委員の皆様、おはようございます。
本日はこのような貴重な機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
NECから参りました植松と申します。
本日、サプライヤーの立場から事業継続あるいは安定供給のための課題とその取組に絞って述べさせていただきます。
事業の現場の生の声として、委員の皆様の法案検討の一助になれば幸いでございます。
それではお手元の資料に沿ってご説明申し上げます。
既に御承知かもしれませんけれども、海底ケーブル市場は主にハイパースケーラーが牽引して、年間3000億円から5000億円規模に伸長すると予想しております。
これに対して弊社ではさまざまな施策を講じて、市場シェアの拡大であったり経済効果を目指しております。
しかしながら、変動幅が大きくて不均一な市場の伸長ということもありまして、企業単独での大型の投資というのは慎重にならざるを得ないということもあります。
成長期待だけではなくて、この大きな波、市場の波に耐えうる供給力と持続力と、こういったものを持つことも必要と考えております。
経済安全保障の観点からも、海底ケーブルは単なる通信設備ではなくて国家や社会を支える重要なインフラですから、企業の収益事業にとどまらず、日本の産業基盤と安全保障に資する重要分野であると考えております。
次のページから課題についてご説明いたします。
まず課題1の敷設船の保有と海洋工事ナレッジの状況でございます。
弊社の海底ケーブル事業は、実は2年連続の赤字という厳しい状況にあります。
その原因を分析すると、実に海洋工事に起因するものが7割を占めています。
将来にわたって持続可能な収益事業とするためには、まずはこの点を克服しなければなりません。
競合と比較してみますと、決定的に違うのは敷設船を自社で保有していないという点でございます。
競合は2社とも自社船を保有しておりますし、業績好調な米国サブコムに関しては、船を使う米軍の仕事で船の稼働を上げているというのも特徴的な点かと思います。
弊社は長期チャーターとスポットの契約で数隻使っておりますが、配船計画やコスト、あるいは工期のコントロールというのも、必ずしも弊社の意図するとおりには行っておりません。
業界全体では敷設船の老朽化が確実に進んでおります。
このままチャーター依存では敷設能力が危うくなるというふうに見ております。
当面は伸長する市場、そして敷設船の老朽化、そして造船上の生産能力も考えると、自社船保有に踏み切るというのは、まさに今がベストなタイミングかなというふうには考えています。
保有する船舶は新しくつくる新造船ですので、最新技術で工事効率を上げるような、そういう改善も考えていきたいと思っております。
さらには高度なスキルでリスクマネジメントする工事技術者というものの育成も計画しております。
海底ケーブルの安定供給には船舶とナレッジ、すなわち人になりますけれども、これが最優先の課題と考えております。
次に課題の2で、生産設備と技能者の拡充です。
生産拠点は、いずれも国内にあって管理はしやすいんですが、ケーブルと海底装置の生産拠点が、それぞれ北九州と山梨県の大月の1か所ずつしかございません。
災害などがあれば、生産がストップしてしまうという、そういった懸念もございます。
北九州では敷設船への積み込みまで行うんですが、積み込み経路が今2本なんですね。
そのうち1本が破損している関係で、今1本での運用になっています。
さらには岸壁なんですが、これは公共施設ですので、一定の制約がございます。
弊社の取組としては、まず技術競争力の源泉となる大容量のケーブル、多芯マルチコアと称しております。
大容量のケーブルの生産設備の増強です。
従来のケーブルであれば、生産能力にまだ余裕はあるんですが、価値を出すためには、やはりこの大容量ケーブルの生産ラインの構築、さらには技能者といったものが必要になってきます。
そして設備の脆弱性の解消のためには、当然もちろんですし、遠隔地でケーブルを備蓄するようなデポも検討を始めようと考えております。
次のページで課題の3です。
原材料の仕入れと許認可の短縮です。
原材料については、現時点では価格高騰はあるんですけれども、何とか入仕はできています。
ですが、この先の社会情勢、既にも今がそうかもしれませんけれども、深刻な問題となるような懸念は当然持っております。
もう1つの許認可の方が、実は材料よりも深刻な問題です。
国によって違いはあるんですけれども、主には海洋工事と陸上工事に関する許認可の取得がものすごい複雑で、かなり長期化してしまっています。
この許認可の遅れというのは、当該の契約だけでなく全体の生産計画、敷設計画に影響しますので、実はこれだけでも億単位の原価増というものが発生しております。
これは競合にとっても同じ条件ですので、この許認可の短縮というのは業界全体の課題であると考えています。
もしこれが解消すれば工事の定時性が高まりますから、安定供給はもちろんですが、海底ケーブル産業そのものもさらに伸長する可能性ももしかしたらあるのではなかろうかというふうに思います。
この海底ケーブルの業界の商慣習といえば商慣習なんですけれども、原材料の高騰とか許認可の遅れ、そういった外的要因のリスクというのは、多くは受注者側が負うようになっています。
敷設ケーブルのオーナー様とのリスクのシェアの交渉であるとか、原材料については国内の業者との交渉を進めているところでございます。
許認可については社内に専任を配置しておりまして、海外各国については専門の許認可のエージェントを活用しています。
次に課題の4です。
これが最後ですけれども、不可欠な技術の研究開発を挙げさせていただきました。
不可欠な技術がないともう価格競争に陥って、体力を持たないんですね。
技術戦略の1つは、先ほどもう少し触れた大容量の技術というふうに考えています。
これはマルチコアファイバーという技術で、資料中ではペタビットという言葉も使っていますけれども、これは通信容量を示す単位です。
従来の海底ケーブルと比較して、2倍、20倍といった大容量で、実は太さが変わりないものですから、工事効率も変わらず、技術的にはかなり高度なもので、髪の毛ほどのファイバーの中に光の通り道が2本入るというものです。
最近はこの工事のコストというものはかなり高騰していますので、この大容量のケーブルを1回の工事で引けるというのは、このケーブルのものが敷設にとっても大きなメリットかなというふうには思います。
海底ケーブルはこの長い歴史の中であえて存在を知らせることのないように、というそういう考えのもと普及していきたい。