当時は、入国管理局が難民申請者の名前をトルコ当局に教えたことによって、トルコ現地で問題が起きたわけなんです。
それに対して、当時日弁連は、難民申請者の情報を提供することは、新たな迫害を生む恐れがあり、重大な人権侵害だと、法務大臣に当時、警告書を提出しているわけなんです。
それだけ微妙な問題であって、私はこの問題になぜこだわっているかというと、当時もそして今も、トルコ当局において、閣僚に入っていらっしゃるクルドの方々がいらっしゃるという、そのとおりなんだけれども、だけど入っているから、しかしそれで円満に、例えばトルコで問題が起きていないかというと、そうではないんですよね。
私はこの報告書を見て、川口に来ているクルド人は出稼ぎだと断定されていたので、実は去年の6月にトルコに行ったんですよ。
イスタンブールでトルコの野党の集会がありまして、それに出席をして、それからトルコの空港から2時間かかるんだけれども、いわゆるクルディスタン、クルド人たちが暮らしているところ。
そこまで飛行機で2時間ぐらい、それから車で1時間ぐらい入った村に行って、多くの人たちに会ってきました。
そしてその時に、この平成16年7月の入管が作られたトルコ出張調査報告書に書かれている村長にも会ってきました。
この報告書だと川口に来ているクルドの人たちは出稼ぎだと、当時断定されていた。
私は村長に会って、そういう証言をされたんですかと聞いたんですよ。
そうしたら、もう20年経っているから、年は当然重ねていらっしゃるんだけれども、そう言わざるを得なかったというんですよ。
何でそう言わざるを得なかったかというと、この報告書にも出てきますけれども、警察だけではなくて、当時も今もトルコには、ジャンダルマという純軍事組織、憲兵隊があるんですよね。
私がその村に夜中行く車の中でも、ジャンダルマが待機していて、住民の監視をされているんですよ。
当時、入管当局がトルコに出張して報告し、川口のクルド人は出稼ぎだと断定した文書がここに入っているんだけれども、この当時の報告書の中でも、「ジャンダルマをあなた方、警察官に同行させようと思う。
案内する村は平和な村ではあるが、道中万が一あなたたちが強盗等の被害に遭ってはいけないので、安全確保という意味でも、ジャンダルマが同行した方がいい」とあります。
ジャンダルマは憲兵隊なの。
村人からすれば大変なんですよ。
だから言わざるを得なかったというのが、当時出稼ぎだと証言した村長の言い分です。
だから当時も録音記録があるのかわかりませんし、私が去年行って聞いて、「いやそんなこと言ってない、言わざるを得なかったんだ」というのも、それも確証にはならないのはわかるんだけれども、当時も今もトルコという国では、確かにクルドの人たちが閣僚に入ったり、色々ないい仕事をなさっているのはわかるんだけれども、トルコ全体で言えば、そういう純軍事組織的なものが街を覆っているんですよ。
これは余談ですけれども、私がホテルに泊まって、次の日朝、会議があって外に出ると、電車も止まっているし、バスも動かないんですよ。
不穏な空気があって。
何だろうかと思って街を歩いていると、一面警察官なんですよ。
一面警察官なんて初めて経験しましたよ。
銃も持っているんですよ。
それでもう何事かって、俺はクーデターじゃないかと思うようなことを人生で初めて経験したんですけど、それ去年6月のトルコの政情なんですよ。
だからクルドの人たちが大臣の中に入ったり、色々ないい仕事をなさっているというのはその通りなんだけれども、でも全体で言えば、何でそんな昼間から警察官がいっぱいいて、銃も持って不穏な空気があるのかというと、反政府集会が今日行われるかもわからないということで、バスも止めて、電車も止めて、至る所に警察官であふれているという、そういう国になって。
しかもさっき言いましたけれども、クルドの人たちが住んでいる村に行って話を聞くと、もうそこは岩だらけで農業なんかできないんですよ。
農業なんかできないからどこで仕事をするかというと、山に入って、山で農業をやってらっしゃるんですよね。
山に入るとゲリラがいるんですよ、時々PKKが。
だからそういう接点を警察とかジャンダルマが「お前たちは関係してるんじゃないか」というようなのが、20年前もそうだし、今もそうなんです。
びっくりしたのはね、ピースサインしただけで「お前はゲリラか」っていうのが去年ですよ。
そういう国情なんです。
それは変わっていくだろうし、変わっていかなければいけないと思いますけれども、そういう中で、トルコの人たちも、クルドの人たちも、今、暮らしているし、だから学校ではクルドの言葉をしゃべれない、今も。
そういうお国柄だということをやはり知って、この日本においても、特に川口に2000人ぐらいクルド人がいらっしゃいますから、今でも何か問題があれば、それはクルドであろうが、日本人であろうが、どこの国であろうが、適切な対応をしなければいけないんだけれども、だけど、クルド人がお店をやっているだけで、そこに嫌がらせに入っていくとか、あるいはその店に「クルド人死ね」とか、「クルド人出て行け」、これ今でも続いている問題なんですよね。
だからそういうことを全体として、やはりトルコにおけるクルド人たち、そして日本におけるクルドの人たちの置かれている位置ということも、私たちは正確に客観的に事実として見ていかなければいけないというふうに思っているんです。
そして引き続きちょっとお聞きをしたいんですけど、私は去年トルコに行って、クルド人たちが暮らしているところで、多くの人たちに会いました。
日本語を喋るので、「それは日本で働いてました」と言うから、ああ、そういう人たちが国に帰っているんだなと思ったんだけど、びっくりした一つは、18歳のクルドの青年に会ったんですよ。
そのお父さんお母さんは今も川口にいらっしゃる。
彼は18歳になったんだけれども、4歳の時にご両親に連れられて日本に来て、川口に住んでいた。
18歳ですから、解体業で働いていた。
だけど、4歳の時の自分の記憶というのはないものですから、去年、お父さん、お母さんの国、自分が生まれたところに行ってみたいというので、トルコに行って自分の故郷に帰ろうとしたんですよ。
ところが飛行機を降りて、「一番最後に降りてくれ」と言われたって言うんですよね。
一番最後に彼が降りた。
逮捕ですよ。
逮捕。
そういうことが今でも起きている。
私は去年、その青年に「何ですか」と聞いたら、本人も「わけわかんないよ。
警察に逮捕されて、いや、ゲリラの可能性があると言われた」って言うんですよね。
根拠ないんですよ。
根拠をいろいろ調べていくと、ついこの間もネウロズというお祭りがありましたけれども、そこにその18歳の青年が、17歳ぐらいというかな、参加した写真をフェイスブックに出したんですよ。
楽しかったから。
それを誰かがチェックをしていて、トルコ当局に通報をして、何の政治的にも関心ない普通の解体業をやっている18歳の青年がお父さん、お母さんのふるさと、自分が生まれたところを見てみたいということで飛行機を降りたところで、トルコの警察に逮捕されて今もいるんですよ。
今もいる。
裁判は始まらない。
おそらく来年裁判が始まるんだけれども、それはテロ支援の疑いだと言うんですよ。
全然関係ない。
政治に関係ない、興味もない人なんだ。
だからそういうことが今でも起きている時に、そこでお聞きをしたいことなんだけれども、何か、例えば難民申請者、あるいは強制送還される国が、トルコが一番多いですよね。
日本から強制送還。
その次フィリピンでしたっけ。
だからそういう何か情報が入管当局が、さっきの質問最初の方にも戻るんだけれども、入管当局がトルコ当局に何らかの情報を伝達するってことは、あり得ることなんですか。
そんなことはやってないってことですか。
いかがでしょうか。