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今般の民法改正案では、成年後見制度の抜本的な見直しが行われています。
この改正の目的、理念は端的に言うと何なのかお伺いします。
成年後見制度を利用する本人の事理弁識能力が不十分であっても、本人の尊厳にふさわしい生活の継続や、本人の権利利益の擁護等を一層図る必要があり、そのためには本人の意思決定をより尊重することが重要でございます。
民法等改正法案においては、このような理念を基本として、成年後見制度の見直しを行っているところでございます。
衆議院(委員会名不明)において、成年後見制度の改正案を巡り、平口洋氏や松井信一氏、厚生労働省副大臣らが出席し、参考人質疑が行われました。主要テーマとして、本人の自己決定の尊重と保護の両立、特定補助制度の新設、および地域権利擁護相談支援センターの整備と予算確保について議論されました。また、後見人の選任基準や報酬の適正化、任意後見制度との併存、保管証書遺言の創設による所有者不明土地問題への寄与など、多角的な視点から制度の運用と課題が検討されました。最終的に、民事法制と社会福祉の一体的な改革を通じて、本人の尊厳にふさわしい生活を支援する体制構築の重要性が確認されました。
- 成年後見制度の抜本的な見直しの目的と理念は何か
今般の民法改正案では、成年後見制度の抜本的な見直しが行われています。
この改正の目的、理念は端的に言うと何なのかお伺いします。
成年後見制度を利用する本人の事理弁識能力が不十分であっても、本人の尊厳にふさわしい生活の継続や、本人の権利利益の擁護等を一層図る必要があり、そのためには本人の意思決定をより尊重することが重要でございます。
民法等改正法案においては、このような理念を基本として、成年後見制度の見直しを行っているところでございます。
- なぜ本人の自己決定や意思を尊重するのか
國重徹(中道改革連合・無所属)今、大臣の答弁の中で、本人の意思決定をより重視するというような旨のことを述べられました。
ではなぜ、この自己決定を尊重し、本人の意思を尊重するのか、お伺いします。
平口洋(法務大臣)令和4年3月に閣議決定された第2期成年後見制度利用促進基本計画において、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続等を十分考慮した上で、制度の見直しに向けた検討を行うものとされたところでございます。
このことも踏まえて、令和6年2月に法制審議会に成年後見制度の見直しに関する質問をしたところでございます。
先ほどお答えしたとおり、本人の尊厳にふさわしい生活の継続等を一層図るためには、本人の自己決定をより尊重することが重要であると考えております。
- 本人の意思を尊重することが、その人の尊厳や幸せにつながるという認識でよいか
- その通りであると認識している
國重徹(中道改革連合・無所属)なぜなんですかと聞いたんですが、本人の意思を尊重するというのは、今大臣のお言葉で言うと、その人の尊厳、その幸せにつながるから、自己決定を尊重するんだということでよろしいでしょうか。
平口洋(法務大臣)そのとおりだと思います。
- 自己決定を重視する改正内容において、本人保護が不十分になることはないか
他方で、これまで重視していた本人保護もやはり重要であります。
今般の改正案は、この自己決定の尊重に重きを置く内容ではありますけれども、この内容でも本人保護が不十分になることはないのかと、明快な答弁を求めます。
平口洋(法務大臣)本法案では本人に必要な範囲で補助の制度を利用することを可能としております。
申立て人は、制度の利用動機となる法的課題を把握しており、本人に必要な審判等の申立てをすることが期待できるところでございます。
したがって、今般の改正により、本人の保護に欠けることにはならないと考えております。
- 本人保護のために制度利用が必要だが、本人が利用を拒否している場合、それでも意思を尊重して審判を行わないのか
この点、今般の改正案では、自己決定の尊重の表れとして、補助開始の要件の一つとして、本人の同意、これが明記をされました。
これについて、例えば、本人保護のためには制度利用が必要だと思われるものの、本人は利用を拒否しているような場合、このような場合はどうするのかと。
それでもなお、本人の意思を尊重するのかどうかお伺いします。
現行法では、補助人の同意を要する審判がされることにより、その範囲で本人の行為能力が制限され、また、代理権付与の審判がされることにより、自己決定権が一定程度制約されるとの効果を生ずる点を踏まえ、本人の自己決定を尊重する観点から、本人が補助の制度の利用に関して同意していることを要件としております。
民法等改正法案でも、本人の自己決定を尊重することとしているため、本人の同意を要件とする規定を維持し、その上で本人が同意の意思を表示することができない場合には、本人同意を審判の要件としないこととしております。
従いまして、お尋ねのように、本人が同意という行為をする意思能力を有している場合に、制度の利用を拒否しているとすれば、本人同意の要件を欠き、補助開始の審判をすることはできないものと考えております。
ただし、周囲の者からの虐待などの不当な働きかけがあって、これによって本人が制度を利用することを適切に理解・検討することができずに、制度の利用を拒否するという意思決定に至っているような場合には、本人が同意の意思を表示することができない場合に当てはまると解する余地もあると考えられ、このような場合には補助開始の審判をする余地もあると考えております。
- 後見人が本人の意思や真意を適切に汲み取るために、今後どのような取組を行うのか
他方で本人の意思を尊重するという、今回の改正の理念、これは重要ですけれども、じゃあ実際にどうやって本人の意思、真意というのを汲み取っていくのか。
家族とか福祉のプロであったとしても、被補助人の意思を汲み取るというのは、そうそう簡単なことではないケースもあると思います。
後見人が本人の意思、真意を汲み取っていくために、どのような今後取組を行っていくのか、お伺いします。
民法等改正法案では、補助人は、その事務を行うにあたって、本人の心身の状態に応じて、適切な方法により、その意向を把握するようにしなければならないこととしております。
補助人による本人の意向の把握は、本人に対し補助の事務に関する情報の提供をして、本人の陳述を聴取する方法や、本人との関係が良好な親族からその陳述を聴取する方法がありますが、これらに限られません。
例えば、かねて本人について、権利擁護支援の地域連携ネットワークによる支援が行われている事案においては、当該ネットワークの構成員が本人の意向を把握していると考えられることから、その方から、その陳述を聴取する方法もあると考えております。
- 中核機関(地域権利擁護相談支援センター)の設置率が不十分で現場が予算・人材不足である中、厚労省として必要な確保を行う考えはあるか
現在でも後見人等が入って作られるチームとして、中核機関、具体的には地域権利擁護相談支援センターという仕組みがあって、この設置が全国で進められています。
ただ、このセンターの設置率は全市町村の77%。
これを多いと見るのか、少ないと見るのか、これ人によって違うと思いますけれども、全国で見るとですね、まだ2割以上も設置されていないと見ることもできます。
しかもあったとしてもですね、看板だけで中身が伴わないケースもあるというふうに聞きます。
この運営主体となっているのは市町村、また社会福祉協議会ですけれども、予算不足と人材不足で大変な状況にあります。
精一杯頑張っておられる現場の皆さんに、新たなことで負担を押し付けるだけではなくて、厚労省としても必要な予算と人材をしっかりと確保していくべきだと思いますけれども、副大臣の見解をお伺いします。
その上で、こうした取組を制度上にしっかりと位置づけ、特に中核機関が整備されていないことが多い、小規模市町村などの体制整備を促進する観点からも、今般国会に提出いたしました、社会福祉法等の一部を改正する法律案において、判断能力が不十分な方の権利擁護支援に係る市町村の事務を明確化した上で、その中核的な役割を担う機関として、地域権利擁護相談支援センターを法律に位置づけるなど、必要な制度的対応を盛り込んだところでございます。
中核機関につきましては、小規模な自治体において、設置が進んでいない現状があることから、都道府県とも連携し、設置に向けた支援を行うとともに、既に設置されている自治体におきましても、中核機関が地域において必要な機能を発揮できるよう、国における研修等において、好事例の共有を図るなどによりまして、市町村における適切な支援体制の構築を支援したいと考えております。
また、基本計画に基づく中核機関の整備に向けては、費用対効果につき、不断の検討を行いつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
- 補助人選任時の考慮要素において、本人の意見を最後から冒頭に記載し直した趣旨は何か
- 本人にとって適任の者を選任する観点から、本人の意見を重視すべきことを明確にするためである
補助開始の要件の1つとして、本人の同意のほか、補助人の選任時に本人の意見を考慮要素とするという規定があります。
これ民法876条の2ですね。
これにつきまして、現行法では、成年後見人等の選任時の考慮要素の最後に本人の意見がありました。
これを改正案では考慮要素の冒頭に記載するようにしています。
このように最後から冒頭に置き換えた趣旨は何でしょうか。
御指摘のとおり、民法等改正法案では、補助人の選任の際の考慮要素として、冒頭に本人の意見を規定することとしております。
これは本人にとって、適任の者を選任する観点から、本人の意見を重視すべきことを明確にするためでございます。
- 記載順序を最後から冒頭に変えることで、法的な意味や効果は変わるのか
- 現行法でも考慮されており実務上も考慮されているが、改正の趣旨が周知され、運用において十分に考慮されることに意義がある
これ記載順序を変えてですね、最後から冒頭に入れ替えることによって、法的な意味、法的効果というのは変わるんでしょうか。
現行法におきましても、本人の意見は補助人の選任の際の考慮要素として規定されており、家庭裁判所では補助人の選任の際に本人の意見が考慮されております。
その上で、民法等改正法案では補助人の選任において本人の意見を重視すべきことを明確にするため、本人の意見を規定の冒頭に置くこととしておりますが、このような改正の趣旨が周知され、運用に当たり十分に考慮されることに法改正の意義があるというふうに考えております。
- 本人の意見を冒頭に置いたことは、これまで本人の意見が十分に考慮されていなかったという反省によるものか
とすると、今回そのように冒頭においたという言葉、これまでは本人の意見が、十分は考慮されてなかったという反省によるものなのかどうなのかお伺いします。
現行法でも本人の意見は補助人の選任の際の考慮要素として規定されており、家庭裁判所は本人の意見を考慮し、個々の事案で最も適任と認められるものを選任しているものと承知をしております。
その上で法制審議会の部会では本人の自己決定をより尊重するという観点からは誰からの支援を受けたいかという本人の意向を反映させることをより明確にするべきであるという意見が述べられたところです。
このような部会での意見を踏まえ民法等改正法案では先ほどのような改正を試みているところです。
- 事理弁識能力が回復していなくても「制度利用の必要がなくなった」として利用終了できるケースとして、具体的にどのような場合を想定しているか
これまでは事理弁識能力が回復しない限り、後見制度等をやめることができませんでしたけれども、改正案では、事理弁識能力が回復していない場合であったとしても、制度利用の必要がなくなったと、家裁が認めれば、利用終了できるようになりました。
まず、確認ですけれども、この制度利用の必要がなくなるケースとして、具体的にどのようなケースを想定しているのか、お伺いします。
必要がなくなったと認めるときとの要件は、補助の制度を利用することによる保護の必要がなくなったことを意味しております。
補助に係る各審判の必要がなくなった場合としては、補助の制度を利用する動機となった法的課題が解消した場合が考えられます。
具体的には、例えば遺産分割に対応するために補助の制度を利用して、補助人に遺産分割の代理権が付与された事案では、その遺産分割が終了した場合、というものが想定されます。
- 制度利用終了後の受け皿となる日常生活自立支援事業において、社協の負担が大きく待機者が多い中、予算と人材を確保して対応する考えはあるか
利用終了後の支援として、想定されるものは様々ありますけれども、その一つに、日常生活自立支援事業というものがあります。
一方で、この事業も担い手である社会福祉協議会はもう手一杯の状況にあります。
制度の見直し後は新たな第二種社会福祉事業と位置づけることによって、社協以外にも担い手を広げることを目指しておりますけれども、現在も相当数の待機者が出ておりまして、全国で3000近い待機者がいるとの話も伺っています。
もちろん、この制度利用を終了した人のすべてを日常生活自立支援事業、あるいは新たな第二種社会福祉事業で受けるわけではありませんけれども、それでも、さらなる需要の増加が見込まれることは確実です。
ですから、人と予算を確保しなければ、現場がパンクしてしまいます。
そこで長坂厚労副大臣、厚労省として、これについても責任感を持って対応していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
委員御指摘のとおり、福祉サービス、保健医療サービス等利用援助事業は、第2種社会福祉事業であることから、事業の経営の主体については制限を設けておらず、幅広い主体に参加いただくことを期待をいたしております。
一方、全国どの地域でも援助を受けることができるよう、現在の福祉サービス利用、都道府県の区域内で着実に事業が実施されるための必要な事業の実施を義務づけております。
その上で社会福祉協議会が事業を実施するにあたり必要な対応につきましては、支援を担う人材育成のあり方も含めまして、同様に法律上実施義務のある現在の福祉サービス利用援助事業における取扱いも参考にしつつ、本事業が利用料収入による運営を原則としている点や、他の民間事業者も担い手になる点といった特徴も踏まえて、今後の予算編成過程で検討してまいりたいと考えております。
- 特定補助の対象となる「事理弁識能力を欠く状況」の定義は何か
- 定義は置いていないが、社会生活上通常経験する事務について、内容を理解し利害得失を検討して態度を決定できる可能性がないことがほとんど常況にあるものと整理している
事理弁識能力に欠く状況にあるものが対象で、法定の重要な財産行為についての取り消し権をパッケージで設定できる制度になっています。
まず確認しますけれども、事理弁識能力を欠く状況、この定義は何なのかお伺いします。
民法等改正法案では、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものについては定義を置いておりません。
法務省としては、法制審議会の部会での議論も踏まえ、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものの内容を明確にする観点から、社会生活上、人が通常経験する事務について、その内容を理解し、考えられる解決の利害得失を検討して、態度を決定することができる可能性がないことが、ほとんど常況にあるものと整理をしているところでございます。
- 今回提示された定義の内容は、これまでの「日常的な買い物も自分ですることができず、誰かに代わってもらう必要がある」という説明と同じか
これはできる限り、この概念をはっきりさせようというような意図だと思いますけれども、この事理弁識能力を欠く状況というのは、これまでも後見の要件とされてきました。
その定義として、日常的な買い物も自分ですることができず、誰かに代わってやってもらう必要があるものと説明されてきましたけれども、今答弁のあったこの定義の意味内容というのは、これまでのものと同じなのか、違うのか、ここは特定補助の認定に関わることなので、明快な答弁を求めます。
事理を弁識する能力を欠く状況にあるものとの文言は、平成11年の民法改正時に禁産制度を成年後見制度に改めた際に規定されたものであり、御指摘のとおり一般に日常の買い物も自分ですることはできず、誰かに代わってやってもらう必要があるものなどと説明されてまいりました。
民法等改正法案でも、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものという文言を維持しておりまして、先ほど述べた整理は、その内容をさらに明確にする観点から整理したものでございます。
- 事理弁識能力を欠く状況にある者を対象とする「後見」と「特定補助」の違いは何か
それではですね、同じく事理弁識能力を欠く状況にあるものであることが要件とされるですね、後見とこの特定補助ですけれども、この両者の違いというのは何なのかお伺いします。
両者の違いについて、まず、事理弁識能力を欠く状況にあるものは、現行法の下では、後見の制度しか利用できませんが、民法等改正法案の下では、補助の制度のみを利用することも、特定補助の仕組みを利用することもできます。
また、後見は、成年後見人に包括的な代理権及び取消権を一律に付与する制度でありますが、特定補助は、法定の重要な財産行為に限り、いずれも取り消すことができるとするものであり、個別の代理権付与の申立により、本人にとって必要な範囲で代理権が付与されるにとどまるものでございます。
- 後見と特定補助における「必要性」の判断における違いは何か
今御答弁で、特定補助の利用に係る必要性の要件についても言及がありました。
確実性にはどのような差があるのか、両者における必要性の違いは何なのかお伺いします。
特定補助人を付する旨の審判をするための要件としての必要があると認めるときとは、本人を保護するため、法定の重要な財産行為をいずれも取り消し可能としておくことが必要であることを意味しております。
他方で、補助人の同意を要する旨の審判をするための要件としての必要があると認めるときとは、審判の対象とされた特定の行為を取り消すことができることとしておくことが必要であることを意味していると解されます。
いずれにつきましても、必要性の判断においては、本人が行為の利害特質を理解し、検討することなく、その行為に及ぶ危険があるかどうかが問題とされるものであり、将来の予測を含むものであると考えております。
- 特定補助の必要性を判断する際の将来予測に、漠然とした不安感も含まれるのか
- 漠然とした不安感があるだけでは、本人が不利益な行為をする危険があるとは言えず、必要性の認定は困難である
まず特定補助の必要性の判断における将来の予測、これには漠然とした不安感も入るのかどうかお伺いします。
特定補助人を付する旨の審判をする必要性は、具体的には、本人が外形的に法律行為と見える行動をとる可能性があり、かつ、その利害特質を理解し、検討することなく、法定の重要な財産行為に該当する不利益な行為をする危険があることを内容とします。
従いまして、御指摘のような漠然とした不安感があることのみでは、本人が不利益な行為をする危険があるということは困難であると考えております。
- 特定補助の必要性判断において、どの程度の時間軸や確実性が求められるのか
それでは、この特定補助の必要性の判断において、どの程度の時間軸における、どの程度の確実性のある必要性がいることになるのか、これはちょっと難しいかもしれませんけれども、あえてお伺いします。
特定補助人を付する旨の審判をする必要性は、家庭裁判所において審判時までに現れた事情に基づき、審判時における本人の状況を踏まえて判断されるものですが、個別の事案に応じて、種々の具体的な事情を考慮して判断されるため、お尋ねの時間軸の程度について一概にお答えすることは困難でございます。
もっとも、相当遠い将来に危険があるとの主張がされた場合には、一般的には、それを適切に予測し、審判の必要性があるとすることは困難であると考えられます。
また、お尋ねの確実性の程度についても、一概にお答えをすることは困難ですが、先ほどお答えしたとおり、漠然とした不安感があることのみでは、一般的には、本人が不利益な行為をする危険があるとは言えず、審判の必要性があるとすることは困難であると考えております。
- 特定補助の対象として想定される具体的なケースと、逆に当てはまらないケースはどのようなものか
難しい質問だったと思いますけれども、ギリギリというか、精一杯答えていただいたとは思いますが、その上で、法務省として、特定補助の対象として、具体的にどういうケースを想定しているのかと、逆に一見すると、これ入りそうなんだけれども、こういう場合は当たらないというような具体的な例として、どういうようなケースを想定しているのか、お伺いします。
特定補助人を付する旨の審判の必要性が認められる具体的な事案としては、例えば、本人が認知症等で通院治療等を受けつつ、地域社会で生活をし、名前等を記載することができるような活動をすることができ、過去に重要な財産行為について不利益な取引をしたことがあり、特定補助人を付する旨の審判の請求権者が本人との間でコミュニケーションを十分に取れないなど、本人の行動を的確に予測することができない事案が想定されます。
他方で、例えば、宣言性意識障害にあるなど、本人が事理弁識能力を欠く状況にあるものであっても、その精神の状況等に照らして、およそ外形的に法律行為と評価される行為をすることがないなど、法定の重要な財産行為をする可能性がない事案や、親族等の第三者の支援により、本人が単独でそうした行為に及ぶ可能性がない事案では、特定補助人をする旨の審判の必要性が認められないことがあると考えられます。
- 契約行為を行う可能性がない場合に補助で個別に取消権を設定するだけで、十分な本人保護が図れるのか(包括的に取り消せる方が守られるのではないか)
要はですね、自分の名前が書けなかったりとか、会話が困難であったりとか、そもそも契約行為を行う可能性がないような場合には、もう契約をしてですね、被害に遭うような可能性もないから、特定補助の必要性はないと。
そういうような場合は、補助の方でですね、必要な取消権をこれ個別に設定して、これで本当に本人保護が図れるのかと。
いろんなことを取り消せるようにしている方が守れるんじゃないかと。
こういう懸念の声もありますけれども、大丈夫なんでしょうか。
もっとも、本人がした行為を取消可能とすることは、本人が単独で確定的に有効な行為をすることを否定し、本人の自己決定を制約する側面を有します。
そこで、民法等改正法案では、補助の制度に一元化し、本人にとって必要な範囲で取消権を付与することといたしました。
その上で、事理弁識能力を欠く状況にあるものについては、法定の重要な財産行為をいずれも取消可能とする特定補助人をする旨の審判の仕組みを選択できることとし、加えて、法定の重要な財産行為以外の行為についても、個別の必要性に応じて取り消すことができることとすることによって、十分な保護を図ることができるようにしております。
- 後見人の解任・交代事由となる「本人の利益のために特に必要があるとき」とは具体的にどのようなケースか
- 補助人が財産管理はしているが、本人に面会しなかったり、支援チームと連絡を取らなかったりして、適切な関係を構築できていない場合などが想定される
そこで今回、不正行為や著しい不業績、要は後見を継続させるのは相当でない場合、こういう場合だけじゃなくて、本人の利益のために特に必要があるときに、後見人を解任、交代できるようになりました。
ここでいう本人の利益のために特に必要があるときとは、具体的にどういうケースを想定しているのかお伺いします。
法制審議会の部会の議論を踏まえると、補助開始の審判を受けた者の利益のため、特に必要があるときに該当する場合としては、例えば補助人が財産管理は行っているが、本人に面会しなかったり、本人の家族などの本人を支援するチームと連絡を取らなかったりした結果、本人や関係者と適切な関係を構築することができていない場合などが想定されます。
- 単に「必要があるとき」ではなく「特に必要があるとき」とすることで、どのような法的な違いが生じるのか
- 本人の課題を踏まえて選任された補助人が継続的に事務を行うことは基本的に本人の利益に資するため、解任には特別の必要性を要件とする趣旨である
その上でですね、この規定では本人の利益のために特に必要があるときと、特にとのこの文言が入っています。
単に必要があるときと比べてですね、特にとあることでどのような法的な違いが生じるのかお伺いします。
民法等改正法案は現行法と同様に補助人については、家庭裁判所が個々の事案に応じて、本人の課題等を踏まえて、最も適任と認められるものを選任することとしております。
このように、本人の課題等を踏まえて選任された補助人が、継続的にその事務を行うことが、基本的には本人の方に資するものと考えられますから、特別の必要性を要件とする趣旨で、新設する解任事由を、本人の利益のために特に必要があるときとしたものでございます。
- 特定補助の仕組みを設けた理由について伺いたい
今回、成年後見制度で、しかも後見制度の見直しをされたものと、福祉との連結、接続を今まで以上にもっとやりやすくということで法改正がなされるという中において、先ほどから質問のありました特定補助については、これはなかなかまだ議論があるところだというふうに思っております。
それでまず最初に伺いたいのは、この特定補助の仕組みを設けた理由について伺いたいと思うんですけれども、ちょっとまた後で細かく聞きますが、これがあることによって特定補助人を付するという審判がもしかしたら多数利用されるようになるのではないかということも少し将来像として見込めるところがあるんですけれども、この制度の理由についてまず答弁をお願いします。
本法案では、本人に必要な範囲に限って、個別に補助人に取消権を付与することとしております。
このような保護を受けるためには、本人が不利益な行為をする危険がある行為類型を特定する必要があります。
しかしながら、本人が事理弁識能力を欠く状況にあるものである場合には、そのような行為類型を的確に予測して特定することが困難な場合がございます。
そこでそのようなものについて、重要な財産行為をいずれも取り消すことができる特定補助の仕組みを、利用することになるとは考えておりません。
- 特定補助の要件である「事理弁識能力を欠く状況にあるもの」という文言について、成年後見制度と同様の理解となるのか確認したい
現行の後見制度、包括的な代理権、それから取消権というふうに書かれているわけなんです。
今回改正民法第10条ですね。
ここにおいても特定補助の要件として、今度は事理弁識能力を欠く状況にあるものというふうに同じ文言が記載されているわけなんですね。
この特定補助は重要な財産行為について取り消し可能とする仕組みを選べるということで、成年後見制度とは大きく異なるわけなんですけれども、それぞれどういうふうに理解をされているのか。
また、特定補助の要件で、成年後見、現行の制度と同じように、ここが同じ文言なので、同じように理解をされるのかどうか、ちょっと確認の意味で質問をします。
事理を弁識する能力を欠く状況にあるものにつきましては、定義はされておりませんが、平成11年の改正時には、一般に日常の買い物も自分ですることはできず、誰かに代わってやってもらう必要があるもの、などと説明がされてまいりました。
もっとも、現行法の実務のもとでは、その運用において、その想定よりも広い範囲のものが、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものに該当すると認定されているのではないか、との指摘もされているところでございます。
民法等改正法案では、そのような指摘も踏まえた上で、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものという文言を、より明確化をする、整理をするということを考えておりまして、その内容については、法制審議会の部会での議論も踏まえて、社会生活上、人が通常経験する事務について、その内容を理解し、考えられる解決の利害得失を検討して、態度を決定することができる可能性がないことが、ほとんど通常の有様であるものと整理していることを、この答弁で申し上げているということでございます。
文言としてはそういうふうに言ってみれば枠を決めていただくということで、現行制度の事理弁識能力を欠く状況にあるものというのとは違いますよということなんだと思うんですけれども、現に運用ですよね。
先ほど現行制度の中でもより広く解釈をされているのではないかという懸念もあり、今回の法改正につながったというようなお話もありました。
実際にこの事理弁識能力を欠く状況にあるものというのが、どういうふうに実務上、運用上判断されていくことになるのか。
家事事件手続法第120条3項で、家事審判の場合は市町村長その他適当な者に対し、本人の心身の状態、生活の状況、その他の必要な事項に関する意見を求めることができると、こういうふうに書いてあるわけなんです。
そこでなんですけれども、意見の聴取というのは、どういう事項について聞かれるのか、また、どこに対して行われるのか、それを御答弁をいただきたいと思っております。
民法等改正法案による改正後において、本人が事理弁識能力を欠く状況にあるものであるとの認定がされるのは、特定補助人をする処分の審判をする場合でございます。
その審判に当たっては、原則として鑑定を必要とし、例外として医師2名以上の意見を聞いて、明らかにその必要がないと認めるときは、鑑定をすることなく審判をすることができるとしております。
他方でご指摘のように、民法等改正法案では、家事事件手続法120条3項を新設し、補助に関する審判のうち、その必要性の有無を判断する者や、適任の補助人を判断する者について、必要な場合には、市町村長その他適当な者に対し、本人の心身の状態等、必要な事項に関する意見を求めることができることとしております。
この規定による意見の聴取として、市町村長に対し、本人のケアサービスの利用の有無等といった福祉的支援の有無及びその内容等を紹介したり、日頃から本人の生活を支援している者に対し、本人の日常生活の状況等を紹介することを想定しております。
- 本人の状態にはグラデーションがあるが、日常支援者の意見やケアサービスの状況などを聞いた上で判断されるということでよいか確認したい
- 申立書に記載される本人の状況に加え、市町村長等への意見聴取などを通じて、総合的に考えて判断することになる
最後のところがさらっとだったんですけれども、つまり先ほど一応枠ははめてもらった、定義的にはなんですけれども、やはり本人の、例えば医師の判断のときなどは、やはりその日の状態というのはあるんだと思うんですよ。
たまたまその日が体調がよかったとか、あるいは、たまたまその日が体調が悪かったとか、やはりグラデーションがある。
そういう指摘がある中で、それに対して、例えば日常支援をしておられる方々にケアサービス、どういうものを受けているかですとか、それから日頃からの状況はどうかというのを聞いた上で、それは判断をされるということで、よろしいんでしょうか。
確認をしたいと思います。
実務上は補助開始の審判をする、そして補助人として誰を選任するか、それを同時に考えて判断をしていくということが通常だろうと思います。
ですので、その場合の申立書の中におきましても、御本人の状況なども出てまいりますし、先ほど申し上げたとおり、補助開始の必要性の判断におきまして、市町村長、その他適当なものに対して意見を求めることができると、そのような事柄を総合的に考えていくということになろうと思っております。
- 補助の交代や終了を想定した場合、当事者の福祉情報の取得はどのように行うのか伺いたい
それで今度は後見になるということで、終わり方といいますか、終わった後のことも含めて御本人のことを考えると、やはりその方に当事者に関する福祉情報の取得というのは、これはやはり丁寧にやっていく必要があると思っております。
現在、成年後見の開始においては最高裁が本人情報シートを、これはホームページにも掲載していて、広く活用されているんだというふうに思うんですけれども、成年後見制度の開始に当たっては、本人情報シートは活用されているという前提なんだが、今度は、例えば交代とか終了とか、こういったものを想定していかなければいけないわけなんです。
情報の取得というのは、どういうふうに行うことになるのか、お答えください。
民法等改正法案では、補助人の解任事由として、本人の利益のため特に必要があるときを追加し、また本人の事理弁識能力が回復していない場合でも、必要がなくなったときは、補助に係る各審判を取り消すことができることとしております。
これらの審判の判断に必要な資料は、福祉に関する資料も含めて、基本的には申立人において収集し、家庭裁判所に提出することが想定されておりますが、本人情報シートに必要な事情が記載されていれば、それを提出することで、必要な資料の提出の目的を達成することもあると考えております。
また、民法等改正法案では、家庭裁判所は、補助人の解任の審判や、補助に係る各審判の取消しの審判をする場合に、本人や補助人から陳述を聴取したり、必要がある場合には、本人の生活状況等について、市町村長等の意見を聴取したりすることができることとしております。
このようにして審判に必要な資料を適切に収集した上で、補助人の介入の審判等に関する判断がされるものと認識をしております。
- 本人と補助人や支援者の間で、福祉に関する意見が分かれている場合、家裁はどのように判断するのか伺いたい
西村智奈美君基本的にやはり家裁の方から市町村、ないしは中核機関の方に問い合わせをするということになるんでしょうかね。
中核団体の方に行く前に、仮に御本人とそれから補助人、あるいは支援をしてくださっている方、こういった方々の間で保護、ないしは福祉に関する意見が分かれているとき、あるかなというふうに思うんですよ。
そういう時は、家裁というのは、どういうふうに判断をすることになるのか、御答弁をお願いします。
他方で補助の制度の利用を開始した後、その必要性がなくなったかについて、本人と補助人などの本人を支援する者との間で意見が分かれることはあり得るというふうに考えております。
家庭裁判所は本人や補助人の意見の結論部分だけを基礎として判断するのではなく、その意見を基礎付ける資料の有無等を確認し、さらに必要があるときは本人の生活状況等の判断に必要な事項について市町村長等に意見を求めることができ、地域福祉が有する資料も必要に応じて収集することができます。
一般論として申し上げれば、このようにして収集された資料を踏まえ、事案に応じて具体的な事情に即した適切な判断がされるものと考えております。
- 家裁からの問い合わせへの対応や、受任者調整会議などの会議体を設けて対応することが必要ではないか。政府の見解を伺いたい
西村智奈美君次にそういったときのためにもといいますか中核団体、それから今回法定化される地域権利擁護相談支援センター、こちらの方は社会福祉法の方ですけれども、そちらの方で改正されるセンター等がきちんと機能するということが必要になってくるというふうに思います。
ここでどういう対応が必要になってくるかなんですよね。
家裁からの問い合わせなどに対してきちんと情報提供もするというようなことが必要だと思うんですけれども、やはり単発で「こうですか、どうですか、どうですか」というようなことを聞くというよりは、例えば受任者調整会議、こういった会議体を設けて対応するといったこと、こういったことも必要になってくるのではないかと思うんですけれども、これについて政府の側としてはどういうふうに考えていますでしょうか。
御指摘のとおり、中核機関は、地域における権利擁護支援に関わる関係機関、専門職等のネットワークづくり、判断能力が不十分な方の権利擁護の支援に当たる専門職等からの相談を受け、支援の内容を検討し、適切に実施するための調整を担っております。
この中核機関が担う役割の大きなものと一つとしましては、後見人等の候補者と専任形態についての調整、いわゆる受任者調整を行うということが挙げられておりまして、中核機関設置済み自治体の約6割において、こうした受任者調整を実施するなど、本人のニーズに対応した支援の実現に向けて、大変重要な役割を果たしていると思っております。
厚生労働省としてはこれまでも成年後見制度利用促進に基づく政府の基本計画に基づきまして、市町村に対して中核機関の整備、あるいは機能強化のための支援を行ってまいりました。
まず判断能力が不十分な方の権利擁護支援について、市町村が行うべき事務を法律上明確化した上で、その中核的な役割を担う機関としての中核機関を地域権利擁護支援相談支援センターとして法律上位置づけるなど、必要な制度的対応を盛り込んだところでございます。
今後、こうした法改正も踏まえまして、厚生労働省としましては、都道府県とも連携して設置に向けた支援を行うとともに、既に設置している自治体においても、中核機関が地域において必要な機能を発揮できるよう、国における研修等において、好事例の共有を図るなど、受任者調整も含めまして、市町村における適切な支援体制の構築を促進してまいります。
- 補助制度の利用終了に当たっての「出口支援」について、地域権利擁護相談支援センター等の役割に含まれると考えてよいか
- 改正法により利用終了が可能となるため、出口支援についても中核機関が対応すべき重要な役割に含まれると考えている
最後に1つ、今回補助制度は終われるわけですね。
終えることができるわけですね。
そうしますと、出口に当たっての支援、これを地域権利擁護相談支援センター等が行うのかどうかなんですけれども、補助制度、もちろん補助制度を利用している間の補助人や本人支援者の支援、それから補助制度終了に当たっての出口支援、これは含まれるということでよろしいんでしょうか。
現在御審議いただいているこの民法等改正法が成立した際には、成年後見制度の利用の必要がなくなったときに、利用の終了というのが可能な制度になりますので、御指摘のような、いわゆる補助制度終了に当たっての出口支援についても、現在の中核機関の役割に鑑みれば対応するべき重要な役割になる、含まれると考えております。
- 本人や家族が候補として挙げた人が選ばれなくても、それを理由に不服申立てができないという現行制度の理解で正しいか
本日はですね、今回の改正の主眼ともいえます、この本人意思の尊重、特にこの選任の部分についてですね、中心に質問をしていきたいというふうに考えております。
最初に申し上げておりますけれども、私、専門職後見人を否定するものではなく、親族間に深刻な対立がある場合であったり、利益相反が強い場合、虐待や財産侵害の恐れがある場合、こういったときには第三者の専門職が入る必要性があることは当然であると考えておりまして、しかしそのことと本人が信頼し、現に生活を支えている家族がいるにもかかわらず、その家族の位置づけが、との理由では不服申立てができないというふうにも明記をされています。
つまり本人や家族が信頼して候補者として挙げた人が選ばれなくても、そのこと自体を理由に争うことはできない。
これが現行制度の基本的な姿だと理解しておりますが、この理解についてよろしいか、法務省に伺います。
委員御指摘のとおり、現行の法定後見制度においては、成年後見人等の選任の審判に対して不服申立てをすることはできないとされております。
これは法定後見を開始する必要がある場合には、早期に本人の保護を開始すべきでありますが、成年後見人等の選任の時点では、成年後見人等はまだ事務を行っておらず、その事務が不適切であるなどの評価をすることができない等の理由によるものと考えられます。
- 本人の尊厳に関わる人選において、候補者が外され不服申立てもできない現状は制度への不信感を招くのではないか
ここで問題なのは、単に家族が選ばれないことがあるということではなくて、本人の生活や尊厳に深く関わる人選について、本人や家族の納得可能性を確保する手続保障が十分かという点について伺いたいと思います。
裁判所が専門的見地から人選を行う必要性は理解しますが、しかし本人や家族から見れば、信頼していた候補者が外され、しかもそのこと自体を理由に不服申し立てもできないということであれば、この制度に対する不信感を招きかねないというふうに考えますが、この点についてはどういうふうに受け止めていらっしゃるでしょうか。
民法等改正法案では、現行法と同様に、家庭裁判所が適任のものを補助人として選任し、この補助人の選任の審判に対しては不服申立てをすることができないこととしておりますが、他方で、選任された補助人に不正な行為がなくても、本人の利益のため特に必要があるときは、補助人を兼任することができる、という規律を加えております。
適時に本人の保護を図る必要があることを踏まえると、このような仕組みは、本人の利益のために合理的な制度であると考えております。
なお、現行法の下でも、家庭裁判所は、親族が成年後見人等の候補者として記載されている事案では、本人の課題を踏まえ、親族を選任することの適否を判断しているものと承知をしております。
令和7年において、申立書に、親族が成年後見人等の候補者として記載されていた事案の約8割の事案で、親族が成年後見人等に選任されているものと承知をしております。
- どのような場合に家族候補者が尊重され、どのような場合に外されるのか、基準や理由をより分かりやすく示すべきではないか
今、例をいただきましたけれども、約8割、ほとんどですね、選任されているということが、むしろその理由を知りたいといいますか、ちょっとそのについて、次の質問なんですけれども、東京家庭裁判所の資料を見させていただきました。
選任されなかった主な理由、事例として、利害対立であったり、財産運用目的の疑いであったり、健康上の問題や多忙など、いろいろと例示されておりました。
一方で、この同じ資料では、先ほど御答弁いただいたように、親族候補者が立っている案件で、その候補者が選任されない案件は、むしろ少数というふうにも書かれております。
そうすれば、なおさら国民の側から、どのような場合に家族候補者が尊重されて、どういった場合に外されているのか、こういった基準というか理由を、もっとわかりやすく示すべきと考えますが、この点について認識を伺いたいと思います。
民法等改正法案でも、現行法と同様に、補助人については、家庭裁判所が個々の事案で最も適任と認められるものを選任することとなっており、個別の事案における具体的な事情に即して、様々な考慮要素を踏まえて判断される必要があるため、明確な基準を設けることが困難で、また、画一的な基準を設けることも適切でないと考えております。
選任理由の明示に関し、家事審判は、原則として理由の要旨を記載した審判書を作成する方法でしなければならないとされておりますが、迅速な処理の要請に鑑み、即時抗告をすることができない審判については、理由の要旨を記載することを要しない場合がございます。
補助人の選任の審判は、即時抗告をすることができない審判ですので、審判において理由の要旨の記載がされない場合があるものと承知をしております。
理由の要旨を記載した審判書を作成するかは、事案に応じた適正な運用に委ねることとされており、各裁判官において当該事案に応じて適切に判断されることになるものと承知をしております。
- 不服申立てができないため理由の記載が不要とされるが、実際に審判書に理由が記載される割合はどの程度か
- 裁判実務に関する事項であり、法務当局として数字を把握していない
ありがとうございます。
先ほどの2問目のところに書いて、即時抗告、不服申立てができないから、それとセットというか、それに合わせて理由の審判書も出されないことが、ほとんどというか、出す必要がないというふうに理解しましたが、逆にこの審判書がされる割合というのは、すごく書いていませんけれども、どれぐらいだという認識があるんですかね。
裁判実務に関することでございまして、法務当局としてその数字を持っているわけではございません。
- 成年後見の選任において親族以外(専門職)が大半を占めている現状を、本人意思の尊重という観点からどう評価しているか
令和7年度の資料を見させていただきました。
1月から12月まで、成年後見の選任された内訳、16.4%が親族、親族以外が83.6%であり、親族以外の専門職が大半を占めております。
この親族候補者による申立自体が減っている事情があるとしても、少なくとも現実として本人の身近な家族よりも第三者の担い手の方が圧倒的に多い制度になっていることは事実であります。
政府はこの現状を本人意思の尊重という観点からどのように評価されているのか。
例えば候補者自体が少ないので、本人意思の尊重という意味では不十分ですが、これは仕方ないことと捉えているのか、かえって専門的知見がある方が補助などに就くことは、結果として本人意思の尊重に良い影響を与えているというふうに考えているのか、素直な御意見を伺いたいと思います。
成年後見人等として誰を選任するかは、個別の事案における具体的な事情に即した家庭裁判所の判断によるものでございます。
後見人等の選任の状況については、家庭裁判所の判断の結果でございまして、法務省としてその評価をお答えすることは差し控えたいと存じます。
もっとも、選任について本人の意見がある場合には、これを尊重することが重要であると考えておりまして、現状においても、家庭裁判所は本人の意見を考慮した上で、個々の事案で最も適任と認められるものを選任していると認識をしているところです。
- 必要な範囲で制度を利用できるようにするのであれば、権限の範囲だけでなく、人選についても本人の意思をより反映できる制度設計を正面から進めるべきではないか
ここで大臣にも一問お伺いしたいと思いますが、平口大臣は4月3日の会見において、現行制度の課題として、必要な範囲で制度を利用したいというニーズに対応できていないということを掲げて、今回の改正案は本人本人の必要な範囲で制度を利用できるように進むのだと説明をされておりました。
この必要な事項だけ、必要な期間だけ制度を使えるようにするという趣旨であれば、見直すべきは権限の範囲だけでなく、この制度を誰が担うのか、この人選にも本人の意思をより反映できる制度設計を正面から進めるべきと考えますが、大臣、この点について御所見を伺いたいと思います。
補助人の選任に関しても本人の意見を尊重することは重要であると考えております。
もっとも、現行法は補助人の選任の際の考慮要素として複数の要素を列挙し、その最後に本人の意思を規定しているところでございます。
そこで、民法等改正法案では、本人にとって適任のものを選任する観点から、本人の意見を重視すべきことを明確にするため、補助人の選任の際の考慮要素の最初に、本人の意思を規定することとしたものでございます。
- 今回の見直しにおいて特に参考にした外国の制度はあるか。また、最も近い示唆を与えた国はどこか
各国の制度の比較法調査を作られていて、この議論をされていたように思います。
法制審議論の中であったり、その他、これまでの法務省所管内の議論の際に、今回の見直しで特に参考にした各国比較が作られていましたので、外国の制度は、これはどこを参考にされたのでしょうか。
また、見直しの議論にも、今回の法改正に最も近い示唆を与えた国、どちらか思いつくところがありましたら、お答えいただきたいと思います。
各国において判断能力が低い方に対する保護の制度は様々でございまして、今回の見直しで特に参考にした外国の制度等についてお答えすることは困難でございます。
その上であえて一例を挙げますと、ドイツの世話法は一元的な制度であると評価されておりまして、今回の改正が基本的に補助の制度に一元化しているという部分では、一定の類似性があるという評価もできると考えております。
- 本人意思を起点に家族や専門職という順序を明確にするドイツのような仕組みを導入し、人選の納得感を高めるべきではないか
それから人選についても、ドイツはわりと明確に順序立てて書かれているようにきまして、納得感というか、納得可能性が高いというふうに考えます。
この抽象的な家族優先論ではなくて本人意思というのが一番に来て家族という順序があるのがドイツで、今回の主眼である本人意思の尊重という今の国の理念であったりとか、昨今の血縁家族はいても近くに身寄りの家族がいない高齢者が増えているということも考えみると、非常にこの制度というのは親和的だというふうに思います。
この家族と本人意思を対立させていないこのドイツの制度も参考にするべきだというふうに思っておりまして、本人が信頼をできて生活自体として近くにいる家族であれば自然とその人が第一候補に位置づいて、一方でこの利益相反であったり不適格事由があればそこは配慮されていくというような本人保護であったり家族の位置づけというところを、まさに本人の意思を起点に調整を始めているのがこのドイツの制度だと思います。
この制度を日本でも制度というか、この発想を本人の意思尊重というのであればもっと明確に取り入れるべきだというふうに思いまして、現行制度のように結果として候補者を書いても必ずしも選ばれるわけではなく、そのことについても不満があっても不服申し立てができない。
しかもこの順序についても明確に1番、2番、3番というような候補が上がっていないというところは、制度全体に本人意思尊重を。
本人や申立人の希望と異なる人選をした場合に、最終的に納得感につながるというふうに思いますが、こういった仕組みを整えるべきという意見はなかったのか、御意見を伺います。
その上で我が国の法制度では補助人については家庭裁判所が個々の事案で最も適任と認められるものを選任することとしており、民法等改正法案では本人の意見を重視すべきことを明確にするため、補助人の選任の際の考慮要素として冒頭に本人の意見を規定することとした次第です。
本人が信頼する家族を補助人にすることを希望している場合には、その本人の意思は補助人の選任の際に重視されます。
他方、親族間に紛争があるなどの事情により、親族が補助人に選任されない事案も生じると考えております。
- 障害者団体等のアンケートで、制度の認知度は高いが利用率が低い現状がある。財産管理重視で身上保護が不十分、報酬が高いなどの課題がある。- 今回の改正はこうした声を十分に反映した法案になっているか。- 改正により、知的障害者を含む当事者の制度利用はどう変化・進展すると考えるか。
- 利用者数の具体的な増加予測を現時点で答えることは困難である。- 本人が判断能力を回復しない限り利用を終了できない等の課題を解消するため、これまで利用を躊躇していた方の利用が進むと考えている。
まず、障害者の成年後見制度の利用促進について伺います。
先日、障害者団体である全国手をつなぐ育成会連合会さんにお話を伺いました。
育成会さんでは、令和3年、2021年に成年後見制度に関するアンケートを実施し、その結果、後見制度の認知度については「よく知っている」「ある程度知っている」を合わせると83%の方が知っていると回答しています。
しかし実際に後見制度を使っている方は11%程度で、9割は使っていないというような状況でした。
後見制度を使っていない理由は、「親が元気だから」というのが1位の65%なんですけれども、一方では「制度について良くない評判を聞くから」「報酬が払えるか心配だから」という声もありました。
この結果から、制度の周知不足で利用を控えているのではなくて、一度使うと戻れないとか、後見人等の援護ができないといった側面に加えて、財産管理に重きが置かれて、身上保護が十分な割に報酬が高い、そうした印象だったり、今回改正点にもなった具体的な課題が見えたようなアンケートでした。
そういったことを踏まえて、まず大臣に伺いたいと思います。
今回の改正は、障害者団体などから寄せられたこうした声を十分に反映した法案になっていますでしょうか。
また、改正により知的障害者を含む障害当事者の制度利用がどのように変化する、どのように進むかというふうにお考えでしょうか。
お答えをいたします。
民法等改正法案による改正後の成年後見制度の利用者数については、他の支援による対応の可能性にも左右されると考えられるため、現時点でその増加数を具体的に予測した上でお答えすることが困難であることは、ご理解いただきたいと思います。
もっとも、本法案は、本人が判断能力を回復しない限り、制度の利用を終了できないなどの課題を解消するものであることから、改正後はこれまで利用を躊躇していた方による利用も進むものと考えております。
- 成年後見制度における「身上保護」とは具体的にどのような内容を指すのか。- 今回の制度改正において、身上保護に関して分かりやすく示してほしい。
- 身上保護は生活や療養看護のことを指すが、一般的に補助人は現実の介護行為のような事実行為をする権限は有しないと解されている。- 改正法によって身上保護の範囲が変わるものではない。
続いてですね、身上保護について伺います。
1999年の12月、それまでの準後見制度が改正をされて、成年後見制度が導入されましたけれども、その際に最もよく議論をされたテーマは、身上看護でした。
直系血族及び同居の親族の助け合い義務を定めた民法730条。
これを背景に、家庭裁判所の後見の実務では、当事者の家庭内のアンペイドワークというのを義務付けるような条文として、頻繁にこれを用いられてきたんですけれども、その先にあるのが、この身上看護や身上保護という言葉で、一人ではなかなか生活ができない高齢者や障害者に対して、誰が身近で献身的にその世話、つまりはですね、家事労働だとか介護労働をしてくれるというイメージが、この言葉には今もあるように思います。
当事者や親族の間では、この成年後見に対しても、財産管理と身上保護を両輪でやってほしいというような要望も少なくないようです。
こうした制度に対しての要望からも、不満というかところでは、福祉と連携もしていないとか、報酬が高いといった声も必ずあります。
この委員会でも指摘されていましたけれども、ご家族とのトラブルについても、心身保護の内容が曖昧なために、後見人だとか非後見人双方にとって、何が心身保護なのかというのがわかりにくくなっているのではないでしょうか。
成年後見制度に言う心身保護とはどのような内容を指していますでしょうか。
また今回の制度改正で、解任自由の中には、本人が希望しているにもかかわらず面談に来ないとかいうことについて言ったら、そこで解任の自由にもなっていくというようなことを承知もしておりますけれども、今回の改正における心身保護に関して、分かりやすくお示しをいただければなと思います。
お答え申し上げます。
補助人の事務として、補助人による代理権の行使の対象となる法律行為には、財産管理に関する法律行為のほか、心身保護に関する法律行為が含まれます。
この心身保護は、生活や療養看護のことを言うものと解されておりますが、一般的には、補助人は、現実の介護行為のような事実行為をする権限を有するものではないと解されています。
従いまして、改正法によって、心身保護の範囲が変わるものではないと考えております。
- 低所得の障害者にとって後見人報酬が重い負担となり、利用を断念するケースがある。- 報酬の適正地をどのように判断していくのか。
- 施行後の運用について確たる回答は困難だが、一般論として、改正法では本人のニーズに応じた必要十分な権限が付与される。- したがって、包括代理権を持つ現行法下の後見人とは異なり、実際に行った事務の内容をより重視した報酬のあり方が想定される。
続いてですね、ちょっと質疑の順番を替えて、制度利用のときの費用負担について伺っていきたいと思います。
どんなに良い制度であっても、そこにアクセスができないというのであれば、意味がないです。
なので、特に知的障害者の方々は、低所得であることも多くて、障害基礎年金のみで生活されている方も少なくありません。
障害基礎年金は、障害年金生活者支援給付金を加えても、1級で月額の9万5千円、2級でも7万6千円です。
一方、成年後見制度では、後見人の報酬が月額2万円となるケースが何度もあって、障害を抱える当事者にとっては極めて重い負担となるので、利用ができないという方たちも多くおられました。
報酬額について言ったならば、仕事の量や質、利用者の財産状況をもとに、家裁が個別に決めることになっていますけれども、最高裁の家庭局は23年に、報酬が利用者の大きな負担になっている場合があるとの認識を示されて、2025年には利用者にとって予見可能性をできるだけ確保することが重要だとの考えを示されて、そして今年の3月には全国の家庭裁判所が決めた後見人らへの報酬額の実績を初めてサイトで公表したとしました。
こうしたことも踏まえて、特に障害者の場合もそうなんですけれども、この報酬の適正地というのをどのように判断をしていくのか、お答えをいただきたいと思います。
お尋ねは、改正法案が成立・施行された後の裁判所の運用に係るものという理解しましたが、これについては、現時点で確たるお答えすることは困難でございますが、その上で一般論として考えられるところを申し上げれば、今回の改正法案におきましては、本人の具体的なニーズや課題に対応するための必要十分な権限が付与され、補助人等はその範囲で事務遂行を行うことが基本的に想定されているものと承知しております。
そうであるならば、補助人等に対する報酬のあり方につきましても、包括代理権を有する現行法下の後見人に対するものとは、自ら異なるものとなることが想定されまして、例えば補助人等が行った事務の内容をより重視したものと。
- 専門性の高い業務に対し報酬が少なすぎ、無報酬で業務を行う弁護士がいるなどの課題がある。- 助成の仕組みの見直しについて、どのような対応を行うか。
- 市町村による「成年後見制度利用支援事業」を実施し、低所得者への報酬助成などの留意事項や好事例を自治体に示している。- 地域差があることは承知しており、今後は自治体の運用実態を把握しながら、どの地域でも適切に制度を利用できるよう取組を進める。
ぜひお願いしたいと思います。
ただ、一方で、専門性が高い業務なのにもかかわらず、報酬が少なすぎるというような指摘もあるわけです。
日弁連さんの22年から23年の調査では、弁護士の約1200名のうち16.5%が利用者の財産が少なかったために、無報酬でこの業務を経験しているというようなことを回答されています。
そういった上でも、仕事に対しては、ちゃんとした報酬が必要だと思うんですけれども、そして、いろんなことを加味しながら、いわゆる早い者勝ち、あるところの予算のところまで行くと、その後の人は使えないというようなことも指摘をされています。
この助成の仕組みの見直しについて、改善が求められていますけれども、対応を教えてください。
お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたように、厚生労働省では、低所得の知的障害者、精神障害者、認知症高齢者に対して、成年後見制度の申立費用、後見人等への報酬の助成を、市町村が行います成年後見制度利用支援事業を実施しております。
成年後見人等への報酬助成につきましては、第2期現行の成年後見制度利用促進基本計画を踏まえまして、自治体に対して、事業の対象として広く低所得者を含めることなどの留意事項、あるいは、先進自治体における好事例を示すなど、成年後見制度の利用支援に向けた取組を進めております。
一方で、委員御指摘のとおり、事業の実施状況に地域差があるなどの指摘があることは、我々も承知しております。
今後に向けましては、これまでの取組の状況、あるいは、より詳細な各自治体の事業の運用実態、こうしたものも把握しながら、全国どの地域に住んでも成年後見制度の利用を必要とする方が、適切に制度を利用できるように取組を進めてまいります。
- 現行の制度利用者が新制度へ移行する際の不安(移行可否、利益、手続き負担)がある。- 移行対象者へのバックアップ体制をどのように整えるか。
- 原則として現行法の内容で利用を継続できるが、新制度に移行したい場合は申立てを行うことで移行可能である。- 改正法の内容を理解し、継続するか検討してもらうことが重要であるため、周知広報に努める。
次に、現行利用者に対して、今度、新制度に移行していくという中での取組について伺います。
現在、成年後見制度を利用している方々や家族からは、自分は移行できるのかとか、また移行により何かしらの利益はないのか、また手続きの負担はどうなるんだろうかというような不安の声もあるようです。
新制度への移行対象の方々についてのバックアップ体制、これはどのように整えていくというような形で考えていらっしゃるのでしょうか。
まず、法務省さんに伺います。
お答え申し上げます。
現在、成年後見制度を利用している方々が今後どうなるのかについて申し上げますと、民法等改正法案では、施行日前に後見または補佐の制度を利用している方は、基本的に現行法の内容でその利用を継続することができることとしています。
その上で、その方が新しい補助の制度に移行したい場合には、新制度の申立てをして新制度に移行することにより、後見又は補佐の制度の利用は終了することができます。
また、後見又は補佐の制度の利用を終了したい場合には、後見開始又は補佐開始の審判の取消しの申立てをすることができます。
委員御指摘のとおり、現在、後見又は補佐の制度を利用している方については、今述べたような改正法の内容を知っていただき、制度の利用を続けるかどうかを検討していただくことが重要であると考えております。
法務省としては、改正法が成立した場合には、これらの方々も含め、広く国民各層に改正法の内容を理解していただけるよう、しっかりと周知広報に努めてまいりたいと考えております。
質疑応答もしくは、また現行制度を継続するのか、新制度における実行ごとの契約に移行するのかなどについて、本人や関係者と話し合った内容を報告事項に含めることも一つの案なのではないかと思っています。
裁判所としてこのような運用について、どのようにお考えかお示しをいただきたいと思います。
お尋ねの改正法案の後見の規定に関する裁判所の運用のあり方について、現時点で確たるお答えすることは困難でございますが、一般論として、委員ご指摘のように、現行法における後見や補佐の制度の利用を終了するか否かの判断にあたって、制度利用の要否に関するご本人の意思、あるいは意向を尊重することが重要であると理解しております。
最高裁といたしまして、ご指摘のような観点も踏まえて、お尋ねの後見の規定に関し、改正法の趣旨や内容にかなった適切かつ合理的な運用が各家庭裁判所でなされるよう、必要な後押しをしていきたいと考えております。
しかし今回の法改正では、成年後見と補佐の制度が廃止されて、補助制度が一本化され、必要に応じて個別に同意権、取消権、代理権を認める仕組みに変更されることになっております。
そうすると、例えばご自分で法律行為を判断できない方に関して、包括的な代理権がなくなってしまいますので、緊急で入院することになった場合や、手術の手続き、施設に入所するに関しての契約など、申し立てには想定していなかった対応が急に必要となった場合、その都度、家庭裁判所に対して代理権の付与の申し立てをしなければならなくなるようなケースが生じてしまうのではないでしょうか。
現状でも、後見開始の申立手続きはとても手間がかかり、開始決定まで長時間かかるという声を伺っております。
今回の法改正では、このような手続負担の重さや迅速性の問題について、どのような改善が図られているのか、法務省にお尋ねいたします。
申し立て手続に煩雑さがあるとのご指摘があることは承知しておりますが、本人の判断能力の低下を裏付ける診断書など、法定後見制度を利用するための要件を裏付ける資料の提出は不可欠であり、民法等改正法案においてもそのような資料の省略が困難であることは、まずご理解いただければと存じます。
補助人の代理権につきましては、民法等改正法案では、包括的な代理権等の制度を廃止し、本人に必要な範囲に限って、補助人に代理権の付与等をすることとしているため、申し立て人において、必要な代理権を選択して申し立てをする必要がございます。
もっとも、補助の制度を利用する際には、その動機となる法的課題が存在し、その課題に対応するために複数の代理権の付与が必要である場合には、1回の申し立てにおいて、複数の代理権の付与を求めることが可能です。
そして、審理期間については、現行法の下で、成年後見等の事案の約7割は、申立てから2ヶ月以内に、家庭裁判所の審判がされております。
民法等改正法案による改正が、審理機関に影響を及ぼすか否かについては、改正法のもとにおける制度運用のあり方にも関わるため、現時点で具体的な見通しを申し上げることは困難でございますが、仮に補助開始の審判の申立てから、本案の審判の確定までの間に、緊急に本人を保護する必要がある。
また、成年後見を廃止することは、取引の安全と本人保護の関係についても不都合が生じるのではないかと考えます。
現行の成年後見制度では、本人の判断能力によって成年後見、保佐、補助という区分が明確に登記されているため、取引の相手方としても、本人の判断能力の状況や契約が後に取り消される可能性についても、一定の情報を得た上で、現状は取引することができます。
しかし改正法では、補助開始の審判を受けていたとしても、本人の判断能力の程度までは明らかにされておらず、相手方が本人の判断能力がないことを知らないまま取引してしまうケースも想定されます。
また改正法では判断能力が回復していなくても制度利用を終了する仕組みとなっておりますので、制度終了後においても相手方が本人の状況を知らずに取引する場合も生じ得ます。
取引の相手が悪質な業者だった場合、これまでのような包括的な取引取消権がなくなると、本人に判断能力がなかったとしても、取引が無効であるとの主張を聞き入れてもらえないケースも考えられます。
その結果、結果として家族やご本人が泣き寝入りするとか、あるいは意思能力がなかったと、裁判で争われるようなことになる可能性も考えられます。
私はこのように、本人にも家族にも大きな負担となる無用なトラブルや訴訟が今後増えてしまうのではないかというふうに懸念しております。
今回の包括的な代理権、取消権を廃止することで、本人が自己責任を負う範囲が広がり、結果として財産の被害が増えたりする可能性について、法務省としてはどのようにお考えでしょうか。
対処を考えていらっしゃいますでしょうか。
まず、意思能力を有しなかったことによる法律行為の無効を主張するためには、行為者において、法律行為の時に意思能力を有しなかったことを立証する必要がございます。
このことは、民法等改正法案による改正の前後を通じて異なりません。
そのため、そのような主張立証の負担を負うことなく本人が保護されるためには、事理弁識能力を欠く状況にある者が、法定後見制度の利用を適時に開始することが、改正の前後を問わず重要でございます。
そして、民法等改正法案では、後見の制度を廃止することとしておりますが、他方で、補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判を受けることによって、その後に本人が当該行為を補助人の同意なく行なった場合には、これを取り消すことができます。
また、本人が事理弁識能力を欠く状況にある場合には、特定補助人を付する旨の審判を受けることによって、法定の重要な財産行為をいずれも取り消すことができます。
さらに、特定補助人を付する旨の審判を受けた者に関しては、必要に応じて、法定の重要な財産行為以外の行為についても取り消すことができる旨の審判を受けることもできます。
このような仕組みを設けることとしておりますので、事理弁識能力を欠く状況にあるものの保護を図ることができると考えております。
- 常に事理弁識能力を欠く状況にある方については、今後は特定補助の活用を推奨することになるのか
- 特定の類型を推奨するのではなく、本人の判断能力や支援状況を踏まえ、必要な仕組み(代理権付与や特定補助など)を選択して利用することで適切に保護できると考えている
そうしますと、法務省としては、これまで成年後見を利用してきた、その時に弁識能力を欠く状況にある方、常に欠けている状況にいらっしゃる方は、今後は特定補助の活用を推奨していくということになりますでしょうか。
お尋ねいたします。
民法等改正法案では、事理弁識能力の程度に応じて特定の類型の保護を受けることとはしておらず、本人にとって必要な範囲で補助人に代理権を付与することや、本人の法律行為を取り消すことができることとしております。
事理弁識能力を欠く状況にある者が、外形的に法律行為と見える行動をとる可能性があり、かつ、その利害得失を理解し、検討することなく、法定の重要な財産行為に該当する不利益な行為をする危険がある場合には、特定後見人をする旨の審判を利用することも考えられます。
このように、法務省としては、事理弁識能力を欠く状況にある者について、当然に特定後見に要する旨の審判の利用がされるとは考えておらず、事理弁識能力を欠く状況にあるものも含め、本人の判断能力やその支援の状況等を踏まえ、必要な仕組みを選択して利用することにより、適切に本人の保護を図ることができると考えております。
成年後見を見直すことで、新たに必要となる権利擁護支援策について、具体的にどのような事業を想定していらっしゃるんでしょうか。
また、そのために必要となる予算規模について、現時点でどれくらい見積もっておられるのか、お尋ねいたします。
次に、頼れる身寄りがない高齢者等や判断能力が不十分な方に対する日常生活や入院などの手続き、死後事務の支援を行う事業を新たに第2種社会福祉事業に続けまして、併せて相談体制の整備を図ることなどを盛り込んでございます。
これらに関わる予算の具体的な額については、現時点で明らかに今後法律改正後、具体的に検討していくことになりますので、現時点で明らかにすることはできませんが、今後こうした取組についてしっかりと行うことにおきまして、引き続き地域の権利擁護支援、政策の総合的な充実に取り組んでまいります。
- 成年後見制度の廃止という方向性は、国連障害者権利委員会の勧告(意思決定代行制度の廃止)が影響しているのではないか
- 国連勧告の趣旨も踏まえているが、法制審議会において障害者や家族が参加して議論した結果であり、国内の制度や利用者の声に基づくものである
利用者団体の声もいろいろあった中での今回の法改正だと思っておりますが、どうしてこういう改定になったのかということを考えたときに、私は国連の勧告が影響しているのではないかという疑問を持っております。
令和4年10月、国連障害者権利委員会から、意思決定を代行する制度を廃止する観点から、差別的な法規制や政策を廃止し、全ての障害者について、法の前の平等を保障するため、民法を改正することとの勧告が出されました。
そうすると、結果として国連勧告を受けて廃止方向に大きく舵を切られたという流れは否定できないのではないでしょうか。
法務大臣、お尋ねいたします。
本法案は、法制審議会の部会で、障害者の方やその家族等も参加して議論をした結果、取りまとめられた要綱の内容を踏まえたものでございます。
したがって、本法案の内容は、国連障害者権利委員会の勧告の趣旨も踏まえたものではございますが、国内の制度、利用者の声に基づくものであるという認識でございます。
- 改正案について「画期的」とする評価がある一方で、「利用者のための改悪」とする受け止めがある点についてどう考えるか
有田芳生君。
先ほどもお伝えしましたけれども、一つの改正案を見ても、画期的だという評価をされる方もいれば、一方で利用者のために改悪であるという受け止めをされる方もいらっしゃるということについては、どうお考えでしょうか。
そのような御意見があるということは承知をしております。
おそらくはですね、今回の改正については、比較的専門職の後見人の側によったものであり、本来後見人は親族が担うべきだという御意見があるというふうに思っています。
私ももちろんケースによっては、親族の方が後見人になる方がふさわしい事案というのは、一定程度存在していると思います。
しかしながら現場の感覚で申し上げますと、相談を受けた際に私も事例によっては、まずは親族の方いらっしゃいますか、そして後見人になっていただける方いらっしゃいますかというふうにお伺いするのですが、実際その後見人になれる力量あるいは背景を持っている方でも結構断られる方が多いんです。
あるいは後見人になりたいと言ってくる方もたまにいらっしゃるんですが、そういったケースの背景事情を見ると、推定相続人の間で争いがあったりするケースもあるものですから、結果としてどうしても親族が後見人になるべきものと、専門家がなるべきものと、私たちは選択をしながら相談に対応しているという現状があります。
- 法的には後見人に面会制限の権限がないとされるが、現実には区役所等が「後見人の判断」として面会を制限し、高齢者が連れ去られるケースがあることをどう判断すべきか
根本参考人にお聞きをしますけれども、いわゆる連れ去りって、これは社会問題にもなっていることなので、今回の改正案と直接には関係ないように見えるんだけれども、しかし、後見人が出てくるケースというのは結構目立つ。
例えば、昨年の3月にある江東区にいらっしゃる女性、当時97歳、今98歳になっていらっしゃるんだけれども、警察官がいきなり家にやってきてドア壊して入ってきて、家族3人を、2位だと言って連れ去っていって、それからこの97歳の女性と娘さん、そしてその娘さんがいまだ会えないという、これまでもいろんなケースがあって、結局いわゆる連れ去りをされて連絡が取れないまま亡くなって遺骨が戻ってきたというようなケースが今もあるんですよね。
だからここでお聞きをしたいのは、昨日の質疑の中で、三木委員がこう語っていらっしゃいます。
「親族が本人との面会を希望しても、後見人に断られたり、妨害されたりする事例が問題になっております」と。
その続きで、「今度の改正案では、補助人にはそのような権限を与えられていないという理解でよろしいでしょうか。
現行法でもそういった権限を与えられていないと思う」と三木委員はおっしゃっているのに対して、政府参考人は「そのとおりだ。
ご指摘のとおりで、現行法でもそういう権限を与えられていないし、今度の補助人も本人と親族の面会を制限する法的権限等を付与されていない」と。
これはそのとおりで正しいと思うんだけど、ただ、現実に起きているケースだと、今97歳の方が連れ去られていまだ98歳になるのにどこにいるのかわからない、面会することもできないというケースなんかは、その該当の区役所が公式な文書で「これはもう後見人の判断なんだ」というようなことを書いているわけですよ。
だから現実にそういうことが起きているというのは、これどう判断すればいいんでしょうか。
後見人が面会制限をしているというふうなご指摘については、養護者の方からはそのように見えるということがあるのかと思いますが、今申し上げたような観点から申し上げますと、面会制限をしている主体は自治体、ないしは施設管理権に基づく施設ということになるかと思いまして、後見人が後見人の権限で面会制限をしているということではなく、虐待対応の判断の中で、公権人の権限や責任において一義的に制限しているというふうに法的に構成するということではないのではないかというふうに考えております。
その上で、例えば虐待対応において再統合への調整過程が進んでいるのに、なお公権人が自治体等の助言を聞くことなく、合理的な理由もないのに制限をしているという場合には、これは公権人の不法行為、ないし善管注意義務の問題が生じ得るということではないかというふうに考えております。
- 真の意味で「終われる制度」にするために、地域の社会福祉の営みに委ねられる見通しについて説明を求める
この問題根が深いので、金曜日質問する機会がありますので、そこで詳しくお尋ねしようと思っているんですけれども、最後に山野目参考人、いくつかの文書を読ませていただいて、比喩がとてもよくわかるので、今日の御説明もそうでしたけれども、3つのデモというようなことを含めて、今日のお話もよくわかりました。
最後にお聞きをしたいのは、真の意味で終われる制度にするために、これまでインタビューに答えられた中で、地域の社会福祉の営みに委ねられる見通しがなければならないと、社会福祉法の改正案とも関わってというお話ですけど、もう少し残った時間でご説明お願いします。
終わることができないという仕組みになってしまっているこの仕組みを終わらせますというふうにご案内を、この内容を差し上げることにしております。
「最初からそう言えばいいじゃないですか」とおっしゃるので、「いや最初からそうに申し上げています」というふうに申し上げなければいけないんですけれども、現在の制度はほとんど終わることができない。
もう予定された事務が終了に近づいたときに、終わることにしますか、終わらないことにしますかというようなことを一度検討していただいて、それは様々なケースがあるので、簡単に終われないケースが少なくないということはもちろん承知しております。
しかし終われるものは終わるようにしたらよいと思います。
その上で、専門職の後見人がいわゆる通帳の管理には問題がないけれども面会に来ない、親族や本人に何の相談もなく物事を決めてしまうなどの指摘や声をいただいております。
そのような後見人には、交代していただいた方がいいと私は率直に思うんですが、どのように考えているのか、小澤参考人にお伺いします。
今、先生から御指摘があったような、全く面会をしない、つまり本人の意思を軽視しているようなことが、後見人として望ましくないということは、今回の法制審議会部会でも指摘のあった部分であります。
私もそのような方がふさわしくないというふうに思っています。
- 改正案では任意後見と法定後見の双方を並存させ、同時に利用することを可能としている
その上で、いわゆる現在は任意後見制度を利用していても、後見や補助が開始されると任意後見が終了するとされているのに対して、この法律案では任意後見が終了しないこととされています。
任意後見制度の活用にとって、これが意味があるとお考えなのか、小澤参考人にお伺いします。
先生御指摘のようにですね、改正案では、任意後見と法定後見の双方を並存させ、双方を同時に利用することを可能としています。
- 任意後見制度の改革において、今回の法改正で積み残しとなっている部分はどこか
金村龍那(日本維新の会):山野目参考人にお伺いしたいんですが、いただいた資料によると、いわゆる任意後見制度の改革というのが記載されています。
今回の法改正の中で、積み残しの部分というのはどのあたりにあるとお考えなのか、お聞かせください。
山野目参考人。
山野目章夫(参考人):冒頭の意見陳述でご紹介申し上げましたとおり、今般任意後見につきましては、とりわけ監督をどういうふうにしつらえるかという部分につきまして、任意後見監督人の人選について、あらかじめ述べた意見を公正証書に記しておくとか、場合によっては、明らかに任意後見監督人がいらない場合について、それを要しない扱いにするなどの改革を提案申し上げているところでございます。
その上で、仮にその方向で法律が改正されるということになった場合におきましても、現実にはやはり任意後見人になった方が、どう申し上げればよろしいんでしょうか、周りから支援なく、裸で任意後見の仕事に取り組まなければいけないというのは、任意後見人にとっても心細さはございますし、客観的な本人の尊厳、利益保護という観点から。
その上で、遺言の関係を少し質問させてください。
今回新たに創設される保管証書遺言は、確実に遺言者本人の最終意思を確認し、保存し、遺言者の死亡後にその内容を実現することができる仕組みとなっていると、今回の改正でお考えなのか。
そして、この保管証書遺言の創設によって、いわゆる所有者不明土地問題が解決に至る、そのきっかけになるのか、この2つを小澤参考人にお答えください。
小澤参考人。
先ほども回答の少し重複をしますけれども、先生のご指摘のご質問に対しては、イエスということになっております。
これまで公正証書遺言が担ってきたこの真正性の確保を、デジタル社会でどのように確保するかが課題であった、これをクリアした新しい制度というふうに理解をしております。
従いまして、今回の新しい制度については非常に有意義なものだと思っておりますし、そしてそもそもその遺言を、ご本人がお元気なうちにしっかり作成していただくということが、間違いなく円滑な相続登記に資するもの、これはもう間違いないわけでございますので、従いまして結果的に、空き家、所有者不明土地問題の解決に大きく資するものになると考えております。
- 保管証書遺言が遺言者の最終意思を実現するために、法務局の運用上のポイントはどこにあるか
それではですね、根本参考人に一つお伺いしたいんですけれども、今回の保管証書遺言が遺言者の最終意思を確認し、保存し、遺言者の死亡後にその内容を実現することができるためには、法務局における運用上、どの点がポイントになるとお考えかお答えください。
根本参考人。
やはりですね、ご本人が不当な影響を受けていないというようなことを、きちっと後見官において確認をしていただくということは必要なことだというふうに考えておりますし、あとはどうしても高齢者の方ですとか障害者の方ですと、そもそもその機器をどのような形で活用できるのかという問題もあろうかと思います。
そのあたりのところの支援ということのあり方が、これは地域の自治体等も含めて連携をしながら、法務局との間で実施していただくということが重要ではないかというふうに考えております。
不具合があったりだとかということはしますでしょうか。
それともそのことをやることによってより周知徹底が図られるとお考えでしょうか。
また山野目参考人には先ほど法制審議会で33回の議論、4時間、5時間というのを繰り返されて、そして当事者の皆さんとの話も聞いてこられたと思うんですけれども、そうした当事者の視点からもこの周知をしてくる手段として、そのようなことが使えるのかどうかというようなことをお話しいただければと思います。
まず1点目につきましては、今小澤会長からありましたように、日弁連としましても同様に、会員に対しての周知、広報及び研修というのを今後行ってまいる予定でございます。
併せて、自治体への周知というのも非常に重要かというふうに思っておりまして、現在においても地域福祉計画等の各委員等に弁護士が就任しているケースというのもございますので、そういった自治体との連携を図りながら、周知をその中でも図っていく。
自治体を通じて市民の方にお伝えしていくということも重要かというふうに思っております。
2点目の定期報告の際に、そういったことを行っているかどうかを報告するという点につきましては、私個人としましては同感できるところでございまして、特に今回、経過規定の第2条、第3条、それぞれのところにおきまして、現行制度そのまま後見、補佐後見と補佐の方については現行制度をそのまま利用していただく、もしくは新制度に移行する、もしくは相当でないときを除いては取り消せるという3つの選択肢が用意をされているということになります。
この3つの選択肢に対するまさに意思決定支援というのが非常に重要になるというふうに考えておりますので、そういった意味で委員のご提案については賛成させていただきたいというふうに思っております。
続きで、任意後見制度、先ほど金村委員からもお話しあって、私もちょうど山野目先生に伺おうと思っていたところなんですけれども、その任意後見制度のところでは、今回監督機能のところ、監督をつけなくてもいいとなったときに、その機能というのが低下を懸念するという声もあると思うんです。
私は、この任意後見制度というのは、もっともっと広げていくべきだと思うし、これこそが制度の肝になってくると思っているんですけれども、こういった懸念に対しても含めてですけれども、山野目参考人は任意後見制度とか今後どういうふうに展開していったらばより良いかということ、お考えを伺いたいと思います。
山野目参考人一つ強調して申し上げるといたしますと、国民各層において、よしに任意後見契約を使ってみようという気分になっていただくためには、法律改正が出発点ではありますけれども、加えてさまざまな工夫が必要ですし、申し上げるアイデアとして、モデル条項を関係する専門家の団体が協力して、もちろん広く支持が得られるものである必要があるんですけれども、
また相談のニーズの高まりという点からも、まず小澤参考人に伺いたいと思います。
今回、後見や補助という制度が見直されることになりますが、そのことによって現在制度を利用している約26万人の当事者の方々や、また専門職以外の法務関係人の方々も含めて、「どうしたらいいんだろうか」という相談業務が大きく増えることが予想されると思います。
また、これまで利用をためらってきた方々、例えば認知症の高齢者の方々が「必要な場面だけスポットで利用できるんだったら、ちょっと利用してみようかな」ということもあると思うんですけれども、こうしたところで司法書士会さんへの相談のニーズというのは全体に増加をするであろうと考えていらっしゃると思うのですが、どのように見込まれ、それに対して特に地域に根差した支援をやっていらっしゃると思うんですけれども、そうしたところで地域のまたほかの専門職の方や福祉関係者との連携は、今後どのように必要になってくるかとお考えか、伺ってもよろしいでしょうか。
先生がご指摘いただいたように、これまで利用を躊躇されていた方が「ちょっと利用を考えてみようか」、あるいは今利用されている方が「補助になるみたいだよ」ということで、相談需要はたくさん増えてくるんだろうと理解をしています。
ですので、当然司法書士会でも各司法書士会あるいはリーガルサポートの相談体制を強化するとともに、先生からご指摘がありました自治体や福祉関係者との連携が、これまで以上に大事になってくると思っています。
市民の皆様にとって、やはり一番相談窓口として敷居が低いのは自治体の窓口でございますので、そういったところとの連携をさらに強化をしていく必要があると理解をしています。
- 補助人が「代表者」から「社会生活を支援する存在」に変わることで、本人との信頼関係や日常的な関わりがより重要になるのではないかという点についての所見
井戸まさえ君、時間的に最後の質問になるので根本参考人に伺いたいと思います。
弁護士の皆さんというのは、いろいろとご相談が来ると思うんですけれども、実際には現場では制度利用開始時には想定もしなかったような問題がたくさん出てきたりだとか、次から次へとそういうのが生じるというケースもあると思うんですけれども、今回は補助人は本人を代表する存在というよりも、本人の社会生活を支援する存在に変わるというふうにも指摘をされています。
そうであるならば、本人との信頼関係とか日常的な関わりの有無というのがより重要になっていくのではないかと思いますけれども、そのあたりも支援の最前線で知見を積み重ねてこられた弁護士さんとしてのご所見を伺いたいと思います。
まさに議員ご指摘のとおりだと思っておりまして、そもそもこの成年後見制度、財産管理が中心と言われていた制度から心情保護を重視するという流れがあり、さらにその上でチーム支援というところの中に、しっかりと後見人、補助人が加わっていくということの重要性が言われてきたところかと思います。
今回の改正においては、そこに加えて今、委員からもご質問がありました、ご指摘がありました、いわゆる入り口の支援ですとか、あとは基柱支援、それから午前中の政府答弁でも厚生労働省からありましたが、出口支援も中核機関等の役割として重要になってくるということかと思います。
そことしっかりと専門職も連携していくということも必要ですし、かつその中核機関の支援の中に専門職としての意見をしっかり入らせていただいて伝えていくということも重要な役割になってくるかなと思っております。
でも今日の先生方のお話を聞いて、そうなんだなと納得させていただいたことが多々ありますけれども、まず小澤参考人にお伺いしますが、とはいえ、実際、今回成年後見、後見補佐がなくなって補助人化されるという、じゃあ実際、特定補助が今後中心となっていく中で、本来であれば70%を超える成年後見、補佐を残した形で、つまり名前や仕組みを変えても、現場ではこれまでの成年後見に近い運用が続くことが今後も考えられる中で、その辺の現場の対応とかとても大変になると思うんですよね。
本当に現場で司法書士の方々に対応していただくのは、その相手の対応とか、要は手続きだったりとか、それが法定的に持ち込まれたりするようなケースも考えられるんですけれども、その辺に関して小澤参考人はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
先生から今ご指摘をいただいた特定補助でございますが、特定補助はご案内のとおり、この民法、この改正案の第9条の2の全ての行為について取消権を付与する必要性がなければ利用することができないということで、また取消権は現在もあまり多くは利用されておりませんけれども、さらに第9条の全ての取消支援が必要な事案というのは、私たち司法書士の実務上の感覚では、あまり想定することが困難でありまして、そういうふうなことを考えますと、この特定補助の利用に適した事案というのは、さほどないのかなというふうにも考えています。
これまでの後見類型とはやはり補完権も違っておりますし、申し立てされる方がこの特定補助というものを現在の後見類型と同様に捉えて利用を希望されることは考えられますけれども、ここは特定補助は今の後見類型とは異なる制度でありますので、特定補助という制度をきっちりと専門家が周知をすることにより、そのような誤解を解消し、利用に適した事案について利用をするようにしていくという、そういうことが必要なんだろうなというふうに承知をしています。
- 後見人の報酬額の適切性について、本人・親族と専門職の間で認識の差がある点への見解を問う
少し答えにくいこともあるかもしれませんけれども、先生ご指摘のとおり、後見人の報酬額の適切性については、支払う側であるご本人と、受け取る側である後見人の認識の差が非常に大きい部分ではあると思います。
当然ご本人や親族からすれば、報酬額は高額だという意見があることは当然理解する部分はありますが、専門職側からは、負っている責任や、行っている業務に比べて安すぎるという意見も聞くところではございます。
少し答えにくいこともあるかもしれませんけれども、先生ご指摘のとおり、後見人の報酬額の適切性については、支払う側であるご本人と、受け取る側である後見人の認識の差が非常に大きい部分ではあると思います。
その点ですね、今回この報酬については民法の改正案の876条の19によりまして、報酬の考慮要素として補助の事務の内容を考慮することが明文化されるに至っております。
報酬が高すぎるというご意見は、事務の内容に対して高すぎるという趣旨であると理解しておりますので、この改正はご本人や親族の方のご期待にも添える内容になっているのではないかなというふうに承知しているところでございます。
- 根本参考人が論文で「施設への遺贈を禁止すべき」と主張した背景や、現実のトラブルなどの理由を問う
身寄りのない方について入所している施設への遺贈のお話を聞かせていただきたいんですけれども。
根本参考人が執筆された論文の中で、本人の意思の尊重と公平、適正な事業運営との調和という観念から、本人が入所している施設への遺贈自体を禁止すべきだというふうにおっしゃっていらっしゃいます。
今回改正法974条では、施設への遺贈そのものは禁止しないけれども、施設の役員や職員の遺言の承認になれないという規制にとどまっております。
このところ実際、お一人の方がそこでお世話になって優しくしていただいたら、そういう心理的なありがとうという気持ちでも、実はそれを計算でとか複雑な、やっぱりそれもあると思うんですけれども、根本参考人がこういうふうに禁止すべきとおっしゃったようなきっかけであったり、現実のトラブルであったりとか、何かその思いの背景というものを教えていただけますでしょうか。
個人としてのお答えになりますけれども、まず一つはですね、やはり遺言といいますのは、今先生ご指摘のとおり、まさに遺言者の自由な意思で、ご自分の財産をどう処分されていくかを決めるというものになりますので、その行き先を何らか民事基本法制である民法等で規律を設けていくというのは、これはできないことではないかというふうには思っております。
他方で、今まさに先生おっしゃられたようにですね、実際に私個人としても、例えば私が今担当させていただいている方の中には、最後に先生にということをおっしゃる方がいないわけではありませんが、やはりそこは私どもの職業倫理の中で、ご本人にきちっとサービス提供させていただいたものについては、これは適正な対価を受け取るというのは、これ業務として行っていることですので、必要なことであるというふうに考えます。
一方で、そのような業務に乗じるという、民間の方が受け取りになるということではなくて、何らかそこに公的な仕組みを入れていくということはあってよいのではないかというふうには思っています。
具体的には、例えばそういったところを基金にしていくですとか、そういった仕組みづくりを検討していただいてはどうかというふうに考えているところです。
- 成年後見制度の見直しにおいて、民事の見直しと社会福祉における支援案をどのように進めたいか、現状の不足点を含めて見解を問う
そんな中でですけれども、今回この山野目参考人は、成年後見制度の見直しに当たって、民事法制と社会福祉を一体に改革することが強く求められるとご指摘されていらっしゃいます。
私もこの後見と補佐が廃止されて補助を一本化されるということが、今後の権利擁護支援の役割を今後一層大きくなっていくと思うんですけれども。
先ほどちらっと出た出口の話にもなりますが、午前中に私も厚生労働省に今後の権利擁護支援事業についての現状をお聞きしましたら、まだ定まっていないというお答えでした。
この点に関して山野目参考人は、今後民事の見直しと社会福祉における支援案、お考えをどのように進めたい。
また現状の不足と今後というところでお考えをお聞かせください。
法制審議会における調査審議が進んでいる過程で、既に社会保障審議会の方で検討がされた社会福祉法の改正と密接な連携調整をして検討を進めてきたところでございます。
両方の審議会の成果物を政府が閣議決定した日は同じ日でございます。
それで同じタイミングで衆議院に提出され、先ほど申し上げましたように今日までのところ法務委員会と厚生労働委員会に置かれてありがたいことに山野目章夫(参考人):そこからが本番でありまして、そこがゴールではなくてスタートでございます。
地域社会福祉と丁寧な対話を重ねていって、人々が各地で悩んでおられることをまた伺って改革を続けなければいけないと思います。
政府としては各部署が連携を図って予算等をきちんとつけていくということが重要です。
私ども民間においても、やはりそこのところを政府任せにするのではなくて、福祉は大丈夫ですかということを伺っていくべきだろうと思います。
そういうお問い合わせに対して、一つ一つ丁寧に向き合っていくということを、一人一人がしていかなければならないのではないかというふうに感じているところでございます。
法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長�法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法務委員長(法
これより会議を開きます。
内閣提出民法等の一部を改正する法律案及び民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して上程といたします。
この際お諮りいたします。
両案審査のため、本日政府参考人として、法務省民事局長松井信一君及び厚生労働省大臣官房審議官、林俊博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
御異議なしと認めます。
よって、そのように決しました。
次にお諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局家庭局長、毛泰直文君から、出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
ご異議なしと認めます。
よってそのように決しました。
質疑の申出がありますので順次これを許します。
井上英孝(法務委員長)國重徹君。
國重徹(中道改革連合・無所属)おはようございます。
中道改革連合の國重徹です。
早速質問に入りますが、大臣には、大きな観点での質問をいくつかさせていただきたいと思います。
今般の民法改正案では、成年後見制度の抜本的な見直しが行われています。
この改正の目的、理念は端的に言うと何なのかお伺いします。
平口法務大臣。
平口洋(法務大臣)お答えいたします。
成年後見制度を利用する本人の事理弁識能力が不十分であっても、本人の尊厳にふさわしい生活の継続や、本人の権利利益の擁護等を一層図る必要があり、そのためには本人の意思決定をより尊重することが重要でございます。
民法等改正法案においては、このような理念を基本として、成年後見制度の見直しを行っているところでございます。
井上英孝(法務委員長)國重徹君。
國重徹(中道改革連合・無所属)今、大臣の答弁の中で、本人の意思決定をより重視するというような旨のことを述べられました。
ではなぜ、この自己決定を尊重し、本人の意思を尊重するのか、お伺いします。
平口法務大臣。
平口洋(法務大臣)令和4年3月に閣議決定された第2期成年後見制度利用促進基本計画において、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続等を十分考慮した上で、制度の見直しに向けた検討を行うものとされたところでございます。
このことも踏まえて、令和6年2月に法制審議会に成年後見制度の見直しに関する質問をしたところでございます。
先ほどお答えしたとおり、本人の尊厳にふさわしい生活の継続等を一層図るためには、本人の自己決定をより尊重することが重要であると考えております。
井上英孝(法務委員長)國重徹君。
國重徹(中道改革連合・無所属)なぜなんですかと聞いたんですが、本人の意思を尊重するというのは、今大臣のお言葉で言うと、その人の尊厳、その幸せにつながるから、自己決定を尊重するんだということでよろしいでしょうか。
平口法務大臣。
平口洋(法務大臣)そのとおりだと思います。
國重徹(中道改革連合・無所属)そうですね。
やはり自己決定を尊重するというのは、本人のよりそれが幸せにつながっていくからだということだと思います。
これまでの支援は、本人は何もできないというような前提になりがちで、本人を守ろう、これが本人のためになるだろうという、どっちかというとパターナリスティックにやりがちだったというふうに認識をしています。
それを本人にできることは、本人ができるようにしていこうと。
保護されたこのレールの上を走るんじゃなくて、自分で決めた道を歩いていくと。
それで失敗するかもしれないけれども、それでもチャレンジできるようにしていくと、自分のことは自分で決めてこそ本当の幸せなんだと、こういう価値観への転換が今回の法改正の底流にあると、私はそのように理解をしております。
他方で、これまで重視していた本人保護もやはり重要であります。
今般の改正案は、この自己決定の尊重に重きを置く内容ではありますけれども、この内容でも本人保護が不十分になることはないのかと、明快な答弁を求めます。
平口法務大臣。
平口洋(法務大臣)本法案では本人に必要な範囲で補助の制度を利用することを可能としております。
申立て人は、制度の利用動機となる法的課題を把握しており、本人に必要な審判等の申立てをすることが期待できるところでございます。
したがって、今般の改正により、本人の保護に欠けることにはならないと考えております。
井上英孝(法務委員長)國重徹君。
國重徹(中道改革連合・無所属)自己決定は尊重しつつも、やはり本人保護も図っていく。
要はバランスが大事だと思います。
この点、今般の改正案では、自己決定の尊重の表れとして、補助開始の要件の一つとして、本人の同意、これが明記をされました。
これについて、例えば、本人保護のためには制度利用が必要だと思われるものの、本人は利用を拒否しているような場合、このような場合はどうするのかと。
それでもなお、本人の意思を尊重するのかどうかお伺いします。
法務省松井民事局長。
松井信一(法務省民事局長)お答え申し上げます。
現行法では、補助人の同意を要する審判がされることにより、その範囲で本人の行為能力が制限され、また、代理権付与の審判がされることにより、自己決定権が一定程度制約されるとの効果を生ずる点を踏まえ、本人の自己決定を尊重する観点から、本人が補助の制度の利用に関して同意していることを要件としております。
民法等改正法案でも、本人の自己決定を尊重することとしているため、本人の同意を要件とする規定を維持し、その上で本人が同意の意思を表示することができない場合には、本人同意を審判の要件としないこととしております。
従いまして、お尋ねのように、本人が同意という行為をする意思能力を有している場合に、制度の利用を拒否しているとすれば、本人同意の要件を欠き、補助開始の審判をすることはできないものと考えております。
ただし、周囲の者からの虐待などの不当な働きかけがあって、これによって本人が制度を利用することを適切に理解・検討することができずに、制度の利用を拒否するという意思決定に至っているような場合には、本人が同意の意思を表示することができない場合に当てはまると解する余地もあると考えられ、このような場合には補助開始の審判をする余地もあると考えております。
國重徹君。
今回の法改正の趣旨からすると、そのようになるんだろうと思います。
人は必ずしも合理的な判断をするだけじゃありません。
愚公権と呼ばれるようなものもありますけれども、客観的に見れば最善ではないかもしれないけれども、それでも自分で考えて自分で決めていくと。
その自己決定を尊重すること、これがその人らしい幸福につながるんだというふうに思います。
私はかつて総務大臣政務官を務めさせていただいたことがありますけれども、そのときにデジタル活用共生社会実現会議という新たな会議を立ち上げました。
この会議は、どれだけ年齢を重ねたとしても、どんな障害を持っていたとしても、デジタル技術を活用することで、誰もが豊かな人生を享受できる、この共生の社会を実現していこうという目的で立ち上げた会議になります。
その会議の構成員には、80歳を超えた高齢者の方にもなっていただきました。
言われて使わせてくれないことが多いと、でもそんなことばっかり言えたら何もできなくなると、自分たちの可能性を広げるために使わせてほしい、任せてほしいと、こういう趣旨のことをおっしゃっていてですね、その時私も参加をしていて感じるものがありました。
当事者の声を聞いていないとですね、ともすれば机上の空論で危険性とか、守ることばっかり考えてしまうことになりかねません。
でも立ち返るべきは当事者の思いであり、声であります。
他方で本人の意思を尊重するという、今回の改正の理念、これは重要ですけれども、じゃあ実際にどうやって本人の意思、真意というのを汲み取っていくのか。
家族とか福祉のプロであったとしても、被補助人の意思を汲み取るというのは、そうそう簡単なことではないケースもあると思います。
後見人が本人の意思、真意を汲み取っていくために、どのような今後取組を行っていくのか、お伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案では、補助人は、その事務を行うにあたって、本人の心身の状態に応じて、適切な方法により、その意向を把握するようにしなければならないこととしております。
補助人による本人の意向の把握は、本人に対し補助の事務に関する情報の提供をして、本人の陳述を聴取する方法や、本人との関係が良好な親族からその陳述を聴取する方法がありますが、これらに限られません。
例えば、かねて本人について、権利擁護支援の地域連携ネットワークによる支援が行われている事案においては、当該ネットワークの構成員が本人の意向を把握していると考えられることから、その方から、その陳述を聴取する方法もあると考えております。
國重徹君。
本人の意思を汲み取るためには、もちろんご本人にしっかり聞くということも大事でしょうけれども、周りの方、チームでの支援というのも重要になると思います。
現在でも後見人等が入って作られるチームとして、中核機関、具体的には地域権利擁護相談支援センターという仕組みがあって、この設置が全国で進められています。
ただ、このセンターの設置率は全市町村の77%。
これを多いと見るのか、少ないと見るのか、これ人によって違うと思いますけれども、全国で見るとですね、まだ2割以上も設置されていないと見ることもできます。
しかもあったとしてもですね、看板だけで中身が伴わないケースもあるというふうに聞きます。
この運営主体となっているのは市町村、また社会福祉協議会ですけれども、予算不足と人材不足で大変な状況にあります。
そこで上野厚労副大臣。
精一杯頑張っておられる現場の皆さんに、新たなことで負担を押し付けるだけではなくて、厚労省としても必要な予算と人材をしっかりと確保していくべきだと思いますけれども、副大臣の見解をお伺いします。
上野厚生労働副大臣。
お答え申し上げます。
國重委員の御指摘のとおり、市町村の中核機関は、地域における権利擁護支援に関わる関係機関や専門職等のネットワークづくりや、判断能力が不十分な方の権利擁護の支援に当たる専門職等からの相談を受け、支援の内容を適切…支援の内容を検討し、適切に実施するための調整を担っております。
本人の支援ニーズに対応した支援が行われるために、このような役割は重要と考えております。
このため、厚生労働省といたしましては、これまでも成年後見制度利用促進法に基づく政府の基本計画に基づいて、市町村に対し、中核機関の整備のための支援を行ってきており、その結果、直近の統計では約8割の市町村で中核機関が整備されるに至っております。
その上で、こうした取組を制度上にしっかりと位置づけ、特に中核機関が整備されていないことが多い、小規模市町村などの体制整備を促進する観点からも、今般国会に提出いたしました、社会福祉法等の一部を改正する法律案において、判断能力が不十分な方の権利擁護支援に係る市町村の事務を明確化した上で、その中核的な役割を担う機関として、地域権利擁護相談支援センターを法律に位置づけるなど、必要な制度的対応を盛り込んだところでございます。
中核機関につきましては、小規模な自治体において、設置が進んでいない現状があることから、都道府県とも連携し、設置に向けた支援を行うとともに、既に設置されている自治体におきましても、中核機関が地域において必要な機能を発揮できるよう、国における研修等において、好事例の共有を図るなどによりまして、市町村における適切な支援体制の構築を支援したいと考えております。
また、基本計画に基づく中核機関の整備に向けては、費用対効果につき、不断の検討を行いつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
國重徹君。
現場がきちんとワークするように必要な手はしっかり打っていただきたいというふうに思います。
同じく現場をワークさせるという観点から、ここからは実務の運用も意識しながらお伺いしていきたいと思います。
要件一つ一つ確認していきたいと思います。
まず本人の意思を尊重するという理念。
これが明確に表れている規定として、先ほども触れました。
補助開始の要件の1つとして、本人の同意のほか、補助人の選任時に本人の意見を考慮要素とするという規定があります。
これ民法876条の2ですね。
これにつきまして、現行法では、成年後見人等の選任時の考慮要素の最後に本人の意見がありました。
これを改正案では考慮要素の冒頭に記載するようにしています。
このように最後から冒頭に置き換えた趣旨は何でしょうか。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
御指摘のとおり、民法等改正法案では、補助人の選任の際の考慮要素として、冒頭に本人の意見を規定することとしております。
これは本人にとって、適任の者を選任する観点から、本人の意見を重視すべきことを明確にするためでございます。
國重徹。
これ記載順序を変えてですね、最後から冒頭に入れ替えることによって、法的な意味、法的効果というのは変わるんでしょうか。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
現行法におきましても、本人の意見は補助人の選任の際の考慮要素として規定されており、家庭裁判所では補助人の選任の際に本人の意見が考慮されております。
その上で、民法等改正法案では補助人の選任において本人の意見を重視すべきことを明確にするため、本人の意見を規定の冒頭に置くこととしておりますが、このような改正の趣旨が周知され、運用に当たり十分に考慮されることに法改正の意義があるというふうに考えております。
國重徹君。
そのような立法者としての、これは我々が審議していくわけですけれども、そういう思いが込められているということでありました。
とすると、今回そのように冒頭においたという言葉、これまでは本人の意見が、十分は考慮されてなかったという反省によるものなのかどうなのかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
現行法でも本人の意見は補助人の選任の際の考慮要素として規定されており、家庭裁判所は本人の意見を考慮し、個々の事案で最も適任と認められるものを選任しているものと承知をしております。
その上で法制審議会の部会では本人の自己決定をより尊重するという観点からは誰からの支援を受けたいかという本人の意向を反映させることをより明確にするべきであるという意見が述べられたところです。
このような部会での意見を踏まえ民法等改正法案では先ほどのような改正を試みているところです。
國重徹君。
改正法全体を貫く理念と整合性を図ってより明確にしていくというような趣旨であるというふうに捉えました。
その上で重視するという以上ですね。
実際の運用においてもこれまで以上に本人の意見、これを尊重するような工夫が必要だと思いますので、この点についてはぜひしっかりとお願いしたいと思います。
今般の改正案による大きな変化の一つが、利用を終えられるような制度にしたことです。
これまでは事理弁識能力が回復しない限り、後見制度等をやめることができませんでしたけれども、改正案では、事理弁識能力が回復していない場合であったとしても、制度利用の必要がなくなったと、家裁が認めれば、利用終了できるようになりました。
まず、確認ですけれども、この制度利用の必要がなくなるケースとして、具体的にどのようなケースを想定しているのか、お伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
必要がなくなったと認めるときとの要件は、補助の制度を利用することによる保護の必要がなくなったことを意味しております。
補助に係る各審判の必要がなくなったかどうかは、個別の事案における具体的な事情に即した家庭裁判所の判断によるものではございますが、補助に係る各審判をした際の保護の必要性と対比し、本人の精神の状況、生活状況、親族や自治体等からの支援の状況等を踏まえ、その保護の必要性がなくなったかどうかを判断すると考えられます。
補助に係る各審判の必要がなくなった場合としては、補助の制度を利用する動機となった法的課題が解消した場合が考えられます。
具体的には、例えば遺産分割に対応するために補助の制度を利用して、補助人に遺産分割の代理権が付与された事案では、その遺産分割が終了した場合、というものが想定されます。
國重徹君。
制度利用の必要性がなくなったと判断する、その考慮要素の一つとして、制度利用をやめたとしても、代わりに別の支援制度に引き継げるということが挙げられます。
利用終了後の支援として、想定されるものは様々ありますけれども、その一つに、日常生活自立支援事業というものがあります。
これは、これまで判断能力が不十分な人の日常生活支援を行ってきた事業であって、この事業では足りないような人が成年後見に流れてくるという形で、これまでも成年後見と深く関わってきました。
今回、この民法改正に合わせて、対象者と事業内容の拡充が行われて、制度利用が終わった人の受け皿としても機能していくことが期待をされています。
一方で、この事業も担い手である社会福祉協議会はもう手一杯の状況にあります。
制度の見直し後は新たな第二種社会福祉事業と位置づけることによって、社協以外にも担い手を広げることを目指しておりますけれども、現在も相当数の待機者が出ておりまして、全国で3000近い待機者がいるとの話も伺っています。
もちろん、この制度利用を終了した人のすべてを日常生活自立支援事業、あるいは新たな第二種社会福祉事業で受けるわけではありませんけれども、それでも、さらなる需要の増加が見込まれることは確実です。
ですから、人と予算を確保しなければ、現場がパンクしてしまいます。
そこで長坂厚労副大臣、厚労省として、これについても責任感を持って対応していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
長坂厚生労働副大臣。
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、福祉サービス、保健医療サービス等利用援助事業は、第2種社会福祉事業であることから、事業の経営の主体については制限を設けておらず、幅広い主体に参加いただくことを期待をいたしております。
一方、全国どの地域でも援助を受けることができるよう、現在の福祉サービス利用、都道府県の区域内で着実に事業が実施されるための必要な事業の実施を義務づけております。
その上で社会福祉協議会が事業を実施するにあたり必要な対応につきましては、支援を担う人材育成のあり方も含めまして、同様に法律上実施義務のある現在の福祉サービス利用援助事業における取扱いも参考にしつつ、本事業が利用料収入による運営を原則としている点や、他の民間事業者も担い手になる点といった特徴も踏まえて、今後の予算編成過程で検討してまいりたいと考えております。
國重徹君。
現場の負担が増えることは確実ですので、必要な予算と人材の確保をぜひよろしくお願いします。
それでは長坂副大臣はここで退席していただいて結構です。
関連質問ないと思いますので、質問に当たっていただければと思います。
それでは次に、今般の改正案では、新たに特定補助の制度も設けられています。
事理弁識能力に欠く状況にあるものが対象で、法定の重要な財産行為についての取り消し権をパッケージで設定できる制度になっています。
まず確認しますけれども、事理弁識能力を欠く状況、この定義は何なのかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案では、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものについては定義を置いておりません。
法務省としては、法制審議会の部会での議論も踏まえ、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものの内容を明確にする観点から、社会生活上、人が通常経験する事務について、その内容を理解し、考えられる解決の利害得失を検討して、態度を決定することができる可能性がないことが、ほとんど常況にあるものと整理をしているところでございます。
國重徹君。
非常に正確なんでしょうけれども、一見聞くとすぐスッとは耳に入ってこない言葉、事理弁識能力を欠く状況という定義でした。
これはできる限り、この概念をはっきりさせようというような意図だと思いますけれども、この事理弁識能力を欠く状況というのは、これまでも後見の要件とされてきました。
その定義として、日常的な買い物も自分ですることができず、誰かに代わってやってもらう必要があるものと説明されてきましたけれども、今答弁のあったこの定義の意味内容というのは、これまでのものと同じなのか、違うのか、ここは特定補助の認定に関わることなので、明快な答弁を求めます。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
事理を弁識する能力を欠く状況にあるものとの文言は、平成11年の民法改正時に禁産制度を成年後見制度に改めた際に規定されたものであり、御指摘のとおり一般に日常の買い物も自分ですることはできず、誰かに代わってやってもらう必要があるものなどと説明されてまいりました。
民法等改正法案でも、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものという文言を維持しておりまして、先ほど述べた整理は、その内容をさらに明確にする観点から整理したものでございます。
國重徹君。
はい。
それではですね、同じく事理弁識能力を欠く状況にあるものであることが要件とされるですね、後見とこの特定補助ですけれども、この両者の違いというのは何なのかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
両者の違いについて、まず、事理弁識能力を欠く状況にあるものは、現行法の下では、後見の制度しか利用できませんが、民法等改正法案の下では、補助の制度のみを利用することも、特定補助の仕組みを利用することもできます。
また、後見は、成年後見人に包括的な代理権及び取消権を一律に付与する制度でありますが、特定補助は、法定の重要な財産行為に限り、いずれも取り消すことができるとするものであり、個別の代理権付与の申立により、本人にとって必要な範囲で代理権が付与されるにとどまるものでございます。
國重徹君。
今御答弁で、特定補助の利用に係る必要性の要件についても言及がありました。
確実性にはどのような差があるのか、両者における必要性の違いは何なのかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
特定補助人を付する旨の審判をするための要件としての必要があると認めるときとは、本人を保護するため、法定の重要な財産行為をいずれも取り消し可能としておくことが必要であることを意味しております。
他方で、補助人の同意を要する旨の審判をするための要件としての必要があると認めるときとは、審判の対象とされた特定の行為を取り消すことができることとしておくことが必要であることを意味していると解されます。
いずれにつきましても、必要性の判断においては、本人が行為の利害特質を理解し、検討することなく、その行為に及ぶ危険があるかどうかが問題とされるものであり、将来の予測を含むものであると考えております。
國重徹君。
将来の予測を含むんだけれども、そこにどういう違いがあるのか。
これからまた聞いていきたいと思います。
まず特定補助の必要性の判断における将来の予測、これには漠然とした不安感も入るのかどうかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
特定補助人を付する旨の審判をする必要性は、具体的には、本人が外形的に法律行為と見える行動をとる可能性があり、かつ、その利害特質を理解し、検討することなく、法定の重要な財産行為に該当する不利益な行為をする危険があることを内容とします。
従いまして、御指摘のような漠然とした不安感があることのみでは、本人が不利益な行為をする危険があるということは困難であると考えております。
國重徹君。
それでは、この特定補助の必要性の判断において、どの程度の時間軸における、どの程度の確実性のある必要性がいることになるのか、これはちょっと難しいかもしれませんけれども、あえてお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
特定補助人を付する旨の審判をする必要性は、家庭裁判所において審判時までに現れた事情に基づき、審判時における本人の状況を踏まえて判断されるものですが、個別の事案に応じて、種々の具体的な事情を考慮して判断されるため、お尋ねの時間軸の程度について一概にお答えすることは困難でございます。
もっとも、相当遠い将来に危険があるとの主張がされた場合には、一般的には、それを適切に予測し、審判の必要性があるとすることは困難であると考えられます。
また、お尋ねの確実性の程度についても、一概にお答えをすることは困難ですが、先ほどお答えしたとおり、漠然とした不安感があることのみでは、一般的には、本人が不利益な行為をする危険があるとは言えず、審判の必要性があるとすることは困難であると考えております。
國重徹君。
ありがとうございます。
難しい質問だったと思いますけれども、ギリギリというか、精一杯答えていただいたとは思いますが、その上で、法務省として、特定補助の対象として、具体的にどういうケースを想定しているのかと、逆に一見すると、これ入りそうなんだけれども、こういう場合は当たらないというような具体的な例として、どういうようなケースを想定しているのか、お伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
特定補助人を付する旨の審判の必要性が認められる具体的な事案としては、例えば、本人が認知症等で通院治療等を受けつつ、地域社会で生活をし、名前等を記載することができるような活動をすることができ、過去に重要な財産行為について不利益な取引をしたことがあり、特定補助人を付する旨の審判の請求権者が本人との間でコミュニケーションを十分に取れないなど、本人の行動を的確に予測することができない事案が想定されます。
他方で、例えば、宣言性意識障害にあるなど、本人が事理弁識能力を欠く状況にあるものであっても、その精神の状況等に照らして、およそ外形的に法律行為と評価される行為をすることがないなど、法定の重要な財産行為をする可能性がない事案や、親族等の第三者の支援により、本人が単独でそうした行為に及ぶ可能性がない事案では、特定補助人をする旨の審判の必要性が認められないことがあると考えられます。
國重徹君。
要はですね、自分の名前が書けなかったりとか、会話が困難であったりとか、そもそも契約行為を行う可能性がないような場合には、もう契約をしてですね、被害に遭うような可能性もないから、特定補助の必要性はないと。
そういうような場合は、補助の方でですね、必要な取消権をこれ個別に設定して、これで本当に本人保護が図れるのかと。
いろんなことを取り消せるようにしている方が守れるんじゃないかと。
こういう懸念の声もありますけれども、大丈夫なんでしょうか。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
現行法では、成年後見人がした行為は、日常生活に関する行為以外の全ての行為を取り消すことができるとされております。
もっとも、本人がした行為を取消可能とすることは、本人が単独で確定的に有効な行為をすることを否定し、本人の自己決定を制約する側面を有します。
そこで、民法等改正法案では、補助の制度に一元化し、本人にとって必要な範囲で取消権を付与することといたしました。
その上で、事理弁識能力を欠く状況にあるものについては、法定の重要な財産行為をいずれも取消可能とする特定補助人をする旨の審判の仕組みを選択できることとし、加えて、法定の重要な財産行為以外の行為についても、個別の必要性に応じて取り消すことができることとすることによって、十分な保護を図ることができるようにしております。
國重徹君。
これまでの後見制度の問題点として、成年後見人等の交代が困難で、本人がニーズに合った保護を受けられないという点が指摘されてきました。
そこで今回、不正行為や著しい不業績、要は後見を継続させるのは相当でない場合、こういう場合だけじゃなくて、本人の利益のために特に必要があるときに、後見人を解任、交代できるようになりました。
ここでいう本人の利益のために特に必要があるときとは、具体的にどういうケースを想定しているのかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
法制審議会の部会の議論を踏まえると、補助開始の審判を受けた者の利益のため、特に必要があるときに該当する場合としては、例えば補助人が財産管理は行っているが、本人に面会しなかったり、本人の家族などの本人を支援するチームと連絡を取らなかったりした結果、本人や関係者と適切な関係を構築することができていない場合などが想定されます。
國重徹君。
その上でですね、この規定では本人の利益のために特に必要があるときと、特にとのこの文言が入っています。
単に必要があるときと比べてですね、特にとあることでどのような法的な違いが生じるのかお伺いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案は現行法と同様に補助人については、家庭裁判所が個々の事案に応じて、本人の課題等を踏まえて、最も適任と認められるものを選任することとしております。
このように、本人の課題等を踏まえて選任された補助人が、継続的にその事務を行うことが、基本的には本人の方に資するものと考えられますから、特別の必要性を要件とする趣旨で、新設する解任事由を、本人の利益のために特に必要があるときとしたものでございます。
國重徹君。
はい、それでは私も持ち時間40分ということですので、もう次で最後の質問にさせていただきたいと思います。
2問、一緒にしてセットでしたいと思います。
補助人への報酬について最後に伺います。
現行法ではですね、本人及び成年後見人等の資力以外の考慮要素が、これ条文には明記されていません。
そこで改正案では補助人が行った事務の内容等を報酬の考慮要素とすることが、これ条文上明確化されました。
そもそも本来報酬の決定はですね、資力以上に、この行った事務内容を考慮すべきだった。
お答え申し上げます。
現行法では、家庭裁判所は、本人の財産の中から相当な報酬を補助人に与えることができるとしておりますが、報酬を算定する際の考慮要素として、後見人及び被後見人の資力、その他の事情を規定しており、資力以外の事情も考慮要素となることが規定されております。
そして、家庭裁判所は、補助人に報酬を付与すべきか否か、付与するとしてその額をどのように算定するかを判断するにあたり、様々な事情を考慮しており、現在の実務でも補助人が行った事務の内容が考慮されていたものというふうに承知をしているところでございます。
民法の規定上、後見人及び被後見人の資力だけを明示的に規定していたわけでございますが、現行民法の規定は明治民法第925条本文の規定に由来するものでありまして、報酬を与える主体を親族会から家庭裁判所に改める改正がされたほかは、基本的にその内容は改正されておりません。
明治民法において後見人及び被後見人の資力、その他の事情を考慮することとされていた理由は、必ずしも明らかではありませんが、例えば、後見人が十分な資力を有しているのに対し、被後見人が資力を満足に有していない場合には、後見人に報酬を与えないことが多い、などと説明されてきたものと承知をしております。
國重徹君。
今回の法改正が現場で実務できちんとワークするように、一つ一つの法解釈についても明らかになっていく、そういう今回の法案審議になっていくことを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
井上英孝(法務委員長)次に西村智奈美君。
西村智奈美(中道改革連合・無所属)
おはようございます。
ちょっと質問の順番を変えまして、先ほど國重委員からも質問がありました特定補助についてから質問したいと思います。
今回、成年後見制度で、しかも後見制度の見直しをされたものと、福祉との連結、接続を今まで以上にもっとやりやすくということで法改正がなされるという中において、先ほどから質問のありました特定補助については、これはなかなかまだ議論があるところだというふうに思っております。
それでまず最初に伺いたいのは、この特定補助の仕組みを設けた理由について伺いたいと思うんですけれども、ちょっとまた後で細かく聞きますが、これがあることによって特定補助人を付するという審判がもしかしたら多数利用されるようになるのではないかということも少し将来像として見込めるところがあるんですけれども、この制度の理由についてまず答弁をお願いします。
平口洋法務大臣お答えいたします。
本法案では、本人に必要な範囲に限って、個別に補助人に取消権を付与することとしております。
このような保護を受けるためには、本人が不利益な行為をする危険がある行為類型を特定する必要があります。
しかしながら、本人が事理弁識能力を欠く状況にあるものである場合には、そのような行為類型を的確に予測して特定することが困難な場合がございます。
そこでそのようなものについて、重要な財産行為をいずれも取り消すことができる特定補助の仕組みを、利用することになるとは考えておりません。
西村智奈美(中道改革連合・無所属)私、今日はこの民法とそれから家事事件手続法について質問しようと思っていますけれども、もう1回質問の時間をいただけるようですので、次の機会には消費者契約法の改正、より包括的な取消権のことについて質問しようと思っていますが、今日は民法と、それから家事事件手続法ということで、質問を進めてまいります。
それで先ほど、國重委員とのやりとりを大変興味深くというか、本当に関心を持って聞かせていただいたところだったんですけれども、私からも一点確認をしたいと思っております。
現行の後見制度、包括的な代理権、それから取消権というふうに書かれているわけなんです。
今回改正民法第10条ですね。
ここにおいても特定補助の要件として、今度は事理弁識能力を欠く状況にあるものというふうに同じ文言が記載されているわけなんですね。
この特定補助は重要な財産行為について取り消し可能とする仕組みを選べるということで、成年後見制度とは大きく異なるわけなんですけれども、それぞれどういうふうに理解をされているのか。
また、特定補助の要件で、成年後見、現行の制度と同じように、ここが同じ文言なので、同じように理解をされるのかどうか、ちょっと確認の意味で質問をします。
松井民事局長お答え申し上げます。
事理を弁識する能力を欠く状況にあるものにつきましては、定義はされておりませんが、平成11年の改正時には、一般に日常の買い物も自分ですることはできず、誰かに代わってやってもらう必要があるもの、などと説明がされてまいりました。
もっとも、現行法の実務のもとでは、その運用において、その想定よりも広い範囲のものが、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものに該当すると認定されているのではないか、との指摘もされているところでございます。
民法等改正法案では、そのような指摘も踏まえた上で、事理を弁識する能力を欠く状況にあるものという文言を、より明確化をする、整理をするということを考えておりまして、その内容については、法制審議会の部会での議論も踏まえて、社会生活上、人が通常経験する事務について、その内容を理解し、考えられる解決の利害得失を検討して、態度を決定することができる可能性がないことが、ほとんど通常の有様であるものと整理していることを、この答弁で申し上げているということでございます。
西村智奈美君。
文言としてはそういうふうに言ってみれば枠を決めていただくということで、現行制度の事理弁識能力を欠く状況にあるものというのとは違いますよということなんだと思うんですけれども、現に運用ですよね。
先ほど現行制度の中でもより広く解釈をされているのではないかという懸念もあり、今回の法改正につながったというようなお話もありました。
実際にこの事理弁識能力を欠く状況にあるものというのが、どういうふうに実務上、運用上判断されていくことになるのか。
家事事件手続法第120条3項で、家事審判の場合は市町村長その他適当な者に対し、本人の心身の状態、生活の状況、その他の必要な事項に関する意見を求めることができると、こういうふうに書いてあるわけなんです。
そこでなんですけれども、意見の聴取というのは、どういう事項について聞かれるのか、また、どこに対して行われるのか、それを御答弁をいただきたいと思っております。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案による改正後において、本人が事理弁識能力を欠く状況にあるものであるとの認定がされるのは、特定補助人をする処分の審判をする場合でございます。
その審判に当たっては、原則として鑑定を必要とし、例外として医師2名以上の意見を聞いて、明らかにその必要がないと認めるときは、鑑定をすることなく審判をすることができるとしております。
他方でご指摘のように、民法等改正法案では、家事事件手続法120条3項を新設し、補助に関する審判のうち、その必要性の有無を判断する者や、適任の補助人を判断する者について、必要な場合には、市町村長その他適当な者に対し、本人の心身の状態等、必要な事項に関する意見を求めることができることとしております。
この規定による意見の聴取として、市町村長に対し、本人のケアサービスの利用の有無等といった福祉的支援の有無及びその内容等を紹介したり、日頃から本人の生活を支援している者に対し、本人の日常生活の状況等を紹介することを想定しております。
西村智奈美君。
最後のところがさらっとだったんですけれども、つまり先ほど一応枠ははめてもらった、定義的にはなんですけれども、やはり本人の、例えば医師の判断のときなどは、やはりその日の状態というのはあるんだと思うんですよ。
たまたまその日が体調がよかったとか、あるいは、たまたまその日が体調が悪かったとか、やはりグラデーションがある。
そういう指摘がある中で、それに対して、例えば日常支援をしておられる方々にケアサービス、どういうものを受けているかですとか、それから日頃からの状況はどうかというのを聞いた上で、それは判断をされるということで、よろしいんでしょうか。
確認をしたいと思います。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
実務上は補助開始の審判をする、そして補助人として誰を選任するか、それを同時に考えて判断をしていくということが通常だろうと思います。
ですので、その場合の申立書の中におきましても、御本人の状況なども出てまいりますし、先ほど申し上げたとおり、補助開始の必要性の判断におきまして、市町村長、その他適当なものに対して意見を求めることができると、そのような事柄を総合的に考えていくということになろうと思っております。
西村智奈美君。
それで今度は後見になるということで、終わり方といいますか、終わった後のことも含めて御本人のことを考えると、やはりその方に当事者に関する福祉情報の取得というのは、これはやはり丁寧にやっていく必要があると思っております。
現在、成年後見の開始においては最高裁が本人情報シートを、これはホームページにも掲載していて、広く活用されているんだというふうに思うんですけれども、成年後見制度の開始に当たっては、本人情報シートは活用されているという前提なんだが、今度は、例えば交代とか終了とか、こういったものを想定していかなければいけないわけなんです。
情報の取得というのは、どういうふうに行うことになるのか、お答えください。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
現行法下の実務では、本人を支える福祉の関係者において、本人の生活状況等の情報をまとめたシート、いわゆる本人情報シートが、成年後見の開始の場面で活用されているものと承知をしております。
民法等改正法案では、補助人の解任事由として、本人の利益のため特に必要があるときを追加し、また本人の事理弁識能力が回復していない場合でも、必要がなくなったときは、補助に係る各審判を取り消すことができることとしております。
これらの審判の判断に必要な資料は、福祉に関する資料も含めて、基本的には申立人において収集し、家庭裁判所に提出することが想定されておりますが、本人情報シートに必要な事情が記載されていれば、それを提出することで、必要な資料の提出の目的を達成することもあると考えております。
また、民法等改正法案では、家庭裁判所は、補助人の解任の審判や、補助に係る各審判の取消しの審判をする場合に、本人や補助人から陳述を聴取したり、必要がある場合には、本人の生活状況等について、市町村長等の意見を聴取したりすることができることとしております。
このようにして審判に必要な資料を適切に収集した上で、補助人の介入の審判等に関する判断がされるものと認識をしております。
西村智奈美君基本的にやはり家裁の方から市町村、ないしは中核機関の方に問い合わせをするということになるんでしょうかね。
中核団体の方に行く前に、仮に御本人とそれから補助人、あるいは支援をしてくださっている方、こういった方々の間で保護、ないしは福祉に関する意見が分かれているとき、あるかなというふうに思うんですよ。
そういう時は、家裁というのは、どういうふうに判断をすることになるのか、御答弁をお願いします。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案においては、補助開始の審判等をするには、原則として本人の同意を要件としており、本人の支援者としての親族が、本人を保護するために補助開始の審判等が必要であると考えて申立てをしたとしても、本人が同意をしなければ補助開始の審判がされることはございません。
他方で補助の制度の利用を開始した後、その必要性がなくなったかについて、本人と補助人などの本人を支援する者との間で意見が分かれることはあり得るというふうに考えております。
家庭裁判所は本人や補助人の意見の結論部分だけを基礎として判断するのではなく、その意見を基礎付ける資料の有無等を確認し、さらに必要があるときは本人の生活状況等の判断に必要な事項について市町村長等に意見を求めることができ、地域福祉が有する資料も必要に応じて収集することができます。
一般論として申し上げれば、このようにして収集された資料を踏まえ、事案に応じて具体的な事情に即した適切な判断がされるものと考えております。
西村智奈美君次にそういったときのためにもといいますか中核団体、それから今回法定化される地域権利擁護相談支援センター、こちらの方は社会福祉法の方ですけれども、そちらの方で改正されるセンター等がきちんと機能するということが必要になってくるというふうに思います。
ここでどういう対応が必要になってくるかなんですよね。
家裁からの問い合わせなどに対してきちんと情報提供もするというようなことが必要だと思うんですけれども、やはり単発で「こうですか、どうですか、どうですか」というようなことを聞くというよりは、例えば受任者調整会議、こういった会議体を設けて対応するといったこと、こういったことも必要になってくるのではないかと思うんですけれども、これについて政府の側としてはどういうふうに考えていますでしょうか。
厚生労働省林大臣官房審議官。
お答え申し上げます。
御指摘のとおり、中核機関は、地域における権利擁護支援に関わる関係機関、専門職等のネットワークづくり、判断能力が不十分な方の権利擁護の支援に当たる専門職等からの相談を受け、支援の内容を検討し、適切に実施するための調整を担っております。
現在、昨年4月1日時点で77%の市町村において整備済みとなっておりまして、自治体直営のものと委託のものと、おおむね半分ずつになっております。
この中核機関が担う役割の大きなものと一つとしましては、後見人等の候補者と専任形態についての調整、いわゆる受任者調整を行うということが挙げられておりまして、中核機関設置済み自治体の約6割において、こうした受任者調整を実施するなど、本人のニーズに対応した支援の実現に向けて、大変重要な役割を果たしていると思っております。
厚生労働省としてはこれまでも成年後見制度利用促進に基づく政府の基本計画に基づきまして、市町村に対して中核機関の整備、あるいは機能強化のための支援を行ってまいりました。
その上でこの中核機関について制度上もしっかりと位置づけをし、また小規模自治体をはじめとして中核機関が整備されていないところもまだ多いことも踏まえまして、今委員御指摘いただきましたとおり、今回国会に提出しております社会福祉法等の一部を改正する法律案におきまして、
まず判断能力が不十分な方の権利擁護支援について、市町村が行うべき事務を法律上明確化した上で、その中核的な役割を担う機関としての中核機関を地域権利擁護支援相談支援センターとして法律上位置づけるなど、必要な制度的対応を盛り込んだところでございます。
今後、こうした法改正も踏まえまして、厚生労働省としましては、都道府県とも連携して設置に向けた支援を行うとともに、既に設置している自治体においても、中核機関が地域において必要な機能を発揮できるよう、国における研修等において、好事例の共有を図るなど、受任者調整も含めまして、市町村における適切な支援体制の構築を促進してまいります。
西村智奈美君。
受任者調整を行っているのは、センターのうちでも6割だということですが、やはり受任者調整会議って、今後後見人を育成していく、また受任してもらうということから言っても大事なものだと思うので、ぜひ拡充をしていってもらいたいと思っています。
最後に1つ、今回補助制度は終われるわけですね。
終えることができるわけですね。
そうしますと、出口に当たっての支援、これを地域権利擁護相談支援センター等が行うのかどうかなんですけれども、補助制度、もちろん補助制度を利用している間の補助人や本人支援者の支援、それから補助制度終了に当たっての出口支援、これは含まれるということでよろしいんでしょうか。
時間が来ましたので短く答弁をお願いします。
林大臣官房審議官。
簡潔に御答弁申し上げます。
現在御審議いただいているこの民法等改正法が成立した際には、成年後見制度の利用の必要がなくなったときに、利用の終了というのが可能な制度になりますので、御指摘のような、いわゆる補助制度終了に当たっての出口支援についても、現在の中核機関の役割に鑑みれば対応するべき重要な役割になる、含まれると考えております。
西村智奈美君。
はい、ぜひそれは政府全体で共有していただいて取組をお願いします。
終わります。
次に小竹凱君。
はい。
国民民主党の小竹凱です。
本日も質疑の機会をいただきありがとうございます。
本日はですね、今回の改正の主眼ともいえます、この本人意思の尊重、特にこの選任の部分についてですね、中心に質問をしていきたいというふうに考えております。
最初に申し上げておりますけれども、私、専門職後見人を否定するものではなく、親族間に深刻な対立がある場合であったり、利益相反が強い場合、虐待や財産侵害の恐れがある場合、こういったときには第三者の専門職が入る必要性があることは当然であると考えておりまして、しかしそのことと本人が信頼し、現に生活を支えている家族がいるにもかかわらず、その家族の位置づけが、との理由では不服申立てができないというふうにも明記をされています。
つまり本人や家族が信頼して候補者として挙げた人が選ばれなくても、そのこと自体を理由に争うことはできない。
これが現行制度の基本的な姿だと理解しておりますが、この理解についてよろしいか、法務省に伺います。
法務省、松井民事局長。
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、現行の法定後見制度においては、成年後見人等の選任の審判に対して不服申立てをすることはできないとされております。
これは法定後見を開始する必要がある場合には、早期に本人の保護を開始すべきでありますが、成年後見人等の選任の時点では、成年後見人等はまだ事務を行っておらず、その事務が不適切であるなどの評価をすることができない等の理由によるものと考えられます。
小竹凱君。
ありがとうございます。
ここで問題なのは、単に家族が選ばれないことがあるということではなくて、本人の生活や尊厳に深く関わる人選について、本人や家族の納得可能性を確保する手続保障が十分かという点について伺いたいと思います。
裁判所が専門的見地から人選を行う必要性は理解しますが、しかし本人や家族から見れば、信頼していた候補者が外され、しかもそのこと自体を理由に不服申し立てもできないということであれば、この制度に対する不信感を招きかねないというふうに考えますが、この点についてはどういうふうに受け止めていらっしゃるでしょうか。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案では、現行法と同様に、家庭裁判所が適任のものを補助人として選任し、この補助人の選任の審判に対しては不服申立てをすることができないこととしておりますが、他方で、選任された補助人に不正な行為がなくても、本人の利益のため特に必要があるときは、補助人を兼任することができる、という規律を加えております。
適時に本人の保護を図る必要があることを踏まえると、このような仕組みは、本人の利益のために合理的な制度であると考えております。
なお、現行法の下でも、家庭裁判所は、親族が成年後見人等の候補者として記載されている事案では、本人の課題を踏まえ、親族を選任することの適否を判断しているものと承知をしております。
令和7年において、申立書に、親族が成年後見人等の候補者として記載されていた事案の約8割の事案で、親族が成年後見人等に選任されているものと承知をしております。
小竹凱君。
ありがとうございます。
今、例をいただきましたけれども、約8割、ほとんどですね、選任されているということが、むしろその理由を知りたいといいますか、ちょっとそのについて、次の質問なんですけれども、東京家庭裁判所の資料を見させていただきました。
選任されなかった主な理由、事例として、利害対立であったり、財産運用目的の疑いであったり、健康上の問題や多忙など、いろいろと例示されておりました。
これは確かに合理的な理由の一つだと思います。
一方で、この同じ資料では、先ほど御答弁いただいたように、親族候補者が立っている案件で、その候補者が選任されない案件は、むしろ少数というふうにも書かれております。
そうすれば、なおさら国民の側から、どのような場合に家族候補者が尊重されて、どういった場合に外されているのか、こういった基準というか理由を、もっとわかりやすく示すべきと考えますが、この点について認識を伺いたいと思います。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
民法等改正法案でも、現行法と同様に、補助人については、家庭裁判所が個々の事案で最も適任と認められるものを選任することとなっており、個別の事案における具体的な事情に即して、様々な考慮要素を踏まえて判断される必要があるため、明確な基準を設けることが困難で、また、画一的な基準を設けることも適切でないと考えております。
選任理由の明示に関し、家事審判は、原則として理由の要旨を記載した審判書を作成する方法でしなければならないとされておりますが、迅速な処理の要請に鑑み、即時抗告をすることができない審判については、理由の要旨を記載することを要しない場合がございます。
補助人の選任の審判は、即時抗告をすることができない審判ですので、審判において理由の要旨の記載がされない場合があるものと承知をしております。
理由の要旨を記載した審判書を作成するかは、事案に応じた適正な運用に委ねることとされており、各裁判官において当該事案に応じて適切に判断されることになるものと承知をしております。
小竹凱議員。
ありがとうございます。
先ほどの2問目のところに書いて、即時抗告、不服申立てができないから、それとセットというか、それに合わせて理由の審判書も出されないことが、ほとんどというか、出す必要がないというふうに理解しましたが、逆にこの審判書がされる割合というのは、すごく書いていませんけれども、どれぐらいだという認識があるんですかね。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
裁判実務に関することでございまして、法務当局としてその数字を持っているわけではございません。
申し訳ございません。
小竹凱君。
ありがとうございます。
する必要はないということなんですけれども、説明書きがされる場合もあるということは、なおさら、どういった理由か知りたいというのは、国民の側からすれば、率直な感想というか、素直なことだと思います。
その後、統計についても確認をしていきたいと思います。
令和7年度の資料を見させていただきました。
1月から12月まで、成年後見の選任された内訳、16.4%が親族、親族以外が83.6%であり、親族以外の専門職が大半を占めております。
これは令和6年度、令和5年度も似たような数字ではありました。
この親族候補者による申立自体が減っている事情があるとしても、少なくとも現実として本人の身近な家族よりも第三者の担い手の方が圧倒的に多い制度になっていることは事実であります。
政府はこの現状を本人意思の尊重という観点からどのように評価されているのか。
例えば候補者自体が少ないので、本人意思の尊重という意味では不十分ですが、これは仕方ないことと捉えているのか、かえって専門的知見がある方が補助などに就くことは、結果として本人意思の尊重に良い影響を与えているというふうに考えているのか、素直な御意見を伺いたいと思います。
松井民事局長。
お答え申し上げます。
成年後見人等として誰を選任するかは、個別の事案における具体的な事情に即した家庭裁判所の判断によるものでございます。
後見人等の選任の状況については、家庭裁判所の判断の結果でございまして、法務省としてその評価をお答えすることは差し控えたいと存じます。
もっとも、選任について本人の意見がある場合には、これを尊重することが重要であると考えておりまして、現状においても、家庭裁判所は本人の意見を考慮した上で、個々の事案で最も適任と認められるものを選任していると認識をしているところです。
小竹凱。
はい、ありがとうございます。
結果として本人意思の尊重は一番に置きながらも、結果として今の数字に至っているというふうに理解をいたしました。
ここで大臣にも一問お伺いしたいと思いますが、平口大臣は4月3日の会見において、現行制度の課題として、必要な範囲で制度を利用したいというニーズに対応できていないということを掲げて、今回の改正案は本人本人の必要な範囲で制度を利用できるように進むのだと説明をされておりました。
この方向性は重要であり、私も賛同いたします。
この必要な事項だけ、必要な期間だけ制度を使えるようにするという趣旨であれば、見直すべきは権限の範囲だけでなく、この制度を誰が担うのか、この人選にも本人の意思をより反映できる制度設計を正面から進めるべきと考えますが、大臣、この点について御所見を伺いたいと思います。
平口法務大臣、お答えをいたします。
補助人の選任に関しても本人の意見を尊重することは重要であると考えております。
もっとも、現行法は補助人の選任の際の考慮要素として複数の要素を列挙し、その最後に本人の意思を規定しているところでございます。
そこで、民法等改正法案では、本人にとって適任のものを選任する観点から、本人の意見を重視すべきことを明確にするため、補助人の選任の際の考慮要素の最初に、本人の意思を規定することとしたものでございます。
小竹凱君。
ありがとうございます。
私もこの制度自体は否定しているものではないんですけれども、先ほど御答弁いただいたように、8割から9割の方は希望通り選ばれていると。
なおさら、この1割の方がなぜそうなっていないのかとか、いろいろなところに課題が生まれているというふうに思います。
この法制審の議論の経過も確認をさせていただきました。
各国の制度の比較法調査を作られていて、この議論をされていたように思います。
法制審議論の中であったり、その他、これまでの法務省所管内の議論の際に、今回の見直しで特に参考にした各国比較が作られていましたので、外国の制度は、これはどこを参考にされたのでしょうか。
また、見直しの議論にも、今回の法改正に最も近い示唆を与えた国、どちらか思いつくところがありましたら、お答えいただきたいと思います。
松井民事局長、お答え申し上げます。
法制審議会の部会において、諸外国における成年後見制度に関する資料等が配布され、議論がされたところでございます。
各国において判断能力が低い方に対する保護の制度は様々でございまして、今回の見直しで特に参考にした外国の制度等についてお答えすることは困難でございます。
その上であえて一例を挙げますと、ドイツの世話法は一元的な制度であると評価されておりまして、今回の改正が基本的に補助の制度に一元化しているという部分では、一定の類似性があるという評価もできると考えております。
小竹凱君。
ありがとうございます。
ドイツは補助に一元化されておりまして、世話人という言い方をしていますけれども、そこに近いというふうに例示されていたというふうに思います。
それから人選についても、ドイツはわりと明確に順序立てて書かれているようにきまして、納得感というか、納得可能性が高いというふうに考えます。
今回の見直しの議論に今いただいたように、まさにこのドイツの例というのは、日本でも議論の参考にするべきです。
法務委員長。
この抽象的な家族優先論ではなくて本人意思というのが一番に来て家族という順序があるのがドイツで、今回の主眼である本人意思の尊重という今の国の理念であったりとか、昨今の血縁家族はいても近くに身寄りの家族がいない高齢者が増えているということも考えみると、非常にこの制度というのは親和的だというふうに思います。
この家族と本人意思を対立させていないこのドイツの制度も参考にするべきだというふうに思っておりまして、本人が信頼をできて生活自体として近くにいる家族であれば自然とその人が第一候補に位置づいて、一方でこの利益相反であったり不適格事由があればそこは配慮されていくというような本人保護であったり家族の位置づけというところを、まさに本人の意思を起点に調整を始めているのがこのドイツの制度だと思います。
この制度を日本でも制度というか、この発想を本人の意思尊重というのであればもっと明確に取り入れるべきだというふうに思いまして、現行制度のように結果として候補者を書いても必ずしも選ばれるわけではなく、そのことについても不満があっても不服申し立てができない。
しかもこの順序についても明確に1番、2番、3番というような候補が上がっていないというところは、制度全体に本人意思尊重を。
法務委員会。
本人や申立人の希望と異なる人選をした場合に、最終的に納得感につながるというふうに思いますが、こういった仕組みを整えるべきという意見はなかったのか、御意見を伺います。
松井民事局長、お答え申し上げます。
法制審の部会では、諸外国の成年後見制度に関する資料等も配布された上で議論がされたというところでございます。
その上で我が国の法制度では補助人については家庭裁判所が個々の事案で最も適任と認められるものを選任することとしており、民法等改正法案では本人の意見を重視すべきことを明確にするため、補助人の選任の際の考慮要素として冒頭に本人の意見を規定することとした次第です。
本人が信頼する家族を補助人にすることを希望している場合には、その本人の意思は補助人の選任の際に重視されます。
他方、親族間に紛争があるなどの事情により、親族が補助人に選任されない事案も生じると考えております。
小竹凱君。
ありがとうございます。
結果として、運用の中で本人の意思は尊重されていくというのがあれば、制度上、より明確に本人意思が一番に来て、その後に家族というか、そういうところに来て、その後に第三者的な専門職が来るというような、よりここを明確にすることも今後の議論として可能性はあるというふうに認識していますので、また引き続きの検討のほどよろしくお願いいたします。
先ほどから申しているとおり、不服申立てを認めようということであったりとか、人選争い自体を長引かせるというような意思ではなくて、本人の尊厳に深く関わるこの人選だからこそ、最低限の納得感というか納得可能性、それから手続保障が必要でないかというふうに申し上げているところでございまして、大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の改正は、制度を必要な範囲に絞り、本人意思をより尊重するということであれば、この人選についても、よりその理念を徹底して、制度に明確に落とし込めるように、引き続きの議論をしていただきたいと思いますが、大臣、御所見をお願いいたします。
平口法務大臣。
お答えいたします。
民法等改正法案では、本人の自己決定をより尊重することを基本として、成年後見制度の見直しを行っているところでございます。
そして、本人にとって最適のものを選任する観点から、本人の意見を尊重すべきことを明確にするため、補助人の選任の際の考慮要素の最初に、本人の意見を規定することとしたものでございます。
また、補助人の解任事由に、本人の利益のため、特に必要があるときを追加することとしました。
法務省としては、補助人の選任を含め、本人の自己決定が尊重される運用が行われるよう、関係機関と連携して、その趣旨の十分な周知に努めてまいりたいと考えております。
なお、先ほどの質問の際に、本人の意見というべきところを本人の意思と表現いたしました。
訂正をさせていただきます。
補助人の解任事由と言うべきところを、本人の解任自由と申し上げましたのも、重ねて訂正させていただきたいと思います。
小竹凱君。
時間が来てしまいましたので、一問、二問また金曜日に回させていただきたいと思います。
引き続きですね、残された議論もたくさんございますので、また、次のバトンは井戸さんに渡したいと思います。
私の質問を終わります。
ありがとうございました。
次に井戸まさえ君。
国民民主党の井戸まさえです。
我が家には5歳になります重症心身障害児がいます。
言葉も話せず、歩くこともできません。
たとえ18歳となり、成人に達しても、民事法制と社会福祉の一体的な改革、それが今回の成年後見制度の役割だと私は思っております。
一方で、認知症高齢者は700万人に達し、ご高齢者はもちろん、親の世代を支える現役世代にとっても、今回の制度改正は重要であるという認識から質問をさせていただきます。
まず、障害者の成年後見制度の利用促進について伺います。
先日、障害者団体である全国手をつなぐ育成会連合会さんにお話を伺いました。
育成会さんでは、令和3年、2021年に成年後見制度に関するアンケートを実施し、その結果、後見制度の認知度については「よく知っている」「ある程度知っている」を合わせると83%の方が知っていると回答しています。
しかし実際に後見制度を使っている方は11%程度で、9割は使っていないというような状況でした。
後見制度を使っていない理由は、「親が元気だから」というのが1位の65%なんですけれども、一方では「制度について良くない評判を聞くから」「報酬が払えるか心配だから」という声もありました。
この結果から、制度の周知不足で利用を控えているのではなくて、一度使うと戻れないとか、後見人等の援護ができないといった側面に加えて、財産管理に重きが置かれて、身上保護が十分な割に報酬が高い、そうした印象だったり、今回改正点にもなった具体的な課題が見えたようなアンケートでした。
そういったことを踏まえて、まず大臣に伺いたいと思います。
今回の改正は、障害者団体などから寄せられたこうした声を十分に反映した法案になっていますでしょうか。
また、改正により知的障害者を含む障害当事者の制度利用がどのように変化する、どのように進むかというふうにお考えでしょうか。
ご答弁をお願いいたします。
平口法務大臣。
お答えをいたします。
民法等改正法案による改正後の成年後見制度の利用者数については、他の支援による対応の可能性にも左右されると考えられるため、現時点でその増加数を具体的に予測した上でお答えすることが困難であることは、ご理解いただきたいと思います。
もっとも、本法案は、本人が判断能力を回復しない限り、制度の利用を終了できないなどの課題を解消するものであることから、改正後はこれまで利用を躊躇していた方による利用も進むものと考えております。
井戸まさえ君。
ありがとうございます。
そうした障害者団体などからの提言を踏まえた対応であった。
そしてこれまで利用できなかった方々も、消極的だった要因というのを一定程度改善する方向であると受け止めております。
利用促進についてはさらなるご努力をお願いしたいと思います。
続いてですね、身上保護について伺います。
1999年の12月、それまでの準後見制度が改正をされて、成年後見制度が導入されましたけれども、その際に最もよく議論をされたテーマは、身上看護でした。
直系血族及び同居の親族の助け合い義務を定めた民法730条。
これを背景に、家庭裁判所の後見の実務では、当事者の家庭内のアンペイドワークというのを義務付けるような条文として、頻繁にこれを用いられてきたんですけれども、その先にあるのが、この身上看護や身上保護という言葉で、一人ではなかなか生活ができない高齢者や障害者に対して、誰が身近で献身的にその世話、つまりはですね、家事労働だとか介護労働をしてくれるというイメージが、この言葉には今もあるように思います。
当事者や親族の間では、この成年後見に対しても、財産管理と身上保護を両輪でやってほしいというような要望も少なくないようです。
こうした制度に対しての要望からも、不満というかところでは、福祉と連携もしていないとか、報酬が高いといった声も必ずあります。
この委員会でも指摘されていましたけれども、ご家族とのトラブルについても、心身保護の内容が曖昧なために、後見人だとか非後見人双方にとって、何が心身保護なのかというのがわかりにくくなっているのではないでしょうか。
成年後見制度に言う心身保護とはどのような内容を指していますでしょうか。
また今回の制度改正で、解任自由の中には、本人が希望しているにもかかわらず面談に来ないとかいうことについて言ったら、そこで解任の自由にもなっていくというようなことを承知もしておりますけれども、今回の改正における心身保護に関して、分かりやすくお示しをいただければなと思います。
法務省松井民主局長。
お答え申し上げます。
補助人の事務として、補助人による代理権の行使の対象となる法律行為には、財産管理に関する法律行為のほか、心身保護に関する法律行為が含まれます。
この心身保護は、生活や療養看護のことを言うものと解されておりますが、一般的には、補助人は、現実の介護行為のような事実行為をする権限を有するものではないと解されています。
従いまして、改正法によって、心身保護の範囲が変わるものではないと考えております。
井戸まさえ君。
今の御答弁もちょっと何かやっぱり分かりにくいと思うんですね。
やれることだけれども、法律行為としてそこのとこはやらないというかやれないということなので、ちょっとこのやっぱり用語の整理というものもちょっと必要なのかなと思います。
続いてですね、ちょっと質疑の順番を替えて、制度利用のときの費用負担について伺っていきたいと思います。
どんなに良い制度であっても、そこにアクセスができないというのであれば、意味がないです。
なので、特に知的障害者の方々は、低所得であることも多くて、障害基礎年金のみで生活されている方も少なくありません。
障害基礎年金は、障害年金生活者支援給付金を加えても、1級で月額の9万5千円、2級でも7万6千円です。
一方、成年後見制度では、後見人の報酬が月額2万円となるケースが何度もあって、障害を抱える当事者にとっては極めて重い負担となるので、利用ができないという方たちも多くおられました。
報酬額について言ったならば、仕事の量や質、利用者の財産状況をもとに、家裁が個別に決めることになっていますけれども、最高裁の家庭局は23年に、報酬が利用者の大きな負担になっている場合があるとの認識を示されて、2025年には利用者にとって予見可能性をできるだけ確保することが重要だとの考えを示されて、そして今年の3月には全国の家庭裁判所が決めた後見人らへの報酬額の実績を初めてサイトで公表したとしました。
こうしたことも踏まえて、特に障害者の場合もそうなんですけれども、この報酬の適正地というのをどのように判断をしていくのか、お答えをいただきたいと思います。
最高裁判所毛泰家庭局長。
お尋ねは、改正法案が成立・施行された後の裁判所の運用に係るものという理解しましたが、これについては、現時点で確たるお答えすることは困難でございますが、その上で一般論として考えられるところを申し上げれば、今回の改正法案におきましては、本人の具体的なニーズや課題に対応するための必要十分な権限が付与され、補助人等はその範囲で事務遂行を行うことが基本的に想定されているものと承知しております。
そうであるならば、補助人等に対する報酬のあり方につきましても、包括代理権を有する現行法下の後見人に対するものとは、自ら異なるものとなることが想定されまして、例えば補助人等が行った事務の内容をより重視したものと。
井戸まさえ君。
ぜひお願いしたいと思います。
ただ、一方で、専門性が高い業務なのにもかかわらず、報酬が少なすぎるというような指摘もあるわけです。
日弁連さんの22年から23年の調査では、弁護士の約1200名のうち16.5%が利用者の財産が少なかったために、無報酬でこの業務を経験しているというようなことを回答されています。
そういった上でも、仕事に対しては、ちゃんとした報酬が必要だと思うんですけれども、そして、いろんなことを加味しながら、いわゆる早い者勝ち、あるところの予算のところまで行くと、その後の人は使えないというようなことも指摘をされています。
この助成の仕組みの見直しについて、改善が求められていますけれども、対応を教えてください。
厚生労働省、林大臣官房審議官。
お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたように、厚生労働省では、低所得の知的障害者、精神障害者、認知症高齢者に対して、成年後見制度の申立費用、後見人等への報酬の助成を、市町村が行います成年後見制度利用支援事業を実施しております。
成年後見人等への報酬助成につきましては、第2期現行の成年後見制度利用促進基本計画を踏まえまして、自治体に対して、事業の対象として広く低所得者を含めることなどの留意事項、あるいは、先進自治体における好事例を示すなど、成年後見制度の利用支援に向けた取組を進めております。
一方で、委員御指摘のとおり、事業の実施状況に地域差があるなどの指摘があることは、我々も承知しております。
今後に向けましては、これまでの取組の状況、あるいは、より詳細な各自治体の事業の運用実態、こうしたものも把握しながら、全国どの地域に住んでも成年後見制度の利用を必要とする方が、適切に制度を利用できるように取組を進めてまいります。
井戸まさえ君。
ありがとうございます。
まさにそこなんですよね。
制度を必要とする方が、しっかりとそれを受けられるようなサポートというのをよろしくお願いしたいと思います。
次に、現行利用者に対して、今度、新制度に移行していくという中での取組について伺います。
現在、成年後見制度を利用している方々や家族からは、自分は移行できるのかとか、また移行により何かしらの利益はないのか、また手続きの負担はどうなるんだろうかというような不安の声もあるようです。
新制度への移行対象の方々についてのバックアップ体制、これはどのように整えていくというような形で考えていらっしゃるのでしょうか。
まず、法務省さんに伺います。
法務省民事局長。
お答え申し上げます。
現在、成年後見制度を利用している方々が今後どうなるのかについて申し上げますと、民法等改正法案では、施行日前に後見または補佐の制度を利用している方は、基本的に現行法の内容でその利用を継続することができることとしています。
その上で、その方が新しい補助の制度に移行したい場合には、新制度の申立てをして新制度に移行することにより、後見又は補佐の制度の利用は終了することができます。
また、後見又は補佐の制度の利用を終了したい場合には、後見開始又は補佐開始の審判の取消しの申立てをすることができます。
委員御指摘のとおり、現在、後見又は補佐の制度を利用している方については、今述べたような改正法の内容を知っていただき、制度の利用を続けるかどうかを検討していただくことが重要であると考えております。
法務省としては、改正法が成立した場合には、これらの方々も含め、広く国民各層に改正法の内容を理解していただけるよう、しっかりと周知広報に努めてまいりたいと考えております。
井戸まさえ君。
まさに今利用されている方が26万人ぐらいいらして、その方たちがこれから新制度に自分たちが移行していく、使うというところに関してなんですけれども、これどのように周知徹底をしていくのかと。
周知徹底に努めますという御答弁はあったんですけれども、具体的にどうしていくのかということを、ちょっとレクのときにも伺ったらば、今利用していらっしゃる方々に、例えば通知を出すとか、年金特許もいいんじゃないですけれども、知った上で継続を選択するのか、それとも知らないまま継続が続いていくのかというのでは大きな違いがあるのではないかと思っています。
今回の改正は必要なときに必要な範囲で利用するという考え方への転換でもあり、その意味では制度利用開始時だけではなくて、今利用開始で新しくこの新制度に入られて利用される方だけではなくて、今利用継続中という方たちにも本人の意思を確認をすること、そして契約内容や支援のあり方、これも見直していく視点が重要になってくるのではないかと思っています。
質疑応答もしくは、また現行制度を継続するのか、新制度における実行ごとの契約に移行するのかなどについて、本人や関係者と話し合った内容を報告事項に含めることも一つの案なのではないかと思っています。
裁判所としてこのような運用について、どのようにお考えかお示しをいただきたいと思います。
毛泰家庭局長。
お尋ねの改正法案の後見の規定に関する裁判所の運用のあり方について、現時点で確たるお答えすることは困難でございますが、一般論として、委員ご指摘のように、現行法における後見や補佐の制度の利用を終了するか否かの判断にあたって、制度利用の要否に関するご本人の意思、あるいは意向を尊重することが重要であると理解しております。
最高裁といたしまして、ご指摘のような観点も踏まえて、お尋ねの後見の規定に関し、改正法の趣旨や内容にかなった適切かつ合理的な運用が各家庭裁判所でなされるよう、必要な後押しをしていきたいと考えております。
井戸まさえ君。
金曜日もまた質疑の機会があるので、ちょっと残った残余の質問については、そこでもさせていただきたいと思っているんですけれども、この遺言の制度も、そして成年後見の制度も、単なる法的な法律事項、そして法律技術だけではないと思っています。
本人の意思、そして人生最後の意思というのを、どう社会が支えるのかという人権と尊厳の問題であると思っています。
だからこそ私はこの視点というのをしっかり真ん中に据えて改正の議論というのを進めていかなければいけないと思っています。
ではまた金曜日に質問させていただきますのでよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
次に鈴木美香君。
はい。
こんにちは。
参政党の鈴木美香でございます。
ありがとうございます。
本日もお時間をいただきありがとうございます。
本日は私も成年後見制度の改正について質問させていただきます。
成年後見制度は民法の親族に関する分野に位置づけられており、本来は家族や親族が中心となって本人を支える制度であると考えております。
しかし現行制度におきましては、親族ではなく専門職後見人が選任されることで、本人や家族の意思が十分に反映されにくいこと、申し立て手続きが煩雑で利用開始までに時間がかかること、また後見人等に支払う報酬の負担が大きいこと、家族や親族が十分に関与できないまま、本人の財産処分や施設入居などの重要項目が決められてしまう場合があることなど、様々な課題が指摘されております。
参政党といたしましては、個人の権利や自由を尊重することは当然重要であると考えておりますが、国民が安心して暮らしていくためには、家族や親族のつながりや絆もまた大切であると考えております。
そこで本日は、今回の民法改正によって現行制度の課題が本当に解消されるのか、また成年後見・補佐を廃止して補助に一本化することが本当に適切なのかという観点からお伺いさせていただきます。
現行の成年後見制度では、事理弁識能力という法律行為の結果を判断することができない能力の程度によって3類型に区分されています。
このように能力が常にない状態の方については成年後見、著しく不十分な方には補佐、不十分な方に関しては補助の制度が利用されていて、これについて登記されています。
そして成年後見人には包括的な代理権、つまり全ての行為について代理権、そして取消権が認められております。
しかし今回の法改正では、成年後見と補佐の制度が廃止されて、補助制度が一本化され、必要に応じて個別に同意権、取消権、代理権を認める仕組みに変更されることになっております。
そうすると、例えばご自分で法律行為を判断できない方に関して、包括的な代理権がなくなってしまいますので、緊急で入院することになった場合や、手術の手続き、施設に入所するに関しての契約など、申し立てには想定していなかった対応が急に必要となった場合、その都度、家庭裁判所に対して代理権の付与の申し立てをしなければならなくなるようなケースが生じてしまうのではないでしょうか。
現状でも、後見開始の申立手続きはとても手間がかかり、開始決定まで長時間かかるという声を伺っております。
今回の法改正では、このような手続負担の重さや迅速性の問題について、どのような改善が図られているのか、法務省にお尋ねいたします。
法務省、松井民事局長。
お答え申し上げます。
申し立て手続に煩雑さがあるとのご指摘があることは承知しておりますが、本人の判断能力の低下を裏付ける診断書など、法定後見制度を利用するための要件を裏付ける資料の提出は不可欠であり、民法等改正法案においてもそのような資料の省略が困難であることは、まずご理解いただければと存じます。
補助人の代理権につきましては、民法等改正法案では、包括的な代理権等の制度を廃止し、本人に必要な範囲に限って、補助人に代理権の付与等をすることとしているため、申し立て人において、必要な代理権を選択して申し立てをする必要がございます。
もっとも、補助の制度を利用する際には、その動機となる法的課題が存在し、その課題に対応するために複数の代理権の付与が必要である場合には、1回の申し立てにおいて、複数の代理権の付与を求めることが可能です。
そして、審理期間については、現行法の下で、成年後見等の事案の約7割は、申立てから2ヶ月以内に、家庭裁判所の審判がされております。
民法等改正法案による改正が、審理機関に影響を及ぼすか否かについては、改正法のもとにおける制度運用のあり方にも関わるため、現時点で具体的な見通しを申し上げることは困難でございますが、仮に補助開始の審判の申立てから、本案の審判の確定までの間に、緊急に本人を保護する必要がある。
鈴木美香君。
はい、ありがとうございます。
本当にいろんな諸状況が考えられる中、申立て時にあらかじめ必要性を予期しておくということもなかなか難しい問題であると思いますし、またデジタル化という今世の中進んでおりますけれども、オンラインで申請できる点でとはいえ揃える書類が減るわけでもありませんし、またそもそも不慣れな方々にとってデジタル化が逆に申請の負担をかける可能性もあったりとか、手続きの煩雑さといった問題やそれに伴う本人の負担ということは増えてしまうのではないかというふうに懸念しております。
また、成年後見を廃止することは、取引の安全と本人保護の関係についても不都合が生じるのではないかと考えます。
現行の成年後見制度では、本人の判断能力によって成年後見、保佐、補助という区分が明確に登記されているため、取引の相手方としても、本人の判断能力の状況や契約が後に取り消される可能性についても、一定の情報を得た上で、現状は取引することができます。
しかし改正法では、補助開始の審判を受けていたとしても、本人の判断能力の程度までは明らかにされておらず、相手方が本人の判断能力がないことを知らないまま取引してしまうケースも想定されます。
また改正法では判断能力が回復していなくても制度利用を終了する仕組みとなっておりますので、制度終了後においても相手方が本人の状況を知らずに取引する場合も生じ得ます。
取引の相手が悪質な業者だった場合、これまでのような包括的な取引取消権がなくなると、本人に判断能力がなかったとしても、取引が無効であるとの主張を聞き入れてもらえないケースも考えられます。
その結果、結果として家族やご本人が泣き寝入りするとか、あるいは意思能力がなかったと、裁判で争われるようなことになる可能性も考えられます。
私はこのように、本人にも家族にも大きな負担となる無用なトラブルや訴訟が今後増えてしまうのではないかというふうに懸念しております。
自己決定権を尊重するということは本当に大切なことだと考えます。
ただ、自己決定と自己責任は表裏一体であります。
今回の包括的な代理権、取消権を廃止することで、本人が自己責任を負う範囲が広がり、結果として財産の被害が増えたりする可能性について、法務省としてはどのようにお考えでしょうか。
対処を考えていらっしゃいますでしょうか。
お願いします。
松井民事局長、お答え申し上げます。
取引の安全の観点から御質問がございました。
まず、意思能力を有しなかったことによる法律行為の無効を主張するためには、行為者において、法律行為の時に意思能力を有しなかったことを立証する必要がございます。
このことは、民法等改正法案による改正の前後を通じて異なりません。
そのため、そのような主張立証の負担を負うことなく本人が保護されるためには、事理弁識能力を欠く状況にある者が、法定後見制度の利用を適時に開始することが、改正の前後を問わず重要でございます。
そして、民法等改正法案では、後見の制度を廃止することとしておりますが、他方で、補助人の同意を得なければならない行為の定めの審判を受けることによって、その後に本人が当該行為を補助人の同意なく行なった場合には、これを取り消すことができます。
また、本人が事理弁識能力を欠く状況にある場合には、特定補助人を付する旨の審判を受けることによって、法定の重要な財産行為をいずれも取り消すことができます。
さらに、特定補助人を付する旨の審判を受けた者に関しては、必要に応じて、法定の重要な財産行為以外の行為についても取り消すことができる旨の審判を受けることもできます。
このような仕組みを設けることとしておりますので、事理弁識能力を欠く状況にあるものの保護を図ることができると考えております。
鈴木美香君。
はい、ありがとうございます。
そうしますと、法務省としては、これまで成年後見を利用してきた、その時に弁識能力を欠く状況にある方、常に欠けている状況にいらっしゃる方は、今後は特定補助の活用を推奨していくということになりますでしょうか。
お尋ねいたします。
松井民事局長、お答え申し上げます。
民法等改正法案では、事理弁識能力の程度に応じて特定の類型の保護を受けることとはしておらず、本人にとって必要な範囲で補助人に代理権を付与することや、本人の法律行為を取り消すことができることとしております。
事理弁識能力を欠く状況にある方であっても、例えば補助の制度を利用する動機が遺産分割手続や、預貯金取引を本人に代わって有効に行うことである場合には、補助開始の審判の申立てと併せて
法務委員長。
事理弁識能力を欠く状況にある者が、外形的に法律行為と見える行動をとる可能性があり、かつ、その利害得失を理解し、検討することなく、法定の重要な財産行為に該当する不利益な行為をする危険がある場合には、特定後見人をする旨の審判を利用することも考えられます。
このように、法務省としては、事理弁識能力を欠く状況にある者について、当然に特定後見に要する旨の審判の利用がされるとは考えておらず、事理弁識能力を欠く状況にあるものも含め、本人の判断能力やその支援の状況等を踏まえ、必要な仕組みを選択して利用することにより、適切に本人の保護を図ることができると考えております。
鈴木美香君。
はい。
本当にいろいろな状況があるので難しいと思いますけれども、特定後見によってこれまで成年後見が担ってきた保護を実質的に補うのであるならば、成年後見を廃止するのではなくて、成年後見の弊害部分を修正するという選択肢もあったのではないかと思います。
ここまでお聞きして、今回の法改正によって、これまでの成年後見制度が担ってきた役割を補うためには、特定後見の仕組み以外にも、新たな支援制度やサポート制度が必要になってくると考えられます。
現に厚生労働省では、成年後見の廃止を前提として、地域における権利擁護支援策として、第2種社会福祉事業を新設する内容を含む社会福祉法等の一部を改正する法律案を、今国会に提出されております。
そこで厚生労働省にお伺いします。
成年後見を見直すことで、新たに必要となる権利擁護支援策について、具体的にどのような事業を想定していらっしゃるんでしょうか。
また、そのために必要となる予算規模について、現時点でどれくらい見積もっておられるのか、お尋ねいたします。
厚生労働省、林大臣官房審議官。
お答え申し上げます。
今回、民法改正法案が成立した暁には、成年後見制度の収容の見直しに伴いまして、成年後見制度利用を収容される方が出ることも踏まえますと、地域における権利擁護支援のニーズがさらに多様化、増加することが見込まれ、こうした状況に適切に対応する必要があると認識しております。
厚労省におきましては、これまで政府の成年後見制度利用促進基本計画に基づきまして、成年後見制度を中心とした権利擁護支援策の利用促進や、福祉関係者、司法専門職等による権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり等について、政策の総合的計画的な推進を図ってきたところでございます。
その上で、こうした取組を制度上しっかりと位置づけ、さらなる推進を図る観点から、ご指摘のように今国会に提出しております社会福祉法等の一部を改正する法律案におきまして、
井上英孝委員長。
次に、頼れる身寄りがない高齢者等や判断能力が不十分な方に対する日常生活や入院などの手続き、死後事務の支援を行う事業を新たに第2種社会福祉事業に続けまして、併せて相談体制の整備を図ることなどを盛り込んでございます。
これらに関わる予算の具体的な額については、現時点で明らかに今後法律改正後、具体的に検討していくことになりますので、現時点で明らかにすることはできませんが、今後こうした取組についてしっかりと行うことにおきまして、引き続き地域の権利擁護支援、政策の総合的な充実に取り組んでまいります。
鈴木美香君。
ありがとうございます。
ちょっとかなり時間を押してしまって、では確認は、要は具体的な予算とかというのが計画はしているけれども、具体的な予算をかけていないというところは、私といたしましては、法務省は必ずしも、すいません、先のめどが立っていないのに、ちょっとすいません、飛ばします。
先のめどが立っていないのに、法が先に選考される、そして具体的な予算は国民には知らせていないという中で、現行の体制が、少しずつ改正されていく。
今後支援体制の拡大に伴って公的支援や国民負担が段階的に膨らんでいく可能性についても、本来は丁寧な国民に対しての説明とか議論があった上で、本当はこうやって法務省が厚労省があって進めていくべきではないかと私は考えております。
残り少なくなったので、通告4を飛ばしまして、通告5に行かせていただきたいと思います。
利用者団体の声もいろいろあった中での今回の法改正だと思っておりますが、どうしてこういう改定になったのかということを考えたときに、私は国連の勧告が影響しているのではないかという疑問を持っております。
令和4年10月、国連障害者権利委員会から、意思決定を代行する制度を廃止する観点から、差別的な法規制や政策を廃止し、全ての障害者について、法の前の平等を保障するため、民法を改正することとの勧告が出されました。
まず差別的な法改正については、成年被後見人については、かつて存在した選挙権の制限や、会社法上の役員就任制限、公務員や就業に就けなかったという成年被後見人であることのみを理由とした差別的な状況がありましたが、これについては令和元年の通常国会において撤廃されたと承知しております。
また、令和8年5月14日の参議院の法務委員会での参政党の足立雄二議員の質疑におきましても、法務大臣からも、現行の成年後見制度は、障害者権利条約に違反しないという答弁をいただいております。
法制審においても、当初から成年後見を廃止するという結論ありきだったわけではなく、令和7年6月の法制審議会の中間報告でも、成年後見を維持する案は検討対象とされておりました。
そうすると、結果として国連勧告を受けて廃止方向に大きく舵を切られたという流れは否定できないのではないでしょうか。
法務大臣、お尋ねいたします。
平口法務大臣、お答えいたします。
本法律案は成年後見制度について、本人の包括的代理権を有する後見の制度を廃止して、本人にとって必要な範囲で利用できるようにするものでございます。
本法案は、法制審議会の部会で、障害者の方やその家族等も参加して議論をした結果、取りまとめられた要綱の内容を踏まえたものでございます。
したがって、本法案の内容は、国連障害者権利委員会の勧告の趣旨も踏まえたものではございますが、国内の制度、利用者の声に基づくものであるという認識でございます。
鈴木美香君。
はい、ありがとうございます。
そうは言っても、事実として国連の勧告通りに成年後見を廃止する流れになっているというわけですから、勧告を受け入れる形での法改正となっていることは否めないと思います。
参政党といたしましては、我が国の制度は、我が国の実情に即して、我が国自身で決める。
これが大切であると考えております。
参政党は、反グローバリズムを掲げる政党でございます。
グローバリズムとは、簡単に申し上げますと、地球を一つの共同体とみなし、国境を取り払い、物、人、金を自由に動かそうとする考え方でございますけれども、価値を世界標準化して、その上に制度や政策、法律を合法的に積み上げていく。
そして今、国連やWHOといった国際機関によって、ルールを日本に押し付けられて、我が国の政策が決められていっているというのが、まさにグローバリズムの流れにあると考えざるを得ないと思います。
我が国といたしましては、国際機関の意向によって、日本の家族の制度や法律が大きく変更されていくことには慎重であるべきだと考えております。
国連からは、制度、理念だけではなく、実際に支援を必要としている本人や家族が安心できる制度であり、国民一人ひとりに寄り添える制度となりますように、慎重な議論と丁寧な制度設計をお願いしたいという思いをお伝えしまして、本日の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
午後1時から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。
休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き、内閣提出、民法等の一部を改正する法律案及び、民法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は両案審査のため、参考人として、日本司法書士会連合会会長、小澤吉徳君。
日本弁護士連合会、日弁連高齢者・障害者権利支援センター成年後見制度利用促進法対応プロジェクトチーム座長、弁護士根本雄司君。
早稲田大学法学学術院教授、山野目章夫君。
以上3名の方々にご出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言ご挨拶を申し上げます。
本日はご多忙の中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。
それぞれの立場から、忌憚のないご意見を賜れれば幸いに存じます。
よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、小澤参考人、根本参考人、山野目参考人の順に、それぞれ15分程度ご意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいというふうに存じます。
なお、ご発言の際は、その都度、委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。
また参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、ご了承お願いします。
それではまず小澤参考人にお願いいたします。
皆様こんにちは。
日本司法書士会連合会会長の小澤吉徳と申します。
本日はこのような貴重な機会をいただき誠にありがとうございます。
成年後見制度の改正に関しましては、令和4年6月から公益社団法人法務研究会で行われました成年後見制度のあり方に関する研究会に委員として参加させていただき、研究会で報告書がまとめられた後には、法制審議会民法成年後見等関係部会の委員として審議に関わってまいりました。
司法書士は平成11年の民法改正により、禁治産制度が成年後見制度に改正されることとなった際、日本司法書士会連合会及び全国各地の司法書士会が中心となり、制度の担い手となる専門職成年後見人の養成と指導監督を主な目的として、同年12月に成年後見センターリーガルサポートを社団法人として設立いたしました。
その後、多くの司法書士が会員として加入し、令和8年3月末現在では、8954名の司法書士が正会員となっており、現在、その会員が約6万件の事件で、成年後見人等に就任しており、専門職としては最も多く成年後見人等に選任され、全国各地で高齢者、障害者等の権利擁護及び福祉の増進に取り組んでおります。
司法書士は現場で成年後見制度の運用に直面する専門職であり、また制度を利用されているご本人やご親族の方、ご本人を支える医療、福祉関係者、さらには自治体や中核機関とも深く関わっているため、専門職としての現場における運用改善はもちろん、ご本人の権利擁護や意思尊重という視点からも意見を述べてまいりました。
今回の法改正は、お出ししたポンチにございますように、これまで以上にご本人のご希望を大切にし、必要がなくなれば終わることができ、必要なことだけを支え、また柔軟な交代を可能にするなど、まさに画期的な法改正となっていると考えております。
利用者のためにも、できるだけ早く成立することを期待しております。
法案では、法定後見制度の利用の必要性が失われれば、制度利用を終了することができることとされております。
これは、ご本人やご親族から強く要望されていた点でございますが、私たち専門職としましても、必要性が失われているにもかかわらず、漫然と法定後見の利用が続いていくことは望ましくないと考えています。
また、制度利用が終わらないことにより、ご本人や親族等が制度利用を躊躇され、その結果として遺産分割協議や不動産の売却手続きなどが進まないということも実際起こっておりますので、この法案が成立すれば、その副次的効果として、相続登記や未利用土地の活用も促進されると考えております。
例えば、現在我が国が抱える大きな社会的課題の一つに、空き家所有者不明土地問題があると承知をしています。
そしてその問題は端的に申し上げれば、相続登記の未了の問題であり、その理由として最大のものは、遺産分割協議が整わないことと承知をしています。
相続人の中に判断能力が不十分な方がいらっしゃるケースというのは、私たち司法書士はおそらくほぼ全員体験しています。
このような際に、この成年後見制度が円滑に利用できれば、結果として遺産分割協議が円滑に進むこととなり、相続登記も進み、空き家所有者不明土地問題の解決にも大きく資することになります。
一方で、私たち司法書士が後見人等に就任するケースの中には、ご本人に関わる親族がいないなど、後見による継続的な支援が必要な方も多くいらっしゃいます。
いわゆるお一人様と呼ばれる身寄りなき高齢者の問題も含まれます。
ご案内のとおり2025年で65歳以上のお一人様世帯数は815万世帯とのことですが、極めて増加傾向にあり、2050年には1083万世帯にもなると予想されているところでございます。
今般の法改正はこうしたお一人様問題の支援にも大きく資するものとなっていると考えています。
なお、こうした関わる親族がいない方々につきましては、後見が終了してしまうと社会生活に大きな不都合が生じることも考えられます。
そのような場合には必要性が失われたとは判断できないため、後見制度の利用を継続することとなり、頼れる親族がいない制度利用者が困ることのないような提案がされています。
従いまして、本人の状況やニーズに合った支援を提供できる制度となっていると考えています。
私たち司法書士としましては、まさにご本人一人一人の意思や、ご希望や環境などを最大限に尊重し、その方に何が必要か、後見人等にふさわしい方はどなたかなどなどを丁寧に検討し、まさにオーダーメイドによる支援を選択していくことが求められていると承知をしていますし、この改正によってそれが実現可能になったものと考えています。
また法案では、後見、保佐、補助の3類型を廃止し、補助に一元化することが提案されています。
特に後見類型は、事理弁識能力を欠く状況にあるものを手厚く保護する制度であるため、この後見類型がなくなれば、本人保護は弱まることになるということになります。
保護が弱まるということだけを取り出すとネガティブな印象を受けますが、本人保護を強めすぎると、また本人の意思尊重が不十分になる側面もございますので、今回の改正案は現在強すぎると言われている本人保護を弱めることにより、本人の意思尊重とバランスをとったものであり、国連障害者権利条約との関係や、制度利用者の人権という視点からも評価できるものだというふうに考えています。
端的に申し上げれば、この法改正は、本人の自己決定の尊重と、本人の保護の必要性の調和という極めて難しい理念の具現化を、時間をかけて丁寧に議論し、ギリギリのところでバランスをとったものと考えております。
また法案では補助類型に一元化することが提案されているわけですが、現行法でも補助類型の利用は本人の同意が必要であり、この原則は維持されるため、改正案では基本的には制度利用に同意した人が対象となる制度となります。
ただし、遷臥性意識障害の方など同意の意思を表示することが困難な方もおられるところ、虐待のケースや相続手続きなど、スポット的に制度を利用する必要性もあることから、そのような同意意思を表示できない方も利用できる制度とすることもまた重要であると考えています。
この点について法案では、同意の意思を表示できる方については、その同意の意思を制度利用の要件としつつ、同意の意思を表示できない方についても必要性が認められれば、制度利用を可能とすることによって、本人の意思尊重の原則と、制度利用の必要性のバランスを取ることができていると考えています。
次に法案では、後見人を交代させやすくする施策として、解任事由の見直しが提案されております。
本人の状況やニーズに合った後見人の交代は、ご本人や親族から強く望まれているところでございます。
後見人の交代を実現する方法としては、後見人自身が辞任するか、家庭裁判所が解任する必要がございますが、現行法では解任ができるのは不正行為等がある場合に限られ、ご本人の利益のために必要な場合があっても解任はできません。
チームによるご本人の支援に支障が生じている場合など、ご本人の利益のために必要があるときは、現在でも私たち専門職団体は家庭裁判所と協力をして、この状況やニーズに合った交代を実現するべく会員への働きかけを行っておりますが、この改正案が実現すれば、今まで以上に本人のニーズに応じた交代が可能となって、ご本人にとって望ましい制度となると考えております。
また法案では、任意後見制度についての改正も提案されております。
任意後見制度は、ご本人が判断能力の十分あるうちに、自ら後見人を任せたい人と契約をしておく制度であり、法定後見よりもご本人の意思が尊重される制度となります。
任意後見は海外ではこちらが主流になっている国もございますが、残念ながら日本ではそれほど普及しておらず、契約締結こそ令和6年度に約1万7000件ありましたが、後見が発効しているものは3000人弱で、25万人以上の方が利用されていると言われる法定後見よりも圧倒的に少ない件数になっております。
私たち司法書士も、制度利用を望まれる場合は、法定後見よりも任意後見を利用される方が望ましいと考えておりますので、任意後見制度の利用を促進するため、さまざまな活動を行っております。
任意後見は、任意後見監督人が選任されることが効力発生要件となっているのですが、法務省が令和3年から4年に行った調査により、この任意後見監督人の負担が、任意後見契約がなされないこと、さらには契約された任意後見契約の発効がなされないことの原因となっていることがわかっております。
端的に申し上げれば、任意後見契約で後見人を指定しているのに、発効段階で見知らぬ専門職監督人が登場してくるという点、そしてその監督人の報酬も発生するという点が、任意後見制度の利用促進を阻んでまいりました。
そのため、その負担を軽減する方法として、限定されたケースではありますが、任意後見監督人を選任せず、家庭裁判所が直接監督する規律や、公正証書に書き記された任意後見監督人に関する本人のご希望を、家庭裁判所が考慮する規律が提案されることとなっています。
ご案内のとおり、我が国の超高齢社会は日々進んでおります。
2025年には3653万人で総人口の29.64%であった65歳の高齢者数は、2050年には3888万となり、総人口の37.14%に達すると推定されております。
また、認知症高齢者数につきましても、2025年には1035万人で65歳以上の28.33%であったものが、2050年には1217万人で65歳以上の31.3%に達する見込みとされております。
さらには2025年には2296万世帯であったお一人様世帯も、2050年には2330万世帯となり、そのうち65歳以上のお一人様世帯は1083万世帯となる見込みでございます。
こうした我が国の現状を踏まえますと、今回の法改正は大変意義深いものであることはもちろんのこと、これまで利用を躊躇されていた国民の皆様が、多く利用を検討されることになろうかと考えています。
したがいまして、その担い手となる司法書士、弁護士、社会福祉士等の専門職が、しっかりとその相談需要に応えていく必要があると考えています。
また、申立ての局面だけを捉えても、その必要性を申立て前にしっかり検討し、家庭裁判所における実務運用が円滑に進むよう、最善を尽くすことも専門職の責任であると考えています。
私たち司法書士としましては、同じく専門職である弁護士、社会福祉士とともに、超高齢社会における司法アクセスの担い手として、これまで以上にその使命を忠実に果たしていくことをお誓い申し上げ、以上で私からの意見陳述を終わりにさせていただきます。
本日はこのような発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
井上英孝(法務委員長)次に根本参考人にお願いいたします。
根本雄司(参考人)本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
日弁連で高齢者・障害者権利支援センター、成年後見制度利用促進法対応プロジェクトチームで座長を務めており、先の法制審議会、民法成年後見等関係部会におきまして、幹事を務めておりました弁護士の根本と申します。
私からは、今後の課題を中心に意見を申し上げさせていただきたいと思います。
今回の改正は、国の第2期成年後見制度利用促進基本計画に基づく成年後見制度見直しの提起、および国連の障害者の権利に関する条約第12条の求める完全な法的能力の保障の要請による代理代行決定から意思決定支援への理念の転換の要請を踏まえたものであり、これらは2000年から施行された現行制度の実務運用の実情からも求められてきたものであります。
日弁連はかねてよりその方向性について賛同し、具体的な制度改正の方策について検討を深めてまいりました。
今般の改正により、成年後見制度が本人の意思を十分に踏まえ、適切な時期に適切な範囲と期間で利用することのできる柔軟な制度へと見直されたものと考えております。
具体的には、本人の意思を十分に踏まえ、適切な時期に必要な範囲と期間で利用できる制度に向けて、必要性の原則を採用することにより、包括的代理権等の付与を廃止して、補助制度への一元化を図ったこと。
必要性がなくなれば終わることができる制度としたこと。
これまでの実務において指摘をされてきました課題を解消するために、「本人の利益のため特に必要がある」という事由を新たに設けて補助人の交代をしやすくしたこと。
また本人の意向を把握するようにしなければならないことを定め、本人の意向尊重義務をより重視することを明らかにし、そのプロセスを明示したことなどが挙げられます。
この点、部会において審議の最終段階まで導入の是非については意見が分かれたところでありまして、限定的かつ厳格な実務運用および同取組の枠組みの将来的な規定の要否についても、今後その運用状況や利用実績などを踏まえた政府における検証が求められるものと思います。
次に消費者保護法制についてです。
包括的取消権が廃止されたことに伴って、高齢者の脆弱性等につけ込む消費者被害が広がることのないように、消費者保護法制の整備は欠かせません。
民法等の改正は、行為能力制限を厳格化させるものではありますが、本人意思の尊重を脅かす存在となり得る脆弱性ゆえの本人意思への不当な介入に歯止めをかけていくことと何ら矛盾するものではなく、むしろ、取引の場面で本人の意思決定を歪めるような、もしくは不当に影響を及ぼすような事業者による関与に対しては、消費者保護法制による規制救済はむしろ強化されるべきことが要請されるものと考えます。
次に、整備法における後見概念の転用についてです。
精神保健福祉法の医療保護入院に係る同意権者や、心神喪失者等医療観察法の保護者に後見人等を含める規定などについて、後見制度における事理弁識能力についての類型的、典型的な認定を制度趣旨の異なる他の制度に転用する規定が整備法においてはそのまま残されることとなりました。
各制度の改正時において、この転用する規定の廃止を含めた見直しが求められるものと思います。
次に、大きく第2としまして、制度の運用や地域福祉との連携について申し上げます。
地域共生社会実現に向けた成年後見制度を含む総合的な権利支援制度の整備のためには、民法等の改正のみで十分ではなく、意思決定支援に基づく日常的な金銭管理や生活支援を担う新たな地域福祉の仕組みが必要となります。
第2期成年後見制度利用促進基本計画が想定する民法等と社会福祉法の一体的改革として、本国会で改正が見込まれております社会福祉法の一部を改正する法律につきましても、中核機関の法定化、新たな権利擁護の支援策の事業化が図られるところ、これらについて各市町村等において具体的な体制整備が図られるために必要な人材や財源が確保されること、および地域権利擁護の地域連携ネットワークにおいて、関係機関、関係団体がそれぞれ期待された役割を果たすための推進体制を設けることが必要だと考えます。
法改正の趣旨を実務において実現していくために、施行に向けた様々な運用体制の整備も重要です。
例えば、福祉情報の取得の方法ですとか、その内容、もしくは医療情報の取得についても同様ですし、審理における市区町村との連携等について、家事事件手続法の新たな規律を設けたところではありますが、これらの規律が有効に活用されるよう、家庭裁判所や弁護士会、司法書士会、リーガルサポート、社会福祉協議会等を含めた各地域の関係機関を挙げて、適切に取り組んでいかなければなりません。
法改正との関係で、具体的にさらに取り組みが必要な点について申し上げたいと思います。
今回、補助に一元化されたことに伴いまして、経過規定を含めた制度の周知広報は欠かせません。
本日午前中の先生方の御審議におかれても、この点の御指摘はあったところではありますが、引き続き、関係機関、もしくは職能団体含め、この周知広報に努めてまいる必要があるかと思います。
次に、包括的な類型代理権が廃止されることとの関係です。
特定の法律行為ごとに代理権もしくは同意権の取消しを付与していく仕組みとなりますことから、申立における関係機関における支援の充実も欠かせません。
特に本人の課題の抽出ですとか、本人に対する課題のアセスメントを充実させるということなくして、特定の法律行為に関する付与というのはあり得ないからです。
併せて3点目として、終結制度になることとの関係です。
終結するための法制上の要件として必要性がなくなるということが今回規律を設けたことになりますけれども、この必要性の始まり、もしくは終了における認定のための実務運用の整理、ないしその内容に関してのコンセンサスを得ていくということが今後の課題となります。
また、終結することでご本人に対する支援が途切れることがないように、家庭裁判所が適切に判断するための家事事件手続法に基づく自治体や中核機関との連携も求められますし、また補助人がご本人支援を適切にご本人のチーム支援に引き継ぐことができるように、補助の制度利用中からシームレスにチーム支援の拡充、充実が図られることが必要となります。
また、実際に終結させるための選択肢の整備も求められます。
地域福祉や金融包摂の観点からの様々な取り組みが要請されるところです。
また、交代が認められやすくなるということに伴いまして、市民後見人や法人後見などの充実を図ることも必要です。
後見人の適切な選任のためには、中核機関における受任者調整機能の拡充と、いまだ中核機関が未設置の地域や、もしくは十分に中核機関の機能が果たせていない地域への支援のための人的、もしくは財政的支援の措置を講じていくことも欠かせません。
また、本人同意についても、実務の中でどのように本人同意を認定していくのか、本人の意思をどのように家庭裁判所が捉えていくのか、というようなことについても、整備が必要です。
チーム支援の充実と浸透、また、意思尊重義務の実現のために、さらなる意思決定支援の取組の継続も欠かせません。
今回の改正では、補助人による年1回の定期報告を法制上定めることとしております。
必要性に関する定期的な司法審査が行われることになりますが、この司法審査が実効的に行われ、形骸化することがないようにしなければなりません。
また、補助人がしっかりとご本人の支援を行うことができるように、報酬助成制度の抜本的な見直しや、必要性に応じた柔軟な運用を可能とする家庭裁判所の体制整備も求められます。
任意後見契約に関する法律の改正との関係では、現在、日本司法書士会連合会において定められているモデル条項の見直しなど、法改正がなされた後には、これらの見直しの作業にも直ちに着手しなければなりません。
最後に、改正後の理念について少し申し上げたいと思います。
第2期基本計画においては、地域共生社会の実現という目的に向け、本人を中心とした支援・活動における共通基盤となる考え方として、権利擁護支援を位置づけた上で、地域連携ネットワークによる権利擁護支援策の一層の充実など、成年後見制度利用促進の取組をさらに進めていくものとされました。
新たな制度に掲げられるべき基本理念として、地域福祉における権利擁護支援全体の中における成年後見制度を目指すという目標にふさわしいものであることが、この成年後見制度には引き続き求められることになります。
そこで掲げられている理念として、代理代行決定の廃止の方向性及びあらゆる場面における意思決定支援の仕組みの設置が勧告されていることに鑑みますと、引き続き不断の取り組みを継続させていくことが必要であると考えます。
自立の保障というのは、意思を本人一人ではなかなか形成できない方も含めて、本人が自分のことは自分で考え、選択して決めていけることができるように、必要な支援を受けて生活することを社会によって保障されなければならないという理念です。
ここでは、自己決定の尊重に加えて、それを可能にするための支援付き意思決定の保障が含まれ、それにより本人を中心として、本人の意思をできるだけ反映した生活を実現していくことが、自立の保障であると考えられます。
現行制度及び改正の理念とされる自己決定の尊重や残存能力の活用に比べますと、病気や障害の有無に関わらず、あらゆる人が自分の意思を有していることを前提に社会が支援していくことにより、できるだけ本人の意思を形成表明して実現していくことを引き続き政策目標とするべきであります。
この間の権利擁護の支援の考え方の発展を踏まえ、本人中心の生活をより徹底していこうという取り組みを進めていく必要があります。
小泉大臣。
これらの理念は、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーションの理念、本人保護との調和とされた平成11年の民法改正の制度理念を、現在まで障害者の人権保障の概念と実践、社会的要請を踏まえて大きく発展させてきたものです。
これらの理念は、障害者基本法第3条の理念ですとか、認知症基本法の基本理念でも目指されているところです。
今回の改正は、第2期基本計画の基本的な考え方と目標に基づき、総合的な施策の項目として掲げられています成年後見制度等の改正に向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実、が掲げられていたこれらの見直しを図るものですが、もう一つ重要な視点として設けられていました。
社会福祉制度における総合的な権利擁護政策の充実が重要な柱とされていました。
これらの成年後見制度との改正とともに、総合的な権利擁護政策の充実において、成年後見制度と日常生活自立支援事業との連携の推進及び同事業の実施体制の強化、新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討、都道府県単位での新たな取組の検討については、来年度から予定をされております第3期基本計画での取組で引き続き進められることが期待されます。
第3期計画が閣議決定された後においては、本改正を踏まえた、引き続き本人にとって必要かつ望ましい支援、保護という民事基本法制としての成年後見制度のみによって実現されるものではないこと、本人を支える他の制度との連携の上で構築され、具体的に実現されていくものであることを念頭に置きつつ、第3期計画の検討が進められることが望まれます。
今後、ご本人、家族、親族、政府、家庭裁判所、各地方自治体、社会福祉協議会、各支援者、専門職団体が連携して、引き続き本人の権利擁護が図られるように、取組を進めてまいりたいと存じます。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
井上英孝(法務委員長)山野目参考人にお願いいたします。
山野目章夫(参考人)本日は意見陳述の機会を与えていただき誠にありがとうございます。
早稲田大学の山野目と申します。
本日の議題であります内閣提出民法等の一部を改正する法律案は、法制審議会における調査審議を経て、政府において法律案を作成し、応接に提出されたものと承知しております。
その調査審議にいささか関わりました際などの知見を踏まえ、この法律案に関する所見を申し述べます。
法制審議会は、法務大臣から受けた2つの諮問、すなわち諮問第125号及び諮問第126号に基づき調査審議をいたしました。
本日の法律案は、これらの諮問に係る調査審議の趣旨を踏まえるものでございます。
諮問番号の順に従い、所見を申し上げます。
お手元にお届けしております、表裏印刷の1枚ものの資料をお取り上げくださるようにお願いいたします。
表と記しておりますところからお話を差し上げます。
まず諮問第125号は、遺言制度の見直しに関するものでございます。
私たちが今手にしている民法は、ヨーロッパの民法などを参考として、明治の時代に作られました。
そのヨーロッパのフランスの民法は、1804年に作られております。
およそ200年を経る2021年、ニースで催された国際私法学会の大会において、デジタル遺言が話題とされていました。
現代の情報通信技術を生かし、改ざん、加護を防ぎ、遺言者に従行の機会を恵む遺言の制度を新しく整え、1804年の立法者の権利をこの時代として受け止めようという論議がされています。
私たちも、私たちの国、社会のことを考えたいものでございます。
現在の私たちの遺言制度には、いくつかの課題がございます。
それらの課題を要約してお伝えするため、ここでは3つの道具というお話を差し上げることにいたします。
3つの道具と申しますものは、もっと用いられてよい道具、今は認められていないが、用いられてよいと考えられる道具、そして、これからは必須ではないと思われる道具でございます。
第1のもっと用いられて良い道具はパソコンでございます。
現在も土地や建物の番号の類や金融機関の口座番号などのリストの部分をパソコンで作ることができますけれども、その他の文章の部分は手書きにしなければなりません。
どうしても緊張して書いていますから、幾度も書き間違いをしたりし、また書き間違いをしてはいけないと考え、思わず筆圧も大きくなって不便でございます。
今般の改革は、全体をパソコンで作成したものを法務局に持って行って手続きをし、保管してもらい、遺言とすることができます。
今は認められていないが、用いられてよいと考えられる道具であり、一つの例示でございますが、スマホの通信機能がございます。
1985年8月12日、羽田空港を離陸した日本航空123便は、相模湾上空で機体が大きく損傷する事態となりましたけれども、懸命な努力に支えられて、群馬県御巣鷹山に至りますまで、いささかのいとまがありました。
こうした際、手元のスマホを用い、地上の誰かに録画・録音を送信して、財産を処分するプランを示しますならば、後日に確認の手続きを経て、遺言として整えることができるようにする施策が考えられます。
第3に、もう用いなくても良いものではないかと思われる道具が、ハンコでございます。
パソコンもスマホも、明治の先輩たちが知らなかったものであるのに対し、長くハンコが用いられてまいりました。
手書きをし、あるいはパソコンで作成したものを確認してもらうなどし、間違いなく本人が作ったという経緯を明らかにすることができますから。
押印の要件、判子を押す要件はもういらないと感じます。
必ずしもいらないと申し上げるものであり、これからも判子の役割がなくなりはせず、私たちの文化の一翼であり続けるでしょう。
遺言制度の見直しについてお話を差し上げました。
お手元の資料を返していただいて、裏と記してあるところをご覧くださるように望みます。
あと1つの法務大臣の諮問、諮問第126号は、成年後見制度の見直しに関するものでございます。
現在の成年後見制度には、いくつかの課題がございます。
それらの課題を要約してお伝えするため、ここでは3つのデモ、というお話を差し上げることといたします。
3つのデモと申しますものは、これまでの成年後見人の権限が、何でもすることができる。
本人に無断ででも行使することができる。
そして、いつまででも続く。
でございます。
第1のデモからお話を差し上げます。
これまでの制度における後見は、特殊な例外を除き、成年後見人は本人の事務の何でもする権限がありました。
今般の法律案は権限の包括性を廃止、権限を一元化し、後見の下で後見人が特定の行為について権限を与えられて仕事をします。
第2の無断ででものお話を差し上げます。
法制審議会の調査審議に際し、令和7年6月から同年8月までの間、パブリックコメントの手続きが行われ、個人団体を合わせ約310件の意見が寄せられました。
また、法制審議会の専門部会におきましては、合計5回の会議を充て、当事者団体、障害者支援団体など、様々な立場の方においでいただき、ヒアリングを実施いたしました。
それらにあって届けられた声を踏まえ、これからの後見人は、よく本人とのコミュニケーションを図り、本人に情報を提供するようにしなければならず、そして本人の意思を把握するようにしなければならないものとされ、本人の意思を尊重することが、法律で謳われてよいと考えます。
第3のいつまででも続くという事実上の終身性は困った問題です。
これまで本人の事理弁識能力が回復しない限り、後見などが終了しない仕組みでしたから、例を挙げますと、親族に亡くなった人があり、本人が遺産の話し合いに参加しなければならないから、本人を助ける成年後見人が選任されたとしますと、その遺産の件が終わっても後見が続き、成年後見人が専門職ですと、本人が報酬を払い続けることになります。
本日提案されております後見人は、特定の行為について権限を与えられますから、仕事が終わったならば後見を終了させる家庭裁判所の審判がされます。
これまでの成年後見制度にある3つの課題を解決するための施策を申し上げました。
それらの施策により、多くの課題が解決するかもしれません。
けれども、それで足りるでしょうか。
任意後見契約の仕組みの改革についてお話をします。
本人への十分な説明という手順は、それとして望まれます。
しかしそれのみでは、本人は受け身の立場にとどまります。
人々が元気なうちに、将来において判断能力が衰えてくる段階に備え、あるいは判断能力の若干の衰えが始まるとしても、周囲の人たちとの相談の上で、自分の財産管理をどうするか、デッサンを描いておく、能動的な備えを可能とする仕組みが望まれます。
将来において支援者にしようとした任意後見受任者に加え、いざ任意後見が始まりますと、必ず任意後見監督人を選任しなければならず、見知らぬ任意後見監督人に報酬を払わなければならない事態がよく見られました。
本日の法律案にいくつかの工夫を盛り込んでおります。
本人は任意後見契約の公正証書を作る際、任意後見監督人の人選に関する希望を申し述べることができ、これを考慮してもらえます。
また、家庭裁判所が明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、任意後見監督人を選任せず、家庭裁判所が直接に任意後見人を監督することを許容する規定が、本日の法律案に含められております。
本日の議題とされております法律案を準備するため、法制審議会においては熱心な討議がされました。
成年後見制度を検討した会議におきましては、合わせて33回に及ぶ会議、毎回おおよそ4時間から5時間にわたり、法律要望が飛び交う席にあって、認知症高齢者や知的障害者の本人、知人など、周囲にあるこの国のすべての人々が、気概、活力をもって、21世紀後半のさらなる高齢化社会の到来に備え、また、ハンディキャップのある人も、そうでない人も、等しく社会に包み込まれて、それらの人々のいずれもが、社会に参加することを実現すべく、発展する情報通信技術を工夫して用いつつ、この時代に挑もうとする、展望を睨むものでございます。
そこに残された課題を含め、ぜひ御精査御審議を賜りますよう望みます。
意見陳述の機会をお恵みくださいまして、誠にありがとうございました。
井上英孝(法務委員長)ありがとうございました。
以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。
阿部弘樹君。
参考人の先生方、本当にありがとうございます。
自由民主党の衆議院、阿部弘樹でございます。
まずですね、国連の障害者の権利に関する委員会、この勧告を参考にしていただいたというのは非常に私はありがたいと思っております。
この障害者委員会は政府を代表する方々が議論をする委員会ではありませんし、またともすれば活動を中心とする方々が意見を述べる、一方的に述べる場でもあるわけでございます。
かつてはですね、デンマークのムケレセンがノーマライゼーションを提唱した。
それは知的障害の子どもが非常に差別的な扱いを受けると、そういうのではいけないということで、戦後まもなくそういう考え方を提唱されまして、そして今や世界中にノーマライゼーションの思想が広がっていったということで、障害者がですね、そうでない健常者の方々と同等に暮らしていける社会を実現する。
その一環だと私も思っておるところでございます。
一方でこの委員会は、成年後見制度について、意思弁識能力が欠けるというだけで、全ての権限を奪い去り、自己決定権を取り去るということで、廃止の勧告をしております。
私は廃止というのは非常に極端な言い方だと思いますが、しかし、意思弁識能力が欠けるだけで、いろんなことができないというのは、私はいささか平成11年のこの新しい制度ができるときの厚生労働省の担当でもありましたが、このようになるとは思いもよらなかったと思っております。
あるNHKの番組ではですね、後見人になると認知症の旦那さん、夫がおはぎを食べたいと、お墓参りに行きたいんだと。
で、後見人の人に聞いたら、駄目だと。
駄目ですよと。
お金は守らなきゃいけない。
大切に使わない。
おはぎも食べれない。
そして、お墓参りにも行けない。
そんな制度があること自体が、私はおかしいと思っております。
そもそもですね、意思弁識能力が欠けるだけで。
私、精神科医でもありますけど、どういう検査をするかというと、例えば長谷川式というのは一番ポピュラーなんですが、自動車の絵を見せて、時計の絵を見せて、リンゴの絵を見せて、それを隠して、どんなものが出ましたか、それをお答えする。
あるいは100から7を引く。
計算間違いをすると点数が下がる。
この委員の先生方も100から7を引くと93とすぐ、いまだわかるかもしれませんが。
そのうちわからなくなってくると、意思弁識能力の疑いが出てくるわけでございまして。
それは、人として能力の一つであるというふうに私は思っております。
そしてましてや、原因は、皆さん、認知症と一言に言われますが、認知症だけではないですね。
例えば、パーキンソン病なんかでも非常に認知能力が低下してまいります。
パーキンソン病は、今やiPS細胞で、細胞を脳に移植することで、劇的に回復するわけでございます。
あるいは、うつ病の非常に進行したところでも、同じように陰性症状が強くなると、意思弁識機能が非常に落ちてきます。
そうすると、今や電子レンジの電磁波を頭に当てることで、それが画期的に一部ですが回復してくることがある。
科学の進歩は、実は認知機能を回復させるのに大いに役立つことが分かってきている。
その点では今回の法改正というのは、後見人、補佐人を外すことができるということでいいことだと思っています。
ましてや補佐人という名称だけに残ったということは、後見人だとすべての代理権をその人に与える印象が強いんですが、補佐人だと残された機能だけを補佐するということで、私は非常にいいと思っています。
最初にですね、フランス民法に詳しい山上先生にお伺いいたします。
日本の刑法、民法は、ボアソナード先生がお抱え学者として日本に導入されました。
私も何度か質問したこともありますが、エミールなどのルソーの影響を非常に受けた民法だと思っております。
その先生がですね、3つのでも、無断でも後見になれば財産処分もできる。
何でもできるんだと。
そしていつまでもできるんだと。
そのことについて、今回の法制審の議論は、いかがだったでしょうか。
先生、お願いします。
山野目参考人。
ただいま議員からおはぎのお話を頂戴したところでございます。
私が訪ねた福祉施設において眺めた光景におきましては、おばあちゃんがこしあんのおまんじゅうを食べたいというふうにおっしゃって、いつもこしあんじゃなくてですね、粒あんなんで悲しいわというふうにおっしゃっておられて、どうしてもうちの納入元ではこしあんは高くなるんですよというやりとりがありましたけれども、そのような折にですね、どうしてもお小遣いからこしあんを召し上がっていただくのには少しお金を多めに出さなければいけませんねとかというようなやり取りになっていきます。
そういうふうな光景は今後も続くだろうというふうには思いますけれども、大きく眺めたときに理念の観点から申しますれば、一言で言えば保護から尊厳へということでございましょうか。
保護も尊厳ももちろん大事でございますけれども、これまではどちらかというと本人を保護する保護するということの延長として、なるべく財産を、なるべくならまだいいんですけど、1円でも減らさないようにするというように、気まじめに成年後見人の方がお仕事をしてきた嫌いがあるかもしれません。
これからはちょっと高くても、こしあんのおまんじゅうを食べたらいいんじゃないの、おはぎのことも考えましょうねと。
おのずとそれに、財産管理の観点を考えなければいけませんから、限界がありますけれども、そういうふうな観点も踏まえて、今後は、保護、そして保護以上に尊厳が大切ですよという観点で、これからは補助になっていくかもしれませんけれども、仕事をしてほしいというふうに望んでおりますし、法制審議会はそういう観点から審議をいたしました。
今、議員におかれては、障害者の権利に関する条約にご研究をいただき、誠にありがたいことでございます。
同条約の12条が定める法的能力の平等、19条が定める社会において包み込み、そして参加をしてもらう機会の確保という理念を常に考えて法制審議会の調査審議が進められたものと認識しております。
ありがとうございます。
阿部弘樹君。
ありがとうございます。
その点がですね、後見人という名前が変わった。
でも成年後見人なんですね。
そこもちょっと私、非常に気になるところでございます。
私は今、精神科の領域で、医者もまだ続けております。
そうすると、心の病の方々がたくさん入院してありまして、そういう方々は精神障害者ということになってくるわけです。
そうしますと、老人になったから、日常になったから、辨識能力が、あ、欠落しているわけじゃないですね。
その病気のためになっている。
でもですね、後見人をですね、選任しないんですよ。
つまりほとんどの方々が、財産がない。
財産がないのに、後見人を頼めば、後見人にお金を払わなきゃいけない。
だからたくさん財産がある方は後見人を選任されますけどですね。
だからこの平成11年からずっと見ててですね、法律の専門家が、特に弁護士さんが後見人になってある方っていうのは、被後見人の方は、ある程度財産がある方かなというふうに思っております。
一方でですね、障害者の方々、いろんな方々いらっしゃいますが、そうすると施設の方々が代行したり、あるいは市町村の社協が行ったりということもあると思います。
そういった点で、どなたかの質問でもありましたが、報酬が弁護士さんがついた場合に、実は家族間トラブルが原因で、家族を訴えて、そして家族間では、罪には問われませんけど、いちいち親子間で契約書なんか結ばない。
出所不明になってくる。
そういうものはこの制度で排除されますかね。
要するに家族がバラバラになってしまうという懸念もありまして、こういった点は根本参考人いかがでございますか。
それと合わせて、任意後見契約の改正の意義をお願いします。
根本参考人、お答えいたします。
まず1点目についてなのですが、先生ご指摘のとおり、もちろんご家族の中で何か契約書等を交わすことがないというのは、先生ご指摘のとおりかと思います。
他方で一般論として申し上げますと、民法は先生ご承知のように個別の財産性というのをとっておるという関係もありますので、一部の相続人の方がご本人の財産を使い込んでおられるというような場合には、ご本人の権利擁護の観点から、その取り戻しへ向けて、当該ご親族と任意協議などを通じて返還を求めるということは、これは現行制度においても改正後においてもあり得るところだと思っております。
訴訟提起まで至るということは多くないかもしれませんけれども、任意協議などの経過を経るということはあろうかと思います。
これらは、後見人は本人の財産管理との関係で善管注意義務を負っているということがございますので、返還を求めないということで、逆に別の親族から後見人の善管注意義務違反に基づく損害賠償請求を受けるリスクを有しているというようなことが影響しているというふうにも考えられます。
後見人は親族間紛争において、本人、同居親族、別居親族の3者の関係性調整に追われることもございまして、ここで重要になってきますのは、同居の親族と別居親族の対応について、中立的に接するという、そういう必要があるんだろうというふうに考えています。
いずれにしましても、後見人は中立的でありながら柔軟な対応を行う必要があるという立場になりますので、そのような対応を専門職としては心がけていく必要があるのではないかというふうに考えております。
また、2点目の任意後見についてですが、先ほど小澤会長や山野目先生からもご指摘があったところでありますけれども、今回の任意後見契約の法律に関する改正において、監督人が必須ではなくなる。
そういった先生方からのご指摘の観点からも活用が広がるということが必要であるというふうに考えております。
阿部弘樹君。
いずれにしても私は任意後見制度というのが非常に重要だと思っております。
海外でもそれが主流でございますから。
元気なうちに遺言をする。
元気なうちに任意後見契約。
監督人も指名する。
そして財産、遺産を扱う人を指名しておくということが大切だと思っております。
今度の遺言制度、非常にいいものができるようとしておりますが、小澤参考人、その意義についてお願いします。
小澤参考人鈴木先生、ご質問ありがとうございます。
今回の遺言改正につきましては、これまで自筆証書遺言が担ってきた真正性や申請の確保を、デジタル社会でどのように確保するかが課題であったと承知をしておりまして、遺言書保管官の確認、そして全文口述、適切な保管などを通じた真正性の補強というデジタル社会での課題を受け止めたものと理解をしています。
平成29年度に法務省が実施した我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成保管等に関するニーズ調査分析業務では、年代によってブレはあるものの、自筆証書遺言、公正証書遺言作成の経験に関して、全体としてみると、自筆証書遺言を作成したことがある方が3.7%、公正証書遺言を作成したことがあるという方が3.1%でありました。
これが、令和5年11月のアンケートによりますと、自筆証書遺言を作成したことがある方が8.5%、公正証書遺言を作成したことがあるという方が2.7%であったというふうに承知をしています。
数値に幅はあるものの、自筆証書遺言と公正証書遺言の作成件数に関して、同数程度、あるいは自筆証書遺言の方が作成割合が高い傾向にある。
今般の保管証書遺言は、遺言書保管官の前で全文口述という要件はあるものの、手軽に作成することができるため、そのニーズというのは非常にあるのではないかと考えております。
また、所有者不明土地問題の抑止及び解消に当たって、相続登記の申請の義務化がされましたが、相続登記の申請の際に重要となるのが遺言書の存在であり、自筆証書遺言は気軽に作成することができる一方、形式上の不備を原因とした遺言無効や発見可能性の低下が課題として考えられるところでおりまして、法務省の調査では、自筆証書遺言と公正証書遺言の作成について、大差ない数、あるいは自筆証書遺言の方が上回っている結果につながっているにもかかわらず、自筆証書遺言の検認件数は公正証書遺言作成件数より下回っているということで、推測の域は出ないものの、せっかく作成した自筆証書遺言が相続人において発見されず、執行手続に活用することができなかった事案も一定程度あるものと考えています。
そこで今般の保管証書遺言は、遺言書保管官による形式不備に係るチェックがあり、また法務局で保管されることとなるため、無効になるリスクや発見可能性の低下は避けることができるということになります。
結果、遺言者の最終意思を実現することが可能となり、ひいては所有者不明土地問題の解消にも資するものと考えております。
井上英孝(法務委員長)有田芳生君。
有田芳生ありがとうございました。
時間ですので、これで終わります。
次に有田芳生君。
有田芳生です。
今日は御三方の方ありがとうございます。
それぞれお聞きをしていきたいんですけれども、まず小澤参考人には全体的な評価についてお聞きをして、その後に根本参考人からは、いわゆる連れ去り問題と関わって、後見人がどのように関わっているのかについてお聞きをして、最後に山野目参考人からは、利用者、利用が終わるための制度について少し詳しくお聞きをしたいと思います。
最初、小澤参考人の全体的な評価の中で、画期的だという表現をされておりました。
ところが、例えば、後見制度と家族の会という組織は、利用者のためには改悪だという厳しい評価をされていて、後見は悪くなる一方であると。
結論的には、なぜ利用者本位の後見制度と言えるのでしょうかという厳しい評価をされている。
この小澤参考人の民法、成年後見等関係等の改正に関する要項に対する会長声明の中では、後見と補佐を廃止し、補助に一元化する。
先ほどからおっしゃっているように、本人の意思を尊重すると。
四半世紀ぶりの改正になるんですけれども、一体この四半世紀の間でどんな問題があって、なぜ改正をしなければいけないのかという結論に至ったのかについて、少しお話をください。
小澤参考人有田先生、ご質問ありがとうございます。
先ほどの意見陳述と多少重複するかもしれませんが、ご容赦をいただければと思います。
まずもって、今回の法改正、平成11年から現在に至るまでの、様々にご利用者や当事者団体の方からのご指摘というのは、先ほどからお話が出ておりますように、一旦、後見人が選任されると、制度利用が、その方の判断能力が失われ、回復するまで終わらないという、この終わらない問題、あるいは、その後見人が包括代理権があるために、すべての代理権が、代理行為が行使可能となるという、権限の広すぎる問題。
そして3つ目としては、その後見人が一旦就任されると、なかなかこの相性が合わない場合であっても変えられないというこの問題が指摘をされてきたというふうに承知をしております。
そして今回のこの改正、私が冒頭画期的な改正であるというふうに申し上げた理由については、先ほどの3点の問題が今回の改正でクリアになっているというふうに私は理解をしているからでございます。
今回の繰り返しになりますが、法改正によりまして法務委員長。
保護はより短期間によるべきであるという国連の権利条約との理念にも即した制度になると思われます。
申立てに関わる専門職の立場から見ても、この申立ての目的となった事務が終了しても制度利用が終了できないことによって、後見制度の利用自体を躊躇されることがとても多いので、このことが遺産分割や不動産売却などを妨げるという事例がたくさんありましたが、これが解決していくというふうに考えています。
このようなことで、私は今回の改正については画期的な改正というふうに考えている次第でございます。
有田芳生君。
先ほどもお伝えしましたけれども、一つの改正案を見ても、画期的だという評価をされる方もいれば、一方で利用者のために改悪であるという受け止めをされる方もいらっしゃるということについては、どうお考えでしょうか。
小澤参考人。
はい、ありがとうございます。
そのような御意見があるということは承知をしております。
おそらくはですね、今回の改正については、比較的専門職の後見人の側によったものであり、本来後見人は親族が担うべきだという御意見があるというふうに思っています。
私ももちろんケースによっては、親族の方が後見人になる方がふさわしい事案というのは、一定程度存在していると思います。
しかしながら現場の感覚で申し上げますと、相談を受けた際に私も事例によっては、まずは親族の方いらっしゃいますか、そして後見人になっていただける方いらっしゃいますかというふうにお伺いするのですが、実際その後見人になれる力量あるいは背景を持っている方でも結構断られる方が多いんです。
あるいは後見人になりたいと言ってくる方もたまにいらっしゃるんですが、そういったケースの背景事情を見ると、推定相続人の間で争いがあったりするケースもあるものですから、結果としてどうしても親族が後見人になるべきものと、専門家がなるべきものと、私たちは選択をしながら相談に対応しているという現状があります。
有田芳生君。
根本参考人にお聞きをしますけれども、いわゆる連れ去りって、これは社会問題にもなっていることなので、今回の改正案と直接には関係ないように見えるんだけれども、しかし、後見人が出てくるケースというのは結構目立つ。
例えば、昨年の3月にある江東区にいらっしゃる女性、当時97歳、今98歳になっていらっしゃるんだけれども、警察官がいきなり家にやってきてドア壊して入ってきて、家族3人を、2位だと言って連れ去っていって、それからこの97歳の女性と娘さん、そしてその娘さんがいまだ会えないという、これまでもいろんなケースがあって、結局いわゆる連れ去りをされて連絡が取れないまま亡くなって遺骨が戻ってきたというようなケースが今もあるんですよね。
だからここでお聞きをしたいのは、昨日の質疑の中で、三木委員がこう語っていらっしゃいます。
「親族が本人との面会を希望しても、後見人に断られたり、妨害されたりする事例が問題になっております」と。
その続きで、「今度の改正案では、補助人にはそのような権限を与えられていないという理解でよろしいでしょうか。
現行法でもそういった権限を与えられていないと思う」と三木委員はおっしゃっているのに対して、政府参考人は「そのとおりだ。
ご指摘のとおりで、現行法でもそういう権限を与えられていないし、今度の補助人も本人と親族の面会を制限する法的権限等を付与されていない」と。
これはそのとおりで正しいと思うんだけど、ただ、現実に起きているケースだと、今97歳の方が連れ去られていまだ98歳になるのにどこにいるのかわからない、面会することもできないというケースなんかは、その該当の区役所が公式な文書で「これはもう後見人の判断なんだ」というようなことを書いているわけですよ。
だから現実にそういうことが起きているというのは、これどう判断すればいいんでしょうか。
根本参考人。
お答えいたします。
日弁連の見解というわけではなくて、私の私見となりますことをご容赦ください。
まず、高齢者のいわゆる連れ去りという問題に関しまして、後見人との関係につきましては、高齢者虐待防止法という仕組みと、後見人との関係というところを少し整理する必要があるのではないかというふうに考えております。
そういう意味で申し上げますと、いわゆる虐待という事実認定ですとか、もしくは養護者支援の問題というような、このような形での検討というのも必要ではないかというふうに思っております。
議員ご指摘の後見人による面会制限につきまして、昨日の政府答弁においても後見人の権限ではないという答弁があり、私個人としてもその考えには同意するところです。
いわゆる成人した親子の面会、ご本人が同意する能力がある。
井上英孝委員長。
法務大臣、ご協力ありがとうございました。
後見人が面会制限をしているというふうなご指摘については、養護者の方からはそのように見えるということがあるのかと思いますが、今申し上げたような観点から申し上げますと、面会制限をしている主体は自治体、ないしは施設管理権に基づく施設ということになるかと思いまして、後見人が後見人の権限で面会制限をしているということではなく、虐待対応の判断の中で、公権人の権限や責任において一義的に制限しているというふうに法的に構成するということではないのではないかというふうに考えております。
その上で、例えば虐待対応において再統合への調整過程が進んでいるのに、なお公権人が自治体等の助言を聞くことなく、合理的な理由もないのに制限をしているという場合には、これは公権人の不法行為、ないし善管注意義務の問題が生じ得るということではないかというふうに考えております。
有田芳生君。
この問題根が深いので、金曜日質問する機会がありますので、そこで詳しくお尋ねしようと思っているんですけれども、最後に山野目参考人、いくつかの文書を読ませていただいて、比喩がとてもよくわかるので、今日の御説明もそうでしたけれども、3つのデモというようなことを含めて、今日のお話もよくわかりました。
最後にお聞きをしたいのは、真の意味で終われる制度にするために、これまでインタビューに答えられた中で、地域の社会福祉の営みに委ねられる見通しがなければならないと、社会福祉法の改正案とも関わってというお話ですけど、もう少し残った時間でご説明お願いします。
山野目参考人、終われる後見ということがキーワードになって、報道におきましても、今般成年後見制度を象徴する言葉として、時に耳にすることが多くございます。
反面、成年後見制度はこういう方向に変わっていくのではないかというようなことを、私申し述べる機会がいろいろ講演等でございます。
お話を聞いてくださる方から時に反発が出ることがあります。
福祉を担っておられる現場の皆さんからは、「あなたはそういうふうにおっしゃるけれども、それは理念というか理屈の上ではそうかもしれないけれども、現場で抱えるさまざまな事案においては、終われるというふうに言うけれども、そんなに簡単に終われないようなこのような事案というのがたくさんあるんです。
そういうことをわかってやっていますか」というようなお叱りを受けることもございます。
そういうときに私からは、それはごもっとものお話であるということを申し上げるとともに、よく話を聞いていただきたいとも望みますというふうにお願いして、終われる後見にするというお話を差し上げた覚えはありません。
終わることができないという仕組みになってしまっているこの仕組みを終わらせますというふうにご案内を、この内容を差し上げることにしております。
「最初からそう言えばいいじゃないですか」とおっしゃるので、「いや最初からそうに申し上げています」というふうに申し上げなければいけないんですけれども、現在の制度はほとんど終わることができない。
もう予定された事務が終了に近づいたときに、終わることにしますか、終わらないことにしますかというようなことを一度検討していただいて、それは様々なケースがあるので、簡単に終われないケースが少なくないということはもちろん承知しております。
しかし終われるものは終わるようにしたらよいと思います。
委員長。
民事法制の一角をなしている成年後見制度でありますけれども、民事法制の改革と地域社会福祉の改革は車の両輪であります。
どっちかがつまずいたら、全体のフォーメーションが崩れるという関係になっております。
議員御案内のとおり、社会福祉法等の一部を改正する法律案、議案番号45でございますけれども、ただいま、参議院において審議されておりまして、厚生労働委員会に付託されて審議がされております。
ほぼこちらの法務委員会に。
鈴木美香君。
もし政府提案のとおりに社会福祉法が改正されるということになりますと、改正される社会福祉法の2条3項12号で福祉サービス、保健医療サービス等利用援助事業というふうに法文には記されておりますけれども、現場においてはこれまでの日常生活自立支援事業をもう少しブラッシュアップして充実したものとして整備していかなければならないというような方向で、大きく並べますと3つほどの柱でしょうか。
新しい地域社会福祉の事業の試みとして、社会生活上の意思決定支援、とりわけ日常的な金銭管理をお年寄りや障害者に対してサポートをする。
2番目は病院に入ったり施設に入ったりするときの入所を支援する。
それから自分が死んだ後の死後事務について不安がある。
様々な手立てを講じなければいけませんから、こちらの方、法律を一本改正すると、直ちに社会福祉がうまくいくというふうにはなってまいりません。
そこは、今般改正に関わった民法改正に関連する法律家の人たちにも、併せて協力支援をお願いすることになりますし、政府一体として進めなければいけないことであります。
立法府においても、その方面に特段にご関心を払っていただきたいと望みます。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
有田芳生君。
次に金村龍那君。
金村龍那君。
日本維新の会の金村龍那でございます。
今日は参考人のお三方の皆様、意見陳述をいただきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
それではまずはじめに、お三方からお伺いしたいんですが、最高裁判所が公表している統計によると、近年は成年後見人に選任される者の約8割が弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職であるが、このように専門職が選任される割合が高い理由は、どのようなものであるとお考えか、それぞれお答えください。
小澤参考人金村先生、御質問ありがとうございます。
近年、後見制度を利用される方は、頼れる親族がいない方が多くなっているというふうに承知をしています。
申立て件数の約25%が本人申立てとなっておりますが、本人自身が申立てるケースは、申立ててくれる親族がいない場合が多く、申立ても頼れる親族がいないケースが多いと感じています。
申立て割合の約49%が親族申立てとなっておりますが、これは関与する親族がいることが明らかなケースとなっていますが、この中にも自治体や施設、病院などからの連絡によって申立てだけは行うけれども、後見人等には就任できないよというケースも多く含まれており、後見人等に就任することを望む親族はそれほど多くないのが実情というふうに承知しています。
後見制度を開始当初は親族による後見が約9割というふうに圧倒的多数だったと承知しておりますが、本人の財産と後見人の財産を区分して管理できていないとか、財産管理が適切にできない事案や不正事案なども多く見られたため、次第に専門職が選任されるようになっているというふうに承知をしております。
金村龍那君
根本参考人お答えいたします。
専門職のみならず、就任できる環境整備というのは、これは引き続きの課題であるというふうには認識をしております。
山野目参考人おおむね3つの場合でしょうか。
身寄りのない人であって、親族に適任者が見当たらない場合、それから親族はいるけれども、親族の間に深刻な感情または利害の対立があるような事例、それから加えて、かなり難度の高い法律事務が要求されるような事例、こういったものについて専門家の後見人が選ばれているのではないかというふうに考えますし、背景として、ただいま小澤参考人、根本参考人から指摘されたような実態があります。
金村龍那君ありがとうございました。
やはり制度をしっかり構築して、より専門性の高い人が従事して安心な暮らしというか生活を送っていくのが必要なんだと理解をしています。
その上で、専門職の後見人がいわゆる通帳の管理には問題がないけれども面会に来ない、親族や本人に何の相談もなく物事を決めてしまうなどの指摘や声をいただいております。
そのような後見人には、交代していただいた方がいいと私は率直に思うんですが、どのように考えているのか、小澤参考人にお伺いします。
小澤参考人はい、金村先生、御質問ありがとうございます。
今、先生から御指摘があったような、全く面会をしない、つまり本人の意思を軽視しているようなことが、後見人として望ましくないということは、今回の法制審議会部会でも指摘のあった部分であります。
私もそのような方がふさわしくないというふうに思っています。
ただ一方で親族の意見につきましては、それがもちろん御本人の意思をきちんと知るための一つの要素として重要なものではございますが。
一方、本人ではなく親族ご自身の利益を考えていることもないわけではないものですから、親族の意思を優先するというのは、なかなか本人の代理人である後見人としては、必ずしも適切ではないというふうに考えています。
金村龍那君。
親族と専門性を持った人との感情的な、なんていうんですかね、隔たりが生まれるとですね、やはりいい方向には、解決には向かわないんじゃないかなと思っています。
ただ一方で、専門性の高い人、つまり弁護士とか司法書士の皆さんとかが、一方的に悪いことをしているわけではないので、ことさらにそればっかりを抽出して、こういう制度が危ぶまれていると思われるのも、また得策ではないと思っています。
その上でやはり親族が、そして自分自身が元気なうちに任意後見制度を使うことが、これからは最も必要なんじゃないかなというふうに私自身も考えております。
その上で、いわゆる現在は任意後見制度を利用していても、後見や補助が開始されると任意後見が終了するとされているのに対して、この法律案では任意後見が終了しないこととされています。
任意後見制度の活用にとって、これが意味があるとお考えなのか、小澤参考人にお伺いします。
小澤参考人、はい、質問ありがとうございます。
先生御指摘のようにですね、改正案では、任意後見と法定後見の双方を並存させ、双方を同時に利用することを可能としています。
両方が併存するということから、一件、任意後見を優先する原則を廃止するように見える
かもしれませんけれども、任意後見契約が登記されている場合には、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、法定後見の開始をすることができることは現行法と同様でありまして、法定後見よりも任意後見を優先させる原則は維持されているというふうに思っています。
むしろ現行制度においては、任意後見契約が締結されていても、やむを得ず法定後見が開始した場合には、任意後見が終了するという仕組みになっており、その不具合を解消するために、法定後見と任意後見を並存できる仕組みに改正しようとするものと理解をしています。
そうすることで、実務現場としては、契約当時に予定していた代理権では不足した場合などに、任意後見をより生かせるようになり、また本人の望む代理権のみを付与する契約ができるようになると考えています。
現在の任意後見制度では、本人の事理弁識能力が不十分となって、任意後見が発効した後に、契約当初に予想していなかった事務、例えば想定外の相続や不動産売却などが発生した場合には、その任意後見の代理権では対応できないため、法定後見を申し立てることにより対応してきました。
現在の規律では法定後見と任意後見が並存できず、法定後見が開始すると任意後見を終了するため、本人の意思による任意後見を生かすことができないということが問題でしたが、この法定後見との並存は、任意後見で不足する部分、先ほどの例で言えば想定外の相続や不動産売却についてのみ法定後見を利用しても、任意後見を終了させず使い続けることができるという重要な制度になるというふうに考えています。
金村龍那君。
金村龍那(日本維新の会):山野目参考人にお伺いしたいんですが、いただいた資料によると、いわゆる任意後見制度の改革というのが記載されています。
今回の法改正の中で、積み残しの部分というのはどのあたりにあるとお考えなのか、お聞かせください。
山野目参考人。
山野目章夫(参考人):冒頭の意見陳述でご紹介申し上げましたとおり、今般任意後見につきましては、とりわけ監督をどういうふうにしつらえるかという部分につきまして、任意後見監督人の人選について、あらかじめ述べた意見を公正証書に記しておくとか、場合によっては、明らかに任意後見監督人がいらない場合について、それを要しない扱いにするなどの改革を提案申し上げているところでございます。
その上で、仮にその方向で法律が改正されるということになった場合におきましても、現実にはやはり任意後見人になった方が、どう申し上げればよろしいんでしょうか、周りから支援なく、裸で任意後見の仕事に取り組まなければいけないというのは、任意後見人にとっても心細さはございますし、客観的な本人の尊厳、利益保護という観点から。
金村龍那君。
金村龍那(日本維新の会):確かに負担というのは任意後見人そのものにあると思いますので、そこをどうサポートし、そしてその制度がしっかり世に広まって、より安心したものになっていくのか、それは課題になると私も認識いたしました。
その上で、遺言の関係を少し質問させてください。
今回新たに創設される保管証書遺言は、確実に遺言者本人の最終意思を確認し、保存し、遺言者の死亡後にその内容を実現することができる仕組みとなっていると、今回の改正でお考えなのか。
そして、この保管証書遺言の創設によって、いわゆる所有者不明土地問題が解決に至る、そのきっかけになるのか、この2つを小澤参考人にお答えください。
小澤参考人。
小澤吉徳(参考人):はい、ご質問ありがとうございます。
先ほども回答の少し重複をしますけれども、先生のご指摘のご質問に対しては、イエスということになっております。
これまで公正証書遺言が担ってきたこの真正性の確保を、デジタル社会でどのように確保するかが課題であった、これをクリアした新しい制度というふうに理解をしております。
従いまして、今回の新しい制度については非常に有意義なものだと思っておりますし、そしてそもそもその遺言を、ご本人がお元気なうちにしっかり作成していただくということが、間違いなく円滑な相続登記に資するもの、これはもう間違いないわけでございますので、従いまして結果的に、空き家、所有者不明土地問題の解決に大きく資するものになると考えております。
金村龍那君。
金村龍那(日本維新の会):私も地域を歩いていると、今、私選挙区川崎ですけれども、川崎ですら不明土地がすごい増えているんですよね。
高齢化だけが原因ではないと思うんですけれども、やはり身寄りのない人は結構多いですし、そういったところを整理していけるきっかけがあれば、行政も動きやすくなると思いますので、ぜひこの制度を活用してまいりたいと思います。
それではですね、根本参考人に一つお伺いしたいんですけれども、今回の保管証書遺言が遺言者の最終意思を確認し、保存し、遺言者の死亡後にその内容を実現することができるためには、法務局における運用上、どの点がポイントになるとお考えかお答えください。
根本参考人。
お答えいたします。
やはりですね、ご本人が不当な影響を受けていないというようなことを、きちっと後見官において確認をしていただくということは必要なことだというふうに考えておりますし、あとはどうしても高齢者の方ですとか障害者の方ですと、そもそもその機器をどのような形で活用できるのかという問題もあろうかと思います。
そのあたりのところの支援ということのあり方が、これは地域の自治体等も含めて連携をしながら、法務局との間で実施していただくということが重要ではないかというふうに考えております。
金村龍那君。
時間になりました。
本当にありがとうございました。
次に井戸まさえ君。
国民民主党の井戸まさえです。
法制審議会にご参加をいただいたお三方に、今日はご意見をいただいた非常に貴重な時間でありました。
ありがとうございます。
まずですね、山野目参考人に伺いたいと思います。
先ほど阿部委員からもありましたけれども、参考人は、私たちが今手にしている民法というのは、ヨーロッパの民法などを参考にして明治の時代に作られて、そして今に至っているというふうに言及なさいました。
また、2021年のリリースにおける交渉人の大会において、1804年に、この変化を踏まえて改正をした松坂恵先生だとか、中川淳之介先生の名前に行き着いて、非常にまるで先人と対話をしているような気持ちにもなりました。
民法というのが、その時代の社会。
本人氏の申請。
山野目参考人、例を一つ挙げますと、シングルマザーが自分の手元で小さな子供を育てている。
しかし若くして自分は不治の病に罹患して、世を去らなければいけないかもしれない。
自分が世を去った後、この子のケアは誰がしてくれるんだろうかということを考えた際、未成年後見人にはこの人がなってほしいというようなことを遺言に記すことが、議員御存じのとおり可能であります。
それから我が子であると認める認知をするとか、それから一旦は相続人として認めないということを自分の子供なんかにして裁判所の手続きを取ったような事例におきましても、しかし遺言にやはり許すと裁判所で手続きを取ってくださいというようなことを記すということも可能でございます。
遺言といいますと、何か財産のことでしょうというふうなイメージが強いかもしれません。
もちろん財産の、パソコンやスマホを手にしているわけでありますから、その先達たちがここが大事だというふうに考えた本質のところを受け止めながら、しかし情報機器を利用してどういうふうに申し上げたらよろしいんでしょうか。
遺言の制度を実質化する、あるいは現代化するというような観点からの改正が提案されているのが本日の議案でございます。
もちろん遺言制度の正銘は改ざんを防ぎ本人の真意を確保するということでありますから、デジタルを用いたときにそこのところは大丈夫ですかということについては、なお対政府質疑等において明らかにしていただきたいというふうに望むものでございます。
井戸まさえ君、ありがとうございました。
それではですね、本人や関係者としっかり話し合ったというような内容をですね、報告事項に含めるのも一つではないかというようなことを提案をさせていただきました。
これというのは、例えば、司法書士会の小澤参考人、また弁護士会の根本参考人、現場で例えば、後見人なり補助人なりで、こういった報告の中にそうしたことを含めることに何かですね、
不具合があったりだとかということはしますでしょうか。
それともそのことをやることによってより周知徹底が図られるとお考えでしょうか。
また山野目参考人には先ほど法制審議会で33回の議論、4時間、5時間というのを繰り返されて、そして当事者の皆さんとの話も聞いてこられたと思うんですけれども、そうした当事者の視点からもこの周知をしてくる手段として、そのようなことが使えるのかどうかというようなことをお話しいただければと思います。
それでは小澤参考人からよろしくお願いいたします。
小澤参考人
はい、井戸先生。
ありがとうございます。
まずは、周知ということでございますが、非常に大事なことだというふうに思っています。
においては内部での研修を当然十分に行って、その司法書士が各地域の中核機関や自治体と連携し、講演などにより利用者や関係者、さらには市民の皆様にこの制度改正を知っていただくということを考えています。
また、検討段階ではありますが、本や冊子やインターネット動画など、今回の法律改正をわかりやすくまとめたものを作成しまして、これを配布するということも考えられると思っています。
改正法の施行まで2年以上の期間がございますので、まずは会員の研修等を行って、その会員を通じて市民の皆様にも周知を図っていくということは十分可能ではないかというふうに考えてはおります。
そして先ほど先生からご提案があった裁判所の報告のタイミングでというご提案に関しては、非常に効果的で効率の良いものというふうに考えておりますので、私たちも少し参考にさせていただければなというふうに思っております。
ありがとうございます。
根本参考人
お答えいたします。
まず1点目につきましては、今小澤会長からありましたように、日弁連としましても同様に、会員に対しての周知、広報及び研修というのを今後行ってまいる予定でございます。
併せて、自治体への周知というのも非常に重要かというふうに思っておりまして、現在においても地域福祉計画等の各委員等に弁護士が就任しているケースというのもございますので、そういった自治体との連携を図りながら、周知をその中でも図っていく。
自治体を通じて市民の方にお伝えしていくということも重要かというふうに思っております。
2点目の定期報告の際に、そういったことを行っているかどうかを報告するという点につきましては、私個人としましては同感できるところでございまして、特に今回、経過規定の第2条、第3条、それぞれのところにおきまして、現行制度そのまま後見、補佐後見と補佐の方については現行制度をそのまま利用していただく、もしくは新制度に移行する、もしくは相当でないときを除いては取り消せるという3つの選択肢が用意をされているということになります。
この3つの選択肢に対するまさに意思決定支援というのが非常に重要になるというふうに考えておりますので、そういった意味で委員のご提案については賛成させていただきたいというふうに思っております。
ただその上で、実務上の留意点といいますか、懸念点といたしましては、年1回の定期報告と法務大臣。
山野目参考人時間が押しております。
議員からいただいたアイデアはグッドアイデアであると考えます。
ありがとうございます。
井戸まさえ君
ありがとうございます。
これ無料でできるというかところでもあるんですよね。
何かをするという予算が必要あるわけではないので、周知徹底を26万人のより多くの方たちにやるためにも、そしてこれからこの制度を利用される方にも漏れなくついてくるというのがいいことかなと思いながら、ちょっと先生方のお話を伺って、少しもっと前に進めていくように頑張りたいと思います。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
続きで、任意後見制度、先ほど金村委員からもお話しあって、私もちょうど山野目先生に伺おうと思っていたところなんですけれども、その任意後見制度のところでは、今回監督機能のところ、監督をつけなくてもいいとなったときに、その機能というのが低下を懸念するという声もあると思うんです。
私は、この任意後見制度というのは、もっともっと広げていくべきだと思うし、これこそが制度の肝になってくると思っているんですけれども、こういった懸念に対しても含めてですけれども、山野目参考人は任意後見制度とか今後どういうふうに展開していったらばより良いかということ、お考えを伺いたいと思います。
山野目参考人一つ強調して申し上げるといたしますと、国民各層において、よしに任意後見契約を使ってみようという気分になっていただくためには、法律改正が出発点ではありますけれども、加えてさまざまな工夫が必要ですし、申し上げるアイデアとして、モデル条項を関係する専門家の団体が協力して、もちろん広く支持が得られるものである必要があるんですけれども、
井戸まさえ君、弁護士の先生方、地域の専門職の方々と福祉関係者の連携について伺いたいと思っています。
また相談のニーズの高まりという点からも、まず小澤参考人に伺いたいと思います。
今回、後見や補助という制度が見直されることになりますが、そのことによって現在制度を利用している約26万人の当事者の方々や、また専門職以外の法務関係人の方々も含めて、「どうしたらいいんだろうか」という相談業務が大きく増えることが予想されると思います。
また、これまで利用をためらってきた方々、例えば認知症の高齢者の方々が「必要な場面だけスポットで利用できるんだったら、ちょっと利用してみようかな」ということもあると思うんですけれども、こうしたところで司法書士会さんへの相談のニーズというのは全体に増加をするであろうと考えていらっしゃると思うのですが、どのように見込まれ、それに対して特に地域に根差した支援をやっていらっしゃると思うんですけれども、そうしたところで地域のまたほかの専門職の方や福祉関係者との連携は、今後どのように必要になってくるかとお考えか、伺ってもよろしいでしょうか。
小澤参考人、はい、井戸先生、ありがとうございます。
先生がご指摘いただいたように、これまで利用を躊躇されていた方が「ちょっと利用を考えてみようか」、あるいは今利用されている方が「補助になるみたいだよ」ということで、相談需要はたくさん増えてくるんだろうと理解をしています。
ですので、当然司法書士会でも各司法書士会あるいはリーガルサポートの相談体制を強化するとともに、先生からご指摘がありました自治体や福祉関係者との連携が、これまで以上に大事になってくると思っています。
市民の皆様にとって、やはり一番相談窓口として敷居が低いのは自治体の窓口でございますので、そういったところとの連携をさらに強化をしていく必要があると理解をしています。
井戸まさえ君、時間的に最後の質問になるので根本参考人に伺いたいと思います。
弁護士の皆さんというのは、いろいろとご相談が来ると思うんですけれども、実際には現場では制度利用開始時には想定もしなかったような問題がたくさん出てきたりだとか、次から次へとそういうのが生じるというケースもあると思うんですけれども、今回は補助人は本人を代表する存在というよりも、本人の社会生活を支援する存在に変わるというふうにも指摘をされています。
そうであるならば、本人との信頼関係とか日常的な関わりの有無というのがより重要になっていくのではないかと思いますけれども、そのあたりも支援の最前線で知見を積み重ねてこられた弁護士さんとしてのご所見を伺いたいと思います。
根本参考人、ありがとうございます。
まさに議員ご指摘のとおりだと思っておりまして、そもそもこの成年後見制度、財産管理が中心と言われていた制度から心情保護を重視するという流れがあり、さらにその上でチーム支援というところの中に、しっかりと後見人、補助人が加わっていくということの重要性が言われてきたところかと思います。
今回の改正においては、そこに加えて今、委員からもご質問がありました、ご指摘がありました、いわゆる入り口の支援ですとか、あとは基柱支援、それから午前中の政府答弁でも厚生労働省からありましたが、出口支援も中核機関等の役割として重要になってくるということかと思います。
そことしっかりと専門職も連携していくということも必要ですし、かつその中核機関の支援の中に専門職としての意見をしっかり入らせていただいて伝えていくということも重要な役割になってくるかなと思っております。
井戸まさえ君、ありがとうございました。
井上英孝(法務委員長)次に鈴木美香君。
鈴木美香君、ありがとうございます。
本当に本日は貴重なお話いただきありがとうございました。
もうほとんど先生方にお聞きしたいことを聞かれてしまったのですけれども、あえてお聞きしたいのは、やはりこの成年後見制度というのは本当に良薬にもなれば毒にもなるという立場で、度合いによって本当に様々な、いろんな方にお伺いしましたけれども、本当に良しとされる方、期待する方、でもそうではなくて、いろいろ出ておりましたようなお金の問題であったり、連れ去りの問題であるという真逆のお話をいっぱいお伺いさせていただきました。
でも今日の先生方のお話を聞いて、そうなんだなと納得させていただいたことが多々ありますけれども、まず小澤参考人にお伺いしますが、とはいえ、実際、今回成年後見、後見補佐がなくなって補助人化されるという、じゃあ実際、特定補助が今後中心となっていく中で、本来であれば70%を超える成年後見、補佐を残した形で、つまり名前や仕組みを変えても、現場ではこれまでの成年後見に近い運用が続くことが今後も考えられる中で、その辺の現場の対応とかとても大変になると思うんですよね。
本当に現場で司法書士の方々に対応していただくのは、その相手の対応とか、要は手続きだったりとか、それが法定的に持ち込まれたりするようなケースも考えられるんですけれども、その辺に関して小澤参考人はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
小澤参考人先生、ご質問ありがとうございます。
先生から今ご指摘をいただいた特定補助でございますが、特定補助はご案内のとおり、この民法、この改正案の第9条の2の全ての行為について取消権を付与する必要性がなければ利用することができないということで、また取消権は現在もあまり多くは利用されておりませんけれども、さらに第9条の全ての取消支援が必要な事案というのは、私たち司法書士の実務上の感覚では、あまり想定することが困難でありまして、そういうふうなことを考えますと、この特定補助の利用に適した事案というのは、さほどないのかなというふうにも考えています。
これまでの後見類型とはやはり補完権も違っておりますし、申し立てされる方がこの特定補助というものを現在の後見類型と同様に捉えて利用を希望されることは考えられますけれども、ここは特定補助は今の後見類型とは異なる制度でありますので、特定補助という制度をきっちりと専門家が周知をすることにより、そのような誤解を解消し、利用に適した事案について利用をするようにしていくという、そういうことが必要なんだろうなというふうに承知をしています。
鈴木美香君。
ありがとうございました。
続けてもう一つお伺いしたいんですが、やはりすごく省令的に話題になっていることが実は少ないんだというふうなことでおっしゃいますけれども、やっぱり報酬に関してすごくそれで大変な思いをされているという、今朝日新聞でもシリーズだったりとか、毎日この件に関して世の中の記事が出ておりますけれども、基本報酬は弁護士の方の先生の報酬に比べれば、月の基本2万円とかっていうのは、そんなに大変他のお仕事に比べるとそんな額ではないと思うんです。
でも、それプラス付加報酬というものが付いた時に、当人の方たちがすごくびっくりするような、そこが事件になったりとかしています。
ただ今後、補助ということになると、スポットになっていくと、
山野目参考人。
少し答えにくいこともあるかもしれませんけれども、先生ご指摘のとおり、後見人の報酬額の適切性については、支払う側であるご本人と、受け取る側である後見人の認識の差が非常に大きい部分ではあると思います。
当然ご本人や親族からすれば、報酬額は高額だという意見があることは当然理解する部分はありますが、専門職側からは、負っている責任や、行っている業務に比べて安すぎるという意見も聞くところではございます。
その点ですね、今回この報酬については民法の改正案の876条の19によりまして、報酬の考慮要素として補助の事務の内容を考慮することが明文化されるに至っております。
報酬が高すぎるというご意見は、事務の内容に対して高すぎるという趣旨であると理解しておりますので、この改正はご本人や親族の方のご期待にも添える内容になっているのではないかなというふうに承知しているところでございます。
鈴木美香君。
ありがとうございました。
本当に今後、独居の方が今度2050年には1000万人を超えるというような、これからたくさんの方がいらっしゃる中でご尽力いただくと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では次に根本参考人にお尋ねいたします。
身寄りのない方について入所している施設への遺贈のお話を聞かせていただきたいんですけれども。
根本参考人が執筆された論文の中で、本人の意思の尊重と公平、適正な事業運営との調和という観念から、本人が入所している施設への遺贈自体を禁止すべきだというふうにおっしゃっていらっしゃいます。
今回改正法974条では、施設への遺贈そのものは禁止しないけれども、施設の役員や職員の遺言の承認になれないという規制にとどまっております。
このところ実際、お一人の方がそこでお世話になって優しくしていただいたら、そういう心理的なありがとうという気持ちでも、実はそれを計算でとか複雑な、やっぱりそれもあると思うんですけれども、根本参考人がこういうふうに禁止すべきとおっしゃったようなきっかけであったり、現実のトラブルであったりとか、何かその思いの背景というものを教えていただけますでしょうか。
根本参考人。
先生ありがとうございます。
個人としてのお答えになりますけれども、まず一つはですね、やはり遺言といいますのは、今先生ご指摘のとおり、まさに遺言者の自由な意思で、ご自分の財産をどう処分されていくかを決めるというものになりますので、その行き先を何らか民事基本法制である民法等で規律を設けていくというのは、これはできないことではないかというふうには思っております。
他方で、今まさに先生おっしゃられたようにですね、実際に私個人としても、例えば私が今担当させていただいている方の中には、最後に先生にということをおっしゃる方がいないわけではありませんが、やはりそこは私どもの職業倫理の中で、ご本人にきちっとサービス提供させていただいたものについては、これは適正な対価を受け取るというのは、これ業務として行っていることですので、必要なことであるというふうに考えます。
一方で、そのような業務に乗じるという、民間の方が受け取りになるということではなくて、何らかそこに公的な仕組みを入れていくということはあってよいのではないかというふうには思っています。
具体的には、例えばそういったところを基金にしていくですとか、そういった仕組みづくりを検討していただいてはどうかというふうに考えているところです。
鈴木美香君。
ありがとうございます。
個人の思いも含めてお答えいただきありがとうございました。
直接ではなく、いろんな基金という形でということで理解させていただきました。
ありがとうございます。
山野目参考人にお尋ねいたします。
民法学者でいらっしゃるって本当に美しい言葉、例えがとてもよく理解できました。
ありがとうございます。
そんな中でですけれども、今回この山野目参考人は、成年後見制度の見直しに当たって、民事法制と社会福祉を一体に改革することが強く求められるとご指摘されていらっしゃいます。
私もこの後見と補佐が廃止されて補助を一本化されるということが、今後の権利擁護支援の役割を今後一層大きくなっていくと思うんですけれども。
先ほどちらっと出た出口の話にもなりますが、午前中に私も厚生労働省に今後の権利擁護支援事業についての現状をお聞きしましたら、まだ定まっていないというお答えでした。
この点に関して山野目参考人は、今後民事の見直しと社会福祉における支援案、お考えをどのように進めたい。
また現状の不足と今後というところでお考えをお聞かせください。
山野目参考人。
法制審議会における調査審議が進んでいる過程で、既に社会保障審議会の方で検討がされた社会福祉法の改正と密接な連携調整をして検討を進めてきたところでございます。
両方の審議会の成果物を政府が閣議決定した日は同じ日でございます。
それで同じタイミングで衆議院に提出され、先ほど申し上げましたように今日までのところ法務委員会と厚生労働委員会に置かれてありがたいことに山野目章夫(参考人):そこからが本番でありまして、そこがゴールではなくてスタートでございます。
地域社会福祉と丁寧な対話を重ねていって、人々が各地で悩んでおられることをまた伺って改革を続けなければいけないと思います。
政府としては各部署が連携を図って予算等をきちんとつけていくということが重要です。
私ども民間においても、やはりそこのところを政府任せにするのではなくて、福祉は大丈夫ですかということを伺っていくべきだろうと思います。
三月に西日本のある社会福祉協議会を伺った折は、本当に今般改革についてたくさんの不安と期待の声をいただきました。
ちょっと時間が間に合わなかったので、私の方から質問と回答という文書をお出しして、全部で25問ございました。
25問しかそのときはなかったんですけれども、これからますます膨らんでくるだろうと思います。
そういうお問い合わせに対して、一つ一つ丁寧に向き合っていくということを、一人一人がしていかなければならないのではないかというふうに感じているところでございます。
鈴木美香君
鈴木美香:ありがとうございました。
政治だけではなくて、それぞれの福祉、思いというのをつなげていくっていうのがすごく大切だと思います。
質問されたので、私もしたかったのが、今すごく成年後見人がどんどん増えているというところで、たった20年前は家族が見てたのが90%だったんですよね。
それがどうしてかというのを私もお聞きしたかったんですけれども、とはいえ、今各家族であったりお一人様が多くなったという現状もわかりますけれども、終わってしまいました。
すいません。
はい、でもとはいえやっぱり本来の家族っていうものは大切なので、家族が大切である結びを大切にしながらも、今後本当に皆様のご活躍とご尽力が必要になってくると思いますので、よろしくお願いしますというところで終わらせていただきます。
ありがとうございました。
井上英孝(法務委員長):これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
22日金曜日午前8時50分理事会、午前9時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
ご視聴ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。