国民民主党・無所属クラブの佐々木真琴です。
会派を代表して、ただいま議題となりました防災庁設置法案について質問いたします。
中学2年生のとき、岩手県宮古市で東日本大震災を経験しました。
中学校の坂の下まで津波が押し寄せ、通学路は見る影もなく、祖父母の家も流されました。
母と連絡がつかない数日間、避難所での生活、車のエンジンをつけてはニュースを見て、また切って、弟と2人で毛布をかけて夜を明かした日々を思い出します。
決して私一人だけの力でなく、学校の先生、地域の皆様、市や県、国、世界中の様々な皆様のおかげで、生かされた命であると強く感じております。
過去の震災で得られた教訓が、この国の防災をどこまで変えてきたのか、次の災害に本当に生かされているのか、今改めて問われています。
我が国はこれまで災害大国であると言われ続けてきました。
そして今、私たちはそこから防災立国へと転換をしていく、その岐路に立っていることは明らかです。
今回の防災庁設置法案をその大きな転換点とするべく、過去の経験を未来につなぐべく質問いたします。
まず、防災庁の設置の意義、必要性について伺います。
これまで我が国では、防災機能を国土庁から内閣府へと移し、内閣総理大臣の下、一元的に調整する体制を構築してきました。
これは縦割り行政を超えた司令塔機能の強化を目的としたものであったと理解しています。
その上で、今回さらに防災庁という新たな組織を設置するということは、これまでの体制では、乗り越えられない課題が明確に存在するという認識に立っているものと考えます。
全国の都道府県知事と市区町村長を対象としたアンケートでは、防災庁に期待88%と多くの期待が寄せられています。
一方で、現場感覚を持っている皆様や専門家からは、組織を新たにつくることで本当に現場は変わるのかという疑問の声があることも明らかです。
制度の再編、組織の再編が目的化してしまえば、現場は変わらないまま、負担だけが増えることになりかねません。
また、課題は必ずしも組織の有無ではなく、意思決定の遅れや権限の曖昧さ、そして平時からの準備不足にあるのではないかという指摘もあります。
だからこそ伺います。
今回の防災庁設置によって、これまでと何が本質的に変わるのか。
内閣府の機能強化ではなく、あえて新たに組織を設ける理由は何なのか、現場はどう変わるのか、どう変えたいのか、明確にお答えください。
併せて、施行後2年以内に作るとされている防災局についても、どのような役割を担い、現体制からどのような点を改善したいがために設置するのか、改めて伺います。
次に、司令塔機能について伺います。
防災庁は司令塔とされておりますが、それが単なる調整機能にとどまるのか、それとも意思決定と実行を担う実効性のある司令塔となるのか、改めて極めて重要です。
各府省庁や関係機関がそれぞれの役割を果たす一方で、全体を俯瞰した意思決定や迅速な指示が十分に機能していたのか、という点について課題が指摘されてまいりました。
こういったアドバイザーや専門家からの指摘をどのように受け止め、その課題はどこにあったと分析をしているのか、今回の防災庁がどこにどのように機能するとお考えなのかお聞かせください。
加えて、司令塔機能についてフェーズごとにお聞きします。
まず、平時における司令塔機能について伺います。
事前防災がメインになるフェーズでは、防災庁はどのように各府省庁や自治体と連携をし、どの段階でどのような指示や調整を行うことを想定しているのか、その具体的な役割と機能について、現状どのような方針を想定されているかお聞かせください。
次に、災害発生時における司令塔機能についても伺います。
災害の規模や地域特性に応じてさまざまであるとは思いますが、大規模災害時には防災庁はどの段階で指揮・指示機能を発揮し、どのレベルまで関与するのか、またその判断基準をどのように整理していくのかについてもお聞かせください。
勧告権の位置づけについても伺います。
これまでの組織でも同様の権限がありながら、十分に機能してきたとは言い難い状況です。
「権限はあるが使われない、使えない構造になっている」という指摘もあります。
防災庁が有する勧告権が実質的にどの程度の拘束力を持ち、各府省庁に対してどのように機能するのか、また従わない場合の対応も含め、どのように実効性を担保するのかについてお聞かせください。
次に、事前防災の定義と構造について伺います。
まず、防災の定義についてです。
今般の防災庁設置法案第3条や災害対策基本法において、災害からの復興を追加するとともに、災害予防から復旧復興までを防災と定義づけるとあります。
災害からの復旧復興は、次の災害に向けての一歩目の事前防災であるという理解から、復興までを含むという思いなのだと推察いたしますけれども、復興というものは大変後方で終わりのないものです。
復興庁との関係もあります。
私自身は防災分野に関わってまいりましたので、災害予防から復旧・復興が一貫した実績問題として認識・理解をするところですが、一般的には復興とは防災ではなく、まちづくりと捉える方も多いのではないでしょうか。
今回の新たな防災の定義を、国民の皆様に理解いただくことが大切です。
どのように整理し、国民の皆様に伝え、理解を進めていくのか、高市総理のお考えを伺います。
認識や理解の一致がない中では、正しい議論が展開できません。
これから各自治体、地域の自主防災組織に至るまで、さまざまな角度でこの法律が関与していくことになります。
しっかりとした答弁を求めます。
本法案では徹底した自然防災が大きく掲げられております。
その内容は非常に広範です。
大きく分けても、インフラ整備、人づくり、社会の仕組みづくりといった複数の分野にまたがります。
専門家からは、日本はハード整備は強い一方で、ソフトの設計や運用が弱いという指摘は長年なされてまいりました。
災害は人の力で乗り越えてきていることは、誰しもが疑う余地がありません。
政府は事前防災をどのように定義し、(※ここで話者が交代した可能性があります)知識だけではなく、行動変容であるということです。
東日本大震災時、岩手県宮古市太郎にいた私の祖父は、当時70歳を超えていましたが、90歳の祖祖母をおぶって山を登り逃げてくれました。
これは偶然ではなく、教育と地域の積み重ねの結果です。
私の地元岩手県宮古市では、何度も津波の被害を受け、その度に立ち上がってまいりました。
そこにあるのは、全ての道を山に向かって走らせること。
曲がり角でぶつからないように、交差点を直角にせず、「墨切り」といって角を切って区画を作っていたこと。
まさに、今回防災庁が目指す災害後の復旧・復興におけるまちづくりを、次の災害の第一歩目として、すでに導入をされておりました。
そして何より、それをきちんと使うための津波天然庫、まず逃げるという行動が文化として根付いていました。
事前防災の中で、防災教育をどのように位置付け、幼少期、家庭、学校、地域を通じた体系として、どのように構築していくのか伺います。
また、防災大学校の設置については、設置が決まっているわけではなく、いわゆる「できる規定」となっておりますが、現段階での見通しや、どういった機能を持たせたいと構想しているのか伺います。
次に、避難所の運営について伺います。
災害のたびに、「今の避難所は当時より格段にいいはず。
15年もたっているのだから」と思いますが、なかなか変わらないことに悲しみと悔しさを覚えます。
熊本地震では多少改善が見られましたが、特に能登の際には、熊本の時よりも悪化していたとも聞きます。
各地域によっての特徴もありますが、事前のシミュレーションをもとに早期の改善は急務です。
避難所の在り方についても、国家戦略の立案にあたり、既存の枠にとらわれず、あらゆる可能性を排除せず検討する認識でよろしいか伺います。
自治体の現場からは、人手が足りない、役割が曖昧という声が上がっています。
避難所運営において、国・自治体・関係機関の役割分担をどのように整理し、防災庁としてどのような体制を構築するのかお聞かせください。
次に、子どもの視点と居場所について伺います。
東日本大震災当時、私たち子どもはどこに行っても邪魔でした。
弟や近所の子たちを集めて、体育館のギャラリーの冷たい床で静かにトランプをしても怒られました。
本当に居場所がありませんでした。
もう一つ、私たち子どもになかったもの、それは子どもの主権、意見を言う権利です。
私たち子どもだって大人の力になりたかったし、地域のためになりたかったとそう思います。
子どもは守られる存在でもありますが、それと同時に権利の主体でもあります。
避難所における子どもの居場所の確保や、参画の仕組みを構築するための児童の権利に関する条約や子ども基本法に規定される機会確保や、NPO法人など関係団体への支援などの具体的な取り組みについてお聞かせください。
次に物資について伺います。
これまで災害時の物資供給には、輸送網の寸断、情報不足による需要管理の遅れ、人手不足による物資の滞留など問題が生じていました。
避難所では、使うことのできない物資をしまうだけの部屋があります。
物資をパッケージ化する作業も発生します。
当時、私たち中学生が食料を仕分ける作業をしておりました。
必要なのはシステムと、それを使える人や体制です。
政府では昨年の都での反省を受け、新物資システムB-PROを改良したと聞いております。
長年の課題である物資支援の煩雑さについて、今後どのような観点でアップデートしていこうとお考えかお聞かせください。
次に、ボランティアや民間団体との協力制度について伺います。
阪神・淡路大震災では「ボランティア元年」と言われました。
専門家からも、ボランティアや専門人材を制度にどう位置づけるかが今後の鍵になるという指摘や、ボランティアはいてもコーディネートする人がおらず、マンパワーを最大限に活用できていないという地方自治体からの声もあります。
防災庁において、ボランティアやNPOの役割をどのように組み込み、位置づけ、平時からの連携体制をはじめどのように構築していくのか伺います。
最後に申し上げます。
この防災庁の議論は単なる組織の話ではありません。
命を守ること、生活を守ること、そして地域の未来をつなぐことです。
東日本大震災から15年、あの経験がこの国の防災を本当に変えたと言えるのか。
防災庁の設置を通じて、災害大国から防災立国へと転換していく本物の防災庁を共に目指してまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。