憲法審査会

衆議院 2026-05-14 趣旨説明・採決等

概要

衆議院憲法審査会において、衆議院法制局の橘幸信特別参与より、緊急事態条項のイメージ案について報告が行われました。主要テーマとして、大規模災害等の「選挙困難事態」における衆議院議員総選挙の延期、議員任期の特例延長、参議院の緊急集会の射程明確化、オンライン国会の明文化、および国会機能喪失時の緊急政令・緊急財政処分が提示されました。これに対し、自民党の新藤義孝氏や日本維新の会の馬場伸幸氏、国民民主党の玉木雄一郎氏は、立憲主義に基づいた制度整備や早期の条文化を主張した一方、参政党の和田政宗氏や日本共産党の畑野君枝氏は、事態認定の恣意的な運用や国民主権の侵害、歴史的教訓への逆行として強い懸念を表明しました。

発言タイムライン

自民中道改革維新国民参政チームみらい共産政府委員長・議長
0分15分30分45分1:001:151:30橘幸信新藤義國重徹馬場伸玉木雄和田政古川あ畑野君

発言者(9名)

質疑応答(0件)

質疑応答は行われませんでした(所信表明・趣旨説明等のセッション)。

議事内容

古屋圭司 (憲法審査会会長) ▶ 動画

憲法審査会会長)�憲法審査会。

古屋圭司(憲法審査会会長)�

橘幸信 (衆議院法制局特別参与) ▶ 動画
古屋圭司

古屋圭司(憲法審査会会長):これより会議を開きます。

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

本日は緊急事態条項の明示案について討議を行います。

本日の議事について申し上げます。

まず、幹事会の協議に基づきまして、衆議院法制局の当局から説明を聴取し、その後、討議を行うことといたします。

では、衆議院法制局当局から説明を聴取いたします。

衆議院法制局特別参与、橘幸信君。

橘幸信

橘幸信(衆議院法制局特別参与):会長。

衆議院法制局の橘でございます。

本日は若干まとまったお時間を頂戴して、緊急事態条項のイメージ案についてご報告を申し上げることになりました。

長時間お耳を持ちかとは存じますけれども、よろしくお願い申し上げます。

まず最初に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。

資料目次にありますように、本日のご報告は、冒頭に掲げてあります緊急事態条項のイメージ案本体とその基本的な考え方を別紙で図示した、この2つの資料で行わせていただくつもりです。

さて、この2つの基礎資料に続いて、これまでの議論の経過に関する資料として、毎週開催が定例化して以降の本審査会での議論の経過と題する年表と、いくつかの参考資料もお手元に配布させていただいておりますので、まずこの年表をご覧いただきながら、これまでの議論の経過について、ごく簡単にご報告申し上げたいと存じます。

2022年の通常国会より、当時の森会長、新藤、國重の両筆頭をはじめ、幹事会の先生方のご尽力により、本審査会は毎週定例日開催が常態化いたしました。

その際、最初に取り上げられたテーマが、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う、本会議出席の後退制を背景とした、オンライン国会の問題でした。

私どもの論点説明、参考人質疑、集中的な討議を経て、本審査会における議論の体制として、緊急事態においては、オンライン出席も憲法56条の定足数算定の基礎となる出席と認められるとの議決がなされ、森会長から当時の細田衆議院議長に報告され、議員運営委員会での議論が開始されたのでございました。

次にこれに続いて、当時勃発したロシアのウクライナ侵略などの国際情勢を背景として、戦時下でも国会が機能し、必要な法律を日々制定しているウクライナ国会の情勢などを見ながら、緊急事態における国会機能の維持や、政府機能の維持に関する議論に移っていきました。

国民投票法制など、他のテーマに関する議論を挟みながらも、この緊急事態条項に関する議論は、お手元配付の二度にわたる論点整理、すなわち、各党各会派の御主張を論点ごとに対比させたマトリックス表の作成につながりました。

またこれに基づく議論の積み重ねを踏まえて、昨年6月の通常国会会期末には、当時の自民、公明、維新、国民有志、この5会派による骨子案の幹事会での提示にもつながっていきました。

さらにこの間、各党各会派における議論も活発に行われ、緊急事態条項に関する条文案の発表などもなされましたし、これに対する批判も展開されたところでございました。

そのような議論の積み重ねに加えて、この国会に入ってからは、本テーマに関する集中的な討議を経て、今回の緊急事態条項のイメージ案の作成提示に至ったという次第です。

さて恐縮ですが、ここで最初の資料、イメージ案本体にお戻り願います。

まず冒頭の米印を付して点線で囲んだ部分をご覧ください。

今回作成させていただきました資料は、今も申し上げました二度にわたる論点整理や、幹事会提示の5会派骨子案、そして先月23日の集中的な討議を含む、これまでの本審査会における緊急事態状況に関する討議の積み重ねを踏まえて、私ども衆議院法制局及び憲法審査会事務局において、先生方の今後の更なる議論の深掘りの素材となるようなイメージ案として、中立的かつ専門的な立場から整理作成させていただいたものです。

本資料は、緊急事態条項に関する各会派の先生方のこれまでの御主張について、法制実務的な観点を含めて、全体の整合性が取れるような一つの形に仕上げるとすれば、どのようなものとなるのか、そういった観点から、純粋立法技術的に作成したものであって、その主張の得失や是非、それ自体については全く価値判断を加えておりません。

あくまでも賛成反対を含めて、先生方の今後の議論の素材となるように、できるだけ具体的なイメージ案をお示ししようとしたものでございます。

この点、何卒ご理解の上、お許しいただきたいと思います。

以上のことをご確認いただいた上で、早速内容の説明に入ってまいりたいと存じます。

最初に今回のイメージ案作成の際の基本的な考え方とその整理の概要を御理解いただくために、右上に別紙と付記したA3横長一枚紙のポンチ絵、衆議院議員総選挙の延期及び参議院の緊急集会と議員任期特例の住み分けに関する考え方メモと題する資料を御覧願います。

①から⑤までの番号に沿って順に御説明してまいりたいと思います。

まず左下の①を御覧ください。

衆議院議員総選挙の期日と参議院の緊急集会の基本的性格について規定する現行憲法54条を掲げてございます。

第1項では冒頭に衆議院が解散されたときという場合を限定する表現に続いて、その解散から総選挙まで40日。

総選挙から特別会招集まで30日、つまり、解散による衆議院不在は、最長で70日間以内と定めています。

この趣旨は、新たに民意に基づく衆議院の誕生が、内閣の指揮によって安易に引き延ばされてはならないようにするための期間限定と説明されているところです。

これを受けた第2項の冒頭でも、第1項と同様に、「衆議院が解散されたとき」という表現で、第1項の規定を受ける形で、この解散による衆議院不在の間は、1つ、参議院も閉会となること、つまり、両院制のもと、衆参は一緒に活動するとの、両院同時活動の原則を定めるとともに、2つ、それに続く但し書きで、そのような衆議院不在の間に、国に緊急の必要があるときは、内閣が緊急集会を求めることができる旨が定められています。

これが現行憲法唯一の緊急事態条項とも呼ばれ、また、参議院の重要な権能でもある、参議院の緊急集会の根拠規定です。

極めてシンプルな規定であり、この規定をめぐって、さまざまな解釈論が展開されている条項でもございます。

最後の第3項では、参議院の緊急集会で取られた措置は、衆議院が成立し、その同意を得られないと効力を失う、そのような暫定的なものであることが規定されております。

次に②を御覧ください。

以上のようなシンプルな条文構造から、参議院の緊急集会の活動と権能については、一般的に次のような性格を持つことが指摘されてまいりました。

第1は、第1項とそれを受けた第2項から、解散による衆議院不在の70日程度の期間を想定した一時的なものであること。

第2は、第2項を但書きに規定するように、緊急集会は内閣のイニシアチブによってのみ活動を開始し、またそれを受けた国会法の規定により、そこで議論される案件は内閣提案の緊急案件に関連するものに限られることなどから、その権限は限定的なものであること。

3つ目として、第3項の規定によってその効力は暫定的なものであること。

この三点が指摘されてきたところです。

次に③を御覧ください。

ところで、冒頭申し上げましたように、この参議院の緊急集会を含む憲法54条の規定の前提となっておりますのは、解散から40日以内に衆議院議員選挙が行われることでございます。

これは従来の学説において、当然視されてきた事柄でした。

ここでいよいよ④をご覧ください。

しかし、東日本大震災における地方議員・首長選挙の実施が、最長8ヶ月余りの長期間にわたって延期されたことや、先ほども言及したロシア侵攻下のウクライナでは、大統領や国会議員の任期が到来しても選挙が実施できないといった国内外の事情背景として、本審査会の先生方の主要な関心事は、もし解散に伴う総選挙が、憲法54条1項の定める40日以内に行うことができなかった場合、それは憲法上、どのように評価されるのかといった、従来必ずしも明示的に議論されてこなかった論点でございました。

少なくともこれに対処する明文の規定は現行憲法にはございませんから、文字通り現行憲法の想定外の事態というほかなく、これに対処するためには、何らかの解釈によって妥当な結論を導き出すか、あるいは明文規定でもって対処方針を明らかにすべく憲法改正を行うべきか、そのような議論がなされてきたわけでございます。

この点に関して参考人質疑や先生方の討議を繰り広げる中で、本審査会の先生方からは、「物理的に困難な場合には法は不可能を強いるものではない」との法格言が示すように、形式的な憲法違反も許される。

このような暫定的な対応解釈でよいのだろうか。

憲法違反の状態をなくし、立憲主義の観点から憲法の規範性を回復するためにも、総選挙実施の延期に関する明文規定を整備すべきではないか、といった意見が出てまいりました。

では、どのような場合に総選挙を延期すべきなのか。

その議論の過程の中で、国政選挙というのは、全国一律一斉に行われるべき性格のものではないか。

この国政選挙の一体性、一体性とも呼びうるような原則は、憲法15条や47条の根底にある国政選挙の公正性確保といった憲法的価値に由来するものと考えることすらできるのではないか。

そのような認識が共有され、国政選挙延期の基準として、「国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域において、40日以内の総選挙実施が困難であることが明らかであるとき」といった基準、いわゆる包括的基準が、包括的要件が提示されるようになり、その是非をめぐる議論が展開されていったのでした。

このことは逆に言えば、選挙実施の困難性が局地的な一部地域に限られるのであれば、その地域において現行公選法の定めによる繰り延べ投票を行えばよく、全体としての選挙期日を延期する必要はないということにもなります。

したがって、まず何よりも重要なのは、あらかじめ災害に強い選挙体制を構築し準備しておくこと。

そのことによって、ここでいう包括的要件に該当するような状態などはできるだけ作らないこと。

そのような認識も同時に共有されていったわけでございます。

次に⑤をご覧ください。

そういたしますと、次に問題になるのが、万々が一、この包括的要件に該当するような総選挙実施を延期すべき事態、いわば選挙延期事態が発生した場合、その延期されている期間における衆議院不在にどのように対処するのかということです。

これについて本審査会では2つの方策が唱えられてまいりました。

1つは、あくまでも現行憲法に定めのある参議院の緊急集会で対応すればよい。

参議院の緊急集会とは、そのような場合における国会権限の代行期間そのものなのである、という御意見。

もう一つは、先ほど述べたように、権限等が限定されている参議院の緊急集会ではなく、国会の原則的形態である両院制国会でもって、この国難とも言うべき事態に対処するべきではないか。

そのためには、一時的に議員任期を延長するような特例制度を用意しておくことも必要なのではないか、そのような御意見でした。

これに関する御議論を繰り広げるうちに、この両者を組み合わせるハイブリッドな見解が唱えられるようになってまいりました。

すなわち、まず、現行憲法54条の下でも、参議院の緊急集会は、解散から特別会招集までの70日程度の衆議院不在に対応する制度として想定されているものでございます。

総選挙実施の見通しが仮に40日を超えたとしても、それが一定期間内に収まることが見通せるような場合には、緊急集会で対応すればいいのではないか、またそれがふさわしいのではないか。

そしてこの一定期間については70日程度とすべきか、もう少し長期間にわたってもよいのか、あるいは被災の種類や状況によっても期間それ自体は違うだろうから、まずは相当程度長期間といった表現にとどめておいて、その具体化についてはさらに議論を深掘りする必要があるのではないか、そのような考え方が提示されていったのでございました。

これが長期性要件と言われる第2の基準でございます。

その上で、日本全国広範な地域で国政選挙が実施できないといった広範性要件のみならず、この相当程度長期間の選挙困難な事態といった長期性要件にも該当するような事態を考えると、これはもはや例外的にしか発生しない国難とも言うべき事態である。

そのような国難事態、ここではこれまで一般的に先生方によって用いられてきた表現に倣えば、選挙困難事態と名付けておきますが、これに対応するためには、議員任期を延長してでも国会の原則的な形態であり、その権限にも特段の限定がない、両院制国会で対応すべきではないか。

少なくともそのような備えをしておくべきではないか。

このような基本的な考え方のもとに、参議院の緊急集会の適用範囲と、議員任期特例延長の適用範囲をすみ分ける、視座が提案されるようになっていったのでございました。

以上の基本的な整理を前提に、以下、本日のメインテーマである緊急事態条項のイメージ案、本体について、ご報告を申し上げたいと存じます。

最初の資料をご覧願います。

まずこのイメージ案の全体的な構成についてご確認いただきたいと思います。

大きく2つの要素に分かれております。

1ページ目から3ページ目の上半分までは国会機能の維持に係る緊急事態条項で、これに関しては1ページ目の衆議院議員総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化、2ページ目の選挙困難事態における国会機能の維持、そして3ページ目上半分のオンライン国会の明文化、この3項目を掲げております。

もう1つの大きな柱が3ページ目下半分で、ここではどうしても国会機能の維持が困難となった場合における国家機能、政府機能の維持の方策としての緊急政令及び緊急財政処分に関するイメージ案を掲げております。

順次、それぞれの内容の御説明に入ってまいりたいと思います。

まず1ページ目のローマ数字1、衆議院議員総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化ですが、ここでは現行憲法54条について、次のような改正措置を講ずる旨、整理してございます。

1つ目は、現行54条1項の「衆議院が解散されたときは解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を招集しなければならない」という規定に続けて、「ただし、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙の一体性が害されるほどの広範な地域において総選挙を実施することが困難であることについてやむを得ない特別の事情があるときは、総選挙を実施できるに至った後、速やかに総選挙を行えばよい。

そしてその選挙の日後、速やかに国会を招集すればよい」そのような但し書きを置いて、選挙延期に関する明文規定を置いたことです。

2つ目は、参議院の緊急集会の射程の明確化に関するイメージ案です。

ここではまず、漢数字の2として、今申し上げた憲法54条の衆議院解散に関する総選挙実施時期とその延期に関する漢数字1の条項と切り離して規定する形にした上で、その算用数字1で2つの事柄を定めております。

すなわち1つは、内閣が参議院の緊急集会を求めることができる場合については、衆議院の解散により総選挙が行われる場合、または、衆議院議員の任期満了後に総選挙が行われる場合として、衆議院解散時に限らず、任期満了後の総選挙実施による衆議院不在時にも累推適用などといった解釈ではなく、明文規定でもって参議院の緊急集会で対応可能なことを明確にしたことでございます。

もう一つは、これに続けて、次の国会が招集されるまでの間に国に緊急の必要があるときとして、特段の期間限定なく、衆議院の不在時の一般的な国家機能維持のための期間が参議院の緊急集会であるとの位置づけを明文化したことです。

なお、次の2ページに掲げる選挙混乱事態における議員任期特例が発動するときは、当然に衆参揃った次の国会が招集されることになりますから、この表現によって参議院の緊急集会と議員任期延長特例との住み分けが、「次の国会が招集されるまでの間に」という表現によって、自動的に住み分けられることになるわけでございます。

次に2ページ目の、選挙混乱事態における国会機能の維持をご覧ください。

まず第1に、選挙混乱事態の認定手続きのうちの関数字1、緊急事態の対象範囲定義については、地震等による大規模な自然災害、感染症の大規模な蔓延、内乱等による社会秩序の混乱、外部からの武力攻撃、そしてその他これらに匹敵する事態を言うものとして、これまでの本審査会における議論の到達点を確認してございます。

ただし、「その他これらに匹敵する事態」というバスケットクローズが表しておりますように、ここに掲げた事象はあくまでも緊急事態の例示であって、これらに限られるものではなく、またこれらの例示に該当したとしても、直ちにそこから何らかの効果が導き出されるものでもありません。

あくまでも次に述べる選挙混乱事態の要件に該当することが重要であることに、改めて御留意願います。

次に、関数字の2、参用数字の1として、内閣による選挙混乱事態の認定要件を掲げております。

すなわち、ただいま定義したような緊急事態の発生により、衆議院議員の総選挙、または参議院議員の通常選挙、すなわち国政選挙と言い換えてもいいと思いますが、この国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域において、かつ当該国政選挙の適正実施が相当程度長期間にわたり困難であることが明らかであると認められるときは、内閣は選挙混乱事態である旨及びその選挙混乱事態が継続すると見込まれる期間、この認定を行うものとするとして、広範性要件と長期性要件の2つの要件を共に充足する場合に限って、選挙混乱事態の認定がなされることを定めております。

この広範性要件、長期性要件と共に、我が日本国憲法の他の規定ぶり、特に統治機構に関する規定ぶりと同様に、極めて簡潔な表現で記述してございます。

日本国憲法が簡潔概括型の憲法と呼ばれるゆえんでございます。

したがいまして、今後この要件の具体化に関する議論がなされる際には、その具体的な基準の内容に関する議論はもちろんですが、同時にそのような具体的基準をこの憲法の中に全て書き切るのか、それとも一部は法律等に委任してそこで具体化していくべきなのかも含めて、深掘りした議論がなされていくものと拝察するところです。

次に、この内閣の認定については、関数字の2、参用数字の2、国会の事前承認が要求されることになりますが、その議決数については、前回の本審査会での議論にもありましたように、各議員の出席議員の3分の2以上の特別多数として慎重な議決を担保するのか、それとも現行憲法の定める議決数要件の構造に照らして、両院それぞれの過半数議決は十分に慎重さが担保されている、これには衆議院優越も参議院優越も定められておりませんから、両院ともに議決が必要だ、そのような考えから、過半数でもいいではないか、そのような御主張もあるように拝察しております。

今後とも御議論がなされていくところかと存じます。

なお、この内閣、国会といった政治部門による認定については、その乱用を防止し、適正性を担保するために、裁判所の関与を主張する御意見がございます。

右側の「議論があり得る論点」の論点⑤に掲げてありますように、憲法裁判所や最高裁判所による事後審査、あるいは一票の格差訴訟などに関する現行公選法の選挙訴訟のような客観訴訟の制度を創設し、これによるチェックをするなどといった意見が述べられておりますけれども、他方では、事態認定の適否は選挙混乱事態終了後の国政選挙によって判断される高度に政治的な判断なので、裁判所の関与は不要とする御意見も唱えられているところです。

次に、関数字の3として、選挙混乱事態の乱用防止の方策の1つとして、その期間制限に関する一連の規定を整理してございます。

1つは、1回当たりの選挙混乱事態の期間の上限を定めるかどうか。

定めることによって国会承認をきめ細かに関与させるという意味ですが、もう1つは、その期間の延長を可能にした場合において、その通算期限の上限を定めるかどうか。

この2つです。

特に公社の通算期限の上限設定の是非については、大いに議論があり得るところかと存じます。

次に第2、選挙混乱事態の認定の効果について、3つに分類して整理してございます。

まず1つ目は、選挙期日の特例です。

選挙実施が混乱なのですから、これに伴う当然の効果は、選挙期日の延期であることは、実に自然なことです。

阪神淡路大震災、そして東日本大震災の際の統一地方選に対応するための特例立法において捉えた措置と同様の論理構造です。

このイメージ案のポイントは、選挙混乱事態の認定があったときは、憲法54条1項の規定中、総選挙の期日にかかる40日以内の総選挙という義務付け規定は適用しないけれども、国政選挙はできるだけ早く行うべきであるから、選挙混乱事態が過ぎ去ったら、速やかに行え、ということです。

さらに、参用数字2では、選挙混乱事態の認定期間中といえども、状況が好転して国政選挙を適正に実施することができると認められるに至ったときは、国会の議決に基づいて選挙混乱事態の認定期間を短縮して速やかに選挙を行えということも定めています。

いずれも国民の選挙権保障の重要性を改めて確認する規定ということができるかと存じます。

二つ目の効果がいよいよ議員任期の特例等です。

「等」という言葉が示すように、これにはさらに二つの効果が含まれています。

第一は文字通り、議員任期の延長特例です。

すなわち、選挙混乱事態の認定があったときは、国政選挙が延期される結果、衆議院議員のすべて、あるいは参議院議員の半数は任期切れになってしまう。

このようなことに対応するため、延期された国政選挙に係る衆議院議員、または参議院議員の任期は、憲法45条及び46条の規定によって、衆議院議員4年、参議院議員6年といった規定にかかわらず、延期された総選挙、通常選挙の期日の前日まで延長するというものです。

参用数字2として掲げてある、任期が終了している議員の身分復活に関する規定です。

すなわち、選挙混乱事態の認定に係る国会承認が求められた場合において、衆議院議員、参議院議員の任期が解散や任期満了により、既に終了しているときは、任期延長しようにも、その土台となる任期、議員資格それ自体がなくなっていますので、それを復活させてから、それを延長するという仕組みが必要となるからです。

ここではそのための事項を細かくなりますが2つ規定してございます。

1つ目は、選挙混乱事態認定に対する国会承認それ自体を慎重ならしめるために、できるだけ多くの人々によって英知を集めて判断されることが望ましいのではないか。

そうするとこの段階から現職議員に加えて前職議員もこれに関与させることとすべきではないかとの観点から、まず当該国会の承認をするために必要な限度において、その任期は終了していないものとみなすとする、いわゆる暫定的身分復活の規定を設けています。

もう一つは、そのようにして国会承認が得られ、議員任期の延長特例が発動されることとなった場合には、すなわち選挙混乱事態が国会承認により正式に認定された日に、再び衆議院議員または参議院議員になったものとみなして、参用数字1の規定、すなわち任期延長の特例規定を適用する、との若干ややこしい文章の意味はこのようなものでございます。

以上の2つの身分復活規定の是非も論点9に掲げておりますとおり、賛否両論の立場から、激しく議論されている最重要論点の1つでございます。

最後の3つ目の効果として、選挙混乱事態認定のその他の効果を掲げてあります。

まず国会の閉会禁止、衆議院議員の解散禁止ですが、これは国難とも言うべき事態において、さまざまな立法措置をとったり、また行政監視機能を発揮したりする、といった国会機能を維持するために、先生方の議員任期を延長した特例措置を講じたわけですから、国会議員にはその期間中は全て開会中として働いてもらわなければなりません、という趣旨でございます。

なお、解散禁止に関しては、右側の論点1に記載してございますように、衆議院の内閣不信任決議権と内閣の解散権は、相互にチェック&バランス、議院内閣制のもとにおける抑制均衡の手段となっていることに鑑みて、内閣の衆議院解散権を禁止するのであれば、衆議院の内閣不信任決議権をも同時に禁止するべきではないか、といった論点も指摘されています。

もう1つの効果は、選挙ができないということは、憲法改正国民投票ができないということは当然ですし、そもそもそのような緊急事態に憲法改正のような重要事項を行うのが適当か、といった指摘もなされておりますから、選挙困難事態の期間中は、憲法改正の発議もこれに係る国民の承認のための投票も共に行うことができないことを定めております。

次に3ページ目に移っていただいて、上半分のオンライン国会のところをご覧願います。

これは議事議決の定足数算定の基礎となる出席について定める現行憲法56条1項に拘断として議員が議場に参集することが困難なとき、その他法律の定める特別の事情があるときは、各議員の定めるところにより、情報通信技術を利用する方法、その他の方法により、会議に出席することができるとする規定を加えるものです。

この規定は、令和4年3月に、本審査会で憲法56条1項の出席の概念について、その議論の体制を議決したときの議論を反映したものです。

冒頭の議論の経過で御報告したとおりです。

最後に国会機能の維持が困難となった場合における国家機能の維持に係る方策について御説明申し上げます。

まず内閣による緊急政令の制定ですが、これは緊急事態の発生により国会による法律の制定を待つ暇がないと認める特別の事情があるときといった限定的な要件のもとに、かつあらかじめ法律の定めるところによりといった事前に国会自身が設定した枠組みのもとに、内閣に対して法律と同一の効力を有する緊急政令を制定することができるとして、事態に対して必要かつ臨機の対応ができる権限を付与することとしてございます。

そしてこのような緊急政令については、国会の機能回復後速やかにその承認を求めなければならず、次の国会開会の後丸日以内に国会の承認が得られなかった場合にはその効力を失うとして、国会の事後承認と暫定的な性格のものであることも定めているところです。

次に緊急財政処分ですが、緊急時はもちろんのこと平時においても行政府の対応には、その法規上の根拠とともに予算上の根拠がなければ実効的な措置は取れません。

このことに鑑みて、緊急政令の制度と合わせて緊急財政処分の制度も同様に整備することとし、その要件や効果については、緊急政令の場合と同じ事柄を定めているところです。

新藤義孝 (自由民主党・無所属の会) ▶ 動画
橘幸信

緊急政令、緊急財政処分の制度については、論点②の上から1ポツ目や2ポツ目のコメントにあるように、そもそも不要であるとの意見があるほか、3ポツ目に付記してありますように、法律の制定や予算の議決を待つともないといったような要件に加えて、その政令や財政処分による措置が生命、自由、財産といった国民の権利保障に資する場合にだけ発出することができるといった要件を加重すべきではないかとの意見も述べられているところです。

これらの点についても今後議論がなされていくものと拝察いたします。

以上はすべて緊急事態条項として議論されてきた論点ですが、A3横長3枚紙の後ろに、A4縦長1枚紙の資料を添付してございますので、これについても一言ご説明をさせていただきます。

これまで本審査会においては、緊急事態における国会機能の維持について、特に議論が行われてまいりましたが、その際、通常時の国会機能の維持に関しても、さまざまなご意見が述べられてまいりました。

その中に、通常時の国会機能の維持の方策として、臨時会の招集期限の明記や、議論をする必要があるのではないかとの意見も度々述べられてきたところです。

ご参考までにご紹介させていただきました。

以上、緊急事態条項のイメージ案について、その作成に当たっての基本的な考え方、及びその内容の概要について、ご報告をさせていただきました。

ご清聴ありがとうございました。

古屋圭司

説明聴取は終わりました。

これより、討議に入ります。

この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、各会派1名ずつ、大会派順に発言をしていただくということといたします。

発言時間は7分以内といたします。

質問を行う場合、発言時間は、答弁時間を含めて7分以内といたしますので、ご留意を願います。

発言時間の経過につきましては、7分経過時にブザーを鳴らしてお知らせをいたします。

発言は自席から着席のままで結構です。

発言の申出がありますので順次これを許します。

新藤義孝君。

新藤義孝

はい、会長。

自由民主党の新藤義孝であります。

ただいま衆議院法制局から緊急事態条項に関するイメージ案についての説明を受けました。

連休前の幹事会において、衆議院法制局、そして憲法審査会事務局に整理作成を依頼をいたしましたけれども、連休中を含め、精緻な作業をしていただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。

本日はこのイメージ案で整理された中で、私とすれば、おおむね合意を得られるとみなせる、いわゆるピン留めされたといえる議論、論点。

そしていまだに見解が分かれており、さらに議論を深めていくべきと思われる論点。

これについて私なりの整理をさせていただきたいと思っています。

まず1ページ目の1、衆議院議員の総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化につきましては、その1の1において、解散から40日以内に国政選挙の一体性が害されるほど、広範な地域において衆議院議員の総選挙を実施することが困難な場合に、総選挙延期の明文規定を置くとされています。

この部分は特に異論はなく、ピン留めしてもよろしいのではないかなと、このように思います。

次に2-1におきまして、参議院の緊急集会の射程が明確に整理されたと思います。

すなわち、総選挙が延期されて衆議院が不在となった場合に、一定の場合には、この参議院の緊急集会の射程を拡大しつつ対応すること。

他方、衆議院議員の不在が相当程度の長期間に及ぶときには、認定国会の原則に基づいて、議員任期の特例の制度を用意しておくべきことが記載されております。

参議院の機能を活用しつつ、適正なバランスを図る方策としてまとめられており、この点もピン留めしてはよろしいのではないかなと、このように思います。

次に2ページの第1の2の1、内閣による選挙困難事態の認定であります。

選挙延期の場合の要件である国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域に加えて、適正な選挙実施が相当程度長期間にわたり困難であることが明らかであるとき。

この2点をもって判断するのが適切と位置づけられました。

この点もピン留めしてもよろしいのではないかなと、このように思います。

この広範性要件と長期性要件の具体化に関しましては、今後の議論への問題提起として、私なりの考えを少し述べたいと思います。

まず、広範性要件でございますけれども、衆議院の小選挙区比例代表並立を前提とすると、被災地域が複数の比例ブロックにまたがること、かつ、1つの比例ブロック内の過半の小選挙区において選挙実施が困難であること、という2つの具体的な基準が考えられます。

これを東日本大震災のケースに当てはめますと、被災地域は東北ブロック、北関東ブロック、南関東ブロックといった複数のブロックにまたがっておりました。

また東北ブロックの全21選挙区のうち11選挙区で選挙実施が延期されたことといった状況はまさにこの基準に当てはまるのではないかなとこのように思われます。

南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被害想定に照らしても同様と考えられ、これはかなり妥当な基準ではないのかなとこのように思うわけであります。

また長期性要件でございますけれども、54条1項に鑑みて70日程度を基本としつつも、それを多少超えたとしても、総選挙の実施がある程度見通せるような場合には、参議院の緊急集会で対応できるということは、これまで議論してきたとおりであります。

他方、これを大幅に超えて、相当程度長期間にわたり、選挙実施が全く見通せない、いわば国難とも言うべき場合には、任期満了国会の原則に基づきつつ、議員任期の延長特例の制度を備え、これを適用する。

整理されたことにつきましては、これも非常に重要な部分でございますけれども、おおむねの理解が得られるのではないか、合意を得られるのではないのかなと、このように思うわけであります。

この参議院の緊急集会と議員任期の延長特例との墨分けを図る長期性要件の具体化につきましては、これは引き続き議論を深めていかればならないと、このように思いますし、重要な論点だと思います。

次に同じく2ページの第1の3の1、この1回あたりの選挙困難事態の期間の上限が空欄となっておりますけれども、私としてはある程度の長期性を考えたとしても6ヶ月程度が妥当ではないかと思います。

今後この期間をどの程度に設定するかは、皆さんと議論をしていきたいと思います。

他方、2、選挙困難事態の期間の延長及びその場合の通算期間の上限につきましては、期間延長が必要なことは当然と思われますが、通算期間の上限についてはその要否も含めて今後さらに議論を深めていく必要があると思います。

次に第2の2の議員任期の特例等のうちの2、任期が終了している議員の身分復活についてであります。

まず解散後や、そして任期満了後に選挙困難事態が発生し、その事態認定のための国会承認を行うに当たっては、多くの人が知恵を出し合ってより慎重に判断する。

國重徹 (中道改革連合・無所属) ▶ 動画
新藤義孝

小泉議員、本格的に身分を復活させて、国難対処のための国会活動に当たってもらうことが必須だと思います。

その意味におきまして、この第2の、衆議院議員、参議院議員は、選挙困難事態の認定の日に、再び衆議院議員、参議院議員になったものとみなし、議員任期の特例を適用するという記載は非常に重要な整理であり、今後さらに議論を深めたいと思います。

次に3。

その他に記載されている国会の閉会及び衆議院解散の禁止、そして2、憲法改正の禁止につきましては妥当な整理であり、これはピン留めされてもよいと思います。

この3ページ目の3、オンライン国会でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の蔓延等が行った際に、審査会として具体的な討論を行い、憲法審査会設置以来、初めて議決を行いました。

当時与党筆頭として、これに取りまとめに当たりましたものとしても、とても意義あったものだと思っております。

なお、オンライン国会につきましては、停電等による通信途絶への対応、セキュリティの確保、そして議長の議事整理のあり方など、今後さらに深めていかなければならない問題があるんだと、このことも指摘したいと思います。

最後に、緊急政令、緊急財政処分につきましては、さまざまな手を尽くして国会機能の維持を図った上で、それでも国会の会議を開くことができない、国会議員が参集することができないという究極の事態に陥ったときに備えて、国家の機能を維持するための条項を設けることは必須と考えます。

詳細は次の機会に申し上げたいと思います。

本日は、この衆議院法制局からの説明を受けて、各会派一巡の討議を行いますけれども、より多くの意見を得て、さらに議論を深めるためにも、来週の定例日にもう一度、この緊急事態条項に関するイメージについての討議を行ってはどうかと提案をしたいと思います。

詳細は筆頭者間で協議をした上で、各会派とご相談したいと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

國重徹君。

國重徹

國重徹(中道改革連合・無所属)です。

緊急事態条項のイメージ案とその説明によって、本審査会におけるこれまでの議論が相当程度可視化をされました。

憲法審査会事務局及び法制局のご尽力に感謝を申し上げます。

他方で、これは各会派の賛否を示すものでも、各会派間で合意された事項をまとめたものでもありません。

あくまでも議論の整理です。

むしろこのイメージ案によってさまざまな課題、論点の所在とその具体的な内容が改めて浮き彫りになりました。

これらを踏まえると、論点は出尽くしているので後は決めるだけだといった現状認識は当てはまりません。

実際の運用場面を想定し、憲法改正や関連の法改正を真摯に考えれば考えるほど、臨時国会の招集期限の明記などと比べても論点は多岐にわたり、法技術的にも難度の高いテーマであるとの認識を深めています。

だからこそ丁寧に論点を詰めていくことが必要です。

その上で、緊急時の国会機能の維持を論じる前に1点申し上げます。

それは、発生確率が極めて低い緊急事態における国会機能の維持もさることながら、国民生活に広く関わる平時の国会機能をいかに維持するか。

これこそ国民のための憲法論議としてより優先すべき重要課題ではないかということです。

その意味で、緊急時の議員任期の延長だけでなく、平時の国会機能を維持するための臨時会の招集期限の明記や解散権行使のあり方及びその制限についても、イメージ案の末尾にあるようにセットで議論することを改めて提案いたします。

この点、昨年4月24日の本審査会において、日本維新の会の馬場委員は、日本維新の会、国民民主党、有志の会の3会派がまとめた憲法改正条文案では、臨時会招集要求に係る招集期限を明記しております。

臨時会の招集要求といった、平時の国会機能維持を含めて、憲法改正に積極的に取り組んでまいりたいと発言されています。

また、国民民主党の玉木幹事は、臨時国会の招集要求から実際の招集まで、百日を超えるような例も現実に存在しています。

こうした状況は少数派による行政監視という立憲主義の要請に真っ向から反するものであり、議会制民主主義を空洞化させる重大な問題です。

国民民主党はこの制度的不備を放置するべきではないと考えていますと述べられた上で、憲法改正によって招集期限については明記をすべきと発言をされています。

さらに昨年11月26日の参議院の憲法審において、国民民主党の河合参議院議員は、党としての課題認識として、恣意的ともいえる衆議院解散権行使が続く一方、憲法上の要件を満たしても臨時会が招集されず、国会の統制が十分機能していない三権分立の歪みを是正し、憲法の規範力を再構築して、法の支配を完結させることが、喫緊の課題になっていると述べられています。

これらの発言は、我々の問題意識とも重なるものです。

そこで、平時の国会機能の維持に関する課題の重要性と、その議論の必要性について、日本維新の会や国民民主党はどのようにお考えなのか、来週以降で結構ですので、改めてお伺いしたいと思います。

本日配付された資料をもとに何点か申し上げます。

まず別紙、積み分けメモの③で、40日以内に総選挙実施が可能かが最初の分岐点とされています。

この点、選挙権は極めて重要な憲法上の権利であり、その実効的な行使は国民主権の核心です。

だからこそ、まず問うべきは40日以内に総選挙を行うという憲法上の大前提を可能な限り満たす仕組みを、平時にどこまで構築できるかです。

選挙人名簿のバックアップ、自治体間の協力体制、避難先での投票確保、緊急時の郵便投票の拡充など、平時にこそ取り組むべき課題は多岐にわたります。

議員任期特例は、こうした選挙制度の強靭化を尽くした上での最後の補充制度でなければなりません。

こうした制度整備がどこまで進んでおり、何が足りないのか、本審査会で明確にすべきです。

馬場伸幸 (日本維新の会) ▶ 動画
橘幸信

国会機能維持のために最優先で考えるべきは、選挙の実施であるという、いわば選挙実施優先原則に基づいて議論を進める必要があります。

このように、選挙権の保障、そして参議院の緊急集会の役割を最大限尊重した上でもなお、国会機能維持の観点から制度的空白が生じ得るのかどうか、我が党内でも真摯に検討しているところです。

その上で、仮にそのような制度的空白が認められるのであれば、その空白を補うためのいわば補充条項として一定の制度的対応を創設することは立憲主義にかなうものではないかと私は考えます。

最も補充的なものである以上、実際に発動される場面、すなわち別紙、住み分けメモの⑤、議員任期特例等による対応に当たる場面は、極めて限られたものになると考えられます。

そしてそのような補充条項としての議員任期特例制度を設ける場合、乱用の危険を最大限防止するために、憲法及び法律でその要件を厳格に定め、恣意的な解釈の余地をできる限り狭めることが不可欠です。

とりわけ、議員任期特例の最も重要な要件である、公判制要件、長期制要件について、具体的な基準を明確にしなければなりません。

その際に重要なのは、憲法に何を定め、法律に何を委ねるのか、という振り分けです。

公正に憲法にルールを定めることによって、権力の乱用を防止する、この立憲主義の観点からすれば、要件の核心部分は、憲法そのものに明確に定めるべきです。

その核心部分まで法律に委ねることは相当ではありません。

憲法には法律で具体化する際の枠組みや限界を明記する。

法律ではその範囲内で客観的基準や手続きを具体化する。

こうした振り分けにしなければ、時の多数派が法律改正によって議員任期特例の発動要件を実質的に緩めてしまう恐れがあるからです。

この点、本日示されたイメージ案の「国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域」や、「相当程度長期間」といった要件は、依然として抽象的です。

その具体化が不可欠ですが、その際、憲法レベルでどこまで書き込むのかという視点、さらには要件を詳細化する法律ではどのように定めるのかについても、セットで議論することが必要です。

以上、立憲主義の観点から所見の一端を申し述べ、本日の意見表明といたします。

古屋圭司

馬場伸幸君。

会長。

馬場伸幸

日本維新の会の馬場伸幸です。

先ほど衆議院法制局の橘特別参与より、衆議院法制局及び憲法審査会事務局が作成した緊急事態条項のイメージ案を御説明いただきました。

いつもながら、公正かつ政治的に明快な資料の取りまとめに御尽力された、橘特別参与をはじめ、関係者の方々に深く御礼を申し上げます。

イメージ案は、自民、公明、国民民主、有志の会、維新の5会派が、昨年6月にまとめた骨子案を踏まえたもので、この4年間、本審査会で積み上げてきた緊急事態条項創設をめぐる議論の集大成であります。

我が党はかねて、緊急事態条項をめぐる論点は既に出尽くしている、次のステップに入るべきだと繰り返し主張してきましたが、やっとここまでたどり着きました。

もはや脇見をしているいとまはありません。

本審査会において直ちに条文起草委員会を設置し、イメージ案をベースとして改正条文案の作成に入ることを強く訴えます。

柱は、緊急時の国会議員の任期延長等による国会機能維持、及び国会機能の維持ができなくなった場合の内閣による緊急政令と緊急財政処分です。

後ほど取り上げる参議院の緊急集会との住み分けのほか、選挙困難事態を認定する具体的基準や、国会が事前承認する際の議決要件等、細部においては論点が残されていますが、いずれも条文化の作業を行っていく中で議論すれば、十分折り合えるものと確信しています。

古屋会長には、もう一つの主軸のテーマである9条の改正ともども、是非とも速やかに条文化へと歩みを進めるべく、指揮していただくよう、切に求めておきます。

残る論点のうち、本日は国会議員の任期延長と、参議院の緊急集会との住み分けに関して述べさせていただきます。

緊急時における国会機能維持のための衆議院議員総選挙延期と、議員任期延長の特例、つまり緊急事態条項について、反対勢力、特に参議院サイドでは、なおも憲法54条に規定された参議院の緊急集会を切り札として、その必要性を否定する向きが強いのが実情です。

憲法学の世界において、参議院の緊急集会の役割、機能について諸説あることは承知をしていますが、ここは学校ではありません。

立法府に求められているのは、真に国民と国家の利益にかなう制度は何かという観点であり、無意味なイデオロギー闘争や委員のメンツは排除されるべきです。

憲法54条を素直に読めば、参議院の緊急集会の活動期間は最長70日間であることに疑念を挟む余地はありません。

それを踏まえ、イメージ案では、衆議院解散から40日以内に総選挙実施が可能な場合、および40日を超える見通しでも相当程度長期間未満であれば、参議院の緊急集会で対応するとされました。

参議院サイドからは、70日間に縛られないという主張が公然と聞こえてきますが、緊急集会はあくまで、臨時制の例外措置です。

権限や活動期間を広げるべきではありません。

憲法54条だけでなく、国会法99条や101条、102条の2などを読んでも整合性は見出せません。

参議院の緊急集会をあたかも万能薬のように説く方々の主張によれば、緊急集会は一時的にせよ、参議院のみに国権の最高機関としての権能をほぼ全面的に譲り渡すものであります。

そもそも主権者たる国民の大半は3年ごとに行われる参議院選挙で投票する際、政権を選択する重い覚悟で一票を投じているわけではありません。

むしろ。

玉木雄一郎 (国民民主党・無所属クラブ) ▶ 動画
新藤義孝

与党の政権運営が横暴になったり、腐敗が目立ったりした場合、与党にちょっとお灸を据えるという思いで、日ごろ支持していない野党候補に、やむを得ず一票を投じる傾向が強いことは、各種世論調査の結果でも明らかです。

ましてや、参議院が国会の権限を一手に担う事態まで想定して参議院選挙で投票する有権者は、ほぼ皆無だと考えます。

緊急集会が70日間にとどまらず長期にわたって権限を行使することは、有権者の思いから外れた国会運営になりかねません。

いざというときに乱用される危険性を鑑みれば、緊急事態条項をしっかりと整備することで生じる問題よりも、緊急時の国会機能維持を参議院の緊急集会のみに頼って放置していく危険性の方がよほど大きいと断じざるを得ません。

肝に銘じなければなりません。

イメージ案の資料の最後には、その他国会機能の維持に関する論点が設けられ、通常時の国会機能維持の方策として、臨時会招集期限の明記と、解散権行使のあり方及びその制限について、議論すべきとの意見がある旨明記されました。

この2つのテーマは緊急事態の枠外ながら、我が党は緊急事態条項の条文化及び次に控える9条改正の条文化と並行して、本審査会で大いに議論を進めていけばよいと考えています。

緊急事態条項創設について反対派は権力の暴走につながると主張していますが、改憲反対ありきの上等句にすぎません。

むしろ緊急事態条項創設は、緊急時に権力を縛り、できること、できないことをあらかじめ憲法で定めておくものであることを改めて申し上げ、発言を終わります。

古屋圭司

古屋圭司君次に玉木雄一郎君。

玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)

玉木雄一郎

はい、国民民主党の玉木雄一郎です。

まず衆議院の法制局、橘特別参与から冒頭ご説明いただきました。

本当に丁寧なご説明で、これまでの論点をきちんと整理していただいたこと、心から感謝を申し上げたいと思いますし、ぜひ改憲派、護憲派関係なく、これはぜひ読み込んでいただきたいのと、メディアの皆さんにもまずよくこれを読んでいただいて、それに基づいた現状の報道をぜひお願いしたいというふうに思います。

その上で、国民民主党の考える緊急事態条項、とりわけ選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例等に関する考え方を申し述べたいと思います。

今から申し述べることは、この時系列書にもありましたが、2年前の2024年6月13日の党憲法審査会において、当時の自民党の中谷筆頭幹事から、護憲派の意見を集約代表する形で述べられたものと同じ内容です。

それがまた昨年の6月にも党委員会に示されております。

まず申し上げたいのは、護憲派で合意した考え方をもとに具体的な条文案づくりに着手することが、憲法改正に向けた最も現実的な進め方であることを改めて強調したいと思います。

まず私たちが対応しなければいけない課題は、大規模自然災害等、またこれらに匹敵する事態の発生によって国政選挙を適正に実施できない事態が起こりうるという現実に向き合うことです。

2011年の東日本大震災の際、自治体議員首長選挙を最大8ヶ月延期せずを得なかったその現実から、私たちは目をそらしてはなりません。

選挙困難事態において国会の機能を維持するためには、選挙困難事態の認定手続き、選挙期日及び議員任期の特例を定める必要があります。

まず第一に認定の手続きであります。

この選挙困難事態の認定要件については、まず選挙の一体性が害されるほど広範な地域において国政選挙の適正な実施が困難であること。

先ほどもありました広範性の要件に加えて、70日を超えて困難であることが明らかな場合、長期性の要件を実態的な要件として規定することが必要だと思います。

我々も70日を超えてという具体的な期間を条文上にも入れるべきだという考えです。

また手続要件として、内閣による認定に加えて国会による事前承認を必要とし、その際には三分の二以上の特別多数を求めることで、内閣の一存だけで恣意的に認定できないよう、厳格な歯止めを設けることとしています。

認定する期間も無制限ではなく、これは新藤幹事と同じですが、最長6ヶ月とし、我々は延長する場合には国会承認を必要としつつ、通算で最大1年を限度としてはどうかと考えています。

加えて、司法によるチェックの重要性も考慮し、司法の関与については客観訴訟の制度を新設することで、選挙困難事態の認定の適否を司法の場でも争わせるようにしております。

第二に、選挙期日の特例です。

選挙期日の延期は、選挙困難事態が認定された場合に認められる効果の一つでありますけれども、逆に、選挙困難事態が解消し次第、選挙困難事態の期間の経過前であっても、適正な選挙実施が可能と認められるに至ったときには、速やかに実施すべきとしています。

第三に、議員任期の特例等についてでありますが、議員任期の特例も、選挙困難事態が認定された場合に認められる効果の一つでありますが、具体的には選挙期日の前日まで国会議員の任期を延長可能とし、また解散や任期満了によって身分を失った議員については、その期間中は身分を復活させることとしております。

さらに選挙困難事態の期間中は国会の閉会や衆議院解散を禁止し、加えて権力乱用を防ぐ観点から憲法改正の発議も当然禁止するとしています。

また緊急事態を口実として内閣に権限が集中し、過度に集中することへの、国民の懸念に応えるための方策が必要だと考えるからであります。

また、参議院の緊急集会については、機能拡充を検討することとしております。

具体的には、先ほど橘幸信特別参与からもありましたけれども、解散のときだけではなくて、任期満了のときも、緊急集会が開催できるように、これは条文上明確にしたいと思います。

また、衆議院選挙の実施が40日を超えて70日以内という場合にも、緊急集会を開催することで、しっかりと隙間を明文上埋めたいと思います。

次にオンライン国会について申し上げます。

新型コロナ感染症の際、本憲法審査会で2022年3月3日だと思いますが、憲法第五十六条第一項の出席の概念について取りまとめ、解釈によってオンラインによる出席も含まれると整理をいたしました。

大規模自然災害や感染症の蔓延などにより、議員が議場に参集することが困難な場合には、情報通信技術を活用して、オンラインによる出席を明確に条文上認めるということを明記することとしております。

和田政宗 (参政党) ▶ 動画
玉木雄一郎

最後に緊急事態について申し述べます。

国民民主党は先ほどの表にもありましたが、2022年12月にまとめた条文イメージ案で、国会による法律制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときには、あらかじめ法律で定めるところにより、内閣は法律で定める事項を定める政令を制定可能とする規定を創設することを提案いたしました。

ただ、これは現行憲法下でも可能なことを確認規定として明記したものであります。

また、そもそも緊急政令は国会が機能しないことが前提ですけれども、これまで説明したとおり、議員任期の特例延長、緊急集会の機能の拡充、そしてオンライン国会を可能とする規定を設けた場合には、国会を開くことができず、法律が作れない場合は原則想定されないと思います。

オンライン国会すら開けないときには、内閣による閣議の開催も難しいのではないでしょうか。

正直なところ、当初我々もこの緊急政令案を提案しましたけれども、先ほど申し上げた2024年の6月に5会派でまとめる際も、この緊急政令についてはさまざまな意見があり、その取りまとめの中には入れなかった経緯がございます。

もし合意形成を急ぎ、総理がおっしゃるように来年の春の発議を目指すのであれば、この緊急政令の話はあえて虫返さない方が得策ではないかと考えます。

以上、国民民主党の考えを申し述べましたけれども、来年の春の発議を目指すのであれば、積み上げのない新たな論点を追加するのではなく、2024年6月の5会派の案をベースに、条文案づくりに着地することを求めたいと思います。

追加のテーマとしていろいろ言われますが、通常時の臨時国会招集期限の明記も賛成でありますので、これも条文化を進めればいいと思いますし、参議院で議論が進む5億の解消もやればいいと思いますが、ただ大事なのは、そろそろ何を議論するかよりも何を議論しないかを意識しないと、憲法改正がかえって遠のくことを危惧しておりますので、会見を訴える先生方におかれましても、ぜひその点を意識していただくことを最後にお願いして、国民民主党の発表とさせていただきます。

古屋圭司

古屋圭司君次に和田政宗君。

和田政宗

はい。

参政党の和田政宗です。

まず、緊急事態条項のイメージ案を中立的にまとめられた衆議院法制局、衆議院憲法審査会事務局のご苦労に敬意を払います。

その上で、緊急事態条項のイメージ案について、参政党の意見を申し述べます。

まず、緊急事態の対象範囲ですが、イメージ案では、大規模自然災害、感染症の大規模蔓延、内乱等による社会秩序の混乱、外部からの武力攻撃、その他これらに匹敵する事態となっています。

我々参政党は、緊急事態条項に感染症の蔓延が入っている限り、反対となります。

前回、自民党筆頭幹事は、感染症蔓延が例示に挙げられていても、あらゆる感染症蔓延が自動的に緊急事態になるわけではないと述べられました。

しかし、感染症蔓延については、どういった状況が感染症蔓延なのか定義も曖昧で、WHO等の国際機関が認定すれば、それに従い日本政府も感染症蔓延と認定するのか。

また、ウイルスを人工的に作ったり、PCR検査等の検査を多用することで、恣意的に感染症蔓延と事態認定することが排除できません。

さらに、緊急事態の対象範囲にある「その他これらに匹敵する事態」も定義が曖昧です。

恣意的な事態認定が排除できず、参政党は懸念を持っています。

選挙困難事態については、国会の事前承認が必要であったとしても、日本は議院内閣制であり、時の政権が国会においても多数を占めていることが多く、前回自民党筆頭幹事が述べられた「感染症蔓延が例示に挙げられていても、あらゆる感染症蔓延が自動的に緊急事態になるわけではない」であったとしても、選挙困難事態の認定においても時の政権の意思が強く反映され、感染症蔓延時の選挙困難事態において、恣意的な認定が排除できないと考えます。

そして選挙困難事態ですが、一旦失職した衆議院議員の身分復活が認められるのかという論点は、極めて重要です。

衆議院の解散により、既に議員で亡くなった人物を、選挙を経ることなく身分復活するというのは、議会制民主主義において疑義があるという指摘があります。

衆参同日選挙が予定されている中で緊急事態が発生したとしても、選挙で正当に選ばれた参議院議員の半数は、原則として存在します。

参議院の緊急集会の期間は制限されるという論がありますが、であるならば、緊急集会の期間は制限されないという憲法改正や、緊急集会で決定できる内容を拡充し、フルスペックのスーパー緊急集会の開催で緊急事態に対応するという憲法改正を行うこともできます。

また、緊急政令、緊急財政処分については、国会機能の維持が困難となった場合における国家機能の維持のためとなっていますが、時の内閣の恣意的な感染症蔓延の緊急事態認定で、緊急政令、緊急財政処分が行われる危険性があります。

国会機能の維持における国会を開くことができるか、参集できるかどうかについては、前回も述べましたが、国会

古川あおい (チームみらい) ▶ 動画
和田政宗

国会のバックアップ機能や代替機能を東京とは別の場所に置くことで解決できると考えます。

改めて参政党は、緊急事態の対象範囲に感染症蔓延が入ることには反対し、定義が曖昧であるその他これらに匹敵する事態について懸念を表明します。

そして緊急事態の対象範囲に外部からの武力攻撃が含まれていますが、であれば国防に関する憲法上の規定について、あわせて議論する必要があり、緊急事態条項創設の議論は、憲法9条の根本改正とセットで議論すべきです。

外部からの武力攻撃により、選挙困難事態を認定できるという憲法改正を行っても、それで国家国民を守れるとはなりません。

憲法9条の根本改正を行い、あわせて緊急事態条項についても定めるということでなければ、真に国家国民を守る憲法になりません。

現行憲法は真に国家国民を守る憲法であると言えるかと考えれば、大いに疑問があります。

自衛隊の違憲論争が続くとともに、もし自衛隊を憲法に明記したとしても、現状の自衛隊はその成り立ちと法体系から、警察組織の延長としての行動しかできず、他国の国防軍などと根本的に異なります。

やはり憲法改正に当たっては、相対的な見直しを行い、いついかなる時も国家と国民を守れる憲法とする根本改正が必要と考えます。

GHQが英語で草案をつくった憲法を未来へ受け継ぐのではなく、一から国民の手でつくり直す創憲が必要です。

最後に提起をいたしますが、参議院の憲法審査会で重要項目として審査が続いている合区の解消について、衆議院憲法審査会では深い議論を行わないのでしょうか。

地方の声が失われることなく、しっかりと地方の声が反映される国会を改めて築くことは、喫緊の課題であると考えます。

合区解消については、憲法上どのように規定するのかということが重要ですが、参政党は基本的に賛成を示します。

衆議院憲法審査会においても、合区解消の議論を深めることを提起するとともに、根本的な憲法改正、そして憲法を一から国民の手で作り直す創憲が行われるよう、参政党として強く希望します。

以上です。

古屋圭司

古屋圭司君次に、古川あおい君。

古川あおい

古川あおい(チームみらい)はい。

チームみらいの古川あおいです。

本日は、緊急事態条項のイメージ案についての意見とともに、議論の前提についても一言申し上げます。

憲法審査会における議論の出発点は、国民の生命や生活を守るという観点から、憲法上の課題や関連する法制上の課題について検討し対応していくことであり、憲法改正というのはあくまでその手段の一つです。

憲法改正については慎重な議論を求める意見も依然としてある中で、結論ありきではないという前提を改めて述べておきます。

その上で、憲法改正の議論においては改正すべきか否かという形の問いの立て方になりがちですが、具体的な問題解決に向けた議論としては、改正を行った場合と行わなかった場合のメリットとデメリットを具体的に比較した観点で議論をすることが重要であると考えます。

例えば、今回テーマとして扱われる緊急事態条項については、明示的な規定を設けることで、非常時に毎回解釈を積み重ねることのコストや対応の遅延を避けられること、また慌ただしい状況での議論が適切な判断を妨げるリスクをある程度回避できる可能性が挙げられます。

一方で、そうした目的は適切な立法があれば達成できるという考え方や、緊急時のためにと設けた規定が、恣意的に運用されるリスクについても指摘があります。

特に今回テーマとなっている緊急事態における対応のような論点においては、非常時のために設けられた規定が、恣意的に運用される可能性の懸念が特に強い分野でございます。

今後の議論の進め方としては、達成したい状況について合意をした上で、その手段について議論を進める。

手段の一つとしての憲法改正については、その効果と懸念を比較しながら、懸念をどう最小化するかをセットで具体的に議論をすることが建設的な議論になるのではないかと考えます。

その前提の上で3点申し上げます。

第1に前提となる事実の整理についてです。

今回は衆議院の法制局より具体的な条文イメージ案を提出いただいております。

議論の起点として具体的な条文や論点が示されたことは議論を進めていく上で有用なものだと考えます。

一方で改正の条文案というものは内容が固まれば一定技術的に決まっていくものでもあり、まずは中身の議論を進めることが重要であると考えます。

その上で選挙困難事態における国会機能の維持について申し上げます。

衆議院の不在時に非常事態が生じた場合については、参議院の緊急集会でどのような場合でも対応できるのか、という点について議論があるところです。

しかし仮に参議院の緊急集会で基本的に対応できるという立場をとっても、それで十分とは言い切れない事態があるということについて考える必要があります。

参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選されます。

選挙困難事態が仮に3年を超えれば参議院議員は半数以下になり始め、6年を超えれば参議院議員自体がいなくなるということがあり得るわけです。

ロシアによるウクライナへの侵攻からは、すでに4年以上が経過しており、全く想定できない事態とも言えません。

衆議院が不在時には、参議院で対応すればよいという考えに立っても、こうした緊急事態については、どのように整理するべきなのか、現行制度に対応できるのか、できないとすればどのような手当が必要なのか、議論が必要だと考えます。

第2に、今回のイメージ案に含まれる項目の切り分けについてです。

今回のイメージ案には、性格の異なる複数の項目が含まれており、切り分けて議論することが望ましいのではないかと考えます。

選挙困難事態に関する立法事実については、令和7年3月13日の衆議院憲法審査会で提出された資料のように、個別の災害ケースについて具体的に検討されるなど、一定の議論の蓄積があると認識しております。

また、国会機能の維持という観点では、国会のオンライン出席も手段の一つとして検討に値します。

コロナ禍においても、その必要性が重点的に議論され、参考資料1にあるように、一定の整理が形にもなっています。

国会におけるオンライン出席については、非常時のみならず、平時の議会機能向上としても有益であり、憲法改正が必要かどうかという議論と並行して、どのような場合に認めるべきかや、技術的な課題について、具体的な検討を進めるべきではないかと考えます。

一方、緊急政令、緊急財産処分については、どのような具体的な事態において、これが必要になるのか。

選挙困難事態等と比較して、まだ明らかではないと考えます。

緊急政令、緊急財産処分は。

畑野君枝 (日本共産党) ▶ 動画
畑野君枝

国会の関与なしに効率や予算に変わる措置を可能とするものであり、日本国憲法がそもそも明治憲法下の緊急勅令、緊急財産処分という措置を廃止し、緊急時においても議会の統制を維持することを制度設計の根幹に据えた経緯を踏まえれば、この項目については慎重な議論が必要です。

こうした現行憲法においての例外を設けるには、どのような事態に対応するために必要なのかという問いへの丁寧な答えが、先に必要になるものと考えます。

第3に、事態認定の統制についてです。

今回の論点5の中に、選挙困難事態の認定の適否は、事態終了後の国政選挙によって判断されるため、裁判所の関与は不要という考え方が示されていますが、この点について申し上げます。

選挙は民意を伝える手段として、情報量が極めて限られており、1票の意味は多義的です。

全力で支持した1票も、ほかに選択肢がなく投じた1票も、制度上は同じ一票です。

投票は白信任ではなく、特定の政策判断への賛否を明確に問える手段ではないと思います。

また、選挙困難事態の認定を行った政権が、都合の良いタイミングで選挙を実施する可能性も考えられます。

こうした判断を行政府が単独で行い、その是非を事後の選挙結果のみで問うという仕組みは、権力統制として十分とは言えないのではないかと考えます。

最後に、今回の議論テーマの一つが選挙困難事態ですが、仮に例外を設けるにしても、そもそも選挙困難事態が生じないのが望ましいという点については、皆様御理解いただけるかと思います。

以前も申し上げたことですが、平時とされる現在においても、投票アクセスが十分に確保されているとは言えない方々がいます。

離島、在外、障害のある方など、今この瞬間も選挙権の行使が困難な状況にある方々がいます。

緊急事態条項の議論が選挙権の保障を根拠とするならば、この状況にも同様に真剣に向き合うべきではないでしょうか。

また、選挙困難事態を前提として受けるのではなく、そもそも災害や有事においても選挙が実施できるよう、制度を強靭にするという発想も重要です。

インターネット投票の導入など、選挙制度のあり方を検討することで、選挙困難事態そもそもの発生リスクを下げることができる可能性があります。

また、イメージ案においても、選挙困難事態には一定の条件を設けるべきであるという前提に立っており、この方向で憲法改正を仮にするにしても、厳しい状況において選挙を実施しなくてはならないという可能性は依然として残り、こうした状況において選挙を実施する方法については、具体的に検討していく必要があると考えます。

以上です。

古屋圭司

古屋圭司会長「次に、畑野君」

畑野君枝

畑野君枝「日本共産党の畑野君枝です。

まず、きょうの運営についてです。

冒頭、法制局に緊急事態条項のイメージ案なるものを報告させました。

前回一部の会派から条文のイメージ案を作るべきだという主張はありましたが、それは全体の合意になったものではありません。

そもそも法制局や審査会事務局は、中立公平な立場で審査会の運営に関わることが求められています。

にもかかわらず、イメージ案なるものを作らせ、あたかも改憲議論が進んでいるかのように喧伝するやり方はやめるべきです。

イメージ案といいますが、今後のさらなる深掘りの議論の素材とされているように、その内容は緊急事態条項が必要だと主張している政党の意見を並べたものだということも指摘しておきたいと思います。

次に緊急事態条項についていくつか意見を述べます。

まず緊急事態とは何かということです。

この間の議論では、大規模災害、感染症の蔓延、戦争が挙げられてきました。

しかし、東日本大震災やコロナ感染症の蔓延でも、緊急事態条項がないから対応できなかったという事態は起きていません。

日本弁護士連合会が東日本大震災の被災自治体に行ったアンケートでも、憲法が人命救助の障害になったと答えた事態はありませんでした。

災害や感染症は個別の法律で対応すべき問題です。

災害時に救助や避難などに当たる地方自治体が、人員や財源を確保していることが重要です。

災害対応では、地方財政を抑圧し、合併などの広域化によって対応を困難にさせてきた国の政策こそが問われるべきです。

感染症対策も、コロナ禍で浮き彫りになったのは、病床や人員を減らし、医療や保健所の体制を削減してきた自民党政治の問題です。

その責任を棚に上げ、憲法に責任を押し付けるのは筋違いです。

にもかかわらず、緊急事態条項を憲法に盛り込む目的は、戦争を想定した体制の整備だと言わざるを得ません。

自民党は緊急政令や緊急財政処分を主張していますが、これは国会の権限を奪って内閣に権力を集中させ、人権の制限を可能にするものです。

明治憲法下で乱用された緊急勅令を彷彿とさせるものです。

高市政権が進める戦争をする国づくりと一体であり、断じて認められません。

国会議員の任期延長の議論も問題です。

国民の負託に基づくものです。

日本国憲法は前文の冒頭、『日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し』から始まり、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないように決意し、主権が国民に存すると宣言しています。

この下で国民の代表である衆議院議員の任期を4年、」参議院議員は任期6年で3年ごとの半数改選とすることで、定期的に民意を国政に反映させ、権力を民主的に統制することを定め、国民主権の原理を徹底しています。

選挙困難事態と称して、1年も任期延長を認め、国民の選挙権を停止することが許されるでしょうか。

参政権を侵害し、国民主権と民主主義を歪めるものにほかなりません。

前回、言及のあったマッケン・ウェン教授は、著書の中で次のように述べています。

選挙の延期は、有権者の意思を問う機会を延期することと同義であり、国民の支持を失った政府が政権を維持することに道を開きかねないとしています。

長谷部恭男早稲大学教授も、審査会の意見陳述で、任期の延長された衆議院と、それに支えられた従前の政権とが、長期にわたって居座り続けると警鐘を鳴らしています。

この憲法学者の指摘は、任期延長論の本質をつくものであり、歴史の教訓そのものです。

日中戦争下の1941年、当時の政府は、衆議院議員の任期を立法措置によって1年間延長しました。

挙国一致の選挙遂行体制の確立が必要なときに、短期間でも国民を選挙に没頭させることは、不必要な議論を誘発するというのがその理由でした。

選挙を延期し、国民の声を抑え込んだもとで、東南アジアへの戦線拡大と真珠湾攻撃に踏み切り、無謀な戦争に突き進みました。

この痛恨の反省から、戦後の日本は、権力者の都合による任期延長を防ぐために、法律ではなく、憲法に国会議員の任期を規定したのです。

国会議員の任期延長のために、憲法を変えようというのは、この歴史の教訓を踏みにじるものです。

憲法制定議会で、金森徳次郎担当大臣は、国会議員の任期を自ら伸ばすことは、はなはだ不適当であり、そのために、憲法に任期を明記した。

選挙で国会が国民と表裏一体化しているかどうかを現実に表すことが重要だと述べています。

任期延長の口実として国会機能の維持が強調されていますが、その大前提は国会が国民に正当に選挙された議員で構成されていることです。

国民の信任を得ていない議員が長期にわたって居座ることは、許されません。

任期延長は議員自らの保身のための議論でしかありません。

このような改憲を国民が求めているでしょうか。

国民が求めていない改憲のための議論はするべきではないと改めて申し上げて発言を終わります。

古屋圭司

古屋圭司会長これにて、討議は終了いたしました。

次回は後ほどお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。