憲法審査会
概要
衆議院憲法審査会において、緊急事態条項のイメージ案を巡る討議が行われました。自民党の新藤義孝氏らが、国会機能維持のための議員任期延長や、究極の事態に備えた緊急政令・緊急財政処分の必要性を主張した一方、国民民主党や日本共産党、参政党などは、内閣への権限集中による恣意的な運用のリスクや立憲主義の観点から慎重な姿勢を示しました。また、オンライン国会の導入による機能維持や、参議院の緊急集会の射程、選挙困難事態の認定要件といった具体的論点について、各会派がそれぞれの見解を述べました。
発言タイムライン
発言者(15名)
- (憲法審査会会長) — 10:00 / 1分
- (自由民主党・無所属の会) — 10:01 / 8分
- (中道改革連合・無所属) — 10:09 / 7分
- (日本維新の会) — 10:16 / 7分
- (国民民主党・無所属クラブ) — 10:23 / 7分
- (参政党) — 10:30 / 6分
- (チームみらい) — 10:36 / 7分
- (日本共産党) — 10:43 / 7分
- (憲法審査会会長) — 10:50 / 1分
- (自由民主党・無所属の会) — 10:51 / 5分
- (中道改革連合・無所属) — 10:56 / 4分
- (日本維新の会) — 11:00 / 4分
- (国民民主党・無所属クラブ) — 11:04 / 5分
- (自由民主党・無所属の会) — 11:09 / 5分
- (自由民主党・無所属の会) — 11:14 / 5分
質疑応答(0件)
質疑応答は行われませんでした(所信表明・趣旨説明等のセッション)。
議事内容
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古屋圭司(憲法審査会会長)これより会を開きます。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
本日は緊急事態条項のイメージ案について討議を行います。
この討議については、幹事会の協議に基づき、まず各会派、1名ずつ代表して発言をしていただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。
それではまず、各会派1名ずつによる発言に入ります。
発言時間は7分以内とします。
質問を行う場合は、発言時間は答弁時間を含めて7分以内となりますので、ご留意を願います。
発言時間の経過につきましては、おおむね7分経過時にブザーを鳴らしてお知らせします。
発言は自席から着席のままで結構です。
発言の申出がありますので、順次これを許します。
新藤義孝(自由民主党・無所属の会)はい、会長。
自由民主党の新藤義孝です。
先週に引き続きまして、緊急事態条項のイメージについての討議を行います。
まず、この緊急事態条項のイメージについて、私が理解をしている位置づけについて申し上げたいと思います。
このイメージは、審査会における今後の討議のために、これまで積み上げてきた議論を、幹事会の要請によりまして、衆議院法制局、憲法審査会事務局が、中立的かつ専門的な立場で整理をしたものであります。
現時点で何かが確定されたり決定したりするものではなく、今後の議論の土台として活用すればよい、このように考えております。
先週の審査会で、私がピン留めと言えるのではと紹介した論点は、各会派の意見がおおむね同様と言える論点という意味で整理をいたしました。
また、さらに議論を深めていくと整理した論点は、複数の見解があるので、今後さらに議論を深めていくものというような趣旨で私なりの整理をしたものとお考えください。
本日は、この緊急事態における国会機能の維持を図るための規定に加えて、さらに厳しい状況、国会機能の維持すら困難となる事態に備えて、国家機能の維持を図るという観点から、緊急政令、緊急財政処分の規定の必要性を中心に、私なりの意見を申し上げたいと思います。
憲法41条は、国会は国権の最高機関であって、唯一の立法機関と規定しています。
この立法機関の意味としては、少なくとも国民の権利を制限し、義務を課す事項については、国会が法律という形式で定める必要があるとされているわけであります。
平時はもちろん、特に緊急事態にこそ、国会が立法機能をフル回転させることが求められます。
だからこそ、私たちは、緊急事態においても国会機能を維持するために、選挙困難事態の認定と、議員任期の延長を可能とする制度の創設、これを提案しているわけであります。
国会機能の維持を図るべく、国会議員が参集しようと思っても、物理的に参集することが難しく、国会がどうしても開けないような、さらに厳しい事態が発生することも、当然に予想しておかなければならないと思います。
そのような場合に備えて、まずはオンライン国会などの法的、物理的な環境整備が考えられます。
しかし、極めて深刻な緊急事態発生時においては、通信途絶や停電などにより、オンライン国会すら対応できないという事態が起こりうるわけであります。
このように、さまざまな手段を用いても、どうしても国会が開けず、国会議員が参集できない、オンライン国会すら不可能な究極の事態において、国家機能を担う内閣が一時的暫定的に立法機能や財政支出機能を代替しようとするのが、それが緊急政令や緊急財政処分の制度であります。
国会が機能不全に陥り法律や予算の議決が不可能になり、既存の法律に基づく委任政令や既存の予算に基づく予備費などでも対応できない場合の万々一の民主主義のための制度、これを整備する必要があるのではないかと考えるわけであります。
もちろんこのような事態が発生しないように最大限の努力をするのが政治の責任です。
しかしそれでも国会が機能不全となってしまう事態が起こりうることは否定できないと思います。
我々はどのような事態にあっても国民の生命と財産を守り抜き、国と社会を維持する仕組みを整備しておかなくてはならないと考えています。
したがって緊急政令、緊急財政処分は内閣の権限をいたずらに強化したり、増やそうとするものではありません。
究極の手段として国家機能を維持し、国民の生命財産を守ろうとするものであり、積極的に使うことは想定しなくても、立憲主義国家として当然に備えていくべきものではないかと考えるわけであります。
1946年の日本国憲法制定時において、日本政府はGHQに対し、緊急政令の規定を設けることを求めたという経緯があります。
これに対するGHQの判断は、英米法的な発想で、慣習法的な法理であるエマージェンシーパワーで対応すればよいというもので、緊急政令の規定を設けることを拒否しました。
本来であれば、1952年に日本が主権を回復した際に、憲法を改正し、緊急事態条項を整備すべきだったのかもしれません。
しかし結果として、これまで憲法改正は行われず、日本国憲法の未完成部分として、今日に至っている。
このように思います。
次に、緊急事態条項は諸外国において、実際どのように発動されているのか。
2022年時点で、世界の現行憲法の91%に緊急事態条項が設けられていること。
これが、東京大学のマッケルウェイン教授の研究により明らかになっています。
例えば、フランス憲法は16条で、大統領の緊急措置権。
36条で、改憲という緊急事態条項を規定しています。
ただ、1958年に憲法を制定して以来、フランス大統領の緊急措置権は1960年
1961年、アルジェリア紛争時に発動した一例のみであり、戒厳はこれまで一度も発動例がありません。
フランスは2015年の同時多発テロの際には緊急状態法、2019年末に始まる新型コロナウイルス感染症蔓延時には公衆衛生法典という法律上の緊急事態条項によって対応しました。
つまり、フランス憲法上の緊急事態条項は、整備はされていても実際に発動される例はほとんどなく、緊急事態条項を備えた憲法を頂点とする法体系を確立していることにこそ意味があると考えられます。
実際、私がかつて憲法審の筆頭幹事としてフランスに出張した2023年の海外調査で意見交換をいたしましたパリ・サクレクール大学のブドン教授からもそのような話を伺ったことは鮮明な記憶として残っています。
一方で、現実に憲法上の緊急事態条項を発動し、国民の生命と自由を守り抜こうとしている例もあります。
それはウクライナです。
ウクライナは2022年2月24日、ロシアが侵略を始めた当日、憲法に定められた緊急事態条項のうち、戒厳を布告し、国家運営を緊急事態モードに移行いたしました。
これにより現在までウクライナにおいては大統領選挙、国会議員選挙は延期され、その任期も延長されています。
他国からの侵略という緊急事態においても、議会機能をギリギリまで維持し続けているウクライナの国民と議会の勇気と努力には、心からのエールを送りたいと思います。
このように緊急事態条項は抑制的であり、よほどのことがない限り使われるものではありません。
我が国においても、緊急事態に陥らないよう、外交安全保障、強い経済、国土強靭化、選挙制度など不断の努力や整備を怠らないことが何より重要であり、政治の責任であることは常に肝に銘じております。
一方で、主権国家としてあらゆる事態においても国の運営を維持していく、そのための緊急事態条項の整備は、日本国憲法の未完を埋め、国の形を整えることにつながると確信をしております。
憲法改正の機運が高まりを見せている中で、憲法改正は何のために行うのか。
そしてどのような効果をもたらすのか、より多くの国民の皆様に理解をしていただくことが重要だと思います。
憲法審査会において、今後さらに国民のための憲法論議が深まることを切望して、私の意見といたします。
ありがとうございました。
古屋圭司(憲法審査会会長)國重徹君。
國重徹(中道改革連合・無所属)
中道改革連合の國重徹です。
前回の審査会で私は主として次のことを述べました。
選挙権は極めて重要な憲法上の権利であり、その実効的な行使は国民主権の核心である。
だからこそ選挙の実施をできる限り可能にするため、平時から選挙制度の強靭化に力を尽くさなければならない。
その上で、選挙実施優先原則、さらに国政投票、参議院の緊急集会を最大限尊重してもなお、国会機能維持の観点から制度的な空白が生じ得るのか。
仮にそのような制度的空白が認められる場合には、立憲主義の観点から補充条項としての議員任期特例を検討することになる。
その際、乱用の危険を防ぐために、憲法及び法律でその要件を厳格に定め、恣意的な解釈の余地をできる限り狭めることが不可欠である。
その要件の核心部分は、憲法そのものに明確に定めるべきである旨述べました。
本日は、仮に議員任期特例を創設するとした場合の広範性要件と長期性要件を中心に、憲法の条文を手がかりに問題提起をしたいと思います。
まず広範性要件について、イメージ案は「国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域」としています。
確かに国政選挙の公正性確保との関係で選挙の一体性は重要な視点です。
しかし、広範な地域の具体的基準が法律に委ねられることで、法改正によって要件が実質的に緩和されるリスクはないのか。
また、選挙の一体性がそれだけで国民の選挙権行使を延期し得るほどの憲法上の根拠となるのかについては、さらに議論を深める必要があります。
そもそも補充条項としての議員任期特例の目的は、政府に権限が集中しがちである緊急時において、国民の代表機関である国会の機能を発揮させることにあります。
とすれば、適正な選挙を実施した結果、国会、とりわけ衆議院が安定的に議事を開き、議決を行い、立法機能、行政監視機能を果たし得る状態になるのかどうか、という点がポイントになります。
その意味で、着目すべきは、定足数を総議員の3分の1以上とした憲法56条1項の趣旨です。
これは、少数派の審議拒否等による留会を回避し、国会をできる限り機能させるとともに、一定数の出席により、国会の権威を保つ点にあります。
この趣旨を踏まえ、どの程度の議員が選出されれば、安定的に定足数を満たし、国会の機能を維持できるかを検討することが、条文に根拠を持つ客観的基準を考える上で、重要な視点になるのではないでしょうか。
もっとも、具体的な数値基準をどう置くかは、慎重な検討を要します。
ここで申し上げたいのは、広範性要件を単なる地域的な広がりとして捉えるのではなく、こうした機能的な観点からも検討する必要があるのではないかということです。
このように憲法56条1項を手がかりに広範性要件を構成することは、認定の恣意性を抑制する上でも重要な評価軸に、検討軸になり得ます。
従来の選挙の一体性論と合わせて、この視点からの議論を深めることを提案いたします。
次に長期性要件について、イメージ案では相当程度長期間としていますが、その憲法的な根拠は何か、判断の軸がないまま、政治判断に委ねることは、立憲主義の観点から問題があります。
ここでも憲法の条文を手がかりに考えてみたいと思います。
憲法67条1項は、内閣総理大臣を国会議員の中から指名することを、68条1項は、国務大臣の過半数を国会議員から選ぶことを定めています。
前者は在任要件とされ、後者は内閣の構成上の要件を定めたものとされています。
これまでの内閣の構成を踏まえると、衆議院が解散された場合には、通常これらの要件を欠くことになります。
もっともこの場合にも、内閣は憲法71条により、例外的に次の内閣総理大臣が任命されるまで、引き続きその職務を行うこととされています。
この職務継続が憲法上認められているのは、解散後40日以内に総選挙が行われ、その後30日以内に招集される特別会において新たな内閣総理大臣が指名されるという
議案的枠組みがあるからです。
つまり、このような一時的な職務継続は、あくまで70日程度の間に総選挙が実施され、新たな内閣が構成されることを前提とした暫定的な仕組みと言えないでしょうか。
したがって、その状態が長期化すれば、憲法67条、68条が予定する議員内閣制の仕組み、すなわち内閣が国会との結びつきの中で、民主的正当性を確保するという構造との関係で、内閣の正当性に深刻な問題が生じます。
そのため、相当程度長期間とされている長期性要件を深掘りするに当たっては、議員内閣制の趣旨に照らして、どの程度の期間であれば、暫定的な内閣の職務継続を憲法上許容できるのか、という観点からの議論も重要です。
以上は要件そのものの問題ですが、その要件をどのような手続きで認定、承認するのかも重要です。
例えば、武力攻撃事態では、選挙困難事態の認定に必要な情報が、作戦情報や同盟国との機密情報と不可分に絡み合う可能性があります。
公開情報による通常の国会審議を原則としつつ、機密情報については、情報監視審査会の仕組みを参考にしつつ、限定的な秘密審査手続きを設けることも一つの方向性として考えられます。
しかし、秘密を理由に情報提出が過度に制限されれば、国会の実質的な検証ができず、国会の承認は内閣の判断を単に追認するだけのものになりかねません。
こういった点も議論を深める必要があります。
イメージ案が示されたことは、これまでの議論を可視化する点で意義のあることですが、本日申し上げたとおり、それぞれの論点を詰め切るには、さらなる議論が必要です。
先週の審査会では、平時の国会機能維持に関する臨時会の招集期限や、解散権行使の在り方及び、その制限を議論することについても、日本維新の会、国民民主党から前向きな御発言をいただきました。
これは国会機能維持の点で共通するテーマです。
仮に、新たな制度を憲法上設けるにしても、設けないにしても、問うべきは同じ。
国民の権利を守るために権力をどう縛るのかです。
その仕組みを憲法上、あるいは法律上、可能な限り明確にしていくことが、立憲主義の要請です。
その問いに、正面から向き合い、国民のための真摯な憲法論議を積み重ねていく決意を申し述べ、本日の意見表明といたします。
古屋圭司会長阿部圭史君。
阿部圭史(日本維新の会)
はい。
日本維新の会の阿部圭史でございます。
先週の本審査会において、緊急事態条項のイメージ案が提示をされました。
これに沿って意見を述べたいと思います。
先週、新藤幹事が述べられたように、緊急事態条項のイメージ案には、おおむね合意を得られるとみなせるピン留めできるところ、そして、もう少々深掘りできるところの2パターンがあろうと思います。
議論をピン留めできる部分は、一定の結論としてまとめていくことが重要です。
先週の本審査会で、我が党の馬場伸幸幹事が述べたとおり、本審査会において直ちに条文起草委員会を常設し、イメージ案をベースとして改正条文案の作成に入ることを強く求めたいと思います。
特に議論をピン留めできる部分は、条文化に入ろうではありませんか。
自民党と日本維新の会の与野党両党で構成する憲法改正条文起草協議会は、国家の危機に対処するにあたり、至緊に重要な憲法9条改正及び緊急事態条項創設が最も重要であり、この2つについて議論を進めております。
その上で、国会機能維持と内閣による国家機能維持の両方の要素について、今年度中に合同で条文案を起草し、国会提出を目指すということとなっております。
我が党としては、参議院憲法審査会で議論されている5億の解消については、議論する必要性の認識を共有するが、国家の危機に対処するにあたり、至緊に重要な憲法9条改正及び緊急事態条項創設に比べ、優先順位が低いテーマであると考えていることを明確に申し述べたいと思います。
次にイメージ案に沿って我が党の考え、整理を述べたいと思います。
衆議院議員総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化について、解散から40日以内に国政選挙の一体性が害されるほど、広範な地域において衆議院議員総選挙を実施することが困難な場合、すなわち、公判制要件を充足する選挙延期事態となった場合に、総選挙延期の明文規定を設けることとされています。
この部分について、新藤筆頭幹事からピン留めできるものとの御発言がございました。
私もその認識に賛同するものでございまして、ピン留めすべきものと考えております。
次に、1-2-1において、参議院の緊急集会の射程が明確に整理されています。
すなわち、総選挙が延期されて衆議院が不在となった場合に、40日から相当程度長期間未満の場合には、この参議院の緊急集会の射程を拡大しつつ対応すること。
また、衆議院議員の不在が相当程度の長期間に及ぶ場合、すなわち長期性要件を充足する選挙困難事態となった場合には、任期制国会の原則に基づいて、議員任期の特例の制度を用意しておくべきことが記載されております。
この点については、先週、我が党の馬場幹事からも述べたとおり、憲法54条を素直に読めば、参議院の緊急集会の活動期間は最長70日であることは明白ではないでしょうか。
その認識に基づき、会派による国会機能維持に関する案も最長70日として求められております。
参議院からは70日に縛られないという主張が繰り返され、任意性の例外措置に過ぎない緊急集会を漫然なく適用せんとする主張も見られます。
新藤筆頭幹事が先週述べられていたとおり、任意性国会が原則でございます。
参議院の緊急集会の活動期間を包括的に認めるのではなく、例外はあくまで例外としてとどめることが重要なのではないかと考えております。
次にイメージ案の2ページ目にございます、2-2-1、内閣による選挙困難事態の認定について述べます。
選挙延期の場合の要件として、広範性要件と長期性要件の2つが挙げられております。
前者は国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域において総選挙実施が困難である場合。
後者は適正な総選挙の実施が相当程度長期間にわたり困難である場合です。
内閣による選挙困難事態の認定は、この2つの要件をもって判断するのが適切ではないかという点について、先週、新藤筆頭幹事よりピン留めができるとの御発言がございました。
私もそれに賛同するものでございまして、ピン留めするべきものと考えております。
その上で、広範性要件と長期性要件の具体化については、先ほど参議院の緊急集会の活動期間について申し述べたことを含め、論点がございます。
広範性要件については、新藤筆頭幹事から、衆議院の小選挙区比例代表並立制を前提とした場合には、被災地域が複数の比例ブロックにわたること、かつ、1つの比例ブロック内の過半の小選挙区において、選挙実施が困難であることという2つの具体的な基準が述べられました。
これは、東日本大震災が該当することに加えまして、今後想定されている
南海トラフ巨大地震や首都直下地震の被害想定に照らしても、該当することが予想されます。
従いまして、新藤筆頭幹事が、これはかなり妥当な基準ではないかとおっしゃったことに賛同いたします。
長期性要件については、イメージ案にもございます「相当程度長期間」という文言は、解釈の幅があるものであります。
任期満了国会の原則に基づいて、参議院の緊急集会を最長70日とする場合には、70日とするのが適切ではないかと考えます。
その上で、相当程度長期間未満、相当程度長期間以上という2つに分けるという整理等については、先週、新藤筆頭幹事よりピン留めできるとのご発言がございまして、私もその認識に賛同するものでございます。
ピン留めすべきものと考えております。
次に、2の第1の3の1に記載されている1回当たりの選挙困難事態の期間の上限について述べたいと思います。
現在のイメージ案で空欄となっている本期間については、先週、新藤筆頭幹事から、6ヶ月程度が妥当というご発言がございました。
私もその認識に賛同するものでございまして、国民民主党案もそのようになっております。
次に、第二の二の二に記載されている、任期が終了している議員の身分復活について述べたいと思います。
この議員任期の復活につきましては、二つに分けられていると考えます。
前段は暫定的身分復活、後段は本格的身分復活です。
これらは国会機能維持にとって必須の要素でありまして、非常に重要な制度であることに賛同いたします。
次に、2の第2の3の1に記載されている国会の閉会及び衆議院解散の禁止に加え、2の第2の3の2に記載されている憲法改正の禁止について、先週、新藤筆頭幹事よりピン留めできるとのご発言がございました。
私もその認識に賛同するものでございまして、ピン留めすべきものと考えております。
また我が党としては、内閣不信任決議の禁止については考慮すべき点もあるというふうに考えております。
次のページにある3のオンライン国会について述べたいと思います。
先週、新藤筆頭幹事より停電、セキュリティ確保、議長の議事整理のあり方という3点について議論を深めねばならないという問題があるというご指摘がございました。
例えば緊急事態において停電となった時点でオンライン国会は開催不可能となります。
オンライン国会は大変有用ではありますが、特に緊急事態においては万能ではないことは留意せねばならないと思います。
最後に繰り返しますが、ピン留め可能な部分から条文化を積極的に進めるべきことを改めて申し上げて、私の発言としたいと思います。
どうもありがとうございました。
古屋圭司(憲法審査会会長)玉木雄一郎君。
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)
国民民主党の玉木雄一郎です。
本日も大規模災害時等に国会機能を維持するための条項について申し述べます。
まず私たち国民民主党の考え方は、前回も申し述べたとおり、2年前の2020年6月13日の憲法審査会において、当時の自民党の中谷筆頭幹事から、各会派の意見を集約代表する形で述べられたものと同じであることを確認したいと思います。
当時、中谷議員は、資料の作成に当たっては、こう発言されています。
「公明の北川幹事、維新の馬場幹事、国民の玉木委員、有志の北上委員から、詳細かつ丁寧なアドバイスをいただきました」ということで、各会派の意見を集約して、当時つくったことを改めて確認したいと思います。
この各会派で合意した案をもとに、具体的な条文案づくりに着することが、憲法改正に向けた最も現実的な進め方であることを改めて強調したいと思います。
議論が煮詰まっておらず、合意が得にくいテーマを今から新たに付け加えない方が得策だと考えます。
その上で、今日は特に緊急政令、緊急財産処分について申し上げます。
2020年6月の案には、緊急政令、緊急財産処分の条項は入っておりません。
当時の丁寧な合意形成の過程で、各会派としては含めないとした経緯がございます。
もし緊急政令、緊急財産処分の話を蒸し返せば、時計の針を巻き戻し、せっかくここまで積み上げてきた憲法改正議論が停滞することを懸念いたします。
あえて過去の議論を私なりに整理して申し上げますと、緊急政令、緊急財産処分については大きく3つの対応が考えられると思います。
第一の案は、緊急事態においては内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるとし、包括的な政令制定権を内閣に持たせるケースであります。
ただこれは内閣に白紙委任的な広範な裁量を与えることになり、国民の理解を得ることが正直難しいと考えます。
第二の案は、あらかじめ法律を定めるところにより、内閣は法律で定めるべき事項を定める政令を制定することができると規定し、あらかじめ法律で定めておいた場合には、政令を制定できると規定する。
これは現行憲法下でもできる法律レベルの緊急政令の確認規定として盛り込む方法です。
2022年12月の国民民主党案はこのケースであります。
確か私の記憶が確かならば、かつて公明党の浜地議員も同じ意見を表明していたと理解をしています。
第三の案は、参議院の緊急集会や議員任期の延長、そしてオンライン国会など、緊急事態において国会機能の維持を可能とする憲法改正を行うことで、国会が機能しない場合は想定されなくなり、そもそも内閣が緊急政令や緊急財産処分を行う場合が想定されないとする対応です。
2024年の5会派の同意は、これに近い形で行われたものと認識しています。
ただ、オンライン国会でも定足数を満たさない場合が考えられるということは、先ほど通信が遮断されるとか、そういったことで提案をいただきました。
その前には緊急政令ではなく、ドイツ基本法が定めるミニ国会のような制度を創設することも実は考えられます。
これは先ほど申し上げた2022年の国民民主党の改憲案でも提案した両院合同委員会のアイデアであります。
このミニ国会ともいえるドイツの合同委員会は、ドイツ基本法では定数の3分の2を連邦議会議員から、3分の1を連邦参議院議員とすると規定されており、また合同委員会規則で連邦議会議員が32人
国会は開けないが、内閣は必ず開けるという前提で議論が進みがちですが、逆のケースもあり得ることを念頭に入れる必要があるのではないでしょうか。
ちなみに国民民主党案では、両院合同委員会が開かれる場合として、国会開会中だがオンラインを活用してもなお定足数を満たすことができない場合、国会閉会中で国会の招集を待つことができない場合、あるいはそもそも参集不能で定足数を満たすことができない場合などを想定しています。
いずれにしても緊急政令、緊急財産処分の話に議論を広げると、論点が拡散して、せっかく御会派でまとめたものも崩されかねないので、その点については慎重な取扱いをお願いしたいと思います。
緊急財産処分については、予備費の活用で十分対応可能であり、不要と考えます。
以上、緊急政令、緊急財産処分について国民民主党の考え方を申し述べましたが、高市総理のおっしゃる来春までに憲法改正発議を目指すのであれば、やはり新たな論点を追加することなく、2024年6月の5回半をベースに、大規模災害時等における議員任期の延長等、国会機能の維持に関する条文案づくりに、速やかに着手することを求めます。
また、昨日の参議院憲法審査会での議論を見ると、追加のテーマとして考えられるのは、後任の解消だと思います。
国民民主党としては、衆議院で議論の積み上げのある選挙困難時における議員任期の延長等と、参議院で議論の進む後任の解消という、いずれも選挙制度に関わる、いわば民主主義の基盤整備に関する2つのテーマについて、優先的に取り組むことを求めます。
来週の発議を視野に、秋の臨時国会に国会法に基づく憲法改正原案の国会提出を目指すのであれば、そろそろ何を議論するかより、何を議論しないかを考える時期に来ているのではないかと思います。
論点を絞って議論していくことを改めて求めたいと思います。
以上です。
和田政宗君。
はい。
参政党の和田政宗です。
緊急事態条項のイメージ案について、参政党の意見を改めて申し述べます。
前回も申し述べましたが、イメージ案では、緊急事態の対象範囲が、大規模自然災害、感染症の大規模蔓延、内乱等による社会秩序の混乱、外部からの武力攻撃、その他これらに匹敵する事態となっていますが、感染症の蔓延との文言が入っている限り、恣意的な事態認定が排除できず、参政党は反対をいたします。
さらに、緊急事態の対象範囲にある、その他これらに匹敵する事態も定義が曖昧であり、こちらも恣意的な事態認定が排除できず、参政党は懸念を持っていると申し述べました。
憲法は国の最高法規ですから、要件を厳格に書き込むべきと考えます。
その観点から述べてまいります。
まず、選挙困難事態の認定において、国政選挙の適正な実施が相当程度長期間にわたり困難であると認められるときとされていますが、例外的な制度を設けるのに相当程度長期間との文言は曖昧です。
相当程度長期間とは何日間なのでしょうか。
また、選挙の一体性とありますが、具体的に選挙の一体性とは何なのか。
条文に定めなければ恣意的な解釈が生まれる危険性があります。
さらに選挙の一体性が害されるほど広範な地域においてとありますが、広範な地域とはどれくらいの範囲の地域なのでしょうか。
これらは前回までに自民党筆頭幹事より内容の提起がありましたが、議論はまだ入り口であると考えます。
そして、例えば国境離島が外国等からの武力攻撃を受け、必死に我が国土国民を守る国防のための行動をとっているときに、攻撃を受けている地域では選挙が実施できなくても、他の地域では選挙を実施できる状態であったとしても、果たして国政選挙を実施するとなるでしょうか。
後段の要件に該当しなくても、選挙実施が困難な事態が生じる可能性があります。
前回、自民党筆頭幹事からは、ピン留めしてもよろしいのではとの発言がありましたが、このように定義が曖昧な中ではピン留めできないと考えます。
そして、議員任期の復活は、議会制民主主義の正当性において、やはり疑問があります。
議員任期の復活に議論を集約しようとするのではなく、次の憲法改正の論点も議論が行われるべきではないでしょうか。
例えば、衆議院の解散があっても、選挙期日まで、あるいは次の国会招集日までは身分を失わないこととする憲法改正です。
憲法45条の改正です。
現行憲法71条では、内閣は総辞職後も、新たに内閣総理大臣が任命されるまで、引き続きその職務を行うものとなっています。
憲法45条に同様の規定を置くことは可能です。
さらに述べれば、現行憲法において、衆議院解散中は、半数以上の国務大臣が国会議員の身分を失っており、内閣の存立要件を満たしていないのではないかとの疑問があります。
これについてはどうするのでしょうか。
また、衆参両院同時活動の原則は合理的なのか、こだわるのかという観点もあります。
衆議院解散時でも、参議院は開会できるとの憲法改正を行えば、衆議院により国会審議は保たれることになり、緊急集会も不要です。
憲法54条2項の改正です。
そして、緊急政令、緊急財政処分のイメージ案では、あらかじめ法律の定めるところによりとの文言がいずれにも出てきます。
しかし
しかし緊急事態への対応ですから、要件を法律に委任するのではなく、憲法に厳格に書き込むことが必要です。
法律に委任するとなれば、憲法改正より改正が容易であることから、時の政権により恣意的に定められたり、改正が行われたりする危険性があります。
さらに前回の憲法審査会において、自民党筆頭幹事は、さまざまな手を尽くして国会機能の維持を図った上で、それでも国会の会議を開くことができない、国会議員が参集することができないという究極の事態に陥ったときに国家の機能を維持するための条項を設けることは必須と考えますと述べましたが、国家の機能維持における国会を開くことができるか参集できるかどうかについては、前回前々回も述べましたが、国会のバックアップ機能や代替機能を東京とは別の場所に置くことで解決できると考えられ、先ほど述べました憲法45条改正、54条2項の改正を行えば、緊急事態においても衆参両院に多数の国会議員が存在し、国会を開会できます。
このように、自民党筆頭幹事が述べるピン留めの前に、さらに議論を深めなくてはならないことが多くあります。
さらに述べれば、憲法に緊急事態条項を創設し、選挙困難事態を定め、国会議員の任期の延長を可能にしても、外国等からの武力攻撃を受けた場合に、真に国家国民を守れるのでしょうか。
やはり、9条改正と緊急事態をセットで議論しなければ、真に国家国民を守る憲法改正になりません。
憲法改正に当たっては相対的な見直しを行い、いついかなるときも国家国民を守れる憲法とする根本改正が必要と考えます。
だからこそ、一から国民の手で作り直す創憲が必要なのです。
最後に改めて提起をいたしますが、参議院の憲法審査会で重要項目として審査が続いている合区の解消について、衆議院憲法審査会でも議論を行うべきと考えます。
地方の声が失われることなく、しっかりと地方の声が反映される国会を改めて築き上げることは、喫緊の課題であると考えます。
衆議院憲法審査会においても、合区解消の議論を深めることを改めて提起するとともに、根本的な憲法改正、そして憲法を一から国民の手で作り直す創憲が行われるよう、参政党として強く提起します。
以上です。
古屋圭司(憲法審査会会長)古川あおい君。
古川あおい(チームみらい)はい。
チームみらいの古川あおいです。
本日は前回の各会派の御発言を踏まえ、4点申し上げます。
第一に議論の状況について申し上げます。
先週今週と各会派の御発言を伺いまして、論点ごとに議論の状況には差があり、多くの会派において認識を共有し得る論点もあれば、見解が大きくばらついているものもあると感じております。
例えば、議員任期延長については、延長の期限について、6か月程度が妥当であるというご発言や、通算で最長1年程度を限度とすべきであるというご発言など、具体的な数字に触れるご意見が出ております。
数字については幅があるかもしれませんが、期間に通算の上限を設けるべきであるという点については、多くの会派で合意可能なところが見えてきているのではないかと感じます。
他方、緊急政令、緊急財産処分につきましては、立場の幅が依然として大きく残されております。
緊急政令、緊急財産処分は国会の関与なしに法律や予算に代わる措置を可能とするものであり、非常に慎重な議論を必要とするものですが、現在のところ、具体的にどのような事態にこの仕組みが必要となるのか、法律レベルの対応では不十分なのか、こうした問いへの答えがいまだに十分に共有されているとは言い難い状況だと考えます。
この点につきましては、他の項目と同様に議論の対象に含めるのではなく、もう一段、立法事実の整理を深める段階が必要なのではないでしょうか。
また、そもそもの憲法についての議論の考え方として、緊急事態の備えにつきましては、改正を行った場合と行わなかった場合、それぞれの効果と懸念を丁寧に比較し、明らかにしていくことが重要であると考えます。
時代の変化に、憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱する可能性があるというご懸念は、改正に賛成される方々の主要な理由としても挙げられているところです。
一方で、非常時のために設けられた規定が、恣意的に運用されるリスクへのご懸念も、同様に重く受け止めるべきものでございます。
こうした意見を踏まえて、建設的に議論を進めていくためには、憲法改正をしなくても対応できるのではないか、という指摘に対して、憲法改正をしないと対応できないのだ、という考え方だけでなく、改正の効果について、メリットとデメリットを提示しつつ、比較する視点が重要だと考えます。
第2に、選挙権の保障の観点から、選挙環境の強靭化について申し上げます。
本日のテーマの1つとなっております、選挙困難事態は、そもそも生じないことが望ましいということについては、立場の違いを超えて御賛同いただけるところと存じます。
仮に例外的な仕組みを設けるとしても、この前提を共有しておくことには意味があると考えます。
加えて、選挙困難事態の発生をあらかじめ織り込むのではなく、災害や有事においても、なお選挙が実施できるよう、選挙制度そのものを強靭なものとする視点も欠かすことができません。
インターネット投票の導入を含め、選挙制度の在り方を見直すことで、選挙困難事態の発生リスクそのものを避ける余地があると考えております。
強調しておきたいのが、この論点は、憲法改正を行う場合であっても、そうでない場合であっても、避けて通ることはできないということです。
本日のイメージ案におきましても、選挙困難事態の認定には一定の要件を課すという前提に立っており、安易な認定を許容するものではありません。
また、任期延長についても条件を設ける、上限を設けるべきという考え方が多くの会派で共有されております。
すなわち、仮に任期延長等を認める方向で改正を行ったとしても、厳しい状況下で選挙を実施せざるを得ない場面は依然として残るということでございます。
また、現行の選挙制度においても、投票へのハードルが高い方々がいる中で、そうした方々への手当なしに、憲法改正の国民投票を実施するという話になれば、国民投票という手法そのものへの信頼が揺らぐ時代にもなりかねません。
困難な状況下において、いかに選挙を成立させるのか、この問いは、どのようなお立場の方であっても、考えていただく必要があるものと考えます。
第3に、議員任期延長と関連する論点について申し上げます。
イメージ案で提案されております選挙困難事態における議員任期の延長そのものにつきましては、選択肢としてあり得るものと考えております。
ただし、それを前提とするためには、ただいま申し上げたようなインターネット投票の導入をはじめとする。
これに関連して、参議院の緊急集会の位置づけについても申し上げます。
これまでの審査会でも、他の委員からもご指摘があったとおり、緊急集会で対応できるかどうかという法的評価については、衆議院と参議院との間でも見解が分かれており、まずは両院の議論の整合を図ることこそが必要ではないかと考えます。
その上で、参議院の緊急集会に何でも任せるべきではないという問題意識自体は理解するところでございます。
であるからこそ、国会の機能維持の手段として、緊急集会だけに依存するのではなく、他の手段も併せて検討することが重要だと考えます。
例えば、国会のオンライン出席につきましては、本日のイメージ案にも記載がありますが、オンライン出席という選択肢は、緊急時の対応手段にとどまらず、平時における議会機能の向上にも資するものと考えております。
緊急事態に限定された場面だけではなく、より広い文脈での活用の在り方についても、踏み込んだ議論をしていく価値があるのではないでしょうか。
最後に、今後の議論の進め方について申し上げます。
緊急事態条項につきましては、ただいま申し上げてまいりましたとおり、論点は未だに多く残されており、丁寧な議論を続ける必要があると考えております。
そうした中で、本審査会においては、国民投票法をめぐる議論にも一定の時間を割いていただきたいと考えております。
国民投票法をめぐっては、令和3年改正の際に不足において検討すべきとされた事項が複数残されております。
さらに、この不足が設けられた当時と比べても、生成AIの進展をはじめとし、情報環境は大きく変化しており、最新の状況を踏まえた議論を進める必要性は、当時と比べてむしろ高まっているといえます。
国民投票法は、主権者である国民が、憲法改正について直接意思を表明する際の手続きを定めるものでございます。
手続きの公正性と、すべての有権者が実質的に参加できる環境の確保は、改憲発議の有無にかかわらず、有権者の権利保障として重要な論点でございます。
緊急事態条項については、論点の整理を引き続き丁寧に進めつつ、並行して国民投票をめぐる議論にも時間を割いていく。
こうした進め方が結果として審査会全体の議論を建設的に深めることにつながると考えます。
以上でございます。
古屋圭司会長畑野君枝君。
畑野君枝(日本共産党)日本共産党の畑野君枝です。
今日の審査会も法制局がまとめた緊急事態条項のイメージ案を議題としています。
一部の会派の主張に基づいて、緊急事態条項について論点を抜き出し、議論を方向づけようとすることは認められません。
朝日新聞と東京大学が共同で行った有権者への調査では、改憲を優先的に取り組む課題だと答えたのは、わずか1%に過ぎません。
国会の場で改憲を強行し、国民に議論を押し付けることは許されません。
この間の議論で主張されている緊急事態条項の内容は、内閣が緊急事態だと認定すれば、国会の議決を得ずに、法律に代わる政令の制定や、予算の執行を可能にするものです。
内閣に権限を集中させ、国民の権利を制限するもので、憲法停止条項です。
国会議員の任期延長は、国民の参政権を停止し、内閣の独裁体制を支えるため、時の政権が国会の多数を維持するためのものにほかなりません。
こうした緊急事態条項の規定は、さきの戦争の反省から、日本国憲法が否定してきたものです。
かつて日本は、朝鮮半島や台湾を植民地化し、中国大陸をはじめ、アジア太平洋諸国を侵略しました。
国内では、国家総動員の方針の下、戦争に反対する人々を弾圧して、国民経済や国家予算、学術、研究など、ありとあらゆるものを戦争遂行のために動員しました。
日本の植民地支配と侵略戦争で、アジア太平洋地域で2000万人、日本国民310万人以上が犠牲となりました。
この戦争を遂行する体制をつくるために用いられたのが、明治憲法にあった緊急勅令などのいわゆる緊急事態条項です。
当時の政府は、緊急勅令によって議会で廃案になった治安維持法に死刑を導入する改悪を強行するなど、戦争に反対する国民の声を弾圧するために乱用しました。
緊急財政処分も、日清日露戦争、そして満州全土の制圧など、戦争を遂行する戦費を総理大臣が抑え込んだもとで、東南アジアへと戦線を拡大し、真珠湾攻撃へと突き進んだのです。
この痛恨の教訓から、日本国憲法は、内閣による緊急政令を廃止し、国会議員の任期を憲法に明記し、国民主権と民主主義を徹底することを求めているのです。
憲法制定議会で、金森徳次郎担当大臣は、民主政治を徹底し、国民の権利を擁護するためには、政府の一存による処置は防がなければならない。
言葉を非常ということに借りて、その道を残しておけば、どんなに精緻のある憲法を定めても、破壊される恐れがある、と述べました。
それがあると述べています。
任期延長についても、自ら任期を延長することは、はなはだ不適当であり、任期がくれば、選挙によって国民の意思を国会に反映することが重要だと述べています。
日本国憲法が緊急事態条項を否定したのは、悲惨な戦争を二度と起こさないという決意にほかなりません。
これは日本国憲法の原点そのものです。
日本国憲法前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを宣言し、憲法9条で戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めています。
戦争につながる一切のものを排除することを求めているのであり、これが日本国憲法の核心です。
緊急事態条項の議論では、9条改憲の議論も並行すべきだとか、一体に議論すべきだという主張がされています。
ロシアによるウクライナ侵略も度々挙げられていますが、
憲法審査会、議論です。
アメリカとイスラエルによる国際法違反の攻撃によって始まったイラン戦争は、国民の生活に極めて重大な影響を及ぼしています。
ナフサなど石油関連製品の不足で、事業者からは「このままでは廃業するしかない」「コロナ禍以上に深刻な状況だ」という声が上がっています。
この声にどう対応するのかが、国会には問われています。
最も重要なのは、一日も早く戦争を終結させることです。
アメリカは今もホルムズ海峡の逆封鎖を続け、トランプ大統領は度々再攻撃に言及しています。
日本政府はアメリカとイスラエルに対して再攻撃せず、早期に戦争を終わらせるよう、国際社会と連携して外交努力を強めるべきです。
今、目の前にある国民生活の危機に対応するための議論こそ、予算委員会や各常任会で大いにするべきだと改めて強調して発言を終わります。
次に委員各君による発言に入ります。
発言を希望される委員はお手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後にご発言をください。
発言は自席から着席ままで結構です。
なお、発言の際には所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。
発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。
また、幹事会の協議に基づきまして、発言時間は5分以内といたします。
質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて5分以内といたしますので、ご留意願います。
発言時間の経過につきまして、おおむね5分経過時に、ブザーを鳴らしてお知らせします。
それでは発言を希望される委員は、名札をお立てください。
それではまず、高階委員、お願いいたします。
はい、自由民主党の高階恵美子です。
緊急事態条項のイメージの3、オンライン国会について、これまでの本審査会における議論の経過を踏まえつつ、意見を申し述べます。
新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、本審査会では、令和4年2月から、オンライン国会について本格的に議論がなされました。
法制局の論点説明や参考人聴取、集中的な議論プロセスを経て、本審査会における議論の到達点として、いわゆる緊急事態が発生した場合等においても、どうしても本会議の開催が必要と認められるときは、例外的にオンライン出席も憲法56条の定足数算定の基礎となる出席と認められる旨の議決がなされています。
これが当時の森憲法審査会長から細田衆議院議長に報告され、議員運営委員会において議論が行われることとなり、その結果、参考人のオンライン出席を可能とする衆議院規則等の改正がなされました。
昨年5月30日には、衆議院安全保障委員会において、米国在住の参考人に対するオンライン質疑が行われるなど、委員会においてはすでにオンライン審議が導入されています。
こうした導入例のように、オンライン国会は、遠隔地にいる参考人が出席できるようになるなど、平時においても有益と認識しております。
また平時における利便性向上以上に、緊急事態においても国会機能を維持するため、オンライン国会が有効かつ重要な手段の一つであることは、本審査会においても議論がなされてきたとおりであります。
例えば複数の議員が同時に、感染力が強く致死率の高い感染症に罹患、あるいは隔離を要する状態となったり、大規模災害等によって、移動手段が途絶し、定足数を満たせなくなる。
などの事態はいつでも起こり得ます。
先般の新型コロナ感染症流行時、衆議院では本会議におけるいわゆる間引き出席によって3密を回避した上で国会を機能させる工夫がなされました。
より毒性の強い感染症等の蔓延時には、こうした運用では対応が困難な事態も起こり得ます。
そうした場合でも国会機能を維持するためには、緊急事態条項のイメージにあるとおり、憲法56条1項を改正し、オンライン国会を明文上認めることが必要だと考えます。
その上で、オンライン国会を円滑に運用していくためには、いくつかの実務上の課題もあります。
例えば、停電等による通信の途絶です。
今後発生する確率が高いとされる南海トラフ地震および首都直下地震では大規模な被害が想定されており、長期間の停電、または通信回線が断たれるなどして、オンライン国会の開催が難しくなる可能性もあります。
また、そもそもオンライン国会といっても、議員が自宅等から個人のスマートフォンやパソコンでアクセスし、本会議に出席するとか、採決に参加するといった性質のものであって良いものでしょうか。
特に採決は委員の意思決定であり、非常に重たいものであります。
オンラインで採決を行う場合には、本人確認をどのように実施するか。
不正アクセスや採決結果の改ざん対策など、セキュリティをどのように確保するのか。
また、遠隔地のオンライン出席議員が多数いる中で、議長の議事整理のあり方をどのように考えるのかなど、今後さらに議論を深めるべき問題もあります。
このようにオンライン国会については、緊急事態における国会機能維持の方策として非常に重要ではあるものの、詰めるべき課題も残っております。
これらの課題への対応策を検討し、可能な限りオンライン国会ができるよう努めることは当然のこととして、オンライン国会を含めた国会機能維持に関する規定を設けてもなお国会機能が維持できない万が一の不測の事態への備えも同時に用意していく必要があるのではないかと考えます。
以上で私の発言を終わります。
古屋圭司会長西村智奈美君。
西村智奈美中道改革連合の西村智奈美です。
初めて憲法審査会で発言します。
戦後日本の自由と平和の礎となってきた日本国憲法を尊重する立場から意見を述べます。
私たち中道改革連合としては、権力の乱用を防ぎ、個人の尊厳と自由を守るという基本政策の下、憲法議論に参画していくという立場です。
しかし、あえて申し上げれば、先週の審査会で、日本維新の会の馬場代表は、憲法論議の核心であるべき、権力の暴走につながるとの主張について、改憲反対ありきの定型句などと発言されました。
権力の暴走は、ナチス・ドイツの例をはじめとして、現実的かつ真っ当な懸念です。
こうした発言が相次ぐ中で、また中東情勢やその影響など深刻な課題が山積する今、それより優先して憲法の議論が進んでいくことに深刻な懸念を感じています。
また自民党は衆議院では圧倒的多数かもしれませんが、参議院ではそうではありません。
今回のテーマである緊急事態への対応に関しては、与野党の枠を超えて衆議院側と意見の開きがあります。
そもそも現在、法制局及び憲法審査会事務局にイメージ案を作成させるような段階ではなかったと、私は考えます。
百歩譲っても、昨年衆議院法制局から提出された資料「緊急事態条項、国会機能維持の主な論点」のイメージには記載のあった、平時も含めた臨時会招集期限、緊急時、平時における解散権制約など多岐にわたる論点が今回抜け落ちていることに納得がいきません。
明治案についていくつかの問題提起をさせていただきます。
第一に、緊急事態の際に議員の任期延長が必要との説のほぼ唯一の論拠である「選挙の一体性」とは何かという問題です。
憲法的価値が本当にあるのかという指摘がこれまで重要な論点として複数なされてきました。
ここがこの憲法改正が必要かどうかを判断する大きな鍵だと考えますので、しっかりとした議論が必要です。
第二に、想定される最も巨大な震災の際にも、選挙を実施できない選挙区は限定されるので、選挙全部を延期するような立法事実はないという指摘がこれまで繰り返されてきました。
まずは徹底的に選挙制度の強靭化を図り、その上で選挙全部を延期するような立法事実が残るのかを精査すべきです。
第三に、参議院緊急集会が一時的、限定的、暫定的とされている点です。
これまで緊急集会の権限については、さまざまな指摘がなされてきましたし、自民党も2024年8月に参議院緊急集会の権限は、原則として国会の権能のすべてに及ぶとしています。
改めて議論すべきです。
第四に、緊急事態の対象範囲に、存立危機事態も含まれるのかです。
昨年11月、高市総理は、法律の限定を逸脱したと思える答弁をされています。
支持率低下のタイミングにおける衆議院任期満了選挙を避けるために、内閣の恣意的な判断で存立危機事態を認定するとともに、選挙困難事態の認定がなされ、選挙が停止され続けるという乱用が懸念されます。
古今東西、自らの政治的な危機を乗り越えるために戦争を始めた指導者は少なくありません。
こうした危険はないのか、今後も議論させていただきたいと思います。
最後に、緊急政令などという、国会としておよそ認められない条項が紛り込んでいることは論外です。
憲法を改正してまで議員の任期延長をして国会機能を維持しようという議論と同時に、国会が機能しない場合を想定した議論をすることは、論理矛盾なのではないでしょうか。
憲法改正に決して消極ではない国民民主党の玉木代表も、先週はあえて蒸し返さない方が得策と、今日も同様の趣旨の発言がありました。
通らないことを見越して、バッファーとして入れているとすら思えてきます。
論外だと考えます。
以上です。
古屋圭司会長阿部圭史君
はい、会長。
緊急事態条項といった場合には、主に2つの要素を含みます。
具体的には国会機能維持と内閣による国家機能維持です。
これはほかの委員の方も言われております。
先ほど私の方から国会機能維持について見解を述べましたけれども、今回は内閣の国家機能維持について述べたいと思います。
日本維新の会、国民民主党、有志の会の3会派がまとめた憲法改正条文案は、緊急事態条項の2要素のうち、国会機能維持のみについてまとめられております。
また、5会派骨子案でも国会機能維持のみについてまとめられております。
その上で、緊急事態条項のもう1つの要素たる、緊急政令と緊急財政処分を含む内閣による国家機能維持については、日本維新の会、自由民主党、国民民主党は基本的には必要だと考えているというふうにされております。
その上で、この緊急事態条項のイメージ案、これにつきましては、公正、精緻、明快にまとめます。
委員長。
憲法学上の整理ですが、緊急事態と非常事態とは全く異なる概念でございます。
緊急事態条項とは、緊急事態に際して用いられるものである一方、非常事態に対しては国家緊急権という不文の法理に関する概念が用いられます。
緊急事態は、通常の統治機構の下で統治が行われ、立憲的統制が十分に機能する状況を言います。
その上で、平時の法制度、法運用とは異なる対応を必要とする事態のことであります。
一方で、非常事態とは、戦争で国の中枢が爆撃されて、閣僚や国会議員がほとんど死んでしまうとか、散り散りになって全く連絡も取れない、こういった事態が想定をされます。
すなわち、憲法所定の機関が正常に機能し得ないときに、どのように対処すべきかという、国の存立に関わる、こういった難しい問題に答えるものでございます。
要するに、国家緊急権とは、立憲的統制を離れ憲法秩序を停止するものです。
一巡目で新藤幹事がおっしゃったGHQの言う超法規的なイマージンシーパワーとは、この非常事態における国家緊急権のことだと私は理解をしております。
緊急事態条項は立憲的統制として憲法秩序の維持を目的として行われるものである一方、国家緊急権は憲法秩序の停止という効果があります。
我々が今、この場で議論をしている緊急事態条項とは、まさに憲法秩序の維持を目的として行われるものであり、緊急事態条項に慎重な方々の様々な主張は起因であることを強調したいと思います。
もちろん、我々国会は、最悪の事態を想定し、最終的には緊急事態を超えて、非常事態についても議論せねばならない責務を負っていることは言うまでもありません。
しかしながら、これまで幾多の議論を重ねてきた緊急事態と緊急事態条項については、既に論点が出尽くしておりまして、まさにこのイメージ案でまとめていただいたとおりだと思っております。
ピンポイントでできるところは、その部分から条文化を積極的に進めるべきことを改めて申し上げて、私の発言を終わりたいと思います。
以上でございます。
浅野哲君。
国民民主党の浅野哲です。
本日は緊急事態条項のイメージ案について、具体的な論点をいくつか挙げ、それらに対する意見を申し述べます。
第一に、参議院の緊急集会の射程期間についてです。
緊急集会は、衆議院解散後、総選挙を経て特別会が招集されるまでの間、参議院が暫定的に国会機能を補う重要な制度です。
しかし、あくまで一時的、新しい衆議院が活動を開始するまでの空白をどう埋めるかという課題が残ることから、射程範囲としては十分とは言えません。
他方、70日超過説は、大規模災害等への対応として理解できる点もありますが、任期制による民主的正当性の発揮、衆議院優越の趣旨との関係を踏まえれば、参議院単独で国会機能を担う状態は、最小限度とするよう努めるのが妥当と考えます。
したがって、緊急集会の権限の範囲は、70日程度を基本とする、いわゆる70日説が、制度趣旨に沿うものと考えます。
第二に、緊急政令、緊急財政処分との関係です。
日本国憲法の制定過程を振り返れば、いわゆる三月二日、松本案七十六条には、国会招集が不能で、公共の安全保持のため、特に緊急の必要がある場合に、内閣が事後に国会の賛同を得ることを条件として、法律または予算に代わる閣令を制定できる構想がありました。
しかし、先ほど新藤幹事がおっしゃられたとおり、現行憲法では内閣に包括的な緊急立法権を与える仕組みを採用しておりません。
非常時であっても議会的統制を残す制度を選択し、参議院の緊急集会を設置しました。
一方、緊急政令、緊急財政処分は、内閣に法律や予算に代わる権限を与える制度です。
同じ緊急事態条項でも、憲法上の意味、意義は異なり、まずは国会機能維持の方策と、その限界を明らかにすることが優先すべきであることを重ねて申し上げます。
第三に、選挙困難事態認定における国会承認の議決要件についてです。
この要件としては、過半数ではなく、各議員の3分の2以上の承認を要件とすることが望ましいと考えます。
選挙困難事態の認定は、選挙の延期や議員任期の延長につながり、議員の身分に関わる重要な意思決定となります。
過半数で足りるとすれば、時の与党の判断で選挙延期や任期延長が可能になる制度だと受け止められかねません。
緊急時こそ、権力を持つ側の自己延命と疑われない制度設計が必要です。
3分の2であれば、一定の野党も含めた合意が必要となり、国会の総意に近い判断を示す民主的正当性の要件になると考えます。
最後に、今後の議論の進め方についてです。
9条など、各党間で方針が大きく異なる論点は、中長期的に議論を深めるべき課題です。
一方で、合意可能性があり、時間的制約のある論点については、議論を発散させず、優先順位をつけて進める必要があります。
その観点から、参議院の合区問題についても、緊急事態条項の議論がまとまった後、本審査会でも議論すべきと考えます。
昨日の参議院憲法審査会では、一票の格差と合区問題について、各政党の見解が表明されました。
国勢調査の速報が、今月末に公表される見通しであり、2028年の参議院通常選挙までに合区問題を解決するならば、今年中に改正原案をまとめる必要があることを申し上げ、発言を終わります。
北神圭朗君。
自由民主党の北神圭朗です。
本日は、参議院の緊急集会と、議員任期特例の住み分けについて申し上げます。
まず、これまでの議論の整理です。
先週、新藤筆頭幹事から、衆議院総選挙の延期及び参議院の緊急集会の射程の明確化に関し、解散から40日以内に国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域で、総選挙を実施することが困難な場合に、これを延期する名分規定を置くこと、および、参議院の緊急集会の射程の明確化について整理がなされたこと、この2点についてピン留めされたとのご発言がありました。
もう1つ、いわゆる選挙困難事態の認定基準として、1つは国政選挙の一体性が害されるほど広範な地域で、2つ目には適正な選挙実施が、相当程度、長期間にわたり、困難である、すなわち広範性要件、及び長期性要件が求められることもピン留めしてよい、との御発言もありました。
私もこれまでの議論を踏まえれば、先ほど日本維新の会の阿部委員からも話がありましたが、これらは多くの会派の共通認識となっていると、意を同じくします。
そこで、40日以内に選挙が困難な場合に、参議院の緊急集会と議員任期特例のどちらで対応するのか、この住み分けに関しては、相当程度、長期間内に総選挙の実施が見通せるかどうかが決め手となります。
40日以内に選挙ができなかったとしても、一定の期間内にその実施が見通せる場合には、憲法が予定しているとおり、参議院の緊急集会によって対応すべきです。
他方で相当程度、長期間、選挙の実施が見通せない場合には、任期延期特例等により、
対応すべきだと考えます。
これは憲法第四十二条を根拠とする国会の常設性の原則から導かれます。
長期間にわたり国会が開かれない場合、予算、条約、重要な法案を審議しなければいけない可能性が当然高まります。
行政監視機能を発揮する必要性も高まります。
やはり衆議院も参議院も、国会が全体として本格的に機能することが望ましいと考えるのであります。
では、相当程度長期間に関しては、どこまで具体的に規定するのか。
これについては、先週、國重筆頭幹事が、要件の核心部分は憲法に明確に定めるべきだとおっしゃりました。
私も、ある程度具体的に規定する必要はあると考えます。
しかし他方で、そもそも議員任期特例の目的は、緊急事態にあっても国会が平時と同様に機能し、国民の生命や生活を守るために必要な立法措置、財政措置等を取れるようにすることにあります。
このような重要な制度について、憲法上、例えば「相当程度長期間は〇〇日間だ」とか、あまりにも具体的に書き込みすぎますと、合理的な解釈の余地すら狭まります。
極端に言えば、規定されている日数より1日ずれるから長期間とは言えないじゃないかと、いった極めて形式的な理由で、結局制度が発動されないことになってしまう。
本末転倒と言わざるを得ません。
あるいはその解釈をめぐって時間をいたずらに費やし、対応が遅くなってしまうこともあってはなりません。
国会議員はいつ何時も国政を動かし、これに責任を持つ立場にあります。
緊急事態であればなおさらであります。
以上、こうした観点をも考慮し、議員任期特例の要件の一つである相当程度長期間の具体的内容について、憲法に規定すべきことと法律に規定すべきことをどう振り分けるべきか、判断する必要があるのではないでしょうか。
今後もこの点について、本審査会で議論を深めていただくことを求めて、私の意見とします。
寺田稔君。
自由民主党の寺田稔でございます。
選挙困難事態の認定期間における解散権、本審査会議長。
国会の閉会、あるいはまた内閣による衆議院の解散は禁止をされるべきであるという意見が、自民、維新、国民、公明、有志の5会派から改陳をされたところであります。
また、その他会派の委員からも、一般論としてでありますが、解散権が制約される場合等々について、多くの発言がなされているところであります。
この選挙困難事態の認定期間における解散権の禁止については、異論のないところかと存じます。
そして問題となりますのが、内閣と国会の均衡を重視する議員内閣制の理解に基づき、解散を禁止するのであれば、その対抗措置であり表裏一体の関係にある衆議院における内閣不信任議案の議決について、セットで禁止をすべきではないかという考えも申し述べられたところであります。
また他方で、緊急事態にどうしてもこの内閣には任せられないといった場合が出てきたときのために、立法府からの最後のチェック機能は残しておくべきだということで、内閣不信任案の議決を禁止すべきでない、つまり選挙困難事態の認定期間であっても、内閣不信任決議案を議決可能としておくべきだ。
不信任決議の禁止は必要ない。
つまり、選挙困難事態の認定期間においても、内閣不信任決議案を可決できるようにすべきであるとの主張。
それは議員任期を延長している間に、内閣不信任案を出さないといけないような状況が全くないかというと、あり得ないと言い切れないのではないかというものであります。
総理大臣に求められる資質は、平時と緊急時では異なります。
どうしてもこの総理、この内閣では現在の国難を乗り切れない。
本来は内閣は憲法上、解散または総辞職を選択することができるわけでありますが、憲法上定められておりますが、解散が禁止をされている状況では、内閣は直ちに総辞職をするほかありません。
これでは行政の空白が生じ、また立法府と行政府の均衡と抑制、チェックアンドバランスの関係が崩れ、健全な議員内閣制とは言えなくなってしまうのではないか、というのが論拠でございます。
さらに選挙困難事態が認定される場合というのは、衆議院4年、あるいは参議院6年と定められている議員任期を延長してでも、民選国会でなければ対応できない、いわば国難といえる事態が生じているのであって、そのような事態におきましては、与野党が垣根を越えて力を合わせて対処することが当然求められるわけであります。
不信任議案の議決を禁止することにより、そうした事態においては行政の空白を避ける、あるいは積極的な動きを防ぎ、緊急事態への対応や復興のための政策を迅速に、かつ円滑に前に進めることができるものと考えられ、この点についても十分論拠のあるものと言えるのではないかと思います。
以上、双方の立場からの主張の内容を、この論拠も含め申し上げたところでありますが、この点も含めて本審査会において、緊急事態状況についての議論がますます深められることを期待し、私からの発言とさせていただきます。
ありがとうございます。
名札を立てている議員もおられないようですし、また予定している時間が経過いたしましたので、今回はこれにて、討議は終了いたします。
次回は広報をもってお知らせをすることとし、本日はこれにて散会をいたします。