主権の議会制民主主義です。
それは、天皇制政府が軍部と一体に推し進めた戦争がおびただしい犠牲をもたらした歴史を持つ我が国における、日本国憲法の強い要請です。
言うまでもなく、選挙権は参政権の中心をなす基本的人権であり、選挙制度は議会制民主主義の根幹です。
参議院議員の選挙制度について、投票価値の平等を定める憲法14条1項、選挙権を国民固有の権利とする15条1項、国会議員が全国民の代表であるとする43条1項など、憲法の規定を満たすことが求められるのは当然です。
昨年7月の参院選の一票の格差は最大3.13倍でした。
格差が最大3.03倍だった2022年の参院選について、最高裁が是正は喫緊の課題として国会に対応を促したにもかかわらず、何ら改善なく行われ、格差が拡大したものです。
投票価値の平等に反し、違憲として提起された16件の裁判は、すでに高裁判決が出そろい、違憲状態が11件で7割を占め、合憲は5件に過ぎません。
違憲状態と断じた福岡高裁は、「国会の格差拡大の是正に対する熱意の低下が明らかに伺われる」と批判し、合憲とした東京高裁も、「28年の次回参院選までに格差を是正せず、結論をさらに先延ばしにするようなことがあれば、違憲の判断も免れない」と言及しています。
国会に求められているのは、最高裁判決を待つまでもなく、一票の格差を是正する抜本的な見直しを速やかに進めることです。
このことはすでに、累次の最高裁判決でもはっきりしています。
参議院議員の選挙制度を違憲状態と断じた2012年最高裁大法廷判決は、参議院議員の選挙であること自体から直ちに、投票価値の平等の要請が後退してよいと考えるべき理由は見出しがたいとして言いました。
参議院議員を都道府県単位で選出しなければならないという憲法の規定はなく、投票価値の平等、一票の格差是正のための仕組み自体の見直しこそ求められてきました。
ところが自民党などは、2012年には4増4減で先送りし、15年には2合区10増10減でごまかしました。
同改定は、抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得ると記しましたが、18年の改定では抜本的な見直しに背を向けたばかりか、合区により立候補できない自民党の議員候補者を事実上救済するために、比例代表の特定枠を導入し、一層通り投力を強めました。
加えて、「憲法改正こそが抜本的な改正だ」などと開き直る主張まで始めましたが、それはおよそ司法判断に真摯に向き合い、基本的人権である選挙権の保障を全うしようという姿勢ではありませんでした。
合区制度の導入から10年、一部の県だけが対象となる合区制度が不公平であることは当初から明らかであり、合区対象県における有権者の意向や投票動向のいかんにかかわらず、速やかに解消すべきです。
この間の憲法審査会では、自民党議員から、「合区制度の弊害が顕著」「議会制民主主義の根幹を揺るがせにする」などという発言もありました。
15年の法改定は、当時の政治倫理と政治倫理選挙特別委員会での審査が省略されるなど、不十分な審議で採決され、本会議では合区対象の4県選出の自民党参議院議員6人全員が採決前に退席するという異常な経過で強行されました。
会派としての猛省を促すものです。
ましてや、自ら導入を強行した合区制度の欠陥を理由に改憲の論拠とするなど、道理がありません。
憲法審査会で上田参考人は、選挙制度とそれにより選ばれる代表者の権限との間には、密接な関係があることを強調しました。
大石誠教授の「権限と組織は相関関係にある」という言葉を引用し、両院の権限が対等であれば、第2院の民主的正当性、すなわち投票価値の平等は強く求められ、非対等であるなら、この要請はかなり弱まる。
この論理は普遍的なものであり、日本でも妥当すると述べています。
日本国憲法は、首相指名と予算、条約の承認や法案審議に関して、衆議院の優越を規定しています。
しかし、衆参両院は共に唯一の立法機関を構成し、両院の国会議員はいずれも全国民の代表であり、衆参両院は憲法上対等な存在です。
参議院が最高議会、熟議の府としての役割を発揮し得るのも、こうした前提があってこそのことです。
平井参考人は、我が国で二院制が採用された意義は、熟議を尽くすことに尽きると意見を述べました。
その熟議の内容として、地方政治を担う立場から、委員会で地方の実態を踏まえるような審議を行ってはどうかという提案もありました。
新馬参考人は、多様な民意を反映させるために衆参両院があり、参議院における熟議、最高を果たす役割を強調しました。
同僚議員の皆さんの中に、こうした参議院の独自の意義を否定される方は、まずいらっしゃらないでしょう。
そうである以上、参議院議員選挙について、衆議院と異なり投票価値の平等を後退させてよい理由はありません。
日本共産党は、投票価値の平等の実現を目指す抜本改革とすることを。
多様な民意が正確に議席に反映する制度とすること、参院の立法と行政チェック機能を弱め、民意を削る定数削減は行わないこと、以上3点を基本的な考え方とすることを表明してきました。
こうした方向での抜本的な見直しこそが、国会に求められています。
合区解消のために憲法改正を掲げ、都道府県代表という選挙制度に固執するために、参議院の権限や役割まで変えてしまいかねない議論は、本末転倒というほかありません。
なお、こうした選挙制度をめぐる一連の議論は、参議院改革協議会や、選挙制度を包含する政治改革に関する特別委員会の議題であり、現に改革協には、合区解消の具体策などを検討する専門委員会も設置されました。
改憲発議のための機関である憲法審査会を動かす理屈にはならないことを厳しく指摘するものです。
朝日新聞と東大谷口正樹研究室が共同で行った調査では、最も優先的に取り組んでほしい政治課題12項目のうち、憲法、すなわち改憲を選択した有権者はわずか1%に過ぎませんでした。
最も多かったのは年金・医療・介護38%、ついで財政・税制・金融17%、さらに子ども・子育て・教育13%と続きます。
高市首相は自民党大会で「時は来た」と改憲を煽り、憲法記念日の改憲派の集会に寄せたメッセージでは、改憲について「議論のための議論であってはならない、決断のための議論を進める」などと、改憲ありきの姿勢を強調しました。
しかし国民は政治に対して決して改憲論議の加速を望んでいません。
世論との乖離もはなはだしい暴走というほかありません。
5月3日、東京有明防災公園には5万人が集まり、「憲法改悪反対、九条を守れ」と声を上げました。
昨夜も国会前に1万人、全国各地でも連帯するキャンドルデモが行われました。
AFP通信は昨年、紛争や暴力で国内避難を強いられた人々の数が、統計上初めて自然災害や人的原因による災害による避難者の数を上回ったと報じました。
昨年1年間に新たに6580万件の国内避難が報告され、そのうち紛争と暴力に起因する国内避難は前年から60%も増え3230万件。
一方、嵐や洪水その他の災害による避難は2990万件だったといいます。
その後も新たな戦争が進行し、暴力による避難は一層増えることが予想されます。
私たちの国の政治が行うべきは、続く戦争を終わらせるための外交交渉であり、さらなる戦争を絶対に起こさせないための外交努力です。
国際紛争を武力の行使、武力による威嚇で解決することを放棄した9条、すべての国の国民に平和的生存権、恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生きる権利を掲げた前文、この日本国憲法こそ、世界に平和をもたらす最も確かな力であることを指摘し、意見とします。
奥田ふみよ君。
れいわ新選組、奥田ふみよです。
冒頭、前回の憲法審査会において、議員の表現の自由を制限するような発言があり、看過できない重大な問題があるために、意見を述べさせていただきます。
日本維新の会の松沢重文議員から、私が「憲法を守らない者が、憲法改正を口にするなど言語道断。
自民党は恥を知れ」といった、「恥を知れ」という言葉が国会の品位を汚すとのご指摘を受けました。
もちろん松沢議員は、日本維新の会が現在連立を組んでいる自由民主党の三原潤子参議院議員が、2019年6月24日の参院本会議で、安倍晋三首相の問責決議案を提出した野党に対して「愚か者の所行とし恥を知りなさい」と発言したことを、もちろんご存じですよね。
自民党の議員であれば何も叱責せず、れいわ新選組の議員に対しては叱責する。
これは一体どういうことなのでしょうか。
ここは憲法審査会であり、何よりも憲法21条、表現の自由が尊重される場であると認識しております。
新人議員の表現の自由を一方的でうがった主観で制限すること自体、憲法審査会の秩序を崩壊させる重大な問題であることを申し述べさせていただきます。
さて、本題に入ります。
本日は1票の格差について意見表明ということになっている。
1票の格差の問題も重要なテーマであるということは認識しているが、しかしなぜこんなに何回も合区制度ばかり話し合うのだろうか。
しかも今このタイミングで1票の格差の話で終始していいのだろうか。
昨日も国会前で「憲法を変えるな」ノーウォーアクションがあり、1万人もの主権者が集まった。
衆議院の憲法審査会では、緊急事態条項の検討に入っている状況。
衆議院と参議院のこの温度差は、一体どういうことなのだろうか。
衆議院の憲法審査会では、自民党、維新だけでなく、国民民主党、参政党、日本保守党、チームみらいが発議に必要な3分の2確保へ不退転の決意を打ち、いよいよ憲法改正発議の危険が迫っている。
これら賛成している政党を主権者の皆さんはますます見張り続けていかなければいけません。
そして憲法でしっかりと縛り上げなければなりません。
いざ戦争が始まったら、まず戦争ができる準備をしたこれらの国会議員たちから血を流す覚悟を持ってもらいましょう。
憲法15条の全体の奉仕者としての立場をはるかに逸脱した厚顔無知な国会議員は一体誰なのか。
主権者の皆さんは絶対に忘れてはいけません。
緊急事態条項とは、内閣が緊急事態と認定すれば、政府の好き勝手にできるということ。
国会議員の任期を延長し、さらには緊急政令として、内閣だけで全てのルールを決められるようになってしまう。
これは80年前の日本とそっくりです。
1941年2月、1年間の議員任期延長が行われた。
そしてその年の12月に真珠湾攻撃。
治安維持法はこの1941年に大幅改正され、政府の政策や戦争に反対する国民の思想言論を徹底的に取り締まることで、戦争反対の意見すら言えなくなった。
逮捕者は戦前と戦時中で10万人以上と言われている。
大正2年生まれの私の祖母が、小学生だった私に話してくれた言葉、今でも忘れられない。
「戦争反対っていう人は、どんどん捕まって、殴り殺しにされたんよ。
そうやって黙らされて、諦めさせられて、黙って黙って黙って、気づいた時には遅かったんよ。
今は自由にものが言えるけど、それは当たり前やなかったんよ」。
国民が諦めて黙る。
ますます日本の政治が暴走する。
今の国会で国家情報会議の設置という意味不明の言葉で進んでいる法案があるが、これこそ国民を黙らせて諦めさせて従わせる治安維持法につながる悪法なのではないか。
80年前の戦争を止められなかった。
外交に大失敗して戦争を始め、そして310万人もの国民の命を奪ってしまった。
もう二度と暴走する政治家を生み出さないように、檻に閉じ込めたのが憲法だ。
先人たちは大失敗したことを知っていたから、そして心の底から戦争はごりごりと身に染みたから、衆議院の任期延長なんかではなく、参議院に緊急集会ができるようにして、有事に対応できるようにした。
この憲法には二度と暴走政治家を生まさせないための先人たちの知恵が詰まっている。
今の自民党はなぜ衆議院の任期延長など、80年前の戦前と同じようなことをしようとしているのか。
何のためなのか。
今まさに先人たちの知恵をしっかり引き継ぐのか、それとも放棄するのか。
それが主権者たちに問われている。
国民の皆さん、決してだまされないでください。
本当にもう後がありません。
今日はれいわ新選組が傍聴席を主権者たちで埋め尽くせと呼びかけたことに、412人もの主権者が答えました。
傍聴席は立ち見も入れてたった80人しか入れません。
委員局や警備の方には大変お仕事を増やしますが、今日は抽選で150人の方に傍聴権を配り、5回の入れ替え制でこの憲法審査会をしっかり監視してもらっています。
国会の中で憲法改正を発議したとしても、最後に止められるのは主権者の皆さんお一人お一人です。
この戦争ビジネスの下請けをアシストする政治屋どもを、檻にとどめることができるのは、改正を止められるのは、主権者の皆さんです。
だから皆さん、ますます憲法審査会傍聴に来てください。
衆議院の方も主権者であふれさせて、必ず憲法改正を止めましょう。
おい政府、二度と国民の命を奪うなよ。
自由を奪うなよ。
これが愚かな人間が繰り返す戦争を経験した先人の知恵が詰まった憲法。
この先人の知恵を私たちは決して忘れてはいけない。
れいわ新選組はこの改憲ありきの憲法審査会の開催自体を否定し続けている。
でも憲法審査会で発言していかなければもう後がない。
危機感しかない。
今ある憲法を守らない者が憲法を変えようとするな。
これがれいわ新選組の考え方。
国民の6人に1人が貧困。
中小零細企業は過去最高の倒産。
一方で富裕層は2年間で105兆円もの資産を新たに増やした。
国民全体の6割が生活苦しいと答え、中間層まで崩れまくっている。
原油高騰でさらなる物価高になっても、減税も現金給付もしない。
30年前の国民より今の国民がどんどん貧乏になっている。
これは健康で文化的な最低限度の生活を保障するという憲法25条違反。
ちゃんと生存権守っているのか。
それを今審議しなきゃ。
かつて1993年、自民党の中西防衛庁長官が会見発議で辞任した。
そのときの内閣は内閣として憲法改正を取り上げない方針をとっていたため、閣僚としてこれに従うことは当然で、現内閣のもとでの閣僚の会見発言は自制すべきものとしたため、非常に分をわきまえた正しい判断であった。
なぜなら国会議員は憲法で縛られているから、何よりも憲法を守ることに徹すること。
すべての国民の命を守り、自由を守ること。
これが国会議員の最大の務め。
今、戦争を直接経験していない人口の割合は88.8%。
700人以上いる国会議員のうち、戦争を知っている国会議員はたった5人しかいない。
それも戦争中は幼少期で従軍したわけではない。
かつて田中角栄元首相がこのように発言している。
「戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。
平和について議論をする必要もない。
だが戦争を知らない世代が政治の中枢になったときに、とてもそれは危ない」。
最後にアハゴン商工さんという沖縄の家島で反基地運動を主導した方の言葉も主権者の皆さんにぜひ伝えたい。
「平和の最大の敵は無関心である。
戦争の最大の友も無関心である」。
憲法で守られている主権者の皆さん、あなたのそばにいる無関心な主権者を一刻も早くあなたが目覚めさせてください。
一人でも多くの目覚めた主権者が、どんどんデモや傍聴で連帯し、どんどん団結し、大きなうねりを広げ、揺るぎない数の力で戦争の道へとつながる改憲を絶対に止めていきましょう。
憲法で縛られている全ての政治家の皆さん、今ある憲法を守れ。
直ちに国民生活を守ることのみに専念しろ。
終わります。
長浜博行(憲法審査会会長)以上で各会派の意見表明を終了いたします。
本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。