中道改革連合の國重徹です。
生活者一人一人の現実から出発する政治。
国民一人一人が自分らしく生き、その活力や社会の発展を支える政治。
国家やイデオロギーのために国民を従わせる政治ではなく、人間の尊厳を守り抜く政治。
そうした政治を我が国の中心に据える、生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義。
これこそが私たち中道改革連合の理念であり、原点です。
この考え方は、憲法論議においても何ら変わるものではありません。
立憲主義を政治の土台とし、権力の乱用を防ぎ、個人の尊厳と国民の権利を守る。
これが中道改革連合の基本姿勢です。
私たちは日本国憲法を、戦後日本の民主主義の礎を築いてきた優れた憲法であると高く評価しています。
とりわけ国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3つの基本原理は、普遍の原理として将来にわたって堅持します。
その上で申し上げます。
私たちは改憲それ自体を目的とする立場には立ちません。
他方で、現行憲法を固定的に捉え、時代や社会の変化に伴う新たな課題に目を閉ざす立場にも組みません。
中道改革連合はその基本政策において、時代に対応した憲法改正論議の進化を掲げています。
憲法施行時には十分に想定されていなかった課題が明らかとなり、その対応のために憲法改正が必要と認められるときには、改正の内容を真摯に検討していきます。
その際、私たちが何より重んじるのは、個人の尊厳と国民の権利をいかに実効的に保障するかということです。
このことは人権保障に関する規定にとどまりません。
統治機構のあり方もまた、国民の権利を現実に保障するための制度的基盤である以上、その検討においては常に個人の尊厳と国民の権利の保障という原点に立ち返らなければならず、そのための手段として統治機構に対し民主的統制を及ぼしていくことが必要です。
党派間、また党内においても見解の違いがあり得ること自体は、憲法論議において当然です。
だからこそ、憲法論議において最も大事にすべき共通の基準を改めて確認・共有した上で、論点を整理し、真摯に議論することが大切です。
以上を踏まえ、今後取り組むべきテーマについて意見を述べます。
憲法審査会においては、これまでさまざまなテーマについて議論が積み重ねられてきました。
そうした議論の蓄積も踏まえつつ、私は先ほど申し上げた観点から、特に次のようなテーマについて議論を深めていくべきと考えます。
例えば、自衛隊の憲法上の位置づけや緊急時における国会機能の維持については、いついかなる事態にあっても国民を守り抜くことを大前提としつつ、自衛隊の行動が行き過ぎたり、緊急時における措置が乱用されることのないよう、民主的統制の観点から議論を深める必要があると考えます。
また、臨時国会の招集期限の問題も避けて通れないテーマです。
議院内閣制のもと、国会の行政監視機能の中心的な担い手は少数派に当たる野党です。
憲法53条の少数派による臨時会の招集要求権も、その趣旨に基づくものです。
国会が適時に開かれず、十分な審議の場が確保されなければ、行政監視機能は弱まり、主権者である国民が政治を見極めるための判断材料も乏しくなってしまいます。
したがって、臨時国会の招集期限の問題は単なる手続の議論にとどまらず、国民主権と議会制民主主義を実質化するための重要な憲法上の課題であると考えます。
さらに、国民の権利の保障という観点からは、選挙権の保障がとりわけ重要であり、これに関連して解散権のあり方も避けては通れないテーマです。
選挙権は主権者たる国民がその意思を政治に反映させるための、民主主義の根幹をなす権利です。
解散の本質が信を問うことにある以上、国民が何を問われているのかを明確に理解し、示されていなければなりません。
先の衆議院解散に際し、総理は国論を二分するような大胆な政策転換について、国民の信を問いたい旨を述べられました。
しかし、その具体的な内容が主権者の判断に至るほど十分に示されていたのかについては、大きな疑義が残ります。
国民の信を問う以上、少なくともその争点を事前に具体化し明示することは、解散権の行使に当たって当然に果たすべき責務ではないでしょうか。
そして、そのことを法制度上も明確にしていくことは、選挙権を実効的に保障する観点から、今後の憲法論議における極めて重要な論点であると考えます。
他にも、デジタル社会が急速に進展する中で、人権や民主主義をどのように守るのかといった、憲法施行時には想定されていなかった現代的な課題への対応も急務です。
さらに国民投票法に関しては、実際の国民投票の場面において、国民が必要かつ適切な情報に接した上で、その意思を適正かつ確実に反映できる環境をいかに整備するかという観点からの議論が必要です。
最後に、審査会の進め方について一言申し述べます。
憲法論議は拙速に進めるべきでないことは当然です。
他方で、丁寧な議論と粘り強い合意形成は必要ですが、不必要に議論を遅らせ、停滞させることも望ましくありません。
今後も落ち着いた環境の下で、毎週木曜日の定例日に審査会あるいは幹事会を開いて、着実に実りある議論を深めていくべきと考えます。
そのためにも、各会派、各議員がしっかりと準備をして議論に臨むことができるよう、今後のテーマや進め方についてある程度の見通しを共有しながら、審査会を運営していくことが必要です。
中道改革連合としても、これまでの審査会における議論を踏まえ、憲法に基づいた政治が行われているのかという点も含め、国民のための充実した憲法論議を行っていく決意を申し述べ、私の発言といたします。