林芳正(総務大臣):神谷議員からのご質問にお答えをいたします。
まず、今回の総選挙について、在外投票や養生投票などにおいて、国が投票権を奪う事象はなかったのかというご質問がありました。
お尋ねの在外投票については、できるだけ多くの在外選挙人に参加いただけるよう、周知啓発の実施や投票用紙の迅速な送付に努めるなどの取組が行われたと承知をしております。
養生投票についても、選任者は時期を問わず投票の申出ができるものであり、事前に総選挙の日程がわからない場合でも手続きが可能であることから、養生投票制度を有効に活用していただけるよう、周知啓発を行ってまいりました。
このように総務省といたしましては、各選挙管理委員会と連携し、有権者の投票機会の確保に努めたところでございます。
次に、準備期間の短い現当期の選挙により、有権者の投票に影響がなかったのかというご質問がございました。
今回の総選挙に際し、各選挙管理委員会においては選挙物資の調達や投票所の確保など、選挙の管理執行に必要な準備を迅速に行っていただきました。
また、公設の時期にあたっていることから、総務省としては、関係省庁と連携して、各選挙管理委員会の取組を支援しました。
各選挙管理委員会においては、大雪となった地域もある中、ポスター掲示場や投票所周辺の除排雪など、選挙の管理執行に万全を期していただいたものと承知をしております。
有権者の皆様には、気象の見通しも踏まえ、期日前投票も活用するなどして、積極的に投票に参加をいただきました。
こうした関係者の皆様、国民の皆様のご尽力により、適正に選挙を実施することができたと考えておりまして、深く感謝を申し上げます。
次に、今回の選挙において、除排雪など、選挙に要した経費の国費措置についてのご質問がありました。
総務省としては、今回の総選挙に係る執行経費について、前回を約40億円上回る851億円の予備費を措置したところであります。
その上で、除排雪経費等については、選挙の管理執行を確保するために必要な経費であれば、国費の対象となることを通知しているところでございます。
選挙に要した経費については、除排雪経費等をはじめ、それぞれの地域の実情をお聞きしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、除排雪に係る財政措置についてご質問がありました。
地方団体の除排雪経費については、普通交付税の算定において、標準的な所要額を措置するとともに、一般財源の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には、特別交付税によりさらに対応することとしております。
措置対象となる経費としては、待機時間に対する支払いなど準備体制の確保に要する経費も含め、幅広く対象として算定をしております。
今後とも除排雪経費の実態を丁寧にお伺いしながら、地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいります。
次に、正算ルールの延長及び臨時財政対策債の廃止についてご質問がありました。
いわゆる正算ルールについては、令和7年度及び令和8年度において大幅な財源不足が生じず、地方交付税法第6条の3第2項に該当しない状態であることから、今回延長しないことといたしました。
臨時財政対策債についても、令和7年度に引き続き新規発行債をゼロとし、地方財政法上発行年度を延長しないこととしております。
次に、臨時財政対策債の評価や巨額の財源不足額が生じた場合の対応についてご質問がありました。
臨時財政対策債は、国・地方ともに極めて厳しい財政状況の中で住民サービスを安定的に提供するために特例的に発行してきたものですが、地方財政の健全化のためには臨時財政対策債に頼らない財務体質を確立することが重要と考えております。
今後、巨額の財源不足が生じた場合の対応については、その時点での国・地方の財政状況等を踏まえ、地方の財政運営に支障が生じないよう、政府部内で議論をいたします。
次に、法定率の引上げについてご質問がありました。
交付税率の引上げについては、臨時財政対策債に頼らない財政運営が可能となっている状況等を踏まえつつ、今後も地方財政収支の状況等を見極めながら、政府部内で必要に応じて議論してまいります。
今後とも地方交付税を含め、必要な一般財源総額の確保に取り組んでまいります。
次に、交付税特別会計借入金の一般会計への振替についてご質問がありました。
この措置は、令和7年11月5日の当分の関税率廃止に係る与野党合意において、安定財源を確保するまでの間も安易に国債発行に頼らず、一般財源を確保されたこと等を踏まえまして、地方特例交付金相当額の地方交付税の減額を行うとともに、地方財政に配慮して交付税特別会計の借入金を一般会計に承継することとしたものでございます。
この措置は、将来の交付税総額を確保するための前倒しとは趣旨が異なるものであります。
次に、財源不足の解消よりも既存債務の縮減を優先した理由についてご質問がありました。
地方財政は巨額の特例的な債務残高を抱えるなど、引き続き厳しい状況にあることから、その健全化を進めることは重要です。
令和8年度地方財政計画では、財源不足額は引き続き生じるものの、地方交付税総額について、前年度を1.2兆円上回る20.2兆円を確保する一方、交付税特別会計借入金の残高も大幅に縮減することとしました。
地方6団体からは、地方交付税の総額を確保しつつ、地方財政の健全化が図られている点について、ご評価をいただいているところでございます。
次に、交付税特別会計借入金の償還の前倒しについてご質問がありました。
令和8年度の地方財政計画においては、交付税特別会計の借入金について、2.9兆円の残高縮減を行うこととしております。
これは、償還計画で予定していた0.7兆円に加えて、地方財政の健全化を図る観点から2.2兆円を前倒しして残高を縮減することとしたものです。
今後とも必要な地方財源を確保した上で、交付税特別会計借入金の償還に努め、地方財政の健全化に取り組んでまいります。
次に、会計年度任用職員の給与等についてご質問がありました。
会計年度任用職員の給与等については、処遇改善の取組が進んでいることを踏まえ、令和8年度地方財政計画において、一般行政経費から給与関係経費に移し替えて計上をしております。
その積算については、これまで同様、全国の自治体に対して実施した給与支給見込み額に関する調査結果等に基づき、令和7年人事委員会勧告の影響を反映し、所要額を見込んでいるところでございます。
会計年度任用職員がその力を十分発揮できるよう、今後とも環境整備に取り組んでまいります。
次に、公営企業繰出金に含まれる会計年度任用職員の給与についてご質問がありました。
公営企業繰出金は、料金等の収入のみをもって充てることが客観的に困難である経費等について、一般会計が負担するものとして地方財政計画に計上しております。
公営企業繰出金については、繰出基準における繰出項目ごとに決算等に基づいて所要額を積算しており、会計年度任用職員の給与費を用いた積算は行っておりません。
次に、地域医療提供体制の確保についてご質問がありました。
公立病院は診療報酬等による独立採算が原則です。
その上で、不採算医療など地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、総務省では必要な地方財政措置を講じてきたところでございます。
令和8年度地方財政計画においては、公立病院が地域に必要な救急医療等を引き続き提供できるよう、病院事業繰出金について6%増額計上するとともに、交付税措置を拡充することとしております。
今後とも関係省庁と連携し、公立病院の状況を踏まえつつ、持続可能な地域医療提供提供体制を確保するため、必要な地方財政措置を講じてまいります。
次に、物価高の対応についてご質問がありました。
令和8年度地方財政計画においては、物価高対応として観光時の価格転換を促進する観点から、委託料、維持補修費、投資的経費などを0.6兆円増額計上することとしました。
引き続き物価動向を注視しつつ、自治体の財政運営に支障が生じないよう万全を期してまいります。
次に、安定財源の確保についてご質問がありました。
軽油引取税の当分の関税率の廃止及び自動車税、軽自動車税の環境性能割の廃止に伴う地方団体の税収減につきましては、議員がご指摘されましたとおり、令和8年度においては、地方特例交付金によって全額を補填することとしているところでございます。
その上で、今後の安定財源の確保に向け、軽油引取税の当分の関税率の廃止に係る安定財源の確保については、令和7年11月5日の与野党6党合意を踏まえ、令和8年度与党税制改正大綱において、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和9年度税制改正において結論を得るとされております。
また、環境性能割の廃止に係る安定財源の確保については、同大綱におきまして、安定財源を確保するための具体的な方策を検討されております。
総務省といたしましては、こうした大綱の記載を踏まえ、地方の安定財源の確保に向け、適切に対応してまいります。
次に、いわゆる「年収の壁」の地方交付税への影響について、ご質問がありました。
いわゆる「年収の壁」の見直しに伴う令和8年度の法定率分の影響額は0.2兆円となっております。
これらの減収を踏まえても、令和8年度の地方交付税総額は対前年度比で1.2兆円増の20.2兆円となっており、適切に地方財源を確保することができたと認識をしております。
次に、食料品の消費税減税の実現による地方財政への影響についてご質問がありました。
地方消費税を含む消費税は約4割が自治体の貴重な税財源となっております。
仮に軽減税率8%を0%とした場合の地方の減収見込み額を機械的に計算をいたしますと、地方消費税分が1.1兆円、地方交付税分が0.8兆円となり、合計で約2兆円程度となります。
ご指摘の地方財政への影響などの諸課題については、今後国会においてご議論いただくものと承知をしております。
次に、いわゆる教育無償化の財源についてご質問がございました。
いわゆる教育無償化のために新たに必要となる財源について、令和8年度においては、租税特別措置の見直し等による交付税法定率分の増0.2兆円、地方公共団体金融機構の公庫債権利払変動準備金0.1兆円を活用することとしております。
令和9年度以降の財源については、令和8年度与党税制改正大綱におきまして、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和9年度税制改正において結論を得ることとされております。
次に、学校給食費の抜本的な負担軽減に係る不交付団体への対応についてご質問がありました。
学校給食費の抜本的な負担軽減については、子育て支援を図るとの制度趣旨等から、国と都道府県が2分の1ずつ負担する仕組みとされました。
不交付団体も含め、都道府県における学校給食費の抜本的な負担軽減に係る地方負担分の全額につきまして、地方交付税の基準財政需要額に算入し、その財源を補償をしております。
このため、不交付団体である東京都においても、地方税収等により、学校給食費の抜本的な負担軽減に必要な財源は確保されているものでございます。
次に、自動車関係諸税の総合的な見直しについてご質問がありました。
令和8年度与党税制改正大綱において、自動車関係諸税については、日本の自動車戦略、インフラ整備の長期展望、カーボンニュートラル目標実現等の観点を踏まえ、国・地方を通じた安定的な財源確保を前提に、中長期的な視点から検討するとされております。
こうしたことも踏まえて、与党税制調査会でもご議論いただきまして、政府としてはその結果を踏まえて適切に対応してまいります。
次に、給与所得控除の最低保証額の引上げについてご質問がありました。
令和8年度税制改正において、物価上昇局面における対応として、所得税については給与所得控除の最低保証額を現行65万円から74万円に9万円引き上げることとされ、個人住民税においても同様の対応としております。
他方、平成30年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、働き方に中立な税制を実現する観点から、最低保証額のみならず給与所得控除全体を見直した上で、基礎控除へ振り替える見直しを行ったところであり、物価上昇局面における対応とは異なるものと認識をしております。
次に、ふるさと納税の見直しについてご質問がありました。
ふるさと納税は個人住民税の一部を実質的に自治体間で移転させる仕組みでございますが、地域社会への貢献という個人住民税の性格を踏まえ、住所地の自治体に納付される個人住民税額が大きく減少することがないように、ふるさと納税の特例控除額は個人住民税所得割額の2割を上限としてきたところでございます。
また、現行の特例控除額は所得に応じて上限なく増加することから、高所得者優遇ではないかとのご指摘があったことも踏まえまして、今回の地方税法の改正案において特例控除額に定額の上限を設けることとしており、必要な見直しを行っているところでございます。
仮に返礼品の有無に応じて上限額を設定する場合、寄附金控除の手続きにおいて、返礼品の有無を個々に確認する必要があり、寄附を受け入れる自治体のみならず、住民税が減少する住所地の自治体でも大きな事務負担が生じることとなります。
そのため、今回の見直しにおいては、返礼品を受け取ったか否かに関わらず、特例控除額に定額の上限を設定することとしております。
今後ともふるさと納税の趣旨に沿って制度が適正に運用されるよう取り組んでまいります。
次に、偏在性の小さな地方税体系の構築についてご質問がありました。
地方税の偏在是正につきましては、与党大綱において、法人事業税資本割などの措置を検討するとともに、東京都が課税する特別区の土地に係る固定資産税に関する必要な措置を検討することとされております。
総務省としてはこれを踏まえ、地方税の充実確保とともに、都市も地方もお互いに支え合うという基本的考えに立ち、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて具体的に検討を進めてまいります。
最後に、地方税財政改革に対する決意についてご質問がありました。
総務省といたしましては、どのような地域でも一定水準の行政サービスを提供できるよう財源を保障するということが国の責務であると考えております。
今後とも人口減少など社会構造の変化によって生じる新たな行政課題に対応しつつ、経済・物価動向等も適切に反映し、地方税や地方交付税などの一般財源総額の確保に努めてまいります。