安心してデータの保護と利活用の両方を推進していくためには、そうした個別分野の特性に応じて、その分野固有の事情等を考慮した適切な規律を設けることが必要です。
そうした個別分野ごとの制度を設けることで、我が国全体でのデータ利活用の推進が一層図られることが期待されます。
戦略に基づき、GDPRを筆頭に、デジタルサービス法、デジタル市場法、データ法、AI法などの分野横断的な法を制定するとともに、昨25年には、医療分野の包括的かつ体系的データ利活用を定めたEHDS(European Health Data Space)法を制定しております。
このような体系的で明確な法体系ですが、分野横断的な立法が多くなり、かつ個別分野法も作られるとなりますと、例えばデータ利用のための許可申請等の行政手続きが大変複雑になると考えられます。
そこで最近では、手続きを簡略化し、共通手続きを定めるデータオムニバス法を制定する動きが見られます。
複雑で進歩が早いデジタルの世界で確実にデータ保護を図りつつ、最大限データ利用を推進するためには、体系的でわかりやすい法制度が追求されていると考えられます。
このようなEUの動きを見る限り、我が国もそれに遅れることなく、制度化を推進していくことが必要と考えます。
今回の法案によりまして、データ利活用の推進とリスクへの対応をバランスよく両立させながら、AI開発やデジタル技術の活用が進むことで、急激な人口減少社会においても、人手不足や生産性の低迷といった諸課題を克服し、持続可能で豊かな社会を実現するとともに、一人一人の生活の質を向上させ、個人の幸福・自由が達成する社会になることを期待しております。
私からの意見は以上でございます。
ありがとうございました。
私は、個人情報保護法の改正法案の方についてご説明をさせていただきます。
課題と留意点というタイトルになっておりますが、まず、改正法案全体の評価ということでございますけれども、本改正は、保護と利活用、双方にわたる多くの新しい制度を導入する大改正でございます。
これまで懸案となっていた課徴金、それから生体情報の保護等を盛り込んだ点で、高く評価できると考えます。
もともと本改正には、課題や留意点も多く存在いたしまして、これらについては、解釈例やガイドラインによって手当てをし、または今後の立法的課題として認識されるべきものであろうかと思います。
まず最初に統計等の特例についてお話をいたします。
次のスライドですけれども、本改正の目玉として統計等の特例、利活用の条項が入っておりますが、現行法では目的外利用する、要配慮個人情報を取得する、第三者提供するといった場合に、いずれも本人の同意が必要となっております。
これについて、統計やそれと同等なAI開発に利用されることが決まっている場合には、これらの同意を不要とする、そのような提案でございます。
そしてこの適用の対象となる統計作成等の行為は、安全なものとして委員会規則で定めるものに限るということになっております。
さらに特例の適用の条件として、一定のガバナンスについても規定されておりまして、プレイヤーが一定事項を公表すること、それから収集したデータの目的外利用、第三者提供を禁止するということになっております。
次のスライドは条文のご紹介ですけれども、統計作成とは、赤いところになっておりまして、これらの行為のうち、個人の権利利益を害する恐れが少ないものとして、個人情報保護委員会規則で定めるものとなっておりますので、要はこの規則が重要、規則をどういうふうにするかということが重要であるということです。
そんなことでお話をしていきますけれども、おめくりいただきますと、この統計作成の内容、まず統計の方でございますが、これは公的統計と同程度の安全性があるもの、再識別が不能であるものにすべきではないかと考えます。
次にAI開発の方ですけれども、ここでご注意をいただきたいのは、基盤モデルの学習プロセスというのは、匿名化のプロセスではないということでございます。
学習用データが個人情報の場合、これを学習させると、モデルの方は個人情報ではなくなると、そのようなものではないということにご注意をいただきたいと思います。
従いまして、統計と同等の安全性を確保するためには、学習用データ自体の匿名化が必要でございます。
具体的には提供の場合、提供して統計等作成者が、モデルの開発者が受ける場合には提供元での適切な匿名化、取得の場合には、取得直後の適切な匿名化が必要ではないでしょうか。
もちろん匿名化ということになりますと手間はかかるわけですけれども、手間よりも安全性の方が重要ではないかと思いますし、また手間をかけずにやる方法というのもあるのではないかと思っております。
次のスライドでございますが、特例適用の際のガバナンスのことでございますが、一定の事項を公表させる、それから目的外利用、第三者提供を禁止するということだけで十分かということについては疑問がございます。
特に義務を課すということなんですけれども、義務だけあってもこれは駄目でございまして、やはり義務を守れるリソース能力、そういったものが、なければいけない、そういうもののある事業者にやっていただきたいということです。
誰でも手を挙げることができるのは危険ということでございます。
そのような観点から、委員会規則で定める公表事項は、その公表事項から統計を作成する、AI開発する人のガバナンスが推測できるような工夫がなされるべきでありまして、例えば統計等作成者の組織体制、それから統計等作成に係る内部ルール、知見を有する人員がどうなっているか、また統計の安全性、非識別処理とか、そういったことに関する事項、こういったものを広く公表してもらうのがいいのではないかと思います。
次のスライドですけれども、そしてそのような広い公表を前提といたしまして、提供元、その人にそのデータを提供する人は、それらの情報を見た上で、統計等作成者として適切なガバナンスを有していると合理的に判断できる場合に、初めてデータ提供する、そのような義務づけをすべきではないかと思います。
この人は間違いない人だなというふうに公表事項から判断できれば、提供してよい。
そうでなければ提供してはいけませんよとしていただくのがいいのではないかと思っております。
また提供元のガバナンスとして、提供に先立って本人にオプトアウトの機会を提供するということが考えられます。
特に要配慮個人情報の提供については、これは重要性もあまり高くないということが考えられますので、オプトアウトの機会提供を義務とすべきではないかと思います。
次のスライドですけれども、若干違うお話になるわけでございますが、この統計等の特例につきましては、集団的なプライバシーということを考える必要があるのではないかと思っております。
この特例によって、様々な統計が作ることができる、有用な情報を作ることができると思いますけれども、その結果として、特定の属性とネガティブな結果を結びつける推論も多数生成される可能性があります。
1番、深夜にコンビニを利用する。
2番、特定のサイトを毎日閲覧する。
3番、週3日以上深夜2時以降に飲酒する人は、支払い遅延率が高いということですね。
このようなもの、このような推論、これはデタラメですけれども、私は大体これに当てはまっておりますが、住宅ローンをちゃんと契約通りお支払いしておりますけれども、こういうもの、このような顕著とはいえず本人にも自覚されにくい行動、属性を有する人を多少なりとも差別的不利益に扱うことは、結果的には大きな権利利益の侵害につながる。
それがあるということでございます。
従いまして、本特例により作成した統計結果を個人に当てはめることは禁止すべきではないかと思います。
実のところ、おめくりいただきまして、このような一定の統計的な推論を個人に当てはめる、これは日常的に行われていることでございます。
例えば30代の未婚女性で料理に関する動画をよく見る人は旅行好きというそのような統計的推論がありますと、この当てはめる人に対して旅行の広告を出す、これは普通に行われていることでございます。
しかしながら、本特例によって本人の同意なく収集される膨大なデータに基づいてAIが作り出す様々な推論については、やはり本人の不利益になり得るものも多く含まれる恐れがあります。
その結果として、複数の属性特性からなる非伝統的な非差別的集団を大量に作り出す可能性がございます。
他方で、現行法は不利益プロファイリング、差別的プロファイリングに対する規制が十分ではなく、またそれについての議論も十分とは言えません。
このような状況の下では、一旦本特例による推論の個人への当てはめを禁止しておくことに合理性があるのではないかと思います。
次に連絡先の個人関連情報についてお話をいたします。
個人関連情報、これは個人情報ではないものですけれども、代表例はクッキーに紐づくウェブの閲覧履歴、そのようなものをイメージしていただければいいかと思います。
これは大量に収集されまして、その人はどんなものを買いそうかという広告に利用されているわけですけれども、どんなものを買いそうかではなくて、もっと悪用されてしまうケースというのが出てきております。
例えば我が国では、これは内定辞退率のプロファイリングをした事件ですけれども、米国ではケンブリッジ・アナリティカ事件、これはマインドハッキングに対する脆弱性のプロファイリングをした事件ですけれども、このような悪用された大きな事件がありまして、個人関連情報は現行法では個人情報ではないものと整理をされておりまして、第三者提供されて個人情報になるという場面で初めて制限がかかるということになっておりました。
つまりその悪用への対処はなされていなかったということですね。
そこで今般この改正で、悪用される可能性がある場合、つまり本人に連絡可能である場合についてですね、新たに適正利用義務、それから適正取得義務を課そうとする。
誠にごもっともな提案であるわけでございます。
お聞きいただきまして、これは現行法の義務のまとめですけれども、この5番のところに個人関連情報に関する義務がありまして、第三者提供の一定の制限があったわけで、もうこれだけだったわけですけれども、今回の提案で、この①の利用目的の3ポツの適正利用、②の適正取得の1ポツの不適正な手段で取得しない、これをかけていこうということでございます。
次のスライドはちょっと条文の紹介ですけれども省略をさせていただきまして、次も省略をさせていただきまして、18枚目ですけれども、じゃあこの個人関連情報のうち連絡可能なものということですけれども、例えばですね、郵便が配達可能な住所、何丁目何番地何号が含まれるものが連絡可能個人関連情報とされておりますが、そもそもですね、このような何丁目何番地何号、適正利用義務、適正取得義務以外の個人情報に関する義務、例えば漏洩しないような措置をするとか、そういったものを課していくことが喫緊の立法的課題ではないかと思います。
また諸外国も多くの国でそのようになっております。
こういった連絡可能個人情報は個人情報として整理して規制の対象にするということになっております。
次に課徴金についてお話をいたします。
課徴金の導入は長らく