委員長、よろしくお願いいたします。
防衛大臣の小泉進次郎です。
西村委員長をはじめ、議員の皆様に防衛大臣としての所信を申し上げます。
我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなっています。
国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しています。
東アジアにおいても、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性は排除できません。
国家安全保障戦略をはじめとする3文書の策定以降、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序への挑戦が勢いを増し、インド太平洋では中国、北朝鮮のさらなる軍事力の増強や、中露や露朝の連携強化などが見られ、各国はロシアによるウクライナ侵略を教訓に、無人機の大量運用を含む新しい戦い方や長期戦への備えを急ぐなど、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じています。
中国は、透明性を欠いたまま、核・ミサイル戦力を含め、軍事力を広範かつ急速に増強させ、東シナ海、南シナ海において、力による一方的な現状変更の試みを継続強化しています。
また、台湾周辺におけるものも含め、軍事活動を活発化させています。
昨年6月には、中国空母のイオウ島より東側の海域での活動や、空母2隻の太平洋側での活動を初めて確認、公表しました。
また、12月には、中国空母が初めて、沖縄本島東方から種子島東方の太平洋上にかけて航行し、空母艦載機が発着艦を繰り返しました。
こうした中、中国軍機による自衛隊機に対するレーダー照射事案が発生しています。
さらに、昨年末、中国軍は台湾周辺での大規模な軍事演習を実施しました。
我が国としては、中国との様々な対話についてオープンであるという立場です。
様々な懸案と課題があるからこそ、意思疎通を継続しながら、国益の観点から冷静かつ適切に対応してまいります。
北朝鮮は、核ミサイル開発を継続し、通常戦力の増強にも注力しています。
ロシアとの間でも、北朝鮮によるロシアへの兵士の派遣や、ロシアによる北朝鮮からの弾道ミサイルを含む武器、弾薬の調達及び使用など、露朝軍事協力を進化させてきています。
加えてロシアは、ウクライナ侵略を行う一方、我が国周辺で活発な軍事活動を継続しています。
特に中国とともに、艦艇の共同航行や爆撃機の共同飛行、各種訓練を実施するなど、中露の戦略的連携を強化する動きが近年顕著となっています。
そして、今般のイラン情勢をめぐっては、直ちに私から情報収集に最大限取り組むこと、関係省庁と緊密に連携すること、中東地域で活動する隊員の安全確保に努めること、我が国周辺の警戒監視に万全を期すこと、以上4点を指示し、対応に万全を期しています。
邦人保護については、外務大臣からの依頼を受け、先月8日以降、自衛隊機1機がモルディブ共和国で待機体制を維持してきました。
中東地域における邦人等の状況を踏まえ、当該機は同月21日、本邦に帰国しましたが、引き続き関係省庁、関係国と緊密に連携し、適切に対応してまいります。
先に述べたように、一層急速に厳しさを増す安全保障環境の中で、国民の皆様の命と平和な暮らし、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、さらに、それら任務にあたる自衛隊員一人一人とそのご家族を守り抜くため、これまで以上に強い危機感と切迫感を持って、防衛力の一層の強化、そして変革を進めることが急務です。
こうした認識のもと、昨年度には、現行の国家安全保障戦略に定める対GDP比2%水準について、前倒して措置を講じました。
また、先月には、海上自衛隊の水上艦隊、航空自衛隊の宇宙作戦団等、我が国の防衛に不可欠な部隊が発足しました。
さらに、令和8年度予算案においては、史上最高額となる8.8兆円、在日米軍再編経費を含めると、初めて9兆円を突破する金額を計上しています。
その上で、3文書を前倒しで今年中に改定します。
私の就任直後、防衛省に防衛力変革推進本部を設置し、これまで議論を重ねてきています。
無人機をはじめとする新しい戦い方や、長期戦に耐えうる継戦能力の必要性を踏まえた検討が必要です。
また、太平洋側の広大な空域を含む、我が国周辺空域における防空体制など、太平洋防衛の強化も喫緊の課題です。
防衛力変革のための取組を進めることについて、遅すぎることはあっても、早すぎることはありません。
国民の皆様の命と暮らしを守り抜くために、何が必要か、具体的かつ現実的に議論を積み上げてまいります。
こうした取組に当たっては、国民の皆様のご理解が不可欠です。
厳しい安全保障環境の現実や、現場の自衛官の貢献や苦労も含め、防衛省・自衛隊の取組について、国民の皆様にご理解いただくため、引き続き積極的な情報発信に努めます。
一方、地域の平和と安定の確保は、一国のみではなし得ません。
我が国自身の防衛力強化と同時に、同盟国、同志国等との連携のネットワークを重層的に構築し、抑止力、対処力を強化することが極めて重要です。
日米同盟は我が国の安全保障政策の基軸です。
本年1月のヘグセス国防長官との会談では、日米同盟に一切の揺るぎもなく、両国が緊密に連携できていることを確認し、今後の日米防衛協力を一層強化する具体的方策について率直な意見交換を行いました。
引き続き、ヘグセス長官との深い信頼関係のもと、日米同盟を新たな高みに引き上げるため努力してまいります。
あわせて、普天間飛行場の辺野古移設や在沖アメリカ海兵隊のグアム移転を含む、日米両政府間で合意した在日米軍再編を着実に進め、抑止力・対処力を強化しつつ、沖縄をはじめとする地元の基地負担軽減を図るため、全力で取り組みます。
同時に、日米豪、日米豪印、日米韓、日米英等の2国間、多国間の防衛協力、交流の発展もこれまで以上に進めてまいります。
今や、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分です。
本年1月には、日本の防衛大臣として初めて、世界経済フォーラム年次総会、通称ダボス会議に参加し、我が国の政策を発信したほか、本年2月のミュンヘン安全保障会議ではスピーチを行い、日本が国際社会への平和と安定に寄与する存在であり続けるとの決意を力強く発信しました。
これらに際し、ルッテNATO事務総長や各国の国防大臣等と計11件の会談を実施しました。
また、オーストラリアのマールズ国防大臣とも会談を重ね、個人的な信頼関係を築いてきました。
最上型護衛艦の能力向上型の移転について、引き続き官民一体となり取り組みます。
韓国も、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国です。
本年1月には、申国防部長官との間で、日韓防衛協力、交流の安定的な推進が重要である点で一致しました。
今後、両閣僚による相互訪問と会談を毎年実施し、防衛当局間の意思疎通を強化してまいります。
さらに、本年2月には、第3回日太平洋沿岸国国防大臣会合(JPID)を東京で開催し、太平洋沿岸国の国防大臣等と率直な意見交換を行いました。
各国との防衛協力、交流の強化は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出につながる大きな意義を有します。
今後も、私自身が世界中を飛び回り、各国のカウンターパートとの個人的な信頼関係を基盤として、自由で開かれたインド太平洋の実現のため、防衛面から力を尽くし、同盟国、同志国等との連携を一層強化する所存です。
このような各国の防衛コミュニティのつながりにより、自由で開かれたインド太平洋を防衛面から実現させる多層的な取り組みを戦略的にさらに進めてまいります。
防衛生産技術基盤はいわば防衛力そのものであり、その強化が不可欠です。
防衛省では、防衛産業の中長期的に望ましい方向性を戦略として示すべく、検討を進めています。
力強く、持続可能な防衛産業を構築するため、産業界としっかりと連携し、関係省庁一丸となって取り組みます。
その上で、防衛装備移転は、力による一方的な現状変更を抑止し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出する重要な政策的手段であり、防衛産業の成長にも資するものです。
引き続き、防衛装備移転三原則の運用指針の見直しを早期に実現すべく、関係省庁と検討を進めます。
さらに、防衛力の中核である自衛官の人材確保は、政府一丸となって取り組むべき至上命題です。
今般、高市総理から給与体系の改定をはじめ、自衛官の処遇改善を進めるとの表明がありました。
自衛隊員とそのご家族を守り抜くとの覚悟のもと、隊員とご家族が国防という崇高な任務に、誇りと名誉をもって専念できるよう、必要な取組を加速します。
特に自衛隊創設以来約70年で初めてとなる自衛官の給与体系の令和9年度中の独自改定に向けた作業も着実に進めてまいります。
最後に国会提出法案について申し上げます。
防衛省設置法等の一部を改正する法律案は、自衛官定数の変更、航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改称、防衛副大臣を一人体制から二人体制へ強化することのほか、若くして定年退職した自衛官に支給する給付金の支給水準の引上げや、再就職支援の拡充等、人材確保のための制度整備を主な内容とするものです。
また、公務員が予備自衛官等の兼業を行う場合における、国家公務員法等の特例措置を講ずる、予備自衛官等の職務の円滑な遂行を図るための国家公務員及び地方公務員の兼業の特例に関する法律案についても提出予定です。
委員各位におかれましては、ご審議のほどよろしくお願いいたします。
以上、防衛大臣として、今この瞬間も任務に当たる全国の自衛隊員の先頭に立ち、全力で職務に邁進する所存です。
皆様におかれては、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。