赤澤経済産業大臣。
おはようございます。
第221回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、原子力経済被害担当大臣、GX実行推進担当大臣、産業競争力担当大臣、原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当の内閣府特命担当大臣として申し上げます。
まず、今般の中東情勢を踏まえ、我が国のエネルギー安全保障の確保に万全を期すとともに、国民生活や経済活動への影響を最小限に抑えるために、全力で対応をしてまいります。
エネルギーの安定供給の確保に向けて、まず、日本全体として必要となる量を確保することが重要です。
G7各国や国際エネルギー機関(IEA)とも連携しつつ、我が国は先行して、3月16日から民間備蓄、3月26日から国家備蓄と産油国共同備蓄の放出が順調に進んでいます。
IEA市場最大となる合計4億バレル超の協調放出も実現しました。
代替調達については、供給余力に優れる米国をはじめ、サウジアラビア、UAEのホルムズ海峡代替ルートを通じた調達、中央アジアや中南米といった国々からの供給確保のため、あらゆる選択肢を排除せずに取組を進めております。
エネルギー源ではないナフサについても、米国からの代替調達の進展により、川下在庫の活用、国内での生成と合わせて、化学品全体の国内需要4ヶ月分を確保しております。
こうした取組により、原油や石油製品については、日本全体として必要となる量を確保できています。
一方、一部では、供給の偏りや流通の目詰まりが生じているという認識のもと、経済産業省に情報提供窓口を設けて、関係省庁と連携しつつ、医療、物流、農業を含めて、分野横断でサプライチェーンの情報を集約し、他の流通経路からの融通支援をきめ細かく実施します。
特に人命最優先の観点から、医療分野では、輸血パックなどの医薬品、透析回路や注射器などの医療機器、医療用手袋やエプロンなどの医療物資などの供給確保のために、厚生労働省と経済産業省が連携して情報集約し、世界全体からの代替製品の調達や石油製品の融通支援を行う体制を立ち上げました。
3月30日には高市総理から、中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣の発令を受けました。
私のもとに関係省庁構成員とするタスクフォースを設置し、4月2日に第1回会合を開催しました。
石油製品関連製品をはじめ、重要物資の供給状況を総点検いたします。
引き続き国民の皆様の命、そして暮らしを守るため、海外を含めたサプライチェーン全体についての対応方針の検討を進めてまいります。
あわせて、国民生活と経済活動を守るため、3月19日から燃料価格について、緊急的激変緩和措置を実施しております。
全国平均のガソリン小売価格は、補助開始前の3月16日には190.8円まで高騰しましたが、3月30日時点で170.2円へ低下しました。
また、切れ目なく安定的な支援を行うため、令和7年度予備費を活用し、燃料価格激変緩和基金に7,948億円を措置し、もともとの基金残高と合わせて、1兆円超の基金規模を確保しました。
国民の皆様には、普段通りの給油をお願いしたいと思います。
引き続き、中東情勢が経済に与える影響を注視しつつ、事態の長期化も見据え、あらゆる可能性は排除せず、機動的に対応してまいります。
中東情勢を踏まえた我が国のエネルギー安全保障の確保に加えて、地域の理解や環境への配慮を前提として、脱炭素電源を最大限活用いたします。
柏崎刈羽原子力発電所をはじめ、安全性が確認された原子炉の再稼働を加速するとともに、核燃料サイクルや最終処分といったバックエンドの課題にも全力で取り組みます。
一方で、浜岡原子力発電所に関する不正事案については、極めて重く受け止めています。
電気事業法に基づく報告聴取命令を発出しており、その結果も踏まえ、厳正に対処してまいります。
さらに、ペロブスカイト太陽電池や、浮体式洋上風力、次世代型地熱、水素をはじめとするGX関連投資を推進するとともに、産業遺産であるコンビナート跡地や地域の脱炭素電源を核に、新たな産業クラスターを形成するGX戦略地域制度を通じて、支援と規制、制度改革を一体的に講じてまいります。
また、日本のエネルギー制約を抜本的に変え得るフュージョンエネルギーや、次世代革新炉の早期の社会実装も目指します。
一方で、太陽光発電の導入に当たっては、安全・景観・自然環境等の観点にも配慮しなければなりません。
設置に当たっての安全性の確認や環境アセスメントの強化、発電に係る支援制度の見直し、使用済みパネルのリサイクル制度の創設など、環境大臣とも連携しながら一連の規制制度の導入及び適正化を進めます。
そして、電力の安定供給を根本から支えるため、大規模送電線、大規模電源の整備を促進する電気事業法の改正案を提出いたしました。
高市内閣の成長戦略の肝である危機管理投資、成長投資を力強く推進し、強い経済を実現してまいります。
官民連携投資を行う戦略分野及びサプライチェーンの強化を図る重要物資に重点を置き、大胆な投資促進や国際転換支援、人材育成、国際標準化等の総合支援策を講じ、官民の積極投資を引き出します。
経済産業省は17の戦略分野の全てに関係をしており、その多くの分野で議論をリードすることが求められています。
各ワーキンググループでの議論を通じて、目標、道筋、政策手段を明確にした官民投資ロードマップの策定に尽力してまいります。
その実現に向けた肝は、あらゆる産業分野におけるAIトランスフォーメーションです。
我が国は超高齢社会であり、多くの災害や福島第一原発の事故を経験しています。
また、世界に誇れる製造業の現場もあります。
高齢者のヘルスケア、災害対応、製造現場や福島第一原発の廃炉の現場で蓄積されたデータ、産業用ロボット等の技術基盤といった、日本の強みを生かして構築されるフィジカルAIが、AIトランスフォーメーションを進めていく上での鍵となります。
現場にAIをいち早く社会実装し、世界に先駆けてフィジカルAIやロボットのデータ基盤を構築することで、日本の強みである現場力を生かして世界をリードしてまいります。
また、医療介護分野でのデータAI活用を通じて、新たな製品サービスの創出や現場の生産性向上を図ることで、国民の健康増進と持続可能な社会保障制度改革に貢献してまいります。
新技術立国競争力強化の担当大臣として、「技術で勝ってビジネスで負ける」と言われてきた我が国の弱みを完全に克服し、AIトランスフォーメーションを実現するため、スタートアップがアーリーやミドル、レイターなどのステージに応じて、市場で勝ち切るために必要な切れ目のない資金供給を行うためのエコシステムの形成や、企業経営改革に向けた取組を具体化してまいります。
また、AI先端ロボットやバイオなど、成長が見込まれ、かつ難易度が高い技術領域における研究開発について、思い切って予算をつけることに加えて、税制や規制改革を一体的に講ずることで、投資を強力に促進するための認定制度を創設する産業技術力強化法の改正案を提出いたしました。
高市内閣が推進する地域未来戦略の実現に向けて、関係省庁と連携し、大胆な投資策とインフラ整備を一体的に講じます。
重要なインフラである産業用地の確保を促進するとともに、地方の社会経済を支えるエッセンシャルサービスの持続性確保を図ってまいります。
こうした地域経済の活性化に向けて、AIの力を借りていくことも重要です。
強い地域経済を構築するためには、中小企業、小規模事業者の皆様が主役となります。
AIトランスフォーメーションの進展は地域に根差し、現場・現業型でスピード感のある中堅中小企業にとって、人手不足を乗り越え、大企業を一気に追い抜く、いわゆるリープフロッグのチャンスとなり得ます。
このチャンスを生かし、地方中堅中小企業のAIトランスフォーメーションの始まりの場所としていきます。
戦略分野への投資やサプライチェーンの参入などの変化に挑戦をするとともに、賃上げをしっかり行い、人材確保に取り組む。
こうした中堅中小企業への積極的な支援を通じて、稼ぐ力の強化と賃上げの好循環を実現いたします。
具体的には、中小企業適正取引推進法及び中小企業振興法の着実な執行や、観光地での対策を含めた価格転嫁、取引適正化の徹底、生産性向上のためのデジタル化・省力化支援、事業承継やM&Aの環境整備に加え、プッシュ型の伴走支援にも取り組みます。
昨年の日米間の関税合意については、3月19日の日米首脳会談に合わせ、日米政府の戦略的投資イニシアチブに関して、小型モジュール炉(SMR)の建設を含む3件のプロジェクトを発表しました。
特別なパートナーである日本と米国で、日米両国の総合利益の促進、経済安全保障の確保、経済成長の促進に向けた取組を進めてまいります。
また、米国に対して引き続き合意の着実な実施を求めるとともに、自動車等の産業への関税影響の緩和に取り組みます。
米国との経済関係を強固にするのと同時に、CPTPPやAPEC、AZEC等の様々な枠組みを通じて、有志国と連携した自由貿易と法の支配の取組を進めるハイブリッドな通商戦略を展開いたします。
グローバルサウスを含む新市場の開拓も一層推進してまいります。
また、経済安全保障の観点からレアアースや半導体等の重要な物資のサプライチェーンを特定の国に過度に依存することのないよう、供給源の多角化や調達ルートの切り替え支援等を進めてまいります。
米国との間でも、重要鉱物のサプライチェーンを強靭化するため、具体的プロジェクトに関する協力や、南鳥島周辺海域のレアアース泥を含む海洋鉱物資源開発に関する協力等に合意しました。
さらに、あらゆる機会を捉えて、日本の製品・サービス・インフラの融資国への輸出に取り組むことも重要です。
AZECの枠組みを活用した脱炭素技術の海外展開や、農林水産大臣とも協力した農林水産物や食品の需要拡大、輸出拡大を図ります。
こうした成長投資の促進、地域未来戦略の実現、日米戦略的投資イニシアチブの推進を一体的に図り、我が国企業の事業活動を持続的に発展させるため、産業競争力強化法等の改正案を提出しました。
大胆な投資促進税制等による国内での高付加価値な成長投資の促進、事業活動の基盤となる産業用地の整備、産業の担い手が生活を営むために必要なエッセンシャルサービスの維持・確保、さらに株式会社日本貿易保険(NEXI)への交付国債を通じた財務基盤の強化による我が国企業の供給網の強靭化に取り組みます。
私のライフワークは防災です。
福島や能登の復興に心血を注いで取り組んでまいりました。
本年は東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から15年を迎えるとともに、第3期復興創生期間が始まる節目の年です。
次の5年間が福島復興の正念場であり、これまでの延長ではなく、創造的復興を実現しなければなりません。
福島の復興なくして、東北の復興なし。
東北の復興なくして日本の再生なしとの思いに変わりはありません。
福島の復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉は、経済産業省の最重要課題です。
3月11日に福島県で開催された追悼式典にも現地で参加をし、私自身が先頭に立って現場主義を徹底し、福島の復興に最後まで責任を持って取り組んでいく決意を改めて胸に刻みました。
引き続き、安全かつ着実な廃炉と、ALPS処理水の海洋放出や、避難指示解除に向けた取組、生業の再生や新産業の創出などに、全力で取り組んでまいります。
能登半島地震と豪雨災害からの復興についても、伝統産業を含めて被災した事業者の生業の再建を支援いたします。
以上申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。
さまざまなご意見に耳を傾けながら、経済産業大臣として、全身全霊で職務に取り組んでまいります。
工藤委員長をはじめ、委員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。